真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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21部分:第十七話 学園生活
第十七話です
ではどうぞ〜
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第十七話 学園生活
2009年 4月20日(木)
多馬川に掛かる多馬大橋、別名変態の橋近くの辺にて、不良の集団(12、3人)が1人の女の子を取り囲んでいた。
「あ〜あ……アイツら、なんて運の悪い……」
その光景を俺は遠目で見ていた。俺は今バイクの横で背を預けている。このバイク『フェンリル』は九鬼財閥の九鬼揚羽さんが受け持つ軍事部門で開発された、試作大型二輪だ。フロント2輪・リア一輪の計3輪という奇抜な車体と性能を持っている。性能を追求し過ぎて誰も乗る人がいなかった所を俺が乗ったところ、問題無く運転出来たので、走行データを渡す代わりに揚羽さんから譲り受けた。ちなみに久信さんの改造もあってか性能はさらに上がってる。
「……と、もう時間か。戻って荷物取ってこないとな」
俺はフェンリルに跨ってエンジンを起動させると、その場を後にした。後ろから不良達の悲鳴が聞こえたが……いつものことだ。
荷物を持って川神院を出る。時間が少しズレた為、人は少ない。河川敷に不良達がテトリスのように積み上げられていたが……十中八九モモだろう。
校門を抜け、校舎に入って教室へ向かう。
「おはよう」
「天城くんおはよ〜」
何人かと挨拶を交わした後、自分の席に着いた。
「おはよう悠里、付き合って」
「おはよう京、お友達で」
中学の時に転校した都は、川神へと戻ってきて今は麗子さんの『島津寮』で生活している。住んでる大半がファミリーのメンバーだから退屈はしないだろう。
「そういえばキャップは?」
「まだ戻ってきてないよ。ケータイにも出ないし」
「なにをやってるんだか……昼あたりテレビに出てたりして」
「なんかありえそうで怖いよね……」
「そうなると……また心労が……」
「溜めすぎるなよ大和」
モロが俺の意見に同調すると、大和は頭を抱えた。始業のチャイムが鳴る。全員素早く席に着くと、廊下から担任である小島梅子先生が入ってきた。
「起立!礼!着席!」
「おはよう諸君。では出席を執る……」
出席を執り、HRを終えると小島先生は退室した。1人遅刻したやつがいたけど、そいつは小島先生の鞭で粛正された。小島先生が居なくなった瞬間、全員は力が抜けたようにへばった。何故これが問題にならないか不思議だが、打たれた奴らは問題にしないらしい。
「大和〜、宿題写させなさいよ」
「300円」
「何じゃその払えそうな金額!タダにすべきよ!」
ワン子は大和に宿題を借りようと……おい待て、
「オイコラ、ワン子」
ガシッ
「ひぃ!?」
俺はワン子の頭を片手で掴む。掴まれたワン子はブルッ!と体を震わせた。
「お前……宿題やってないってどういうことだ……?あれほどやっとけと言っただろ……?」
「ごごごゴメンナサイ!鍛錬夢中になって忘れちゃって!」
「言い訳になるかこのアホー!!」
「いだだだだだ!?」
俺はそのままアイアンクローで締め付ける。三十秒程したらワン子を解放した。
「ほら、俺の貸してやる。次間違えたらさらに強くするからな」
「はぃ〜……」
「結局貸すんだね、兄さん……」
「だから悠里って好き」
「お友達で。……まあ、いつものことだ」
川神一子。旧姓、岡本一子は俺が京都から戻ってすぐ、一子を育ててくれた岡本のばあちゃんが亡くなった。その後、親戚に送られる筈だった一子だが、モモの両親が養子に取ることを承諾して、めでたく川神一子となった。
「じゃあ、今度から悠里はお兄様って呼ぶわ!」
「ブッ!?」
この発言に俺は飲んでたお茶を吹き出してしまった。その後、どうにかして今まで通りの呼び方にしたが……
「そういえば兄さん、九鬼のやつが呼んでたよ」
「英雄が?わかった、サンキュー」
授業が近いので後で行くとしよう。教師が入ってきて、一限目が始まる。
一限目が終わると、俺はSクラスへと足を運んだ。
Sクラス。
いわゆる特進クラスで、エリート集団の集まり。入る条件に学年の成績中トップ50に入らなければいけない。そんなエリートクラスの前に来て、扉が開いた。
「おお、悠里じゃねぇの」
「よっ、英雄いるか?」
「ちょっと待ってろ。英雄ー、悠里が用事だぞー」
俺はクラスに入ろうとするが、中の数人はこちらを睨んできた。
このクラスの半数は他のクラスの連中はエリート意識、つまりは選民思考に染まっている。
ま、どうでもいいですけど。
「2-Fの山猿が此方達になんの用じゃ?」
「九鬼で作ったバイクの走行データの提出だよ」
「ようは小間使いじゃの。平民にはお似合「わ〜い、悠里だ〜!」」
着物を着た少女の言葉を遮って抱きついてきたのはユキこと榊原小雪。あのあとから偶にだがこっちに顔を出して遊ぶようになった。
ちなみに着物の方は不死川心。名家、不死川の生まれで性格は言わずもがな。
「こりゃ小雪!此方が話しておる時に……」
「フハハハ!九鬼英雄!降臨である!」
不死川が小雪とコントを演じていると、英雄が現れる。
九鬼英雄、名前の通り父のかつて働いていた九鬼財閥の長男にして揚羽さんの弟。京都の一件の後、ヒュームさんの下で修行してる時に仲良くなった。冬馬とも親友なので、よくしてもらっている。
「我が友悠里、なに用だ?」
「フェンリルの走行データ持ってきた。あと、改善点とかも一緒にあるから」
「うむ、ご苦労。あずみ!例の物を!」
「かしこまりました、英雄さまぁぁぁぁぁ!」
そう言って出てきたのは英雄の付き人であるメイドの忍足あずみ。九鬼家従者部隊序列1番。元傭兵で当時のコードネームは『女王蜂』。その手の方では有名らしい。持ってきたのは少し大きい袋だった。
「中にはフェンリルの部品が入っている。全て悠里の指示通りの物だ」
「ありがとう」
「気にするな。友の頼みは聞くものだからな!しかし……整備くらいならば我が九鬼の整備班が行うが……」
「自分でやりたいんでな。それに、タダで貰ってるんだ。できるだけ自分でやるよ」
「流石は一子殿の義兄上だ!それではよろしく頼むぞ!」
そう言うと英雄は上機嫌で去っていった。……相変わらず嵐の様な男である。
「悠里〜、ボク悠里のバイク乗ってみたい〜」
「じゃあ、今度乗せてあげるよ」
「やった〜!楽しみ〜!」
「悠里くんとツーリングとは羨ましいですね。というわけで悠里くん、今度の日曜にデートなんてどうですか?」
「なにがというわけでだ!?」
いきなり現れた冬馬に俺は驚く。この数年で冬馬は完全にバイになってしまった。しかもそのキレ味は増すばかりで正直怖い。
「む〜、トーマでもそれはダメ〜!」
「おやおや……ユキに妬かれてしまいましたか」
「いやぁ、若……流石にそれはどうよ……?」
準も呆れながらそれを見ていた。そんなこんなで、この時間は終わる。
その日の放課後、特にする事もないので川神院に戻って鍛錬をする。フェンリルの両サイドが開き、中からラックに収納された剣が六本現れる。その内の赤い持ち手が特徴の大剣を掴む。
この剣は久信さんが入学祝いにくれた物だ。3年半の時間を掛けて俺に合わせた調整のなされた剣。
知ってる人が殆どだろうが、この剣こそ、俺が転生の際に神様に頼んだクラウドの合体剣だ。フォルムとかはもう一緒だし……
俺が戦況に合わせられるように、と久信さんと燕ちゃんが考えて作ってくれたらしく、背中に背負うためのホルダーも送ってくれた。本来なら、燕ちゃんを助けてくれたお礼としてもっと早く渡す予定だったらしいが、俺は気にしなかった。俺の為に作ってくれた剣だし、なによりこの剣を使えることが凄く嬉しかったから。
「ハアッ!」
俺は一つ一つの動作を確かめるように剣を振る。今、俺が振ってるファースト剣が『アポカリプス』、柄まで刃があるものが『オーガニクス』、二振りの大剣が『バタフライエッジ』、二本の短剣が『ルーンプレイド』だ。全部を合体させた状態は『アルテマウェポン』。あの合体剣には正式な名称がないから、こうして名前がある。ただ、個人の偏見だからあまり気にしないでね。
素振りを終えアポカリプスを立てかける。あとは少し走ろうか、と考えてると、
「あ、悠里素振り終わったんだ」
ワン子がいた。タイヤを巻き付けてるから、これからランニングだろう。丁度いいから一緒に行くか。
「一緒に行くか?」
「行くわ!」
「やる気でなにより……」
というわけで俺とワン子は川神院を出た。河原の道を俺とワン子は走る。
「そういえば、悠里は転校生って男と女どっちだと思う?」
「なんで?」
「ちょっと気になっただけ」
「……興味ないね」
実際、どちらが来ようともあまり変わらないだろう。初めは騒ぐけど、後からは静かになる。ただそれだけ。
「ワン子は女だったっけ?」
「うん!いつでも勝負できるから!」
「頑張れよー」
「おー!勇・往・邁・進ー!!」
そんな感じに俺とワン子は河原を走った。
こんな感じが今の俺の日常。
いたって平和です。
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この小説のテーマ曲って何?
って友人から聞かれた。
なんでしょうね?
考えていませんでした
何かあれば意見お願いします
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