| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

サイカイのやりかた #毎週投稿

作者:銀P
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第5章 VS???
  13 双剣双銃との闘い

 
前書き
「12話のあらすじ」
わがまま金髪姫が傷を負った一般兵に新しい依頼を持ってきてしまう。
「飛行機をジャックするから手伝って♡」
「……準備、します」
 

 
《持ち物 小型銃 弾6
冷却弾 5 (水を凍らせる)
暖か毛布 コンパクト 一つ(持ち運べる毛布)
のびーる君 2号 (ターザンできる)
???(夾竹桃の机から拝借)
木刀(洞爺湖)
変声機(小さいサイコロ状のもの。理子作)
    携帯
ティッシュ(もうぐしょぐしょで使い物にならん)




「意外とろくなもん持ってないなぁ、俺って」

自分の部屋で持っているものを確認しながらため息をついた。今いるのはアリアの乗る飛行機の一室。飛行機の名前は忘れたが豪華なもんだ。一人一人に一室が用意されておりシャワーやベットまで完備されている。もうここは空飛ぶホテルと呼んでもいいんじゃないだろうか。
飛行機に乗るのも地元の長崎から武偵高校のある東京に来たときくらいなので、チケットが無くさないか心配でならない。これは机の上に置いておこう。そうしよう。

そんな場所に俺がいるのはもちろん任務というかお手伝いのためだが、まだ時間あるし、少しくらい使っても問題無いよねとシャワーを浴びる。

武器やその他の道具は理子が事前に俺の部屋に運んでくれていたようだ。俺は旅行客のように普通にチケットを見せて入ってきただけ、楽でいいね。

「ふふふーん、ふーんふーん♫」

でっかい風呂、豪華な部屋に俺はテンションMaxだった。これから手伝う任務を忘れてしまうくらいに楽しかった。もうこの夢が覚めないでほしー

『お客様ー、いらっしゃいますでしょうか?』

トントンとドアを叩く音がする。え、なんだ?誰だ?

そう思って入り口の穴を覗くと金髪のCAが立っていた。なにかしたかな俺?不審に思いつつ適当に服を着て扉を開ける。

「はい?どうしたんですか?」

「いえ、お客様の気持ち悪い鼻歌が耳に入りましたので、吐き気がするから止めろよと伝えに行こうかと」

「・・・よう理子。スゲー変装術だな。」

CAのCAらしからぬセリフに思わず2度パチパチと目を閉じたあと、俺は扉を閉めようとした。が、強い力で開けられてしまう。その顔は理子とは全く違うが、こんなこと言うやつは理子以外いないだろう。

「くふ!修一が豪華なホテルでバカやってないか確認しに来たんだ。というか風呂入ってたのかよ。よゆーだな」

「いや、だって一生ないかもしれないじゃんこんなホテルもどき。やれる時に存分にやっとかないともったいない。あと歯ブラシと髭剃りは持って帰る。これ常識だ」

「貧乏人の考えだよそれ。というかここまでセコイと本気でキモい」

「・・お前が貧乏になっても助けてやんねーぞ」

「くふ。その時は男に養ってもらうからいーもーん!」

「このビッチ」

「うるせぇよ、金なしセコ男」


「「ああッ!?ヤンのかコラ!?」」


なぜか睨み合ってしまう俺達、あれ?俺たちって相性最悪なんじゃないか?

「・・はぁ、そんなことより、ちょっと入れろよ。作戦話すから」

「仰せの通りに」

ーーーーーーーーーーーーーー

「この飛行機はあと30分後に出発する。それまでに修一にはあることをしてほしい」

「・・なに?」

「このUSBをある場所に刺してきて。この飛行機強奪ハイジャックの要だ」

「そんなん俺に任せていいのか?要っていうんならお前がやったほうがいいんじゃ?」

「ま、信用してるってことで」

「テキトーだな」

「あとは飛行機が飛び立ってから45分後にアリアとキンジを一階のバーに呼び出す。あとは分かるだろ?」

「お前とあの二人がちゃんと戦えるようにフォローすればいい、だな。・・はぁ、Eランクの任務じゃないってこれ」

「これだけは言っとく。お前はEランクで終わるような奴じゃない。武偵殺しの理子が認めるんだ。もっと自分に自信持てよ」

自分に自信・・ねぇ。そんなんあったらEランク止まりじゃないとおもうけど、まあ、お世辞ってことにしときますかね。

「わーった。今から行って来ればいいんだな」

「うん。結果は報告しなくていーよ。確認するヒマもうないし。あ、それともうアリア来てるみたいだから見つかったらまずいからね。修一がここにいる理由なんて全くないんだし」

「それな。金が余ってーなんて、嘘でも言えんわ」

「くふ。もしこの作戦が終わったらいろいろと理子のこと教えてあげるよ♡だからがんばってね!」

「いらん。そんなもんより金くれ。そっちのほうが百倍うれしい」

「・・理子もいい加減ガチギレしてもいいよねしゅーちゃん。女の子の秘密くらい知りたいと思えこのクズ野郎!!」

「うごっ!?・・り、理不尽な・・」

理子はなぜかキレて俺の折れた右腕を思いっきりひっぱたくと、ぷんすかぷんすか言いながら出て行った。いや、なにか言っているのを略しているわけじゃないぞ。本当に「ぷんすか!ぷんすか!」って言いながら出て行ったからな。・・あざといっての。

俺は痛む腕を押さえながらタンスの中にあったスーツに着替える。まあこれからBGとヤる可能性があるわけだし、武偵高の制服じゃダメだ。・・チケットは置いていこうかな。無くしたら怖い。


「うっし。いくか」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

理子に指示されてやって来たのは展覧会の場所のような空間だった。様々な壁画や有名そうな能面などが飾られている。それらが部屋の辺を沿うように飾られており、部屋の中央には長方形のガラスに入った巻物などが展示されていた。どうやらそれぞれの文化の貴重品なんかを展示しているようだが、誰か見に来たりするのだろうか。だったら早めに作業しなきゃな。

USBを持ち差し込める場所を探す。展示されている作品の下あたりに合ってもよさそうだが。と様々な場所を探すがそれっぽい場所が見当たらない。どこだ?まさか天井にあったりとかしないよな。んなとこ調べようもないぞ・・。

それからやく15分ほど、すべての場所を探したが、やはりそれっぽい部分は見つからない。まさか理子のミスとかか?それならいまから連絡・・はダメか。連絡とる暇ないって言ってたもんな。

一応もうひと周りしながら、暇つぶしに展示品を見ていくことにした。

「この能面持って帰るだけでいくらするんだろうな・・」

手に持ってはいけないと書かれていたがなんとなく手に取って重さを確認したりして見る。おお、ちゃんと紫の紐もついてるんだな。しっかりした重さがある。は、初めてさわーー


ガチャ


「ーーッ!?」

能面の触り心地を実感していたとき、後ろのドアから誰か入って来た。俺はつい反射でその扉とは対角線上、中央の置物の陰に隠れる。

「・・ここで合ってるわよね」

入って来た人物はそっと入って来て扉を閉める。・・・ってこの声まさか

(ーーあ、アリア!?)

陰からちらっと窺がうと確かにあのピンクツインテだった。な、なんでこんなピンポイントにここに来るんだ!?隠れる場所なんてないんだぞここ!!

内心かなり焦りつつ状況を確認する。俺がここにいる理由は全くなく、あいつとは知り合いだから顔を見られれば一発バレるだろう。だからと言ってここを抜けるにはアリアの後ろの扉を抜けるしかない。・・かといってそっと隠れて抜け出すなんて難しすぎる。・・・くそ、どうする!!

少しづつこちらに近づいてくる音を聞きながら、どうするかを頭をフルスロットルさせて考える。

そして、手元にあった能面に目がいった。


(・・・・・・。)





『こ、こんにちわ』

「!?!?」

アリアが俺と目が合い、驚いて目を見開きつつ、距離を取る。そして二丁拳銃を俺に向けた。
まあ、その反応が一番正しいだろうな。目の前に

能面スーツの変態がいるんだから。

いや状況的にこれしかなかったんだ。顔を見せずにするには・・ちなみに声は変声機を能面の中に入れてるので機械もどきのような変な声になっている。・・まあ変態の出来上がりだ。

アリアは俺の姿を見て驚いた様子だったが、すぐ落ち着いたように話始めた。

「あ、あんたがあたしを呼び出したってことで間違いなさそうね」

・・呼び出し?呼び出した覚えはないが、もしかしたらほかのやつと会う約束でもしてたのか?それならバットタイミングもいいとこだ。わざわざこの部屋を選ばんでも!!

『い、いや、俺じゃないが・・』

「嘘をつかないで!・・そうか、あたしが帰るまでにまた何かしてくるかもと思ってたけど、そういうことね」

アリアは俺の言葉も聞かず、何かを納得したように頷いている。・・んん?ちょっと待て、帰るまでにまた?何かするかも?・・おいそれってまさか・・あのこと言ってるんじゃない、よな??・・・ええ?もしかして

武てーー

「あんたが武偵殺しね!!」


(ええーー!?!?違うんですけど!?!?)


そして、前回の最後に巻き戻る。俺は能面の裏で無茶苦茶キョドっていた。脳内がパニックで破裂しそうだ。

確かにこの状況、今までの事件、呼び出されたなら俺もそう思うだろう。しかも目の前には能面スーツ変声男だ。もうそう思うしかないくらいの証拠がそろっているが・・・待て待てアリア。それ、Eランク最弱少年岡崎修一です。アンタの思ってるやつもこの飛行機乗ってるけど、俺じゃないんです!


と、言っても聞いてもらえないし・・しかもだ。

(この状況、もし能面取れて俺だってこいつにばれたら、俺が武偵殺しってことになるよな・・!!)

岡崎修一が武偵殺しだった。そうアリアに思われたら最後、俺の人生は終わるだろう。
Sランク武偵相手に逃げ切れるなんて思ってもいない。しかし、だからと言っていまここで脱いで理子のことを全部言っても、理子は証拠を何一つ残していないので、無理だ。そもそも能面を付ける理由がないし。・・これ、まじでやばいぞ。せめて返せるセリフというと

『・・・そうだ、私が武偵殺しだ』

それだけ。

「ようやく見つけたわよ。アンタのせいでママが捕まった!絶対に許さない!」

アリアの方はやる気全開。もう今すぐにでも俺を捕まえようとしている。・・・うええ、これ予定してたBG戦よりきついぞ。・・・うまく逃げ出せたらいいわけで


(勝とうとは思うな。逃げ出すことを第一に・・!!)

「武偵殺し、逮捕よ!!」

バッと飛びかかっていくるアリア、それに対し俺は、

木刀を構え、思いっきり飛びかかった。

「ッ!?」

確かに逃げるならばまずは距離を取るのが一番だろう。だが相手はアリアだ。超一流の銃の腕だ。それに対し俺は目標にかすりもしないEランク。逆に距離を取ると死ぬ。だからまずは距離を詰めたほうが、こっちの有利にはなるだろう。

アリアはそれに瞬時に対応して銃をしまうと背中から刀を取り出し、俺の木刀を受け止める。

ここまでは読み通り、だったが、

アリアはその混じり合った刀をすぐに離し、懐に潜り込んでくる。

(これは、火野ライカと同じーーッ!!)

記憶がフラッシュバックした瞬間、俺の体は反射的にくるりと回るとアリアの背後に回る。火野ライカとの戦闘時にやられた武器合わせからの懐潜りは経験済みだった。

回り込んで手薄になったアリアの背中を思いっきり蹴り飛ばす。

「ーーっ!流石にやるわね!」

アリアはくるりとバク転し、体制を整える。ーー瞬間アリアがすぐに近づいてくる。

それから何度も応戦を繰り返す。先を読み読まれ、何度も何度も武器を混じり合わせ、距離を離さないようにする。

(右ーー!!次に回り込んで!!左、上。右腕を下げてから、左フックーー!!)

アリアとの対戦経験値が功を期した。人間とは考えずに反射的に行動する場合、何度も行った行動をすることが多い。
確かにいつもの対戦時はアリアの動きになれた瞬間に違う動きをしてきて回避が難しくなる。
しかしこれはアリアが自分で考えて行動するからこそできることだ。つまり、いま俺だと気づいていないアリアは、

いつもしている、俺の慣れた戦いモーションをくり返す。

(・・あたしの動きが読まれてる!?こいつ、何者!?)

これは、行けるかもしれんぞ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そう思ったのも初めだけだった。俺が先読みしていることをすぐに感づき、すぐに俺の慣れない様々なモーションで攻撃してくる。これには太刀打ちできるわけがない。

「ーーうぐっ!!」

刀で木刀をはじかれてしまう。左手がビリビリと痺れ、動かない。右手は折れていてあまり動かせない。--しかしアリアはその隙を抜かすほど、甘くない。

「終わりよ!!」

「ーーーッ!?」

アリアが刀を下げ構える。このままでは腹横を裂かれてしまうーー!!

一瞬の思考の中、俺はベルトに手を伸ばし、


ギンッ!!


『・・あっぶねー・・』

『のびーる』を伸ばし、両手でピンと張って、刃をその上で受け止める。ちぎれる心配をしたが、平賀の言っていた『刀で100回斬られても切れない』というのはちゃんとした結果だったらしく、切れることなく支えてくれた。

だが安心したその一瞬でさえ、Sランク武偵は見逃さなかった。

刀を戻し、くるりと回転することで俺の目の部分にそのピンクツインテを当てることで目隠しをしつつ、横っ腹に蹴りを叩き込んできた。避けることも守ることもできなかった俺は壁際に陳列された骨董品に突っ込んでいく。激痛が体中を走り、口から酸素が漏れ出す。痛みでもう体が上手く動かせない。首を動かすのですら一秒かかった。

そんな中、俺は


『・・へへ・・』

俺は能面の裏で薄く笑ってしまう。前回の火野ライカ戦の時と同じ、あの快楽が。

また、俺の中で爆発する。



(強い敵俺より強い勝てない負ける反射神経すげえツインテールを武器横からの足蹴りやべえ痛い辛い楽しいワクワクするドッキドキ木刀懐に入る右フック力速いSランク強え勝てない?すげえやべえ興奮してきた勝ちたい勝ってみたい倒したときすっげー快感だろうどう避けるどう避けるどうやって一撃を決める周りのものつかうかいや自力で勝ちたい勝ってみたい…!)



心の中はパニック状態だった。だが最高に心地いい。俺の求めていたものは、これだった。最高に気持ちがいい。これが俺の本質。どうしても戦いたい衝動。抑えきれない自分の本質。才能とも呼べない、努力とも違う。ただの

本質

やっべ逃げるって選択肢、なくなった、ね。

『へへ・・あっははははははははは!!!!いいねアリアお前やっぱ最高!!』

「気易く呼ばないで!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Aria side

武偵殺しが突然笑いだすと木刀を両手で持ち出し直しあたしに思いっきり振り下ろされた。二刀の刀でそれを受け止める。・・が

(お、重い・・!!こいつ、さっきより力が増している!!)

先ほどは刀一本で抑えられたのに、今の力はそれの三倍ほどの力が加わっている。まるでリミッターが外されたようにとても重い。ギリギリと腕が軋む。

武偵殺しはすぐに木刀をグイッと引きそれをあたしの右足に狙って振るう。
しかしそれを読んでいたあたしは飛んでかわすとそのまま顔に蹴り込もうと前に飛んだ。・・しかし、

『・・へへ』

先ほどからあまり動かしていなかった右腕をあたしの足に当てクッションにしそのままあたしの懐に潜り込む。

(さっきあたしがしたッ!?)

先ほどあたしが行った潜り込むやり方をすべて完璧にまねされてしまう。そのまま木刀を振るわれる。・・が

まだ甘い!

武偵殺しの肩を使ってくるりと反転し、後ろに回る。これは相手が行った行動を真似させてもらった。これでイーブンよ。

そのまま顔を横に蹴り飛ばす。が

「・・へえ」

「ッ!?」

能面を落とすことはできなかったが下の部分を壊すことに成功した。しかし、武偵殺しは吹っ飛ぶことなくあたしの足をつかんできた。そして、あたしの横腹に思いっきり木刀を振るった。今度はあたしが壁にぶち当たる。

「くっ!?」

痛むからと堪えている場合ではない、瞬時に目を開け二丁拳銃を構える。

能面の下部分の欠けた武偵殺しが木刀を構え直しながらふらふらとこちらに近づいてくる。

その能面の欠けた部分、口元の見えた武偵殺しは


ニヤニヤと笑っていた。


ゾクッと長年凶悪犯罪者に立ち向かっていたあたしが身震いする。な、なにこの恐怖・・。息が荒くなり額から汗が落ちる。こいつは、やばい。あたしももしかしたら負けてしまうかーーー

「・・ふーっ」

ハッと我に返り深呼吸をした。ここでパニックになることは一番マズイ。変に焦ると返って相手にいいようになってしまう。落ち着くことがいま一番重要な事だ。そうしないと勝てる戦も勝てない。

「・・・はっは!!」

武偵殺しが二ヤッと笑ったままこちらに走り込んでくる。それを拳銃で受け流し、そのまま木刀を撃ち、武偵殺しが木刀を手放す。・・がそんなことお構いなしにあたしの銃を二つともに蹴りを放ってきた武偵殺しはその後一歩下がって構える。あたしから銃を奪ったのは正直驚いたが、武偵殺しは格闘戦がしたいらしい。

「いいわよ。あんたがその気なら、乗ってあげる。でも、後悔しないことね!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


(・・あー強ええ。やっぱ、つええよ・・アリア、すげー)

俺は大の字で倒れていた。あれからアリアには体を無理に動かし何度も反撃しようとしたが一発も当たらなかった。・・ああ、やっぱ俺は、弱い。どうしても、こいつに勝てる気がしねーよ。少し落ち着いた頭で考える。ああ、こいつに勝つには、まだまだ経験と努力が必要だな。

その時グンと地面が動いた。どうやら飛行機が出発に取りかかったらしい。もうそんなに時間が経っていたか・・しまったな、理子との約束果たせなかった。

「はあ・・はあ・・・武偵殺し、逮捕よ!」

理子に内心で謝りつつ。まあ、あのアリアを息切れさせただけましか。と、今のところはそれで満足しておくことにする。

「・・だけど、悪い。まだ捕まるわけにはいかんのよ」

俺にはまだ、仕事が残っている。まだ捕まるわけにはいかない。

ベルトに着けていた『のびーる』をドアまで伸ばし、そのまま紐を巻き取るように自分をドア前まで運びそのまま逃走を図る。

「逃がさないわよ武偵ごろーー」



『あーあーアテンションプリーズ♪アテンションプリーズ♪アリア―?キンジがあんたの部屋の前で待ってるよー。早くしないとー本物(・・)の武偵殺しがキンジを殺っちゃうぞー??』




「は?え!?キンジって、え!?本物!??!?」

突然、旅客機内の放送でまるで電話越しに話しているように理子の言葉が聞こえた。・・なにやってんだあいつ。声も変えてないし、すぐにバレちまうぞ・・?

だが

「・・・・・」


助かった。あっけに取られているどころかパニくっているアリアがこちらを見ていない隙に、『のびーる』を使って入り組んだ通路を右に左にと入っていき、ある場所でアリアが追って来ていないかを確認し、

逃げ切りに成功した。一安心をして、現状を見直す。最初からあった打撲や骨折にまたさらに+されてしまいほぼ全身に打撲痕が残ってしまっている。・・・・今回は本気でやばいな。体全身が痛みで叫んでいるようだ。


「でも、まだ終わっていない」


理子がああ言ったということはもうすぐにでもあいつの目的である戦いが始まるのだろう。・・ならば俺の仕事もすぐに始まる。こんなところで休んでる暇なんて、ない。

そうして持ってきた木刀を杖代わりに自分の部屋へと引き返していった。





 
 

 
後書き
理子の矛盾点はどこでしょうか?この話と次の話に矛盾問題が発生しております。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧