シークレットガーデン~小さな箱庭~
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序章 出会いと別れ 3
前書き
「侵入者発見!侵入者発見。発見。」
二体の巨大な顔に小さな手足の巨大なロボットが待ち構るその先に
祭壇に横たわるヨナとそのそばに立つ誘拐犯の姿があった。
「ヨナーーー!」
ルシアは妹の名を呼ぶが
ヨナは寝ているのかそれとも… まったく反応がなかった。ピクリとも動かない。
ルシアが入って来たことに気が付いた誘拐犯は、ゆっくり振り返る。
「………」
誘拐犯は顔に厳つい般若の面をつけて敵意むき出しだ。
奴の殺意のこもった見つめる視線だけで殺されてしまいそうになる。
奴は歴戦の戦士だ。ただそこに立っているだけで、ルシアは呼吸をする事さえ困難になる。
「ヨナを……ヨナを返せーーーー!!」
恐怖を押し切り腰にさした剣を抜き、誘拐犯の元へと駆け走る。
誘拐犯は無言で腕を振りかざす。それが合図で二体のロボットがルシアに襲いかかる。
一体は巨大な剣を持ちもう一体は巨大な矛を持っている。
巨大な剣を大降りに振りかざし、それを避けている隙を矛でつかさず刺す連携プレイ。
狩り程度しか戦闘経験のないルシアにとってはきつい戦いであり
攻撃をかわしながらなおかつ敵に攻撃するのはなかなかできることではない。
「ぐはっ」
敵の矛が肺を貫いた。
口から大量の血が吐きだし 意識が朦朧とし始め足元がよたよたとなりおぼつかなくなる。
「(こんな……こんなところで僕は死ぬのか?
ヨナを助けられないまま…こんなところで僕は死ぬのか…?)」
ルシアの中でいろんな思いが走馬灯のように駆け巡る。
「(死んでたまるか!!………ヨナは、僕が、俺が助けるんだーーーー!!)」
死をも超えただひたすらに愚直に妹を救いたいと固く強く思い誓ったルシアの中に眠る獣が目を覚ました--。
「おぉぉぉぉぉ……!!!」
「……!?」
理性が吹っ飛び本物のバケモノと化したルシアの姿を見た誘拐犯は驚き思わず後退る。
恐怖という感情のない二体のロボット達は、先ほどの連プレイでルシアに襲い掛かった。
だがもう今ルシアは先ほどまでのルシアではあらず。
バケモノと化した今の彼は歴戦の戦士の何十倍の戦闘力を発揮し、赤子のように遊ばれていたのを逆にロボット達を赤子のように扱い あっとゆうまに粉々に破壊した。
「……ヨナを返せ」
まだ声変わりのしてない高い声が特徴的だったルシアの声は
低く低温の人の声とは思えないノイズまみれの声で静かに誘拐犯に言い放った。
「………」
誘拐犯は怖気づかず真っ直ぐにルシアを見つめかまえ巨大な魔法弾を創り出しはじめる。
それを見たルシアも剣をかまえ、
「おぉぉぉぉぉ」
無謀にも巨大な魔方弾を創りだした誘拐犯に向かって剣一本で立ち向かい走り出した。
…が
「だめーーーーーーーーーーーーー!!!!」
天井のない空から、神殿で別れたはずのランファが割り込んできて
ルシアと誘拐犯の間に降り立ち、ルシアの代わりに
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ランファーーーーー」
魔方弾を受け止めたのだ。
魔方弾の放つ光は部屋全体を包み込み 直接、弾には当たっていないがルシアも光に包まれあまりの眩しさに目をつむりなにも見えなくなった。
その隙に誘拐犯はヨナを抱えルシアに背を向け首だけ振り返り
「………我らの王のために」
とだけ言い残し シュッパンと何処か遠い場所へ瞬間移動した。
光が消えやっと見えるようになり 我に返ったルシアが見たものは、ボロボロに崩れ去ったロボットとの残骸と
自分を庇ったために瀕死の大けがを負い意識を失い横たわっているランファの姿だった。
もうこの部屋のどこにもヨナの姿はない-
もうこの世界のどこにもヨナは存在しない-
もう永遠にヨナは戻っては来ない……-
「そんなはずなんてない…。ヨナは絶対にどこかにいる。
どこかに囚われて寂しがって泣いてるはずだ…。僕が…僕が…僕が助けに行かなくちゃ…」
血をぼたっぼたっと垂らしならルシアは朦朧とした足取りでランファを抱え石の神殿を後にした…。
数日後
誰かが神殿に入ったと知らせを聞いた管理局委員の者達が調査をするため遺跡に入ったところ
月の花の花びらでつくられた道しるべは無くなっていたらしい。
ルシアが粉々に破壊したロボット達も消え、驚くべきことにルシアが大量に残した血痕がすべてきれいさっぱり無くなっていたそうなのだ。
いや正確にいうのであれば、最初からなにもなかった。
ここではなにも誰も立ち入っておらずなにも起きなかった、壊れた遺跡は 壊れたそのままの状態であったというのだ。
誰かが偽装工作したのか?
誰が?
なんのために――?
序章 出会いと別れ -終-
後書き
【鬼の仮面騎士】
名前:叢
読み:むらくも
年齢:23歳
性別:女
種族:ドラゴンネレイド
職業:騎士
容姿:顔には般若の面、紅蓮の鎧を着ている。
真っ赤な血の様な髪色サイドテール。
武器:包丁と槍
出身国:仮面の国
詳細:幾度となくルシア達の前に現れ襲い掛かってくる強敵。
襲ってくる目的は不明。冷静かつ明晰でまるでロボットのように的確に攻撃をし巨大な包丁による攻撃は高速で振り下ろされ、重い一撃となる。
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