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歌集「春雪花」

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 いたずらに

  降りいづる雪の

   冷たさに

 心凍らば

   憂くもなかりき



 ただ静かに積りゆくだけの雪…いつかは溶けて消えゆくだけ…。

 然して意味もなく降り頻り…全てを凍てつかせてゆく…。

 どうせならば…私の心さえ凍らせてくれたなら、こんなに憂いを感じることもないのに…。


 こんなに…彼を想うこともないのに…。



 侘び濡れて

  見上げし月に

   重ぬれば

 落つる涙も

   凍りつくかな



 彼を恋しく想い見上げた空には…眠る真冬の大地を照す月…。

 会いたい…そう願っても会える訳もなく、彼の笑顔を冷えた月に重ね見る…。

 私のことはもう忘れているのかも知れない…。
 いや…最初から必要なかったに違いない…。


 心に流れた涙は…真冬の風に凍りつき、ただ胸に刺さるだけ…。



 
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