復讐は地獄の様に
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第三章
「言った通りだったわね」
「凄い曲だったね」
「とんでもない高音で」
しかもだった。
「技術も」
「やっぱりわかる?」
「ええ、凄いわね」
「この曲はね」
本当にというのだった、ペテロも。
「絶品でね」
「よく歌えるわね」
「歌手の人もね、それでね」
「それでっていうと」
「この曲はヒステリーを表現したらしいよ」
「ああ、夜の女王怒ってたわね」
作品の中でとだ、エディタも言う。
「娘であるパミーナ王女に」
「自分の言うことに躊躇っていてね」
「それで怒ってるけれど」
そのうえでの歌だ。
「それはなの」
「女の人、母親の怒りをね」
まさにというのだ。
「表現した歌なんだ」
「そうなのね」
「そう、そうした歌なんだ」
「そういえば女の人が怒れば」
その時のことをだ、エディタは言った。
「ヒステリックにね」
「その時はだね」
「ええ、ああした感じに叫ぶわね」
「モーツァルトはその怒りを音楽にしたんだ」
「それもモーツァルトの才能故ね」
「そうなのね、ただ」
ここでだ、こうも言ったエディタだった。
「確かに怒る人はここまで怒るけれど私は」
「怒らないっていうんだ」
「私はね」
エディタ自身はというのだ。
「ここまで怒らないわよ」
「そうかな」
「そうかなって。私あんな風に怒ったことある?」
ペテロに顔を向けて彼に問うた。
「あったら言って」
「知っている限りではないね」
「そうでしょ、あそこまで怒ることは」
さらに言うエディタだった。
「私はないわ」
「そうだね」
「夜の女王怒り過ぎよ」
「プライドが高いっていう設定のキャラだからね」
「あそこまで怒るのね」
「そうだろうね」
「本当にね」
それこそとだ、また言ったエディタだった。
「この人怒り過ぎよ」
「そうした役ってことで」
「私はあそこまで怒らないから」
「絶対にだよね」
「誓って言うわ」
エディタの言葉は強かった。
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