真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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37部分:第三十三話 夏の始まり
第三十三話です
ではどうぞ〜
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第三十三話 夏の始まり
5月某日、京都内某所。
名所「決闘の地」は観光客でごった返していた。
「ね〜ばり〜、強〜く〜、生きていく〜んだ〜」
燕はステップしながら目的の場所に向かう。
「1日、いっしょく〜、なっトウ!トウッ!」
「燕ちゃ〜ん、キてる?」
「準備オーケーよん、おとん」
「相手は早く戦いたくて仕方ないみたいだよ」
久信の言葉を聞くと燕は対戦相手をみる。相手は筋肉質なアメリカ人だ。
「ハッハー!カモーン!」
「カラカル・ゲイル……表世界の全米格闘王者だけど、平蜘蛛は使わないでね、燕ちゃん」
「はいはい」
燕は軽いステップで中央へ向かう。
「お待たせ、じゃあ始めようか」
「それでは、九鬼家従者部隊序列42番、桐山鯉。この対決、見届けさせて頂きます松永様」
「ああ、しっかり見て、報告してくれ」
「ゲーイツ!私の勝率ハ?」
「99.9999%だヨ。兄さん」
カラカル兄弟は兄のゲイルが攻撃、弟が相手をコンピュータで分析するというスタイルで、無敗を続けていた。
「……でも、妙なんだ。松永といえば、武器が有名だろ」
「YES。槍とか薙刀とかが相手と思いましたが」
「彼女は、素手なんだよね。あまりに華奢じゃないか」
「HEY、ツバーメ。ワタシは素手ですが、遠慮無くウェポンを使っていいんですよ」
「お気遣いどうもです。でも私は素手でいいんで」
「さらに、着ている服。それで戦えるのか?」
「ふふ、今度転入する所の、制服なんですけどね。女子学生が戦うって感じほど……」
「観客の反応いいからね!ザッツエンターテイメント」
「兄さん、90%の確率で舐められてるよ」
「OH……ファァァァァーッッック!!」
激昂し、ゲイルは燕に向かって突進してきた。
「よろしくお願いしまーす」
燕はゲイルの拳をひらりと避けると、
「はあぁぁっ!!」
ゲイルの顔を蹴り上げた。蹴り上げられたゲイルが、地面に崩れ落ちる。
「馬…鹿、な…ジーザス」
「いやぁ強いね、手加減出来なかったよ〜」
「!手加減…収集してきたデータと、実際の戦闘力とでは違いがあったか」
「(9…と言ったところか)松永燕様…貴方の勝利です。おめでとうございます」
「いよっ、サムライガール!」
「どもども」
「全米と欧州王者のゲイルを倒すなんて!お見事ブシドー!」
「おひねりなんかも受け付けておりまーす」
「決闘なんてええモン見たわ!松永の名…覚えたで!」
「いいぞいいぞ、我が家名、再び高まったぞ」
「次はいよいよあそこかぁ。ん〜〜、学校生活面白そう」
「本来僕達まだ行かない予定だったけどね……好機をもらったんだ。なら行こう、神奈川へ…川神へ!」
久信が言うと燕は楽しそうな顔をした。思い出すのは1人の男の子。4年前からずっと、会いに来てくれた、初恋の人。
「もうすぐ会えるね……悠里くん」
今は川神にいる悠里の名前を呟いた。
同時刻、川神市
「は……くしっ!?」
「風邪か?悠里」
「いや……誰かが噂してるんだ……」
「オジサンに風邪移すなよ?」
「もし治すなら私に移してね…」
「どないしろと?」
俺は京の言葉にツッコミを入れる。
今、俺達は学校の依頼で売春グループの摘発に動いている。今回は依頼主兼、後処理としてヒゲ先生も一緒だ。俺のフェンリルは目立つから別方向から囮役のモロを尾行する。
「つかさぁ、女装が似合いすぎだよな、モロ」
「私でも性別間違えたんじゃないかと疑ったからな。もし女の子ならナデナデしたい」
モモと会話をしていると、モロに数人の男が取り付いた。どうやら組織の人間だな。
「モロに目標が接触した。こっちに尾行は見えない」
「確認したよ、男の後方にも男。周囲を確認中。悠里好き。付き合って」
「だそうだ大和。京、お友達で」
「わかった。まゆっちの方の信号に行くよ」
「確認しました。追跡に移ります」
「気配を消すのはお任せだぜ」
「あのまま行くと、本町の方に出るな」
「ガクト、本町の交差点に先回りしてくれ。そこでまゆっちと尾行わ交代してくれ」
「おうよ!モロの貞操のためだ、頑張るか」
ガクトが大和に返事を入れて、俺は別の道からモロの尾行を行う。大和が発案した尾行リレーは上手く行っている。
相手はこまめに連絡を取り合っているため、連絡が途絶えればアクシデントと思われる。一網打尽にしないといけないから、逃げられても困る。
「目標モロと車に乗っちまったぜ。ナンバーも伝えるぞ」
「2重尾行してた男も、その車に乗り込んだよ」
「追跡者がいないと判断してくれたかな…キャップ頼む」
「俺の疾風号で追い越せばいいんだな?」
「尾行だっつうに!途中で俺達の車と代わるから。ヒゲ先生、運転よろしく。兄さん、車に乗って」
「おう」
「わかった」
俺は車のボンネットの横を跳ねて着地。助手席に回って乗った。
「跳ぶだけかよ!?」
「いいからさっさとゴー」
ヒゲ先生のツッコミを無視して、俺達を乗せた車は走り出した。
車は本町を抜けて親不孝通りに入る。
「あのオーナー募集って書いてあるボロビルが、売春斡旋所の本部みたいだな。みんな入っていったぞ」
「根城に廃ビルを利用するって考えは皆同じなのかね?」
「モロからワン切り連絡が来たぜ!」
「敵は揃ってるみたいだな。武力制圧。指揮はキャップ」
「よし、俺とモモ先輩とクリスは、正面から行くぞぅ」
「悪の組織に踏み込みか。正義の血が騒ぐぞ」
キャップは2人を連れてガードマンに近づく。
「楽しくなってきたなぁ。こーんにちはっ」
「なんだお前らは帰れ。ここは入れないぞ」
「女が女を買ってもいいじゃないか」
「…!?お前、どこでそれを……こっちへ来い!」
掴もうとする男の首へ、モモの掌底が打ち込まれる。男は悲鳴にならない声を上げて倒れた。
「ガクト、ワン子、俺達も行くぞ」
「おう!」
「行くわよー!」
「まゆっち、締めはよろしく」
「はい、お気をつけて」
俺達は裏口に回ると、二階へと進む。バァン!とドアを蹴破ると、中の数人が外に逃げようとこちらに走ってきた。
「残念だが、」
「こっから先は行き止まりだぜ!」
「逃がさないわ!」
ガクトと俺ははこちらに走ってくる連中を薙ぎ倒していく。ワン子は窓から逃げようとする連中を、京の狙撃と一緒に追撃していく。
「て、てめぇら動くな!リアルで!」
「うわ、ちょっと放してよ!」
最後に残った男1人が、モロに拳銃をあて、人質にしながらビルから出てきた。
「あの、それ銃刀法違反…ですよ?」
「お前だって刀持ってるじゃねぇか!ってか、それ以上近づくんじゃねぇ!!」
ザン!ザン!ザン!
次の瞬間、男の拳銃は2つに割れて地面に落ち、服はキャベツの如くみじん切りになっていた。
「まゆっちのは…合法なんだぜ、ヤンキークン?」
「あ…あぁ、な、なんなんだよお前達は!?」
「俺の愉快な仲間達だ!」
「いやいやいや、俺と、だろ。お前のじゃないから」
「…特にやたら強い女達、なんなんだよお前達!」
「元気一番・努力大好き・川神一子!」
「悠里の正妻・あまり他人に話す口なし…椎名京」
「騎士道精神最高!クリスティアーネ・フリードリヒ」
「け、剣を使います、後輩の黛由紀江ですっ」
「3年の川神百代だ。武器は美少女らしく拳のみ」
「5人揃って!侍戦隊!!」
「川神レディース!!」
ドゴォ!
「横槍入れるなコラァー!いつまでも名乗れないだろ!」
「誰がレディースだっつーの!」
横槍を入れたガクトを5人はフクロにしていった。
「全員ひっくるめて、風間ファミリーだ。覚えておきな!」
最後にキャップが締めくくり依頼は終了した。ヒゲ先生はビルに入っていって、組織の被害者リストに川神学園の生徒がいないか探しに行った。
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今日はキングダムハーツ3D発売日!
……ただ、今回の話でソラが闇落ちしてヴァニタス復活との噂が……
どうなるのやら
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