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シークレットガーデン~小さな箱庭~

作者:猫丸
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-荒くれザンク編- 5


物語は本軸へ戻りルシア達が南の森へ入ったところから再開する。
南の森。草木が青々と生え、沢山の種類の動物たちが暮らしている。まさに生き物たちの楽園のような森。気温はだいたい春の陽気で眠気を誘う。

「うっわ~、またお昼寝にぴったりなポカポカ森だね~」

自然に上機嫌になり両腕を広げ目をつむり 清らかな空気を吸い、クルクル可憐に回る。

「あはは。そうかもね。でもこんなところで寝てたら森の動物たちに屍だと勘違いされて食べられちゃうかもよ?」
「………経験あり?」
「……うん。小さい頃、一度だけね」
「にひひひ。弱みゲットたりぃ~」
「え~そんな事言うんだー、ひどいー」

悪戯っ子の笑みをするランファに冗談でルシアは言い返す。すると二人とも笑いが胸の奥底からあふれ出し自然と笑顔になる。
この森は人々を幸せの気持ちにさせるそんな不思議な森。


「ね、そういえばシレーナさんってどんな人なの? どうゆう関係なの?」

不意にランファが振り返りどこか心配そうな悲しそうな表情をする。
またいつもの冗談かと思ったルシアは

「超超能力者なのにわからないの?」

と意地悪風に聞いて見ると ランファはフグのように頬を膨らませて

「ブー、すべてを超能力で解決するのはよくないんですー」

とはぶてた感じで言い返した。ルシアは半笑いでごめんごめんと誤った。

「でっでっ?」

ランファはさっきの質問の答えは? と続きを求める。

「シレーナはヨナのかかりつけ医みたいな人かな」
「……おいしゃしゃん?」
「いやっ、本当は看護師なんだけどね。だけど医者のいない僕の村にたまに来てくれて無償で診てくれるんだ」
「へー」
「ヨナの事をいつも大切に思っててくれてて、診に来るたびに絵本を持ってきてくれるんだ」
「ほー」
「あまり話すのは得意じゃないみたいだったけど、気さくで優しくてとってもいい子なんだ」
「ふーん」

シレーナが別にどんな人かなんて別にど-だってよくて、ただの前振で言っただけのまったく興味のない話にランファは適当にあいずちをうち、受け流し本題を切り出だした。


「…好きだったの?」
「ええぇ!?」

予想だにしてない質問に耳まで真っ赤にするウブで純真なルシア。
ここは適当なこと言っておいて誤魔化しておこうと少し…いやだいぶ思ったけど

「………ねぇどうなの?」

ランファのなにか深い事情がありそうな真剣な眼差しに根負けし包み隠さず本当のことを話すことにした。

「ん……優しくて可愛いくてとってもいい子だったけど………そんな風に意識したことはなかったな…」
「(ふぅー良かったぁ~)」
「……?」

ルシアの答えを聞いて胸をほっとなでおろす ランファを見てルシアは女の子って難しいなーと考えていると
キリッとした目つきでランファ真っ直ぐにルシアの目を見つめハッキリとした口調で

「いいっ?これからはあたしがOK牧場した人としか好きになっちゃ駄目なんだからねっ!?」
「……ぼくじょう? なんで??」
「なんでもなのっ!!」
「………」

まだ不満そうな表情をしていると…

「わかったっ!?」
「……はい」

ルシアはこの時、ああ僕はきっと奥さんの尻にひかれるタイプだな…と自分の将来の未来図を見たのであった……。


キャッキャッと楽しく話しながら森を歩くルシアとランファであったが、森の様子がおかしいことに気づき始める。

「あれ…この森ってこんなにも薄暗かったっけ?」

青々とした木々がおい茂り太陽の光がサンサンと照らされた森だったのに、腐敗し黒墨になった木々と葉が光を遮り、辺りには霧が立ち込めるなんだか薄気味の悪い森にいつのまにやら変わっていた。

「おかしいな……確かこの辺りには動物たちのオアシスがあったはずなんだけど…」

一瞬で凶変した森を見渡してみる。

「カーカー」
「きゃっ!」

不意に木の間から現れたカラスにも驚いてしまう。先ほどまでのポカポカ森だったら絶対にそんな事では、驚かなかったはずなのに。
…いやそもそもこの森にはカラスは住んではいなかったはずだ。

「こっ、こわいよぉー」
「大丈夫。僕がついてるから。ほらつかまって」

先ほどまでの元気が何処へやらの恐怖でガタガタに震え、今にも泣き出してしまいそうなランファをルシアは自分の腕に掴ませ安心させる。


しばらくお互い無言で不気味な森を歩るいていると、ランファは見るものすべてに驚き、無駄に体力を消耗してゆく。
僕がしっかりしなきゃ…とルシアは怖いのを我慢し腰が抜けたランファを引きづりながら、森のたぶん奥へと進んでゆく。
……すると木々がない広い空間にたどり着き二人がみたものは

「ひゃぁぁぁぁぁ!!」

赤子の様な裸で丸坊主の石像のような石でできた人形が、右手の人差し指で北西を指さしランプを持っている。左手は腰に置いたポーズで広い空間のちょうど中心に立っていた…。

「なっ、なにあれぇ………」
「こんなのっこの森にはなかったはずだ……。なのになんで?」

遠くから見るとたいして大きくないものかと思っていたが、近づいて見ると軽く五メートルは超えていそうな巨大な人形だった。人形の表情は不気味に笑っている。

「うぅ……こわい…。こわいからあっちから行こう?」
「うっ、うん……」

恐怖のあまり人形を直視できないランファは人形が差す北西とは反対の南東に歩いていくことにした。

「(でも、あの人形が指さす方向…気になるな……)」

ルシアはどうしてもあの人形が気になり、人形が見えなくなるまでジーと不気味な人形を見つめ続けた。

あの人形があそこであのポーズをしているのはなんらかの意味があるのではないかと……。
 
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