とあるの世界で何をするのか
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第四十五話 AIMバースト誕生
「確か、君は教員免許も持っていただろう?」
「はい、持ってはいますが……」
若かりし日の木山先生が木原の爺さんと話をしている。木原の爺さんの名前は確か『げんせい』だったと思うがほとんど覚えていないし、アニメでしか見ていないので漢字も全く分からない。
教師になるということに余り乗り気では無かった木山先生だが、『統括理事会肝いりの実験』の被験者である『子供達の詳細な成長データを取り、細心の注意を払って調整を行う』必要があるという理由で教師になったのである。
こうして『木山先生』になった木山先生だが、心の中で「子供は嫌いだ」などと言いつつも子供達の面倒をしっかりと見ていて、実験の当日子供達に不安では無いかと声を掛ける物の、「先生の実験だから大丈夫だよ」と返されるほど子供達からの信頼も得ていた。
だが、いざ実験が始まってみると途中で暴走状態に陥り、あろうことか木原の爺さんは緊急停止などの措置を執らずにデータを集め続けさせたのである。
「今回のことは気にしなくて良い。君には今後も期待しているよ」
結局実験はつつがなく終了したことにされ、子供達は意識が戻らぬままの状態になってしまったというわけだ。
実験終了後の施設内、カプセルの中に残された女の子のカチューシャと血痕を見て木山先生が膝から崩れ落ちた所で、御坂さんが木山先生から手を離して映像が途切れる。
「い……今のは……?」
「な……超何ですか、今の……」
いきなり見えた映像に戸惑うアイテムの二人が呟く。
「多分、木山先生の……記憶?」
急な出来事に対処しきれていないアイテムの二人とは対照的に、自身の能力から何となく想像が付いたらしい御坂さんが呟く。
「みたいだね」
「見たのか……?」
俺が御坂さんに向かって答えると、木山先生が聞いてきたので頷いた。
「何であんなこと……」
御坂さんが呆然と呟く。
「あの実験、表向きにはAIM拡散力場を制御するための実験ということになっていた。だが実際には暴走能力の法則解析用誘爆実験だったんだ。AIM拡散力場を刺激することで能力が暴走する条件を特定するのが本当の目的だったというわけさ。最初から暴走するよう意図的に仕組まれていたんだろう。後で気づいた時にはほとんどの証拠が消されていたよ」
「人体実験……」
御坂さんに答える木山先生の言葉から、アイテムの二人もある程度の予想ができたのだろう。滝壺さんがある意味的確とも言える単語を呟いていた。
「あの子達は一度も目覚めること無く今なお眠り続けている。私達はあの子達を使い捨てのモルモットにしたんだ!」
「それなら、アンチスキルに……」
「それは超無駄ですね」
木山先生の懺悔とも取れる叫びに、御坂さんが声を上げようとしたのだが、それを絹旗さんが遮った。
「何でよ!?」
「きやま先生の記憶の中でおじいさんが言ってた『統括理事会肝いりの実験』。本当に統括理事会が主導してたのなら、アンチスキルに対して何かしらの規制を掛けることは可能なはず。つまり、アンチスキルは動かない」
絹旗さんにかみつく御坂さんに対して、滝壺さんが冷静に答える。
「そんなっ!!」
「恐らくその予測はほぼ間違ってないのだろうな。あの子達を回復させるための手段を探るために、ツリーダイヤグラムの使用申請を出したが23回全て拒否されたからな。しかし、私もツリーダイヤグラム使用申請が拒否される早さから統括理事会がグルになっているだろうとは思っていたのだが、私の記憶を覗いただけの君達がそこまで予測できるとはたいした物だ」
驚愕の声を上げる御坂さんを余所に木山先生が淡々と話す。木山先生が感心したアイテムの二人の予測力は恐らく暗部活動の賜物だろう。俺が二人に話したのは木山先生がレベルアッパーの制作者だという部分までで、レベルアッパーの制作理由やこの後のAIMバーストなどに関しては何も話していないのである。
「な……なんで……」
「それは、木山先生の記憶に出てきた木原とか言う爺さんに聞いてみるしか無いな」
呆然と呟く御坂さんには俺が答える。この場ではこう言ってみた物の、アニメで見た限り、木原の爺さんがこの後に出てきたという記憶は無い。もしかしたらまだ生きていて何かやっているのかもしれないが、木原の爺さんを探すよりはテレスティーナが出てくるのを待った方が早いだろう。
「だったらその木原ってヤツをとっ捕まえて……」
「『常盤台のレベル5、高齢の研究者に暴行』って見出しで明日の朝刊は賑わうだろうなぁ」
実行すれば色々とヤバそうな事を御坂さんが口走るので、実行したらどうなるのかをわかりやすく説明する。とは言え、俺の考え得る限り最良の結果……つまり、御坂さんが木原の爺さんをとっ捕まえるまでにヤバい情報を目にしなかったとして、である。逆に最悪のシナリオは、ヤバい情報を見た御坂さんがそれを何とかしようと首を突っ込んで、亡き者にされるか暗部堕ちしてしまうということになるだろう。
「何でそうなるのよっ!!」
「さっき滝壺さんが言ったとおり統括理事会が主導していたのなら、この木原って爺さんを何らかの罪に問うことはできないはずだ。その上で御坂さんが無理矢理この爺さんに話を聞こうとするなら、そのくらいの対応はされると考えて良いだろうな。まあ、御坂さんの突っ込み方によっては『高齢の研究者に暴行』ではなく『研究所を破壊』になるかもしれないけど」
御坂さんが突っかかってくるので冷静に返す。統括理事会の主導だから罪に問えないとか、簡単に言っては居るがかなりヤバい情報になるはずである。だが、それを言うなら木山先生の記憶を見た時点で同じような物なので別に良いだろう。というか、暗に学園都市がこんな非道な実験をしているという情報を目にしているのにもかかわらず、全く気づく様子が無い御坂さんはある意味凄いと思う。
「そもそも、そのきはらっていうおじいさんの居場所が分からないと殴り込みにも行けない」
「いや、殴り込みに行くわけじゃ……」
「論点は超そこじゃないです」
滝壺さんの言葉に御坂さんが言い淀むと、絹旗さんからツッコミが入る。これが滝壺さんでは無く俺の言葉だったら、御坂さんから「殴り込みじゃ無いわよっ!」というツッコミを入れられていたことだろう。まあ、その場合も絹旗さんのツッコミは変わらないと思うけど。
「ま……まあ、ともかく! その子達を助ける方法は無いの!?」
微妙に漫才のようなやりとりをしたためか、些かクールダウンした御坂さんが気を取り直して木山先生に尋ねる。
「それを調べるためにツリーダイヤグラムの使用申請をしたのだが、さっき言ったように23回全て却下されたのでね。その代わりとするためにレベルアッパーを開発したのだ。今は2万人を超えるレベルアッパー使用者とリンクしているから、それだけの演算能力を持ってすればツリーダイヤグラムの代わりになったのだろうが……うぐっ!!」
「ちょっ……どうしたのよ!?」
御坂さんに答えていた木山先生が途中で急に苦しみ始め、御坂さんが駆け寄ろうとした所で膝を付いた。
「ネットワークが……暴走している……っ!!」
「木山先生っ!!」
御坂さんが木山先生に駆け寄って体を支えようとしている。俺はAIMバーストも知っているのでのんびりとは行かないまでも見ていられるが、それでも本当にのんびりとしていたら何かおかしいと思われそうなので、御坂さんが駆け寄ったときに『自分も駆け寄ろうとしたけど御坂さんに先を越されたのでそのまま固まってしまった』という状態になっている。
「何、あれ……」
「なんか……超変な物が……」
「ん? なぁっ!?」
木山先生からAIMバーストが現れ始めるが、御坂さんは木山先生を支えるので手一杯らしく気づいていなかった。仕方なく俺は木山先生の背中側を指さしながら声を上げ、それで絹旗さんが気づき、御坂さんも俺たちの視線の先を見てようやく気づいたのである。
「AIM……拡散……力場……が、おか……し……ぃ……」
「滝壺っ!?」
AIMバーストが現れてから少し苦しそうだった滝壺さんが片膝を付く。それを見た絹旗さんが駆け寄るが、AIMバーストからは目を離さない。
「滝壺さん! 大丈夫っ!?」
御坂さんも木山先生を支えながら滝壺さんに声を掛ける。
AIMバーストは悲鳴のような雄叫びを上げるとそのまま木山先生から離れ、ゆっくりと浮かび上がり始める。一応、俺やアイテムの二人が掛けた制限は、AIMバーストが木山先生の手から離れても生きているようで、演算能力は奪われていない。もし、AIMバーストが俺の演算能力の100%を使うようなことがあれば、その時はアリスがAIM拡散力場のネットワークを遮断してくれる手はずになっている。
「これはまずいな……」
思わず呟く。AIMバースト相手ということもあり、元々、レベルアッパー使用者の近くに居るだけで気分が悪くなっていた滝壺さんを戦力としては考えていなかったので、想定内と言えば想定内なのだが、木山先生は御坂さんに支えられて辛うじて立っている状態だし、滝壺さんも自力での避難が難しいとなると、AIMバーストの相手をするのが俺か御坂さんか絹旗さんの誰か一人ということになる。
「御坂さん! 神代さん! あれは……」
悩んでいた所で後ろから声を掛けられた。後ろには全く気を配ってなかったので、気配で気づくことはできなかったが初春さんである。初春さんを守っていた結界は、外に出ようとした時点で解除されるように設定していたので、問題なく外に出ることができたようだ。というか、初春さんは結界が張ってあったこと自体に気づいてないだろう。
「あ、初春さん!」
「丁度良い所に、詳しい話は後で。初春さんは木山先生を連れて、絹旗さんは滝壺さんを連れて安全な場所へ!」
御坂さんも初春さんに気づいたようで声を掛けているが、俺は素早く初春さんと絹旗さんに指示を出す。初春さんの体力的な部分で心配はあったりするのだが、木山先生ならまだ初春さんの支えで歩くことができそうだし、絹旗さんも一緒なのだから何とかなるだろう。
「はい!」
「超分かりました」
初春さんも危険な状況だということは何となく理解できているみたいで、すぐに返事を返してくれた。絹旗さんも俺の言いたいことをちゃんと理解してくれたようだ。
「アレは俺と御坂さんで何とか……できるかなぁ」
「ちょっ!! 不安になるようなこと言わないでよ!」
俺の指示に従って木山先生と滝壺さんを避難させようと動き始めた二人に向かって、AIMバーストを御坂さんと二人で『何とかする』と伝えようとしたのだが、何だか格好つけ過ぎな気がして急遽言い方を変えてみたら御坂さんからツッコミを入れられた。
「けど、あれが何なのかも分からないんだし、どうなったら『何とかした』って言えるのかも分からないんだよ?」
「ま……まあ、それはそうだけど……」
俺が御坂さんにツッコミ返すと御坂さんが言葉に詰まる。俺自身はアニメで見ていたこともあって、あれがAIMバーストであることも倒し方も分かっているのだが、普通にこれまでの状況だけであれが何でどうすれば良いのかなんて分からないだろう。
「あれは、AIM拡散力場の集合体のような物だ。そうだな、AIMバーストとでも言っておこうか。あれはレベルアッパーのネットワークで集められたAIM拡散力場で成り立っているような物だからな、レベルアッパー使用者を解放してやればネットワークが消滅してAIMバーストを何とかできるかもしれない」
俺と御坂さんのやりとりを聞いて初春さんの肩を借りている木山先生が情報を提供してくれる。これでようやくAIMバーストの名称が使用可能になったわけだ。まあ、AIMバーストの仕様がアニメとほぼ同じであることも確認できたわけだが、アニメと違ってこっちのAIMバーストは、レベルアッパー使用者数がほぼ2倍になっていると言うことと、その中に麦野さんが含まれていると言うことで確実に強化されているのだろう。
「じゃあ、このレベルアッパー解除プログラムで……」
初春さんが木山先生の言葉で何かに気づいてポケットを探り、メモリーチップを取り出してから呟いた。
「そういう事だ。私は一人でも大丈夫だから、君は自分のやるべき事をすれば良い」
初春さんの肩を借りていた木山先生だが、実質初春さんは木山先生の腰の辺りを支えているだけだったので自力で歩き出し、滝壺さんをおんぶしている絹旗さんと一緒に避難を始める。
「初春さん、それは?」
「木山先生から預かっていた、レベルアッパー解除のプログラムです」
「それなら、白井さん……白井さん? 白井さん! 固法さん! ……通じなくなってる」
御坂さんが初春さんの持っているチップについて尋ね、それに初春さんが答えたので俺は白井さんに頼もうとしたのだが、どうやら俺のレシーバーは使えなくなっているようだ。
「黒子! 黒子っ!」
「駄目です。私も超通じません」
もしかしたらAIMバーストの影響で通信ができなくなっているのかもしれない。アニメでは確かすぐ近くのアンチスキルにいきなり頼んでいたはずなのだが、普通に考えればジャッジメントの支部に報告して指示を仰がなければならないはずなのだ。
「私もケータイは木山先生に……」
「あー、そっか。それなら上に居るアンチスキルに……って……」
初春さんも通信できる方法を考えたのだろうが、恐らく電波自体が妨害されているのでケータイがあっても通信はできないだろう。というわけで、アニメ通りアンチスキルに頼んで貰おうとしたのだが、その瞬間に上の方で銃声が響き始めた。
「アンチスキルがAIMバーストに攻撃を始めたわね」
「そうですね」
「じゃー、作戦変更。アンチスキルと合流して一緒に戦う。そこまでは初春さんを護衛」
それまでふわふわと浮いているだけだったAIMバーストが、攻撃を受けてからはアンチスキルに対して反撃を始めたため、アンチスキルの所へ初春さんを一人で行かせるのは危険と判断して三人で行くことにした。
「分かったわ」
御坂さんが答えると三人同時に頷いて駆け出す。
俺の記憶が正しければ、階段を上っている途中で初春さんが攻撃されるはずだったのだが、現状ではAIMバーストをアンチスキルが一手に引き受けてくれているのですんなりと登り切り、アンチスキルの元へと向かう。
アンチスキルの面々はほぼ壊滅状態で、残っているのは格闘ゲームでは最強でもその他がドジっ子な、『てっさい』だったか『てつばい』だったかっていう名前のアンチスキル一人だった。確か郵便局強盗の事件の時に名前は聞いたはずなのだが忘れてしまっている。
「こ……こ……こないでぇ~!」
悲鳴のような声を上げながら『てっさい』だったか『てつばい』だったかという名前のアンチスキルが小銃を乱射しているが、あっという間に弾が尽き引き金を引いてもカチャカチャと音が鳴るだけとなってしまう。
「御坂さんは向こうを、俺は初春さんと一緒にアンチスキルに話をつけてくる」
「分かった」
俺は御坂さんにドジっ子アンチスキルを任せると、初春さんと一緒に残念美人アンチスキル……っていうか黄泉川さんの方へ向かう。
「大丈夫ですか?」
「何とか生きては居るじゃんよ」
初春さんが駆け寄り黄泉川さんが少し無理をして立ち上がろうとする。
「(リジェネ)アレを抑えるためにやって貰いたいことがあるんですけど」
俺は黄泉川さんに話しかけるついでにファイナルファンタジー系の回復魔法を使い黄泉川さんのけがを回復に向かわせる。『リジェネ』の良い所は、一発で回復させるわけでは無く一定時間を掛けて徐々に回復させるので、回復魔法を使ったと言うことがバレにくいことである。
「話だけは聞くじゃん」
「レベルアッパー解除プログラムがあるんです。アレはレベルアッパー使用者のAIM拡散力場の集合体なので、解除プログラムを学園都市中に流せば止められるはずです。初春さん」
「はい、これです」
黄泉川さんが聞く態勢になったので、俺はレベルアッパー解除プログラムとAIMバースト、そしてその関連性を説明して、初春さんにレベルアッパー解除プログラムを出して貰う。
「その話は信用できるかじゃん?」
「レベルアッパー制作者本人の話ですから間違いないかと」
「渡されたのは私が人質になっていたときです。研究所のデータは正式な手順で起動せずに消えてしまったから解除プログラムはこれしかない、だから大事に持っておけって言われたんです」
黄泉川さんが呈する疑問にも俺と初春さんで答える。
「そうか、なら試してみる価値はあるじゃん」
俺は木山先生のことを知っているので本人の話を信用できると考えていたのだが、初春さんの話が無ければ黄泉川さんを説得することはできなかったかもしれない。
「それじゃあ、俺は御坂さんと一緒にアレ……AIMバーストを何とかしてみます。って言ってもこっちから何もしなければ向こうも何もしてこないんですけどね」
何とか話がまとまったので俺も御坂さんの援護に向かうことにするが、どうしても黄泉川さんに話して貰わないといけないことがあるので一言付け加える。
「かといって放っておく訳にはいかないじゃんよ」
「何でですか?」
思った通り、黄泉川さんが俺の言葉に異を唱え、それを聞いた初春さんが聞き返す。
「あの化け物……AIMバーストって言ったかじゃん? アレが向かっている先にあるあの施設は何だと思うじゃん?」
「あー、確か原子力関係っぽい感じでしたよね」
黄泉川さんに答える。以前地図で確認したことがあるので、アニメ知識とかに関係なく知っているのである。
「ご名答じゃん。あれは原子力実験炉じゃんよ」
「って事は!?」
黄泉川さんに正解を教えて貰い、初春さんが大いに驚く。
「つまり、何としてでもあそこに向かわせるわけには行かないじゃん」
「なるほど、それなら俺と御坂さんでちょっと頑張ってきますね」
AIMバーストはまだ御坂さんと戦っているところだ。御坂さん自身が原子力施設のことを知っているかどうかは分からないが、AIMバーストが原子力施設方向へ行こうとするたびに攻撃をして、AIMバーストの意識を常に御坂さんの方へ向けさせている。
「確かに、お前さんならレベル4だし向こうの彼女もレベル5なんだから何とかなるかもしれないじゃん。けど、子供達を守るのは大人の役目じゃん」
「まー、そうでしょうけど、それって武力に限らなくても良いでしょう? 子供じゃどうにもならない権力を相手にするときにでも守ってください。解除プログラムを学園都市中に流すのには、ジャッジメントよりもアンチスキルの権限が必要でしょう?」
黄泉川さんがそれでも戦いに赴こうとするので、俺は権力的な部分で黄泉川さんの力が必要だと訴えてみた。
「ふっ、分かったじゃん。だが、それなら、うちらがレベルアッパー解除プログラムを学園都市中に流すまではくたばるなじゃん」
「当然!」
一旦うつむいた黄泉川さんだったが、何故か妙に格好良い笑顔で言ってくるので俺も強く応える。
「神代君、気をつけてくださいね」
「うん。初春さんもね」
エールを初春さんから送られて、俺は一つ頷いてから初春さんに返す。
「はい!」
初春さんの元気な返事の後、俺と初春さんは同時に一つ頷いて、それぞれのやるべき事に向かって動き出したのである。
後書き
大変長らくお待たせ致しました、お読みいただきありがとうございます。
鉄装さんのことを『てっさい』だったか『てつばい』だったかと言っていますが、『てっさい』さんと『てつばい』さんはかなり昔のアニメ『一休さん』に出てきた小僧さんです。
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