世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはStrikerS ~きょうか!!~
「さて、フェイト、なのは」
「うん」
「な、何をするの?」
フォワード陣の訓練の翌日、なのはとフェイトは蒔風に呼び出されていた。
昨日のフォワードたちの様子から、自分たちも何か教えてもらえるのか、と思っていた二人は期待半分怖さ半分といった心境だ。
だが蒔風が二人を呼び出したのは訓練室ではなく、デバイスを解析、修復する技術室だった。
「何をするかって言われてもな・・・・・お前らには特にないぞ」
「「へ?」」
蒔風の言葉に、二人は思わず変な声を出してしまった。
「なにもしない?」
「お前らはな。ほれ、レイハとバル出せ」
「え?ってひゃあ!?」
そういって蒔風がヒラリと二人の手元などを触れるか触れないかのスレスレの距離で撫でる。
きっと触れてないからセーフ・・・・・だろう。
うん、セーフだ。セーフなんだよ!!
しかしまあ、当の二人は触られてはいないものの、当然反射的に悲鳴が口からこぼれる。
が、蒔風はすぐに後ろを向いてシャーリーやマリーとコンピューターに向き合ってしまった。
「あの~~舜君?私たちは・・・・」
「お?別にもういいぞ?用があるのはこっちだし」
なのはの質問に蒔風がデバイスポットの中をクイッ、と親指差して答える。
そこにはいつの間にか掠め取られたレイジングハートとバルディッシュが浮かんでいた。
「あぁ!!?」
「い、いつの間に!?」
当のなのは、フェイトは当然驚く。
なぜならレイジングハートはなのはの首に、バルディッシュはフェイトの胸の内ポケットに入っていたのだから。
結局触れてんじゃねーか。
「セ、セクハラ!」
「そんなでかいもん胸につけてる方がセクハラだよ」
「好きでおっきくなったんじゃないよ!!」
「「「フェイト(ちゃん/さん)喧嘩売ってんの?」」」
フェイトと蒔風の口論は怒りマークを頭につけた三人の声にて一瞬で終わった。
と、蒔風が気を取り直して本題に入る。
「お前ら二人の技術だとかはもう俺が口出しするようなことはないよ。ったく・・・十年でホントに成長しちまってよ。おにーさんなんだか寂しいぞ?ま、あとの問題はお前らは自分の身体の後先考えずにバッカンバッカン撃ったり動いたりすることだ」
「「も、申し訳ございません・・・・」」
「ふぅ・・・年下は大人しくおにーさんに任せなさいっての・・・・まぁ、だから後はその負担を軽減できるようにこっちをいじくるだけだ」
そこまでいって蒔風が説明は終わったとばかりに再びマリーやシャーリーと話したりモニター見たり開翼したり閉じたりし始めた。
「あ、あの・・・・私たち、これから訓練が・・・・」
「ん?ああ、行ってきても大丈夫だぜ?」
「いやあの、デバイスがないと・・・・」
「フォワードはヴィーナムが見てるから大丈夫だろ?お前ら二人で組み手でもやっとけ」
「ヴィ―ナム・・・あ、あの二人か」
いやにそっけない蒔風。
まあ、その分デバイスの方に集中しているということか。
「だからさ、ここでこいつの機構をどうにか組み込んで・・・・」
「でも仕組みがあんまり・・・・」
「じゃあ今こうやって・・・」
「そっか!で・・・・」
あーだこーだと話し合ってモニターが出ては横に逸らされ、また前に持ってきて等を繰り返して話を進める三人。
なのはとフェイトはそれを見て唖然としてしまうが、とりあえず訓練場に行こうか、ということになり、ため息をついて部屋を出ていった。
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「なのはのこいつはビットまで出んのか」
「はい。だからこそ本人にかかる反動や負担も大きく・・・」
「なのはの身体にそんなもん抱えさせちゃいけないよ」
「そうですよね・・・・八年前みたいのは嫌ですもんね・・・・」
「だからこれを・・・・・・」
「なにこれ」
「フェイトさんのリミットブレイクですけど」
「エロいな」
「あ、やっぱり?」
「フェイトさん肉付きもいいですからねー」
「なんだ?これで相手を悩殺か?」
「いえいえ、そうではなく、速さを追求した結果ですよ」
「なるほど、無駄を省いたんだな。だが・・・・」
「エロいですよね?」
「エロいっすねー」
「恥ずかしくないのかね、あいつ。ま、速さならこうして・・・・・」
「それいい!」
「やりましょう!」
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「と、言うわけで出来ました」
「「なんだかトントン拍子だ!?」」
なんとなく叫んだ二人だが、出来たもんはできたんだからしょうがない。
午後のお昼の席で蒔風がなのはとフェイトにレイジングハートとバルディッシュを返却する。
組み込んだ機構に関しては内緒だが、まず確実に力になるとのことらしい。
「なのは、フェイト。おまえらは「無茶すんな」って言ったところで絶対するだろ。だからしても大丈夫なもん取りつけといた。ぶっつけ本番でも大丈夫で、そしてかなり使えるものだが・・・・やっぱ限度回数ってのはあるからな?よく聞いておけよ?」
「ダメだよ舜、なのははそんなこと言ってもきかないよ」
「ダメだよ舜君。フェイトちゃん平気で無茶するんだもん」
同じ顔で同じようなことを言って、一瞬の間をおいて互いの顔を見るなのはとフェイト。
ニッコリ笑った一瞬後、ガシィッ!と互いの手を握りしめてギギギギ・・・と力比べみたいな事を始めてしまった。
「フェイトちゃんっていつもいつもアホみたいに危ないところ行っちゃうんだから」
「なのはも人のこと言えないよ?全部抱え込んで先の事考えないでバカみたいに砲撃撃つんだから」
「バカって言った!?」
「アホって何!?」
「テメェらどっちもどっちじゃボケェ」
ガツン!!と頭に拳骨食らわせて怒鳴る蒔風。
その足元ではしゃがみ込んで頭を押さえる/(T△T)\なのはとフェイトが涙ぐんでいた。
「そ、それをいうなら舜だって・・・・」
「シャラッ!!」
「自分の命を何とも・・・・」
「黙らっしゃい!!!」
「ん?なにやっとん?」
と、そこに昼食を取りに来たのか、はやてが通りかかる。
どうやら今日の昼食はとんかつのようだ。
「げん担ぎか?」
「そや。こんな時だからこそこう言うもん食わんとな!!」
「めったに動かない役職なのにそんなカロリー高いの食ってからに・・・・・」
「う、うっさいわ!!!それより、あっちはなんなんや?」
そう言ってはやてが箸でなのはとフェイトを指さす。
と、言っても蒔風のすぐ後ろだが。
いまだに蒔風にギャーギャーと言ってくる二人を、今の今まで完璧にスルーしていたのだ。
「なのは、フェイト。そろそろうっさい」
「「舜(君)が聞いてくれないからでしょ!?」」
二人の言葉にさらりとした態度で受け流し、デバイスの説明の補足を入れるため、蒔風が指を立てる。
「おおすまん。でだな?もしおまえらが限界数超えて使用しようとした場合なんだが・・・・・」
「う、うん・・・・」
「デバイスの方が損傷する。しかも直るまでずっと「あのときあなたが無茶しなければ・・・・」といった趣旨の言葉を呟いたりやメールを送り続けてきます」
「「なにそれ怖ぁ!?」」
想像してたものと違い、あまりにもねちっこいその後始末に背筋が凍る二人。
それを見て蒔風とはやてが心底面白そうに笑っていた。
「あっははははははは!!!!そらいいわ!!二人の無茶にはうちも困ってたんやからな?」
「ほんとほんと。やめろっていってもやめねぇんだから、ったくなぁ?」
と、そう話し込んでいる四人の後ろに、今度はシグナムとヴィータがやってくる。
彼女らも昼食のようで、騒いでいる四人に呆れ半分笑顔半分といった感じで隣に座った。
「蒔風。私たちの訓練の方は午後になるのか?」
「あたしらは大丈夫だからな。いつでも相手してやんよ!!」
「あ、そういえばうちもそうやな。それとも、うちらもデバイスいじくるだけか?」
シグナム、ヴィータ、はやてが順番に蒔風に訓練の内容を聞いてこようとする。
それを聞いて蒔風がう~~んと唸りながら、腕を組んでしまう。
「シグナムもヴィータもそこまで強化するとこ見当たらないし、はやてはどっかのバカみたいに無茶するようなやつじゃないし・・・・・ま、特にはないかもしれないな」
「あ、そ、そうなん・・・・・」
「ん?残念そうだね?」
「いや、うちらとしても身体は動かしときたいからなぁ」
「あたしたちだと生半可な相手じゃおちおち本気の模擬戦も出来やしねーからよ」
「それに比べて蒔風が相手なら、私たちでも本気が出せると言うものだ」
と、なんだかんだいってる彼女らだが、ようは言いたいことは一つのようだ。
「「「やらせろ」」」
「こんなんでも俺、腕くっついたばかりの病み上がりなんですけど!?」
「こっちはスカリエッティのせいで鬱憤たまっとんのや!!!!」
「それは私もだよ!!あの狂人・・・・一体どれだけ人に迷惑を・・・・」
「あ、じゃあ私もやろうかな」
「私ももうこれ以上お前と戦えないのは嫌だからな。十年前の雪辱、晴らさせてもらう!!!」
「あたしはとくにねーけど二人がやんなら、って感じだな」
「シグナム&ヴィータはわかるけどお前ら三人はただの憂さ晴らしじゃねえか!!」
「うちらが全力で相手しても大丈夫なんって舜君だけなんやから」
「しかたないよ」
「そうなると今度は俺が手加減しないといけないんですけど・・・・」
「ほう、よくいった」
「だったら手加減できないまでやってやる」
「お前ら決戦前って理解してるのか!?」
と、やっぱりギャーギャー言い合う一同。
結局、この後蒔風ははやてにバインド掛けられて訓練場に連行。
三十分後にはボロ雑巾のように訓練室から出てきた。
それでもなんとか勝ったのは「世界最強」の意地だろうか。
ちなみにその時の戦闘状況、はやて曰く
「いきなり「腕がとれる」なんて言われたら、そら「はっ!」とするわ・・・・・卑怯やで、あれ」
だそうだ。
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そして三日目の朝
蒔風はアースラではなく、管理局の本局に来ていた。
と、言うのも、保護を受け、現在更生中のナンバーズに会いに来たのだ。
彼らの保護施設は非常に解放感があり、とても施設内だとは思えない広さがある。
たまにギンガやスバルが顔を出して、今後の事などを話しているのだそうだ。
「おまえら人生楽しんでいますか!!!!」
「「「「「「「おぉーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」
そこの扉を開けて開口一番、蒔風が叫んでナンバーズが応える。
一応メールで簡単なやり取りはしていたのだが、やっぱり直で会うのは大きいようだ。
「舜!!腕はくっついたのか?」
「お菓子とかないっすかね?」
「スパーやろうぜ!スパー!!」
「ま、待てお前達、まず姉が挨拶をだな・・・・・」
「こんにちは、舜さん」
「舜さん、お久しぶりです」
「舜~~~プール行きたいよ~~~」
蒔風の状態を聞くディエチ、おみやげを期待するウェンディ、組み手を希望するノーヴェに一歩遅れたチンク。
更にペコリとあいさつをしてくるオットーとディード、最後にセインが遊びに行きたがっていた。
「おうおうおうおう、おまえらちょっと待ってくれ。今日は話があってきたんだよ」
一気に囲まれて困ってしまった蒔風が、どうどうと全員を落ち着かせてから座らせて、今日来た旨を伝えた。
「今日はお前ら全員と・・・・・・身体の調節に来たんだ」
「身体の調節?」
「おう。聞いての通り、見ての通り、俺の左腕は一回千切れて、なんとかくっついた。で、治ってから動きはしたがどーにも本気で動ける相手がいねぇってわけで」
「そこで私たちですか?」
「そう。なのはたちじゃ怪我なんてさせたら戦いに支障がでるからね。ある程度の怪我もさせられん。怪我してもまあ大丈夫だろうな相手がお前らしかいないのよ。だからお願い!!お願いお願い!!!」
蒔風が両手を合わせて懇願する。
その姿を見て、ナンバーズはというと
「いいぜ!!あたしははなっからそのつもりだったしな!!」
「おもしろそーっすね!!」
「あん時負けた分は返す!!」
「舜さんのお願いならば」
「私も、異論はありません」
全員乗り気なようだった。
だが、ノーヴェがそこでハイ、と手を挙げて蒔風に聞く。
自分たちの装備はどうするのかと。
「「「「「「あ」」」」」」
「私たちの武器は当然だが全部没収されている。能力だけでも戦えない事はないだろうが・・・・そもそもそんなこと自体許されるのか?」
確かに。
自ら投降したとはいえ、彼女らが凶悪犯罪の一端を担っていたのもまた事実。
面会ならともかくとして、模擬戦、更に武装なんて事が許されるはずなどないのだ。
が、そこはこの男。
そんなルールなどお構いなしだ。
「そんなもんはここに用意しておきました!!!(バサァ!!)」
「「「す、スゲーーーーーーーーー!!!!」」」
「「おお・・・・」」
「「どっからどーやって出したんだ!?」」
蒔風がいつの間にかそこにあった、布のかかったなんかの山に近寄ってその布を一気にはぎ取る。
するとそこに現れたのは彼女らの武装のすべてだった。
ライディングボードからスティンガーナイフ、ガンナックル&ジェットエッジにイノーメスカノン、ツインブレイドのすべてがあった。
「各自自分の武装を持って位置に付けー。ソッコーで始めるから」
「い、今からですか?」
「そ。ほらほら!!はじめっぞ~~~~」
「い、急げ!!あの男はやると言ったら本気だ!!!」
「あたしは万全だ!!」
「「ノーヴェ早ぁ!?」」
「ディード、はい」
「ありがとう、オットー」
「ではゴングは僭越ながら私が取らせてもらいます」
ナンバーズが準備を終え、朱雀が現れてスタートを切ろうとする。
前方にはノーヴェ、ウェンディなどの近距離の者。
後方にはチンク、ディエチなどの遠距離の武装を持つ者が立ち、蒔風に向き合う。
「では・・・・始めっ!!!」
to be continued
後書き
アリス
「次回はナンバースとの?」
いいえ。そこは飛ばします。
次回はそこから少し後で、スカさんの宣戦布告からです。
アリス
「次回!!戦いに火ぶたが、切って落とされる!!!」
ではまた次回
愛おしい日々を 刻みこんだamulet
in my precious days
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