暁ラブライブ!アンソロジー~ご注文は愛の重たい女の子ですか?~
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ヨーソローを抱きしめて 【凛キチ】
前書き
僕もヨーソローを抱きしめたい!!という事で、”凛キチ”さん、よろしくお願いします!!
はじめまして、普段は別サイトにて活動している凛キチと申します。今回は「崇拝型」のヤンデレに挑戦してみました。拙い文章ですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。それでは本編をどうぞ!
テーマソング
『ティアドロップ』歌:BOWL
「オールマイティー」
その名の通り、なんでもこなせる人間を指す言葉だ。周りが言うには、どうやら私はオールマイティーな人間らしい。
「やっぱり曜ちゃんはすごいね!歌もダンスもすぐ覚えちゃうもん。あーあ、私も曜ちゃんみたいに器用だったらなぁ〜」
「曜はホントに器用よね…弱点とかあるのかしら?ちなみに堕天使ヨハネの弱点は右足の(ry」
「曜さんは優秀ですわね。学業を疎かにせず、練習にも余念がない。まさにオールマイティーといったところでしょうか。それに比べて……千歌さん!赤点4つとは何事ですか!!」
親友やチームメイトにも言われるくらいには、なんでもそつなくこなせている。やろうと思えば大概のことはできるという自負は確かにあった。
…でも、結局はそれだけ。どうやら私は、オールマイティーとよく似た別物らしい。
「器用貧乏」
何でもできるけど何にもできない、突出した力を持たない人を指す言葉だ。
特徴のない悲しい人間だとなんとなく思う。しかし、そんな私も「器用貧乏」の枠にピッタリはまっているであろうことは、自分でもなんとなく感づいていた。
勉強はできた。
スポーツもできた。
コミュニケーションも取れる。
それでも…想いを伝えるっていう大航海だけは、器用貧乏な私にはできなかった。
これから話すのは、そんな器用貧乏ヨーソローな私………渡辺曜のおはなし。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
スクールアイドル「aqours」。高海千歌をリーダーとして内浦で活動しているスクールアイドルである。ラブライブ!本選への切符を手にした彼女たちは、前にも増して練習に励んでいる。今日も炎天下の中スパルタ指導が行われていた。ここにいる「8人」は、ラブライブ!優勝を目指して必死になっていた。
…そう、8人である。
ここに、渡辺曜の姿はない。どうしても外せない用事があるといい、今日は練習を休んでいたのだ。
「だ〜からその用事って一体全体なんなのよ〜!!って暑っ!!溶ける!溶ける!ヨハネとけちゃうって!」
「この暑いのに黒いローブなんか着てるからだよ…あと善子ちゃん早くジャンケンするずら」
10秒後…
「うわぁぁぁ〜ん!また負けたぁぁぁぁ…」
堕天チョキは敗北を喫し、善子がコンビニまで買い出しに行く。見慣れたいつものパターンである。パーを出せば勝てるという至極単純な答えに、駄天使ヨハネは気づくことはなかった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「負けた…堕天チョキが…負けた」
完全敗北のショックを引きずりながらも、善子はなんとかコンビニへとたどり着き、買い物を済ませていた。
「誰よ、毎回高いアイス買ってるの…ん?あれって……」
コンビニを出た善子の眼前を、ひときわ目立つ「you」の文字が入った帽子をかぶった女性が通り過ぎていった。こんな目立つ帽子の持ち主はこの内浦で、いや全国的に見ても「彼女」くらいであろう。たまらず善子は彼女に声をかけた。
「ちょっと待って…曜!」
その声に彼女——渡辺曜が振り向く。
「……あ、善子ちゃん!…ははーん、さてはまたジャンケン負けたな〜?」
サイズの合わない「you帽子」をかぶり直しながら答える。口調こそ明るいが、心なしか表情が暗いように思える。だが近頃記録的な猛暑が続いていたこともあり、善子は「軽い夏バテだろう」程度に思い、それほど気にしなかった。もっとも、図星を突かれてテンパっているのも事実だろうが…
「う…うるさいわね!こ、こここ今回はたまたま負けただけよ、つぎ!次こそ勝つわ!…っていうか、何してんのよこんなところで。そもそも練習休むほどの用事って何よ?」
「…」
その質問に曜は何も答えなかった。不思議に思った善子は彼女の荷物を覗き込む。
「…………あっ!…ごめん」
善子は先程の自らの質問を恥じた。彼女の持っているお見舞いにでも持っていけそうな花。それを見れば、大事な用事がその類のものであることは容易に想像できたからだ。
「善子ちゃんが謝ることないよ、別に気にしてないし」
曜はただそう言って、また帽子をかぶり直す。善子は不意に尋ねた。
「ねぇ…その帽子、サイズ合ってないと思うんだけど」
「え?ああ、これ貰い物だから…」
曜は淡々と答え、そしてまた帽子をかぶり直した。
「大切な人からの…ね」
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
10年前———
…あぁ、まただ。
時計が「その時間」を指すたびに、私は憂鬱な気分になった。
16時30分、私の一番嫌いな時間。
もうすぐ、私の家に迎えのバスが来る。それに乗ってしまったが最後、やりたくもない飛び込みを強いられるのだ。
水泳教室に通い始めて半年、私の頭の中では「やめたい」という言葉がうずまいていた。
飛び込み自体が嫌いなわけじゃないし、むしろ好きだ。けど私に向けられた数々の負の要素は、その好きという気持ちを消し去るには十分すぎるほどだった。
週4日、17時から20時までの3時間。その間、私はプールに拘束される。この時間帯、なんでもないように見えてとっても重要なのだ。小学生には特にね。
まず第一に、夕方のアニメをリアルタイムで見れないこと。これはまだ我慢できる…録画すればいだけだ。
第二に、宿題をやるのが辛いこと。疲れた身体で漢字の書き取りや音読、計算ドリルをするのは意外とつらい…まぁこれも慣れたから問題ない。
そして三つ目。正直、私が水泳教室に行きたくない原因の9割がこれである。
「渡辺さん、誘っても全然遊びに来ないね」
「習い事が忙しいんだよ、仕方ないさ」
そう、放課後に友達と遊べないのだ。みんなが楽しくすごしているなかで、私は黙々と練習を続けた。
満足に遊びにも行けず、好きなアニメも見ず、ただ延々と泳ぎ、帰って来れば眠い目をこすりながら宿題をする。そしてそのまま眠りにつき、朝起きて学校へ行き、そして…またバスが来る。
小学生の特権を全部取り上げたような生活。小学一年生の私にとっては理不尽極まりないスケジュールだったと言えるだろう。
それでも、宿題を忘れた事はなかった。授業中に居眠りした事もない、クラスで孤立した事もない。皮肉なことに、私はこの理不尽なループをギリギリこなせる程度の器用さを持ち合わせていた。
私はなんでもこなせる、私はオールマイティーだ。そう思うときもあった。……けど、違ったんだ。
「やめたい」
そのとても簡単な一言だけは、どうしても言えなかった。
辛いことや苦しいこと、そんな「なんでもできる」。
それを打ち消す為の勇気ある行動は「なんにもできない」。
『なんでもできるけど、なんにもできない』
……私は、ただの器用貧乏だ。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ここまでの話だけだと、私にとって水泳教室は最悪の時間だと思う人もいるだろう。でも「彼」と一緒にいる間だけは、最高の時間だった。
「今日も頑張ろーぜ、曜ちゃん!」
「うん!」
一歳年上の彼は、ふさぎこんでいた私に最初に声をかけてくれた。それからというものの、彼と話す機会がぐっと増えた。私が知らないようなことをたくさん知っていて、それが本当に面白かった。
私は彼と話すたびに心が安らぐのを感じていた。知らず知らずのうちに、彼の笑顔に救われていたのだ。身体も大きく、泳ぎも上手い。知識も豊富で、笑顔が素敵なperfect guy。そんな彼に、異性としての好意を抱くのは時間の問題だった。
彼と一緒に過ごし、共に切磋琢磨していくうちに、どんどん飛び込みが好きになっていった。やめたいと思ってたことが嘘のように。
何もかもが順調で、最高に幸せだった。告白…しようかな?な〜んてことも考えて見たり…恥ずかしいな。
私たちはずっと一緒だった。こんな日々がずっと続くと思ってたのに………
「先生!○○が!!」
「ねぇ、起きてよ!起きてってばぁ!!」
中学3年の夏。何もかもが変わってしまった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
おっ…そろそろかな。
「おはヨーソロー!!」
16時30分、僕の病室に元気な声が響き渡る。挨拶にヨーソローを使う女の子なんて、彼女くらいのものさ。
「もう夕方だよ、曜ちゃん」
僕が入院してからもう一ヶ月が経った。詳しい病名は伏せるけど、帽子をかぶらざるを得ない病気…って言えば想像がつくだろう。まぁ僕の場合、開くのに邪魔だから刈られたっただけなんだけどね。
医者の話によると、僕の脳内によからぬものができていたらしい。幸い良性だったために、切り取るだけで一応は治った。
だが身体を今までの通りにするにはかなりの時間を要するとも言われた。
そんな訳で今は、ひたすらにリハビリをこなす日々を送っている。歩くだけでもしんどい時があるけどね。
でも、どんなに辛い時でも曜ちゃんと話せば楽になれた。彼女は、自身の周りで起こった出来事を面白おかしく教えてくれた。僕もお返しに、入院生活の中で見てきた様々なエピソードを話した。
……2人だけの時間は最高だった。
その時だけは、水泳選手としての死を忘れられたから。
開頭手術のせいで真っ赤に鬱血した顔を、忘れられたから。
自分がセンスのない帽子をかぶらざるを得ない現実を…忘れられたから。
そんなことを思いながら、僕は「you帽子」を真深くかぶった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ある日、彼に一週間の外泊許可が出た。リハビリが順調に進んでいるため、たまには外で羽を伸ばしてこい…との事だ。私たちは一週間ずっと一緒にいた。今までの空白を埋めるかのように。
でも…たった一週間。楽しい時間はとっても早く過ぎていく。あっと言う間に最後の日の夜になってしまった。
そして私は今日、彼の家に泊まっている。年頃の女の子が外泊なんて色々と問題な気がするけど。まぁ幼馴染だし…セーフだよね?
彼の両親は「曜ちゃんが一緒なら安心!」という謎理論で出かけてしまっており、いまは彼と2人きり。セーフだよね?……うん、セーフセーフ。
「おやすみ」
「うん…おやすみ」
そもそも病人と女子中学生との間で「そんな展開」になるはずはないんだけどね…。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
彼は一向に寝る気配はない。というか、寝るのを嫌がっているように見えた。
「どうしたの…眠れないの?」
彼の肩に触れると、微かに震えていた。それが寒さからくるものではないことは、彼の挙動からして明らかだった。彼が重い口を開いた。
「寝るのが怖いんだ…色々と深く考えすぎちゃうから」
彼は夜が来るたびに、現実を突きつけられている錯覚に陥っていたという。
もう飛び込みができない悲しさ。
走ることもままならない悔しさ。
アイデンティティを失った不安。
それら全てが頭の中で渦巻いて、怖くてたまらないと言った。その時の彼の表情は、今まで見たこともないほど青ざめていた。
……助けてあげたい。
いや、そんな生易しいものじゃない。
君を助ける。
そして君の笑顔を取り戻す。
私はそのためだけに生きたい。
心からそう思った。
「大丈夫だよ」
彼の身体を抱きしめ、耳元で囁きかける。
「私がずっとそばにいるから……だから…君の悲しみを私にぶつけてほしい。全部受け止めるから……君の全てを受け入れるから……」
私はずっと、君の笑顔に救われてきた。
だから今度は、私が君を助ける番だ。
今だけは…泣いていいよ?
私はずっとここにいる。
離れたりしないから。
彼の大きな手が私の両肩を掴む。私はあっさりと押し倒されてしまった。そして、そのまま————
♡ ♡ ♡ ♡ ♡
次の日から、私は熱を出してしまった。40度近い高熱。あまりの辛さに、一週間家から一歩も出られなかった。
まさか、そんな事が起きているなんて考えもしなかった。
あのままずっと家から出なければよかったと、そう思えるほどの悲劇がおそいかかるなんて知る由もなかったんだ。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「一週間ぶり、おはヨーソロー!……あれ?」
いつものように彼の病室に向かう。でもそこには誰もいなかった。ベットも綺麗に片付いている。花瓶も、音楽プレーヤーも、引き出しに隠してある例の本もない。彼の持ち物も全て消えてしまっていた。その真っ白な光景を目の前にして、私の頭に嫌な予感が走る。とても悲しいことが起きているという予感が…
それを振り払うために、私は看護師さんに話を聞くことにした。病室を移っただけかもしれない。いや、そうに決まってる!あ…もしかしたら予定より早く退院したのかも。そんなことを考えていると、向こうで看護師さんたちが話しているのを見つけた。二人共悲しそうな眼をしている。あんまり褒められたことじゃないけど、私は彼女らの会話を盗み聞きした。
「彼、よく頑張ったわよね」
「はい…とても強い子でした」
嫌な予感が倍増する。まさか、いやそんなはずはない。治ったんだ!そうに決まってる!私は自分にそう言い聞かせ、全速力で彼の家へ向かった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
不思議と涙は出なかった。目の前にある光景が信じられなかったから。
ねぇ…起きてよ。
…っていうか、寝たふりでしょ?君の寝相が悪いことは知ってるんだから。
生きてるんでしょ?私はここにいるよ?ねぇ、こっちを見てよ。
「トラックに跳ねられたの」
彼のお母さんが教えてくれた。
「まだ意識が戻らないの。脳に異常はないから、可能性はあるってお医者さんは言っていたわ。明日目覚めるかもしれない。でも逆に言えば、一生目覚めない可能性もあるって」
「曜ちゃん…これを」
彼のお母さんから差し出されたものは…彼がいつもかぶっていた「you帽子」だった。
寂しさと悲しさと驚きがごちゃ混ぜになった感情が、私の脳内を支配していた。もうダメだ、ここにいたら壊れてしまいそうだ。
私は彼の両親に精一杯の笑顔で挨拶をし、なんとかここを立ち去った。
その後どういう経路で家に着いたのか、はっきりとおぼえていない。頭の中は彼との思い出でいっぱいだったから。
たくさん走ったせいで、汗びっしょりになっていた。家に着くなり、私はシャワーを浴びた。この不安定な気持ちも一緒に、綺麗さっぱり洗い流したかった。
君に教えてもらった豆知識。
そのうちの一つを不意に思い出す。
『なぁ曜ちゃん。誰にもバレずに泣く方法、知ってるか?風呂場でシャワーを全開にして泣くと、誰にも聞こえないらしいぜ』
私は蛇口を強引にひねり、勢いを最大にする。もうお湯がタイルの床を叩く音しか聞こえない。
これなら大丈夫…誰にも聞こえない。
「—————————!!!!」
……ホントに聞こえないんだね。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
私は浦の星女学院を受験することにしたの。急な進路変更に戸惑う人も多かったけど、私の決意は変わらなかった。
異性とは距離を置いて生きていたい、心からそう思っていた。
男の子と近くにいると、君を忘れる気がしたから。
自分でも意味不明な理論だと思う。冷静に考えればそんなことあるはずないのに。それでもその時の私は本気でそう思っていた。
一瞬でも君を忘れる事が、怖くて仕方なかった。
……君は罪な男だよ。
私の心を掴んで離さない。
私はもう、恋愛なんてできない。
男の人に惚れるなんてことも…二度とない。
だって一生分の「好き」を、君に差し出してしまったから。
君は気づいてないと思うけどね。
だって、言葉で伝えられなかったから。
はっきり「好き」という言葉を出せなかったから。
差し出したっていうのも、私の独りよがりだと思う。伝えたつもりになっていただけなんだ。
あの夜、あんな行為で告白したつもりになって…
「好き」も「愛してる」も言えなくて…
私…器用貧乏だ。いや、そんなレベルじゃない。
私は…ただの大バカだ。バカ曜だ。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
……早いものだね。
君が眠ってからもう2年も経った。私、スクールアイドルになったんだ。最初は色々あったけど、あのラブライブ!本選に出られるほどになったんだ!いつか君にも見せたいな。
この前お見舞いに行ったときも、まだ眠ったままだったね。でも私は信じてる。君は絶対に目を覚ますって。
私はこれからも輝き続ける、どんな事があってもくじけない。
だから見守っていてほしい。私を忘れないでほしい。
私も、絶対忘れないから。
世界で一番大好きなあなたを…忘れない。
君が向けてくれた笑顔を…忘れない。
私にだけ見せてくれた涙を…忘れない。
「あなたの悲しみ」を…忘れない。
私は生きる。君の遺した全てを抱きしめて。生きて生きて生きぬいて、そしていつか君に心からの「大好き」を言えるように。
「曜ちゃーん!練習始まるよー!」
千歌ちゃんが呼んでる。私はワンサイズ大きい帽子をかぶり、みんなの元へと走り出した。
「みんな、今日も頑張ろうね!ヨーソロー!!」
———私は生きる。
『Your sorrow』を抱きしめて。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「つ……疲れ…た」
「夏はこんなもんだよ」
数日ぶりの練習を終え、いつものようにバスで帰る。バス内には私と、満身創痍の善子ちゃんの2人だけ。
〜♪
不意に私の携帯が鳴る。
「…え?」
思わず二度見した。
画面には彼の携帯番号が表示されていたのだ。迷わす通話ボタンを押す。
「も、もしもし!…………!!!」
「曜……ちゃん。久しぶり」
消え入りそうな小さな声。でも、とっても頼もしくて大好き声が、2年ぶりに私の耳に届いた。
ほんの少しだけ彼と話をした。
ほんの数十秒の会話だった。でもその数十秒は、私にとって何よりも価値のあるものだった。
感情がごちゃ混ぜになるような懐かしい感覚が襲ってくる。
押さえつけていた何かが決壊してしまう気がした。
………えっと、バレない…ように泣く…ときは…しゃわーを……ぜん……か…い………に……
「うぅ…」
もう…限界だった。
「う…うぅ……!!うあぁぁぁあん……!!!」
隣に善子ちゃんがいることも忘れ、情けないけど大声で泣きだしてしまった。
「よ、曜!大丈夫!?」
「うぅ〜…!!だいじょうぶじゃないよぉ…うれしいよぉ…よしこちゃあああああん!!!」
喜びがヨーソローしてしまった私は、思わず善子ちゃんに抱きついていた。
「うわっと!なんなのよ急に〜!って!ちょっと、鼻水くらいふきなさいって!!」
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
まったくもう…不意打ちは卑怯だよ。
後輩にすごくかっこ悪いところ見せちゃったじゃん。
…だからね?私も不意打ちで返すことにしたの。
家に着いたら、今度は私から電話をかけてみよう。
彼が電話に出たら、開口一番にこう行ってやるんだ。
「大好きっ!」……ってね♡
おしまい
後書き
ここまで読んでくださった読者の皆様、そして企画者様、本当にありがとうございました!
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