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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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提督はBarにいる×熾火 燐編・その2


 以前にもこんな話をした事があったっけな。ウィスキーに合うツマミってのはどんな物か?ってのをザックリと解説した事があった。しかしあの時はウィスキー全般に合うツマミを解説したが、今回は有名なウィスキーの種類の特性を理解した上で、合うツマミを考察してみたいと思う。

※スコッチウィスキーに合わせる場合※

 スコッチウィスキーを2通りに分けるとしたら、『スモーキーか否か?』だと俺は思っている。上手いスコッチを褒める時によく言われる『ピーティ』だとか『スモーキー』ってのは、原料の大麦を燻煙により乾燥させる時に使うピート(泥炭)の量を多くする事で独特の香りや味わいを作り出す。しかしその香りの複雑さや味の力強さが料理との組み合わせを邪魔してしまう。……というより、酒単体が『美味すぎて』料理を合わせる必要性を感じないんだよな。まぁ、これは生まれたお国の酒の嗜み方の影響が強いんだろうがな。有名な銘柄としては、

・ティーチャーズ

・ジョニー・ウォーカー(黒ラベル)

・バランタイン・ファイネスト

 等がある。話が逸れたな、スモーキーなスコッチに合わせるなら、同じようにスモーキーな食品ならその香りや味わいを邪魔せず、引き立ててくれるだろう。例としては、

・スモークチーズ

・スモークサーモン

・いぶりがっこ

 等が合うと思う。いぶりがっこは意外に感じるかもしれんが、一度試してみるとその相性の良さに驚くと思うぞ。

 逆にスモーキーな香りが弱いスコッチもある。

・カティサーク

・ブラックアンドホワイト

・ヘッジス&バトラー

 なんかが有名か?スコッチは基本ブレンデッドウィスキーなので、スモーキーフレーバーが弱い物はブレンダーがピートの香りではなく、別の香りを際立たせるのを優先している事が多い。その場合はバニラや蜂蜜に似た甘い香りや、まろやかな味わいである事が多いので、味や匂いのきつい薫製は逆に酒の良さを打ち消してしまう。なので合わせるとしたら、

・スイートチョコレート(ミルクチョコではない)

・ナッツ類(ピスタチオが特にオススメ)

・ドライフルーツ

 等がよく合うだろう。ちなみにだが、スコッチの飲み方としてはストレートかトワイスアップが味と香りを引き立ててくれるので美味しいぞ。



※アイラモルト・ウィスキーに合わせる場合※

 さて、どんな世界にも変わり者やクセの強い奴ってのはいるモンだ。スコッチの親戚にもそんな奴は存在しており、それがスコットランドのアイラ島で生産されるシングルモルトウィスキーの総称『アイラモルト』だ。アイラモルトの特徴は、なんといってもその香り。海藻類が含まれるピートを使い、潮風を取り込みながら香り付けされる大麦からは、潮の香りやピートの燻煙の香りが混じり合い、ある種の薬品のような独特で複雑、そして強烈な香りを醸し出す。有名な銘柄としては、

・ボウモア

・アードベッグ

・ラフロイグ

 等、クセの強いウィスキー好きには堪らない銘柄のオンパレードだ。飲み方としてはやはりストレートかトワイスアップ、潮の香りを引き出す為にソーダ割なんかとも相性がいいぞ。潮の香りが特徴である為、薫製も勿論合うが、

・生牡蠣(薫製も勿論〇)

・オイルサーディン

・塩辛

 なんかの海の香りが強い魚介もピタリとはまる。実際、ボウモアの蒸留所の近所では生牡蠣にボウモアをかけて食べたり、アードベッグの蒸留所の近所の一般家庭では牡蠣のシチューがけなんかが肴としてよく食べられているらしい。



※アイリッシュ・ウィスキーに合わせる場合※

 アイリッシュはスコッチに比べれば非常に飲みやすい、と言える。モルトの乾燥の際にはピートを使わないし、スコッチより1回多い3回の蒸留を重ねる事で煙たさやクセをとことん無くし、スムースな喉越しと円やかな口当たりを追求していると言える。

・ジェムソン

・ブッシュミルズ

・タラモア・デュー

 等がメジャー所か。飲み方はそのスムースな口当たりを活かしてストレート、合わせるツマミはスモーキーではないスコッチ同様に

・スイートチョコレート

・ナッツ類

・ドライフルーツ

 等が味わいを引き立ててくれる。



※ジャパニーズ・ウィスキーに合わせる場合※

 世界の5大ウィスキーと呼ばれる中でも異端児なのが日本のウィスキー。その源流はマッサンこと竹鶴正孝によってもたらされたスコッチが源流であるのに、日本独特の『食事中に酒を楽しむ』という文化の影響で、水割りやハイボールにしてアルコール度数を弱めても美味しくなるように、香りも角が立たないように調整されている。日本のビール同様ジャブジャブ飲めるように作られているワケだ(俺の個人的感想だが)。特にもサントリーのウィスキーにはその傾向が強いと思っている(ニッカはやはり竹鶴の影響が強く、スコッチに近いんだよな)。

 以前サントリーの『角』を紹介していたとあるライターの文を引用させてもらうと、

【ハイボールにするとウィスキーの様々な香りが広がっていくが、『角』はそのバランスが非常に良い。風船に例えると、ウィスキーの香りは曲芸に使う風船のように一部だけ膨らんでいく物もあれば、真ん丸な風船のように全体が際立つ物もある。『角』は後者で全体の伸びが良い】

 と書かれていた。思わず成る程、と唸ってしまった。要するに、ジャパニーズウィスキーはストレートやトワイスアップ、水割り、ハイボールでも幅広い飲み方で楽しめるという事だ。当然飲み方によってツマミは選ぶべきで、ストレートで飲む時には

・スイートチョコ

・ナッツ類

・ドライフルーツ

 等が合うし、水割りやハイボールの場合は

・唐揚げなどの揚げ物

・サラミやソーセージ、ベーコン等の肉類

・餃子等の中華

 といった多少脂っこい料理が出てきても、水割りやハイボールが洗い流して料理を引き立てる脇役として働いてくれる。



※アメリカン・カナディアンウィスキーに合わせる場合※

 さて、問題のバーボンを含めたアメリカンやカナディアンウィスキーの特徴といえば、原料にトウモロコシを含むことと、焼き焦がしたオーク樽に仕込む点だろう。これによってモルトウィスキーには無い強く香ばしい香りがアメリカンとカナディアンの特徴と言える。有名な銘柄としては、

・ジム・ビーム

・ジャックダニエル

・カナディアン・クラブ

 等、ウチの店でも紹介した事がある銘柄が多い。合わせるツマミとしては、原料に合わせてトウモロコシを使うか、その強い香ばしさに負けない強い味の乾物などが良いだろう。例としては、

・焼きもろこし等のトウモロコシ料理

・ビーフジャーキー、スルメ等

・レーズン


 等が合うだろう。さて、問題のワイルドターキーだがコイツはバーボンの1種だ。つまりはトウモロコシを使った料理や味の強い肉や魚を使うツマミが2人の注文に当てはまるだろう。さてさて、何を作ったものか。 
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