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夏休みが終わって

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第三章

「また迎えに行くわね」
「わかりました」
「さて、今日から新学期だから」
 朋子は娘と話した後壁にかけてあるカレンダーを見てまた言った。
「忙しくなるわね」
「そういえばそうなんだな」
 末森も言う。
「学校じゃな」
「そうですよ」
「何かこの仕事をしてるとな」
 野球選手をしていると、というのだ。
「学校の休みとかはな」
「関係ないですか?」
「ペナントはじまって終わるまで勝負って感じで」
「それで、ですか」
「あまりな」
「季節感はですか」
「はっきりとはしてないな」 
 そんな感じだというのだ。
「特にナイターが多い時はな」
「そうした感じになりますか」
「どうもな、けれどだな」
「はい、詩依ちゃんは今日から学校ですよ」
「わかった、じゃあ詩依今日からな」
 父親としてだ、未森は娘に優しい笑顔で声をかけた。
「学校もピアノも頑張って来いよ」
「はい、お父様」
 詩依は未森に笑顔で応えた。
「どちらも頑張ってきます」
「そうして来いよ」
「それでお父様もですね」
「ああ、今日も打って来る」
 父としてだ、娘に約束をした。
「ホームラン打ったらお土産買って来るからな」
「お土産ですか」
「ホームランの時の賞品をやる」
 このことも約束するのだった。
「楽しみにしているんだぞ」
「わかりました、じゃあ今から御飯食べて行って来ます」
「そうするんだ、じゃあお父さんは御飯を食べてから少し休んで」
 そしてとだ、未森は一日のことを考えはじめた。
「ランニングに行くか」
「朝から走られるんですね」
「ああ、いつもそうしているんだ」
 どれだけ雨が降ってもだ。未森は毎日走っている。毎朝二十キロ走ってそれから他のトレーニングをしているのだ。 
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