提督はBarにいる・外伝
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提督はBarにいる×放火後ティータイム編・その4
お次はちょっと胃に優しく雑炊といくか。……但し、食べ応えはもたせるけどな。それに…白菜があるな。それと鍋用の牡蠣があったから中華スープの酸辣湯を付け合わせに。
《豚ねぎ雑炊&牡蠣と白菜の酸辣湯》
・ご飯(冷や飯でも可):200g
・豚ロース薄切り:100g
・長ねぎ:1/2本
・塩:少々
・酒:小さじ1
・水:400cc
・めんつゆ(3倍濃縮):大さじ2
・七味唐辛子:お好みで
(牡蠣と白菜の酸辣湯)※分量2人前
・牡蠣(鍋用でOK):10粒
・白菜:1枚
・干し椎茸:小さめの2枚
・水:400cc強
・筍(水煮):1/2本※約30g
・春雨(乾燥):5g
・生姜:1/2片
・ごま油:大さじ1
・鶏ガラスープの素:小さじ1
・酢:大さじ2
・醤油:小さじ2
・塩:小さじ1/2
・粗挽き黒胡椒:小さじ1/2~小さじ1
・水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1に水大さじ2)
・溶き卵:1個分
さて、まずは雑炊から。豚ロースは食べやすい長さに切り、酒と塩をまぶして下味を付けておく。長ねぎは小口に刻んでおく。※青い部分も刻んでおいて、仕上げに散らす用に取っておこう。
ご飯はザルにあけて、流水で固まりをほぐしながら洗ってぬめりを取り、水気を切る。
「た、大将殿!?狂ったでありますか!」
「あん?狂ってねぇよ。雑炊作るにゃこうした方が美味いんだ」
雑炊とお粥の最大の違いは、『粘り気』にあると俺は思う。冷や飯や生米を使って作るお粥は、米が含むでんぷん質がお湯の中に溶け出してドロドロとした食感を生み出している……が、俺個人としては雑炊はドロッとしていてほしくない。寧ろ具材と混じり合いながらもさらりと食べられる位が理想だ。だからこそ、雑炊として煮込む前に取れるだけのぬめりは取ってしまうのが俺流だ。
鍋に水とめんつゆを入れて強めの中火にかけ、煮立ってきたら豚肉を入れて箸でほぐし、再び煮立ったらアクを取り除く。
アク取りが出来たらご飯とねぎを加えてザッと混ぜ、火を少し弱めて2~3分煮る。この時、頻繁にかき混ぜると粘りが出るのでご飯を入れたらあまりかき混ぜないようにする。……まぁ、かき混ぜ過ぎないようにして焦がしたら本末転倒だが。
味見をして味が足りなければ塩で調整し、盛り付けの時に取っておいたねぎの青い部分と七味をお好みで振って完成。
(牡蠣と白菜の酸辣湯)
一番時間のかかる下拵えは干し椎茸だ。これは最優先でやる。干し椎茸を分量に書いてある水でゆっくりと戻しておく。……あぁ、戻し汁はスープのベースにするから捨てないようにな。
具材の下準備をしていくぞ。牡蠣は大根おろし(分量外)と揉み洗いした後、海水くらいの濃さの塩水に入れてボウル全体を揺すって振り洗いする。
白菜は葉と芯の部分に分けて、芯は5cm長さ5mm幅位の千切り、葉はざく切りにする。戻した干し椎茸は3mm位の薄さにスライス、筍は5mm幅に切る。生姜は千切り、春雨は熱湯で2~3分茹でてザルにあけておく。
鍋にごま油を熱し、生姜を炒める。香りが立ってきたら干し椎茸、筍を加えて更に炒める。
ある程度火が通ったら干し椎茸の戻し汁、鶏ガラスープの素を加えて熱して、沸騰したら洗った牡蠣と白菜の芯を加えて煮る。沸騰してきたらアク取りをする。
アク取りが出来たら白菜の葉、春雨、調味料を加えて味見。今回のレシピだとラー油や唐辛子、花椒等は入れていないが、ここで辛味が足りないと感じたら適宜足してくれ。再度沸騰したら水溶き片栗粉でとろみを付け、溶き卵を流し入れて混ぜ、かき玉になったら完成だ。
「へいお待ち、『特製豚ねぎ雑炊』と『牡蠣の酸辣湯』だ」
さらりとしてあっさりな雑炊に、強烈な酸味と辛味のスープ。これから寒くなるし、野外訓練も多い陸さんにゃうってつけだろう。あきつ丸もハヒハヒ言いながら味わっている…若干涙目なのは見なかった事にしておこう。
その後は和やかに戦術論や戦略に華を咲かせ、楽しい時間というのは早く過ぎ去ってしまうものだ。既に帰宅の途に着かないとまずい時間となっていた。
「いや~今日はご馳走さんでした、金城提督」
「いやいや、最近本土にも帰って無かったからな。現況の話が聞けて良かったよ」
そういえば実家に帰ったのは何年前の事だったろうか?親父もお袋ももう70を越えた。一度位は帰って顔を見せた方がいいだろうか?……嫁さんを連れて。
「大将殿、大丈夫でありますか?」
「あぁ、すまんな。心配ない」
他の鎮守府の艦娘に心配されてりゃ世話ねぇな。……おっと、渡すモンがあるんだった。
「ホレ、土産だ。帰る頃にゃ冷めるだろうが、火にかけるか何かして暖めて、あっちの連中に食わしてやれ」
そう言ってでかい寸胴を2つ、にーと提督とあきつ丸に手渡してやる。中身は『手羽先と大根の甘酢煮込み』。話をしながら大量に仕込んでおいたのだ、米さえありゃあ十分なご馳走になるだろう。
「い、いいのでありますか!?」
「勿論。お前ら2人だけ美味いモン喰った、なんて聞いたら比叡の飯を喰わされてる連中から殺されかねんしな」
等と、冗談めかして2人を見送る。……さて、ウチの店の分の作り置きまで詰めてやったからな。追加分を作ってから寝るとしますかね。
《大根の甘酢煮込み》※分量2人前
・手羽先:2~4本
・大根:1/4本
・水:200cc
・ほんだし、昆布茶:各小さじ1
・酒:大さじ2
・みりん:大さじ1
・醤油:大さじ3
・砂糖:大さじ2
・酢:大さじ2
・ごま油:大さじ1
大根は皮を剥き、食べやすい大きさにカット。輪切りでもいいし、4つに割って分厚い銀杏切りでも乱切りでも、好みの形に。
鍋にごま油を引いて熱し、手羽先を皮目から入れて焼く。皮が焼けたらひっくり返して大根を入れ、炒めていく。
大根に軽く焦げ目が付いたら、水とほんだし、昆布茶を加えて沸騰させ、暫く煮る。鶏肉の色が変わってきたら、調味料を加える。俺の味付けだと酸味がキツいという奴がたまにいるから、そこは個人で味見しながら調整してくれ。味が決まったら蓋をして、中火でコトコト煮込む。大根がいい色になってきたら完成だ。
「あいつぁ艦娘思いのいい提督になるだろうなぁ……。俺みたいに親父呼ばわりされたりしてな」
まぁ、それは何年先になるやらだな。未だに敵の目的は完全に解明されず、講話の道も見えない。それでもなお、俺達は戦い続けるしかない。何時かは深海の連中とも手を取り合える日を信じて、俺は今日も今日とて、鍋を振るうのだ。
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