酒呑童子
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第四章
「吸わない方がいいわよ」
「お酒を飲んでも」
「それでもですね」
「そう、その方がいいわよ。じゃあお休みなさい」
「はい、お休み」
「お休みなさい」
二人で由貴に挨拶をした、そしてだった。桐子は由貴が寝室の方に消えてから小雪に顔を戻してこう言った。
「おばさん本人が言ってたけれどな」
「飲み方についてはね」
「一気にだったからな」
「もうコップに入れてごくごくってね」
「参考にはならなかったな」
「そうよね」
「ああして飲むものか?お酒って」
桐子は首を傾げさせつつ言った。
「ごくごくってな」
「違うみたいだけれどね、普通は」
「けれどまあ、な」
「とりあえず飲もう」
「焼酎な」
「そうしましょう」
二人で話してだ、そのうえで。
焼酎の瓶の栓を開き柿ピーも出してだ、二人はそれぞれのコップに焼酎を入れて乾杯をしてから飲みはじめた。
二人共一杯目をぐい、と空けてだ。どちらも首を傾げさせて言い合った。
「何でもないわね」
「だよな」
「ちょっと味は慣れないけれど」
「苦くてな」
「けれどそんなね」
「別に何も感じないよな」
味以外はというのだ。
「炭酸も感じないでな」
「普通の飲みものみたいよね」
「何処がどう違うんだ?」
「さあ」
小雪は桐子の首を傾げさせての言葉に自分も首を傾げさせた、そしてだった。
もう一杯飲む、すると今度もだった。
「別にね」
「何もないよな」
「柿ピーと合いそうだけれど」
「それだけだよな」
「これじゃあジュースと変わらないじゃない」
「どう違うんだよ」
二人共柿ピーを齧りはじめつつ言い合った。
「確かに柿ピーとは合うけれどな」
「柿の種とピーナッツにも」
「けれどな」
「別に何もないぜ」
「お母さん色々言ってたけれど」
「別に何もないだろ」
実際に飲んでみての会話だった、そしてだった。
もう一杯飲んだところで小雪の父親が帰って来た、見れば由貴の予想通りにかなり酔っていて身体からビールの匂いがする。
その彼にだ、小雪は母に言われた通りの言葉を伝えた。すると彼はそのまま風呂場に言った。だがここでだ。
テーブルの上の焼酎を見てだ、こう言った。
「強いお酒飲んでるな」
「そうなの?」
「ああ、あまり強い酒はよくないぞ」
「強いの?焼酎って」
小雪は父にその実感がない感じを述べた。
「私達全然ね」
「だよな」
桐子は小雪の父に挨拶をしてから彼女に応えた。
「特にな」
「強いって思わないわよね」
「おい、焼酎は強い酒だぞ」
アルコール度がだとだ、父は娘とその親友に言った。
「本当に注意しろよ」
「そう言うけれどね」
「おばさんもな」
二人はまた見合って話をした。
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