ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
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144部分:白銀の月の下星々は輝きその二
白銀の月の下星々は輝きその二
「酒屋でドンチャン騒ぎをした後酔い潰れたのは誰だ!忘れたとは言わせんぞ!」
「・・・・・・そういえば寝てる時やけに床が固くて寒かったような」
レイリアが言った。
「毎日酔い潰れるまで飲むとは何事だ!?騎士たる者は何時いかなる時でも節度を守り身を慎まなければならんのだ!」
おそらく、否確実に主君であり愛弟子でもあるセリス以外は全く聞いていないオイフェの騎士道の講義が始まった。
「何も飲むな、とは言わない。しかしそこには節度が必要なのだ。我等は民を護り主君、否セリス様に忠誠を尽くすのが使命、それを常に心に留め日々精進していれば深酒など出来るものではない。それに酒を飲まなくとも生きていける。例えばこの牛乳などと朝早く起きた農家の幼い娘が精魂込めて絞った非常に美味な・・・・・・」
オイフェは杯の牛乳を一口含むとさらに話そうと口を開こうとした。だがそのままゆっくりと前に倒れ動かなくなってしまった。
「・・・・・・・・・どう?」
間近に寄り様子を窺うパティにミランダが尋ねた。パティは慎重にオイフェを調べた後一同の方を向いて太陽の様に明るく笑った。
「大丈夫。完全に酔い潰れてるわ」
その言葉に一同はおおっ、とどよめいた。
「まさか牛乳にお酒入れていたなんて夢にも思わなかったでしょうね」
カリンがクスクスと笑う。
「まああまり誉められた方法ではないが」
グレイドがコメントする。
「いいじゃない。これで思いきり飲んだり食べたり出来るんだから」
ラーナが言った。
「よ〜〜し、それじゃあ仕切り直してもう一度・・・・・・」
ラクチェが再び音頭を取る。
「かんぱ〜〜〜〜いっ!」
今度こそ杯が打ち合わされ並々と注がれていた酒が一気に飲み干され卓の上の料理が消えていく。オイフェの危惧が見事に的中した。
「ちょっとレスター、そのトマトあたしのよ!」
「おい、今いらないって俺にくれただろうが!」
「パティ、また貴女はそうやって!」
「オルエンさん、マントにスープが!」
「フィー、耳元で怒鳴らないでくれ」
「あれっ、アーサー御前ベストが脂でベッタリだぞ」
「アミッド兄さん、この鮭のカルパッチョ美味しいわね」
「タニア、そのソーセージは俺のだ!」
「あたしのよ!」
「二人共止めんか!」
「おいマーティ、あのソーセージの皿山分けしようぜ」
「おうよ」
「レディーーーー、ゴォッ!」
「フフフフフ、ブライトン、今度は負けないわよ!」
「マチュア、望むところだ!」
「何よ、私の酒が飲めないっての!」
「おうよ、飲んでやるよ!」
「まったく、この二人さっきからこればっかりですね」
「そう言うホーク兄さんは樽を幾つ空にしたら気が済むの?」
「う〜〜ん、いい矢だ」
「ロベルト、そりゃあ魚の背骨だ」
「アルバ、そう言いながら羊の骨をかじるのは止めろ」
「そう言うケインは何時まで桃の種しゃぶってんだろう」
「やっぱりカリオンは真面目だな」
「ディムナ兄さん、感心するのはいいけれどスパゲティを音を立てながら食べないで」
「フェルグス、あんたあたしのグラタン取ったでしょ!」
「何ィ、手前こそ俺のラザニア取っただろう!」
「止めて下さい二人共!」
「あ〜〜あ、またお姉ちゃん止めに入ったよ。気苦労ね」
「よおシヴァ、ポーカーやろうぜ」
「・・・・・・いい」
「トルード、サイコロはどうだ?」
「・・・・・・遠慮する」
「ディジー、このピザどう?」
「有り難う、マリータ」
「ディジー、お兄ちゃんにも一枚」
「デルムッド、よく食うなあ」
「御前もな、スカサハ」
「アズベルく〜〜ん?」
「・・・・・・もういいです」
「へえ、ヒックスさんってお子さんおられるんですね。意外ですね」
「そ、そうか?」
「そう言うあんたに年老いた御両親がいるのも驚きね、ロナン」
「ちなみにレイリアには弟さんがいたりするのよね」
「ラーナ、五月蝿い」
「へえ、ホメロスさんって物知りですね」
「今頃気付くなんて遅いよ、お嬢ちゃん」
「ジャンヌ、あれは知ったかぶりだ」
「五月蝿いぞ、ラルフ」
「楽しいわね、あなた」
「そうだな」
「あれっ、うちの爺は?」
「コノモールさんならゼーベイアさん、フィンさん、そしてガルザスさんと四人で別の場所で飲んでるわ」
「ラナ、御前さっきからお菓子ばかり食べてないか?」
「そういうロドルバンは仔羊一頭ラルフさんと食べ比べてたわね」
「そういうマナは鳥何羽食ってんだよ」
「この御酒をブラギ神に捧げます」
「アーサー兄様何処?」
「ああラクチェ、夜に君の瞳は・・・・・・」
「死んでなさい!」
「ラドネイ、もう離さないぞ!」
「くたばれっ!」
「・・・・・・レンスターの子供達にそろそろ斧の使い方を教えてやるか」
「オルエン閣下、またパティさんと喧嘩なんかして!」
「俺は嘘つきじゃねえーーーーーっ!」
「ターラの人達は元気かしら」
「エダ、このマカロニは美味いだろう」
「ええ、兄さん」
「俺のイチイバル何処やった?」
とにかく無茶苦茶な騒ぎになっていた。飲み、食い、酒が暴れ回る。次々と運ばれてきては消えていく酒と料理、うず高く詰まれた野菜や果物の皮やヘタ、肉や魚の骨、空になった酒樽、店の店員達は大忙しだった。
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