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Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

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天使の受胎告知?

クロエからイリヤを篭絡する言葉が続いていた。
「イリヤ、もう元の世界のお兄ちゃんとは結婚できないけど、こっちの世界、美遊のお兄ちゃんとは結婚できるわよ。戸籍はこっちの世界の魔道協会かどこかに用意させるわ」
 イリヤは震えたまま病んだ目でクロエを見上げ、まるでこの世の暗黒に天から光が差し、神の使いとして光臨した天使(悪魔)が自分の前に現れ、天啓を与えに来たように見えていた。とも言われている。
「で、でもうちのお兄ちゃんと、美遊のお兄ちゃんは違うもん」
 もう答えは分かっているのに、その答えはクロエから囁いてもらって、悪魔に魂を売り渡さないと天上の果実を味わうことができないのを知っていたので、あえて聞いた。
「遺伝的にも心も魂も、その潔癖さも同じなのよ。それでね、平々凡々に生きてきたお兄ちゃんと違って、こっちのお兄ちゃんは、妹のために聖杯戦争を勝ち抜いて、その願いで妹を平和な世界に送って、友達もできて幸せに暮らせる世界を望んだ人なの」
 イリヤは喉を鳴らして、自分の唾液をゴクリと飲み込んだ。
「分かるでしょ?「美遊と結ばれて一緒に添い遂げられる世界」じゃなくて「美遊だけが幸せに暮らせる世界」お兄ちゃんはね、自分が美遊と結ばれないのを知ってるの。もう本当のお兄ちゃんだから、潔癖な人だから妹と結婚とかは考えられない人なの」
 もうクロエの術中に堕ちて、病んだ目のまま首を縦に振り続けるイリヤ。
「そう、それでね、異世界から妹の親友になってくれた女の子が現れた訳よ、姉妹みたいで、もう一生の親友って感じの子が…… その子はね、自分が聖杯戦争でも救いきれなかった妹と自分を牢獄から救い出してくれてね、この世界まで救って、ジュリアンの心も救って元に戻して、幸せな未来をプレゼントしてくれたの、今あんたはお兄ちゃん攻略の最短ルートにいるのよ」
 催眠術師か詐欺師のようなクロエが、まるで受胎告知に来た天使に見えてしまった哀れなイリヤ。
「もう分かるわね? こっちの世界の士郎さんは、もうあんたと愛し合うしか方法がないの、それ以外の人生を選べる人だと思う? 兄妹の恩人で一生掛かっても恩が返せないぐらいの人、恋人になるはずだったその子と別れて、幸せになれるとでも思ってるのっ? 一生独身? 美遊とも結ばれないでお爺さんお婆さんになるまであんたを待ち続けるの? まさかそんな残酷なことしないわよね、あんたと士郎さんは結ばれる運命なのよっ!」
 後半、まるでいつもの調子で怒ってイリヤを叱咤して、まるで「目を覚ましなさい、イリヤ」とか言っているように、肩を掴んで前後に揺さぶってやるクロエ。
 すると、イリヤの中からガビーンとか音が聞こえて、入ってなかった士郎さんスイッチがガッチリONに切り替えられ、シーケンス回路の安全装置でお兄ちゃんスイッチは自動でOFF、愛のブレーカが過電流で遮断されるまで士郎さんスイッチが入りっぱなしになった。
「ウフフフフフフフフフ」
 クロエは、我ながら口から出まかせで、よくぞここまで嘘を並べられるものだと感心した。
 そして自分の分身がここまでチョロイ奴かと心配にはなったが、士郎さんへの愛スイッチをガッチリオンにして、お兄ちゃんスイッチをオフに切り替えた手ごたえは感じた。

 さらに犠牲者を増やすため、クロエは次の女に話し掛けた。
「アンジェリカ、あっちの世界に帰る人数が減ったわ、凛とルヴィア、イリヤは帰らないそうよ。それでね、凛の家族とルヴィアの執事のオーギュストをこっちに連れてきたいのよ」
 いつものように無表情だったアンジェリカは、少し驚いたような表情をした。
「そうか、帰らないのか、また少し賑やかなままだな」
 もちろんクロエは、アンジェリカが少し笑ったのに気付いた。
「あなたもだいぶ感情が戻って来てるわね、士郎さんへの愛とかも育った?」
「なっ、何を言う、愛など私には無い……」
 何か耳まで真っ赤になった「獲物」が食いついたのを見て、罠に追い込むため次の餌を出してやる。
「親友の姉、いいポジションだと思わない? あなたはね、聖杯の力で現世に受肉しつつあるのよ、聖杯でもあるあたしが言うんだから間違いないわ」
 どこかの全裸ギルさんのように、サーヴァントから受肉したように、アンジェリカ、桜も、クロエ側の聖杯の余った願いで少し人間化してやっていた。
「ほ、本当なのか……」
 アンジェリカも、心筋梗塞とか心臓膿漏でも発症したのか、胸を押さえながらガタガタと震え始めた。
「最近眠くなったりするでしょ? 夜に横になってると寝るし、夢も見る、それが証拠よ」
「あっ、ああっ」
 哀れなアンジェリカは、震える両手を見ながら泣き出してしまった。
「さすがに一回死んでるから、妊娠とかは保証できないけど、毎月生理で苦しまないで済むし、便秘もなし、羨ましいぐらいだわ。まあ、一生に1,2回出産できる愛の奇跡とかも起こるかもしれないわね」
「ああっ、神様っ!」
 自分の体を抱いて、シローとの愛が本物なら、愛の奇跡でも起こって子供にも恵まれるらしい。聖杯本人が言っているので信じてしまった気の毒な子だった。
「で? 今ん所どこまでイってんの? お風呂一緒に入った? もう一緒に寝た?」
 直接的など真ん中の質問で、顔を赤らめてうつむいてしまうアンジェリカ。
「い、いや、まだそこまでは、風呂やトイレではできるだけバッティングするよう心がけているのだが」
 やはり恋というか故意だった。
「あ~、お風呂でドッキリの回数が多すぎるとは思ったのよ」
 最初は風呂を覗いても怒らないアンジェリカの入浴を、何度もわざと見に行った士郎の犯行だったが、「一緒に入ればいい」と誘われてホイホイ入って行って背中まで流そうとした所、乱入してきた美遊にドロップキックからチキンウィングフェイスロック、妹の殺人フルコースをご馳走になり、騒ぎに気付いたイリヤも加勢して風呂外に撤去、簀巻きにされて転がされて、翌朝まで放置プレイされたのは士郎も良い思い出だった。
「うむ、私はシローを何度も傷付けてしまったしな、ミユもシローも捕らえて牢獄に入れてしまった女だ、この程度の謝罪と言うか、オカズにされても、その場で組み敷かれたり襲い掛かられて「傷」をつけられても構わないと思っているのだ」
 士郎が入浴している時を狙って、無表情で顔真っ赤にしてタオルで顔の汗を拭いている振りをして頬を隠しながら体は隠さないで入室。
 シャワーを捻って声を掛けられてからようやく士郎が湯船にいるのに気付いた「振り」をして、下のキンパツとかもモロ見せ、
「シロー、いたのか? 気付かなかった。私も濡れたし脱いでしまった服をもう一度着るのも気分が悪い、時間節約のためにも一緒に入浴しよう」
 などと抜かして、掛かり湯してから余分に足を上げてパツキンの下まで見せて乳浴?しようとした所を、乱入してきた美遊にドロップキックからチキンry。簀巻きにされて転がされて、翌朝まで放置プレイされたのはアンジェリカも良い思い出だった?
「アレやっぱりワザとだったのねえ、170センチもあるデッカイ体だから、運ぶの手伝わされたし、士郎さんパツキンのお姉ちゃんの全裸見たの初めてだったから、のぼせたのか何か鼻血出しちゃって、自家発とかも凄かったわ。向こうのお兄ちゃんは、あたしとかセラとか際どい所まで見てるけど、こっちのお兄ちゃんは美遊ぐらいだから、全裸の金髪白人でデッカイオッパイは初めてだったんでしょうね」
 クロエが篭絡するまでもなく、お風呂でドッキリ「時間節約(無表情)」から「キャッ(///)」経由で「時間節約(真っ赤)」に自立進化して、無表情娘全裸モロ見せ誘惑。
 クロエ制作の「夜這いの際はコチラに、アンジェリカ」などと廊下にダンボールの看板まで立てたのを美遊に粉砕されていた前科もあったので、あとは夜這いを「させる」だけで済む。
「アンジェリカにもジャパニーズドゲザと床入りの作法を教えてあげるわ」
「む? 何なのだそれは?」
 その場で正座して、ドゲザスタイルの作法や手順を教えるクロエ。
「まず正座します」
「うむ」
 アンジェリカも習って正座をする。
「手を着いて頭を床に擦り付ける様に下げます」
「こうか?」
 二人で対面したままドゲザスタイルに入る。
「申し訳ありませんでしたっ! あの時の私はジュリアンに操られていた人形だったのです、士郎を牢屋に入れたり大怪我させたりして、今は反省しています。その償いはこの体で一生掛けても支払います、さあ、使ってください、この体は老化しないんですよ、永遠の女子高生なんですっ、すぐに賞味期限が切れる女とは違います」
 アンジェリカの手を取って胸に当てさせ、半脱ぎになって引き寄せて自分から押し倒されて、だいしゅきホールドで足も絡めて逃がさない体制をとる。
「はい、リピートアフタミー」
 激しい演技で、ちょっとゼーゼー言うクロエ。
「わ、分かった。も、申し訳ありませんでしたっ」
 そこで襖がスパーンと開いて、美遊が走って飛び、問答無用でスクリュードロップキックを放って来た。
「おげふうっ」
「ごふうっ」
 回転しながらも、強烈なキックを二人に同時に放った美遊。さらにクロエにはスリーパーホールドを極めて頸動脈を止める。
「ギブギブギブ」
 タップして開放を即すが、美遊は解除してくれず、そのままの姿勢で詰問された。
「クロエ、昨日からみんなに何吹き込んでるの? お兄ちゃんも、凜さんもルヴィアさんも、イリヤもおかしくなってたわ、全部クロエのせいね?」
「ムシャクシャしてやった、今も反省してない」
「反省しなさいっ」
 クロエが締め上げられている間も、アンジェリカはシャドードゲザをしながらセリフの確度や、謝罪から寝技、足で絞めて逃がさないのを座布団相手に格闘、研究していた。
「その償いはこの体で一生掛けても支払います、さあ、使ってください、この体は老化しないんですよ、永遠の女子高生なんですっ」
「そこっ、クロエの言うこと本気にしないっ」
「え?」
 根が真面目なので、何が間違っていたか理解できなかったアンジェリカだった。
 
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