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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Eipic25-A航空空母アンドレアルフス攻略戦~Sycorax 2~

 
前書き
列車砲攻略戦はとりあえずこの前でいったん中断です。今話から3話かけて空母攻略戦です。 

 
†††Sideルシリオン†††

「イロウエル!」

――屈服させよ(コード)汝の恐怖(イロウエル)――

白銀の岩石で組まれた巨大な両腕を造り出し、中央区画へ撃ち込まれて来た巡航ミサイルを防御する。ミサイルは厄介なことに純粋魔力を弾く装甲を持ち、物理攻撃も通用しない程の頑強さを併せ持っている。結果、迎撃するのではなく防御する、という選択を取らざるを得なくなったわけだ。右手で1発目を、左手で2発目を握り締めて粉砕する。

(魔術師化すれば問題なく迎撃できるだろうが・・・)

フォルセティと戦わなければいけないし、その後はおそらくレーゼフェア戦と続くはず。ここで無駄に魔力や神秘を消費するわけにはいかない。だから最小限の魔力消費で済むイロウエルを、目標に着弾する前の防壁として使うことに決めた。

『ヴィータ達は一体なにやってるんだろうね。全然ミサイルが止む気配が無いよ』

『向こうも向こうで大変なんだろう。防衛戦力がクイントさん達だけとは限らないしな』

俺とユニゾンしてくれているアイリにそう返す。休みなく魔力を使い続ける俺は、いつ記憶消失に陥ってもおかしくない。そのリスクを少しでも軽減するために、アイリとユニゾンしている。

「一先ず、ミサイル2発は防いだ。次弾が来るのは最短でも10分後。今の内に付近の防衛戦力を削り、シグナム達のために道を作る!」

『ヤー!』

“アンドレアルフス”の直掩機としてこの空域に出現した、金色に統一されたシームルグ16機による戦隊。その殲滅を頼まれていたが、10機ほど破壊していたところで巡航ミサイルという邪魔が入ったことで中断していた。

「ウルを放つ。サポートを頼む」

『ヤー! 魔力膜を付加するね!』

右手に魔力弓を、左手に槍の如き矢・ウルを作り出す。俺たちが空けていた僅かな時間に、本局の航空武装隊員から10名ばかりの撃墜者を出してしまった。もうこれ以上の犠牲は出させないぞ。

『こちら機動六課、ルシリオン。シームルグ戦隊に再度攻撃を仕掛けます。対象機体の周囲に居る航空隊員は、即座に離れてください』

『ロックオン完了! いつでもいいよ、マイスター!』

ウルの最大展開数は1000発。最優先は金色のシームルグ戦隊の残る6機。他のシームルグや戦闘機に比べて圧倒的な防御力と機動力、そして攻撃力を有していた。レールガンでもミサイルポッドでもない、熱エネルギーを用いた射砲撃を放つ砲塔を2基、主翼の付け根付近にあるウェポンベイに搭載している。チャージ無しでAAA+級の砲撃を連射してくる。さっさと片付けなければ、さらに被害者が出る。

「『弓神の狩猟(コード・ウル)!』」

弓に番えたウルを射る。ウルは十数mと飛んだ後に600本の矢へと分裂して、ロックオンした対象に殺到して行く。避け切れない機体はそのまま直撃して爆散。アイリが矢に魔力膜をコーティングしてくれたおかげで、無駄に魔力を消費することなくアレらのAMFを突破できている。金のシームルグ6機だけは最初の数本を避けたが、さすがに50本の包囲攻撃には対応できず、空に炎の花を咲かせていく。

「アイリ、次弾いくぞ!」

『ヤー!』

ウルをもう一度作り出して弓に番える。アイリにコーティングとロックオンを任せて、俺は最適な射出位置を探して空を翔け回る。戦闘機も残り少なくなってきた。次の1射で殲滅してくれる。先程と同じように全体通信で、戦闘機隊と交戦している武装隊員に注意を促す。

『了解です! いつでもどうぞ、セインテスト調査官!』

『マイスター! 射線確保! 魔力コーティング、ロックオン完了だよ!』

「これで終わりだ!」

――弓神の狩猟(コード・ウル)――

番えていたウルを射って、残りの戦闘機隊へと600本という矢の雨を降らせてやる。先程の1射で学習したのか、まぁ簡単には墜ちなかった。結局は無意味な時間稼ぎに過ぎないが。躱したところで矢に追い縋られ、追い付かれて、そして撃墜される。変わらないよ、この結果はな。

『こちら機動六課本部アースラ! 戦闘機全機の撃墜を確認しました! 残るは1機となります! 生命反応が確認されることから、サイボーグによって操縦されている有人機と思われます!』

グリフィスからの全体通信がこの空域に響き渡る。最後の1機というのは開戦直前、プライソンの声明時に初めて姿を見せた、他の機体とは違うデザインの航空機。猫とネズミのデフォルメイラストが描かれていることから、子供タイプのサイボーグが乗っているのかもしれない。

『教会騎士トリシュタンです! その機体の対処は私たち教会騎士が請け負います! 機動六課、そして航空隊のみなさんは、ゆりかごと護衛艦、ガジェットをお願いします!』

クラリスの召喚獣であるワイバーンを駆るトリシュの案に、俺たち管理局は乗ることになった。俺となのはとフェイトは“聖王のゆりかご”への突入を、シグナムとエリオとキャロのライトニング、すずかとシャルとトーレは“アンドレアルフス”への突入を行うため、それぞれの艦に向かう。

『ルシル君。フォルセティの事お願いな』

『お願いするですよ、ルシル君、アイリ!』

『ああ、任された』

『ヤー! リインも、はやてを墜とさせないようにね!』

はやてとリインはこのまま武装隊の指揮を執りつつ、ガジェットの破壊を続けることになっている。モニター越しで俺とはやては頷き合って、そして通信を切った。ゆりかごに向かう中で、ゆりかごに近付けさせまいと突っ込んで来るⅡ型11機へ向け・・・

「邪魔をするな!」

――天壌よ哭け(コード)汝の剛雷(エネディエル)――

雷撃の塊であるスフィア7基を放つ。それぞれ回避行動に入るが「ジャッジメント!」号令を下して雷球を爆ぜさせる。30cmほどから一気に10mほどまで爆ぜたことで、Ⅱ型は躱しきれずに巻き込まれて融解した。

「ルシル君!」「ルシル!」

「なのは、フェイト!」

俺と同じようにガジェットを破壊し回っていたなのはとフェイトの2人と合流を果たし、右手に見える超巨大なゆりかごへと目を向ける。開戦当初よりはガジェットの数が目に見えて減っているが、それでも3ケタ半ば程が残っていて、隊員たちと交戦中だ。

「未だに入り口を発見できてないみたい」

「だからガジェットの射出口を破壊して、強行突入をしようかって話も上がって来てるんだ」

「なるほど・・・」

先の次元世界と同じだな。武装隊がゆりかごやガジェットの猛攻を掻い潜って着艦し、射出口をぶち抜いて突入していたっけ。俺はなのはとフェイトに「なら俺が撃とう」申し出た。巡航ミサイルや戦闘機隊に手間を取られていたから、ここまで後回しになってしまったが・・・。

「大丈夫? ルシル君、フォルセティや最悪レーゼフェアさんとの連戦になるかもしれないのに・・・」

「なんなら私たちが・・・」

「問題ないよ。アイリ、魔力炉(リンカーコア)のセーフティ任せた」

『ヤー! ウルの再発動をスタンバイ!』

魔力弓と魔力矢ウルを作り出し、ガジェットの射出口を『ロックオン!』する。なのはが「機動六課です! これより射出口に狙撃を行います。注意を!」付近の武装隊に全体通信を入れた。数十人という隊員たちが一斉に射出光付近から離脱していくのを確認し、「往け!」矢羽根から手を離してウルを射った。

――撃神の殲弾(コード・ヘーニル)F――

高速で射出口に向かってたウルに、俺の魔力光と同じサファイアブルーに光り輝く魔力弾がピンポイントで激突、全弾が迎撃された。今の攻撃はまさか・・・俺の対多弾攻撃迎撃用術式ヘーニルか。

――女神の宝閃(コード・ゲルセミ)F――

「「「っ!」」」

ウルとヘーニルが激突した際に発生した煙幕を突き破って飛来するのは砲撃3発。俺たちは散開して回避し、「フォルセティ・・・!」の姿を視認した。今の俺と同じようにヘルモーズを発動した空戦形態。さらには・・・

女神の金衣(コード・シヴ)も使うのか・・・」

黄金色に光り輝く半透明のロングコートと幾何学模様の描かれた羽衣を装備するシヴを、その小さな体のままであるフォルセティは身に纏っていた。シヴは多層甲冑ゴスペルを創り出す一段階前の多層防御膜だ。

「すまない、なのは、フェイト。俺はここに留まらないといけなくなった」

『こちら教会騎士イリス。護衛艦アンドレアルフスより救出対象のセッテ、オットー、ディードの出撃を確認。これより私と第零技術部のトーレが交戦に入ります』

『機動六課、ライトニング分隊のシグナムだ。これよりアンドレアルフス内に突入する』

俺たちだけじゃなくて他の状況も変わっていく。だから「うん。大丈夫」なのはと、「こっちは任せて」フェイトは頷き返してくれた。

『こちらルシリオン。救出対象のフォルセティを発見。これより確保に移ります』

俺も全体通信で報告する。フォルセティは俺の上級術式までも完璧にコピーしている。相応の痛手を負うことを覚悟しなけれならないだろう。“エヴェストルム”をニュートラルのイェソドフォルムで起動。

『はやて。すまないが、巡航ミサイルの防御がしばらく粗末になる』

『大丈夫や。そっちは何とかする。そやからフォルセティを止めたって』

『ああ!』

はやてだけには念話でそう伝えて念話を切る。フォルセティはゆりかごへの突入を試みようとする隊員たちに「来るな!」と怒鳴ると・・・

――知らしめよ(コード)汝の忠誠(アブディエル)F――

両手に魔力剣を展開し・・・

――豊穣神の宝剣(コード・フレイ)F――

オートで最良の剣筋を振るうことの出来る術式を使い、隊員のデバイスだけを斬り払っていく。命を取ろうとしないのは大助かりだ。

――撒き散らせ(コード)汝の疫病(ハダルニエル)F――

と思ったのも束の間、サファイアブルーの霧を発生させた。あれは「まずい!」と判断して、「シルフィード!」下級の風嵐系術式を発動。“エヴェストルム”を振り払って爆風を起こし、フォルセティが発生させた霧を晴らす。さらに「エイル!」を発動。治癒効果のある羽根を人数分飛ばして、ハダルニエルの効果範囲に居た隊員たちに触れさせて治癒させる。

「墜落する!?」

「手の空いている隊員は、墜落する隊員の救助を!」

あの霧の術式はハダルニエル。霧を体内に取り込んだ対象を問答無用で病(発病する病はランダムだがどれも致死性は無い)に罹らせるというもので、ある種の拠点無力化用として組んだ術式だ。フェイトが通信で付近の隊員たちに連絡を入れる。墜落する隊員の人数は15人。サポートに入ったのは10人だったが、対象を浮遊させるフローターを掛けて墜落を防いだ。

「フォルセティは俺が止める。その間に突入してくれ」

その様子にホッと安堵した後、なのはとフェイトにそう伝えた。2人が「うんっ!」と頷き返したのを見、「行くぞ!」俺が先行してゆりかごへ、フォルセティへと突っ込む。

――舞い降るは(コード)汝の無矛(パディエル)――

――集い纏え(コード)汝の閃光槍(ポースゼルエル)――

周囲に魔力槍30本と展開しつつ、“エヴェストルム”に閃光系魔力を付加。そして「ジャッジメント!」射出口へと向けて斉射。フォルセティはすぐに反応して、「させない!」と叫んで、前方に魔力スフィアを展開。

――氷神の波涛(コード・ウズ)F――

フォルセティはスフィアを殴り、氷雪砲撃を放射状に12発と発射。砲線は途切れることなく持続放射され、砲撃の合間を通り抜けようとした魔力槍を凍結して粉砕した。全ての魔力槍を防いだ後で砲撃は解除され、「ヴィヴィオ陛下のところには行かせない!」フォルセティが俺を睨んだ。

「(よし。乗ってくれたな)護って見せろよ、フォルセティ。王女様を護る騎士なんだろ? さぁ、掛かって来い!」

――邪神の狂炎(コード・ロキ)――

“エヴェストルム”を待機形態に戻したうえで、紅蓮の劫火で構成された腕と脚を武装する。空戦形態を解除せずに発動できるように改良したことで、蒼翼22枚それぞれの形状を保ったまま炎翼へと変化させることが可能となった。その炎翼の炎を噴出させて、フォルセティへと突撃する。

「敵は排除する!」

――禍神の隷氷(コード・ベルヴェルク)F――

対するフォルセティは、蒼銀の氷雪で構成された腕と脚を武装するベルヴェルクを発動した。背より展開されるのは、光背(仏像などの背後に描かれる後光のことだ)で言えば、光線が放射状に加わっている放射光と呼ばれる形状の光翼。

(俺の炎熱に対し氷結で来たか・・・)

あえて弱点で対抗するとなると、さて、どんなことをやってくるか。とにかく俺は左腕を振り被り、フォルセティは右腕を振り被った。そして「おおおおおおおッ!」同時に拳を繰り出した。俺の炎拳とフォルセティの氷拳が激突して、ジューッと蒸気が噴き上がる。

「今だ!」

振り被った右拳も繰り出すと、フォルセティは左手でガシッと鷲掴んで止めた。さらに俺たちの周囲を蒸気が覆っていく。その中でなのはとフェイトがゆりかごへ向かって行こうとする。

「待て!」

――舞い振るは(コード)汝の麗雪(シャルギエル)F――

フォルセティが2人に向かって氷槍を30本と一斉射出したことで、俺は2人に「止まるな!」と伝えつつ・・・

――舞い振るは(コード)汝の獄火(サラヒエル)――

迎撃用の炎槍を同数展開。ロキやベルヴェルクなどの装備術式を発動中、その属性の中級・下級の術式を魔力消費無しで発動できる。その分、装備術式の展開時間が削られていくデメリットもあるが。

「ヴィヴィオとゆりかごを頼む!」

なのはとフェイトの背後に迫っていた氷槍を炎槍で撃墜させ、「イロウエル!」の右腕だけを発動する。そして俺とフォルセティを掴ませて、「少し付き合ってもらうぞ」南部へと向かって全力で放り投げさせる。

「くぅぅ・・・・!」

時速何百kmで空を吹っ飛ぶ中、フォルセティが苦しそうに呻いた。これほどの速度で空を飛ぶ(正確には飛ばされている)経験が無いんだろう。そしてゆりかごから5kmほど離れたところで速度が落ち始めた。俺のロキもフォルセティのべルヴェルグも解除されて、共に空戦形態に戻る。

「早く戻らないと・・・!」

俺を無視してゆりかごの防衛に戻ろうとするフォルセティ。俺はその行く手を遮るように立ちはだかる。

「すまないな、フォルセティ。少し痛い目に遭ってもらうぞ」

「邪魔をしないで!」

――呑み食せ(コード)汝の夜影(ライラエル)F――

――煌き示せ(コード)汝の閃輝(アダメル)――

†††Sideルシリオン⇒イリス†††

マンタ型の護衛艦“アンドレアルフス”の攻略のため、その付近でガジェットや戦闘機隊と交戦してたわたしとトーレ、六課のシグナムとエリオとキャロとすずか。みんなの協力で次々と戦闘機とガジェットを撃墜できていってるけど、“アンドレアルフス”の艦体上部に所狭しとエネルギー砲台が備え付けられていて、そこから発射される砲撃がわたし達の接近を拒んでくる。

「ま、ただの兵器に墜とされるほど、わたし達は空戦が下手じゃないってね! 1基たりとも逃すな! 確実に砲台を無力化して! 教会騎士団の底力を見せる時よ!」

左翼端に着艦したわたしは、同じく着艦した氷結魔法が扱えて、しかもAA+以上の騎士8人に指示を出す。全長2km、全幅4kmっていう巨大さを誇る“アンドレアルフス”の上部には約200基の砲台がある。それをわたしだけで無力化できるなんて思ってない。だからガジェットや戦闘機隊の殲滅に従事してた騎士から候補を選んで借り受け、こうして着艦したわけだ。

「隊長! ガジェットⅠ型とⅢ型です!」

「いきなり出て来たね・・・!」

艦上には砲台だけしか無かったのに、突然ガジェットが何十機と出現。しょうがないと覚悟して「全騎はガジェットの撃破を最優先!」改めて指示を出す。ガジェットと交戦に入った彼らを見届けて、わたしはわたしの仕事を全うする。わたしの周囲に氷結系魔力で作ったベルカ魔法陣を6枚と展開。発生するのは氷のオベリスク、そして周囲に溢れ出す冷気。

「氷牙棘華刃!」

その場で旋回して“キルシュブリューテ”で6本のオベリスクを打ち砕き、破片全てを無数の氷の刃や礫として上方180度に一斉放射。さらに冷気を周囲に拡散させる。私の周囲に並んでた4基の砲台が刃や礫で潰されて、冷気で凍結されて機能停止した。

『トリシュタンです。氷結狙撃、行きます!』

――凍て付かせし青銀の雪草――

さらに上空から冷気の矢が何十本と降り注いで来て、「ごめん、お待たせ!」遅れてわたしの側に着艦したすずかが「アイスバインド!」広範囲に冷気を放った。トリシュとすずかの魔法は、わたしでは凍結範囲じゃなかった別の砲台を次々と凍結させていく。

「よーしよし♪ 氷結魔法はちゃんと効いてくれてる・・・ね!」

――氷牙棘華刃――

「純粋魔力や変換魔法はどれも弾かれちゃってたから、最初はどうしようかって思ったけど・・・!」

――アイスバインド――

『私は右翼から攻めて行こうと思う。そちらにはイリスとすずかさんが居ますし』

「あぁ、うん。だね。そんじゃよろしく~」

左翼から艦体中央部に向かって駆けるわたしとすずかで、砲台50基を次々と凍結して無力化させてく。少しでも危険なく“アンドレアルフス”の滑走路に突入しやすいように。まぁ段々とわたしはガジェット迎撃、その間にすずかが砲台無力化って役割になってきたけど。

「お? シグナムも来てくれてたんだ」

左翼上の砲台を無力化し終えて中央部に到着したところで、右翼側でガジェットを斬り捨てまくるシグナムの姿を発見。空から降り注ぐトリシュの凍結の矢100本近くが、シグナムの側の砲台を撃ち抜いて凍結していく。そしてとうとう・・・

「この砲台で最後! シャルちゃん!」

「うんっ!」

――剣神モード――

絶対切断のスキルを発動して、“キルシュブリューテ”で最後の砲塔を寸断。返す刃で砲台を横一閃に寸断。爆発炎上する前に「リフリジレイト・エア!」すずかが砲台を凍結してくれた。これで“アンドレアルフス”の上方180度の空域への防衛砲撃は停止した。

「シグナム、いつでもGo !」

「ああ! エリオ、キャロ、艦体後部に回っておけ!」

『『了解です!』』

「トーレもね! トリシュ、援護に感謝!」

『承知した』

『どういたしまして!』

「各騎士にも感謝を! 本来の任務に戻られたし!」

トーレには行動開始を、トリシュや一緒に戦ってくれた8人の騎士にはサポートをしてくれたことへのお礼を伝えた。そしてわたしとすずかは頷き合って艦上から飛び立って、トーレ達と合流するべく“アンドレアルフス”の後部へと向かう。

「お待たせ!」

トーレや飛竜フリードリヒの鞍に跨るエリオとキャロの3人と1匹と合流して、 “アンドレアルフス”の滑走路後部へと移動したところで・・・

「セッテ、オットー、ディード・・・!」

滑走路からあの3人が出撃して来た。そんな中で、アースラのグリフィスから金色の機体を持ってたシームルグが全滅、残るは生命反応のある機体1機のみとなって、トリシュが対処するって内容の全体通信が入った。わたしとトーレは頷き合って・・・

「こちら教会騎士イリス。護衛艦アンドレアルフスより救出対象のセッテ、オットー、ディードの出撃を確認。これよりわたしと第零技術部のトーレが交戦に入ります」

同じく全体通信を入れて報告する。それで「機動六課、ライトニング分隊のシグナムだ。これよりアンドレアルフス内に突入する」シグナムも、変に意見を出さずにわたしの考えに乗ってくれた。遅れてルシルから、フォルセティとの交戦に入るって内容の通信が入った。

「エリオ、キャロ、それにすずか。我々はこのまま突入するぞ」

「「了解です!」」「はいっ」

「トーレ、援護!」

「ああ!」

こっちに向かって飛んで来るセッテ達の迎撃を、わたしとトーレが担当。スキルを解除したうえで「光牙!」刀身に魔力を付加させる。

「IS発動! ライドインパルス!」

トーレは手首付近と太腿と足首からエネルギーの翼であり刃であるインパルスブレードを8枚展開。

「セッテは私が対処する。イリスは・・・」

「オットーとディードね。地上本部での借りはここで返させてもらおうっかな!」

相手は決まった。トーレは「では行くぞ!」そう言って、その姿を掻き消した。トーレのスキルは超高速移動で、瞬間的な速度じゃフェイトと同じかちょい上くらい。そんなトーレはブーメランのような大剣を構えるセッテに突撃した。

――ISレイストーム――

んで、オットーは無数の光線を放って来た。いくつかがエリオとキャロの乗るフリードリヒに向かって行ったから「烈閃刃!」“キルシュブリューテ”を振り降ろして、剣状砲撃を放った。フリードリヒと光線の合間を貫く砲撃が、光線を全て蹴散らしてやった。

「エリオ、キャロ、そのまま往って!」

「「はいっ!」」

――ISツインブレイズ――

“キルシュブリューテ”を振り降ろした体勢なわたしの背後に、赤いエネルギーの刀身を持つ双剣使いの少女・ディードが回り込んで来た。この子も機動力が良い感じなんだよね。わたしは背中に展開してる紅翼をピンと張った状態で、「甘い!」真後ろに立てる。

「ぐっ!?」

ディードを紅翼の表側でバシッと挟み込んで捕まえて、背後からの奇襲を阻止。そのままその場で前転して、「飛んでけぇ~い!」ディードをオットーへと向けて放り投げてやった。

「ん。すずか達はちゃんと滑走路に突入できたね」

無事に滑走路に降り立ったフリードリヒの後姿を確認して、これで戦闘に集中できるって安堵。トーレもセッテと激しく衝突し合ってるし、わたしも自分の仕事をきっちりと果たさないとね。

「・・・って、おーい! まだ出て来るわけ!」

滑走路に空間の歪みが発生したかと思えば、また戦闘機っぽいのが出現した。大きなミサイルにカナード翼と後退翼、主翼の真後ろに垂直尾翼2枚を付けた感じ。機体にはは有人機と同じデフォルメされた猫とネズミのイラストが描かれてる。単発エンジンが起動して、続々と滑走路から飛び立って行った。

「レイストーム」

そっちに気を取られてたところで、ディードの背後に立つオットーが光線を15本と放射状に放って、ディードは直進してわたしに突進。振り上げていた右手の「ツインブレイズ!」を振り降ろして来て、慌てて後退することで回避。

(光線が曲がってわたしの方に軌道変更か・・・!)

ディードの外から内へ向かって横に振るう左手のツインブレイズを「速っ・・・!」思わず立てた“キルシュブリューテ”の刀身で受け止める。間髪入れずに右のツインブレイズをハサミみたくわたしを挟み込むように振るって来た。

「おっと!」

その一撃を具現した鞘で受け止めたところで、オットーの光線が背後から向かって来た。避けることも出来るけど、ディードに当たっちゃうかもしれないしな~。

「だったら!」

パンツァーシルト3枚を三角形状に組み合わせた対魔力完全防御陣の「シュヴェーラーパンツァー!」を背後に発動。続けて「せいや!」右膝を曲げて、彼女のお腹に向けて右前蹴りを繰り出した。

「っ・・・!」

ディードは急上昇して前蹴りを躱すと、「ちょっ・・・!」彼女の居た場所の後方からセッテのブーメランが高速で迫って来てるのが判った。

――ハルトリーゲル・シルト――

4重の六角形状の対物シールドを慌てて展開。直後に背後のシールドに光線が着弾しまくって、次々と爆発を起こしてくけど破壊はされない。そして前方に展開してるシールドに高速旋回してるブーメランが直撃。ガリガリ削られてく中、その場所から離脱したところでシールドが打ち破られた。

「(対物シールドを砕けるほどの破壊力ってわけか・・・)つうか、トーレ! しっかりセッテを抑えておいてよ!」

『すまん! しかし、お前もオットーを抑えてもらいたいものだ! こちらにも光線を撃って来るぞ!』

――レイストーム――

トーレと念話で言い合ってると、オットーはわたしとトーレにそれぞれ10本の光線を放ってきた。わたしにはディード、トーレにはセッテ、オットーが中衛としてわたしとトーレに援護射撃を加えて来るって感じだ。

「なら・・・!」

光線を避けてる最中に突っ込んで来たディードの二剣振り降ろしを、水平に掲げた鞘で受け止める。すぐに“キルシュブリューテ”を横一線に振るって「うぐっ!」彼女の脇腹に一撃を打ち込んだ。この一撃で終わらせれば儲けものなんだけどな~。

(さっきから鬱陶しい援護射撃を繰り返すオットーから片付ける!)

トーレも同じ考えみたいで、セッテのブーメランによる直接・間接な猛攻をあしらいながらオットーに接近を試みてる。ここまでやったらさすがに気付かれて、オットーはわたしとトーレから距離を取るべく行動を開始して、セッテとディードはわたし達に追って来た。

――ゲシュウィンディヒカイト・アオフシュティーク――

「逃がさない!」

紅翼を大きく羽ばたかせて、飛行速度を一時的に引き上げる。

――スローターアームズ・クロッシングダンス――

そんなわたしの行く手にブーメラン2つが交差するように飛来。単なる武装に手加減なんて一切無用。スキルを再発動して、“キルシュブリューテ”を「一閃!」してブーメランを寸断する。

「イリス!」

「オッケー!」

わたしの横に並ぶトーレと頷き合う。足元をちらりと見ると、良い具合にセッテとディードが固まり始めてくれてる。セッテは「スローターアームズ!」両手のブーメランをわたし達の行く手に向かって投擲。さらに具現したブーメランを続けて4つと投げ放って、計6つのブーメランが前方以外のいろんな角度から向かって来る。んで前方からはオットーの光線。

「もうちょい、もうちょい・・・!」

光線は躱してブーメランは寸断しつつ、セッテとディードを一網打尽するチャンスを窺う。わたしとトーレはわざと速度を落として、後ろの2人との距離を少しずつ詰める。もう一度チラッと足元を見ると、ディードが今まさに攻撃に移ろうとしてた。タイミング的にはまだ早過ぎるけど、ここで仕掛けるしかない。

「ライドインパルス!」

そう判断した時、トーレがいきなりディードに向かって高速移動。わたしはすぐにカートリッジをロードして、“キルシュブリューテ”の刀身に魔力を付加する。さらに周囲の魔力を集束する。対プラダマンテ用に集束を習得したんだ。実戦で初めて使うこの魔法で・・・。

「なにを・・・!?」

トーレにガシッと胸倉を掴まれたディードが驚きの声を上げて、トーレは「おおおおおお!」そんな彼女をセッテへ向かって放り投げた。ここだ、そう思えた。わたし達が追って来ず、さらにセッテ達へターゲットを変更したって気付いたらしいオットーからの光線の雨を、「シュヴェーラーパンツァー!」を展開して防御。

「極光牙・・・煌覇閃謳刃!」

トーレを含めたセッテとディードに向けて、振り降ろした“キルシュブリューテ”から剣状集束砲撃を放った。トーレは直前で高速移動して射線上から退避したけど、セッテとディードは退避することが出来ずに直撃した。

「ディード、セッテ!」

――ライドインパルス――

オットーが動きを止めたところにトーレがすかさず高速移動で最接近して、「ぐふっ!?」鳩尾に強烈な拳打を打ち込んだ。オットーはあっさり意識を失った。そしてセッテとディードは付近のビルの屋上に墜落したから、わたしは2人の元へと降り立つ。

「・・・よし。とにかく確保~、確保~」

完全にのびちゃってるセッテとディードを手錠で拘束して、2人を連行するように近くの部隊に通信を入れた。
 
 

 
後書き
航空空母アンドレアルフス攻略戦、その一戦目は列車砲攻略戦と同様にナンバーズ戦となりました。で、これまた先と同じようにシスターズのセッテとオットーとディードから退場してもらいました。次はアルピーノ家かスキュラ姉妹かのどちらかなんですが。とりあえずアルピーノ家から片付けましょうか。
 
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