| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣聖がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか

作者:沙羅双樹
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第8話

 
前書き
約2ヶ月振りです。沙羅双樹です。

今回はベル君専用武装の製作話です。

ぶっちゃけ、神の宴の描写は殆ど飛ばされてます。(笑)

一応言っておくと原作ダンまちとは異なり、ヘスティアはまともなドレスを着てガネーシャの神の宴に参加しています。
(ドレス購入者は勿論テレシア。ただ、そういった描写は他の二次創作でもよく使われているので割愛しました)

久し振りの投稿なのに駄文かもしれませんが、それでも楽しんで頂けると幸いです。
 

 



【視点:ヘスティア】



どうも!ヘスティア・ファミリアの主神のヘスティアだよ!ボクは今、摩天楼(バベル)にあるヘファイストス・ファミリア本店の主神専用工房にいるんだ。

目の前では我が最初の眷属であるテレシア君と我が神友でヘファイストス・ファミリアの主神であるヘファイストスが共同作業で武器を鍛っている。

え?話が跳び過ぎていて意味不明?あー…、確かにボクとテレシア君が本拠地(ホーム)を出てから3日は経ってるからね。その間に起こった出来事を簡単にでも説明しておくべきかな。

まずは僕の最も愛している眷属――ベル君のことを話そう。ベル君は約半月前にヘスティア・ファミリアに入団した新人冒険者なんだけど、テレシア君と出会ったことでスキルを発現し、ステータスの熟練度が飛躍的に伸び始めたんだ。

それに伴ってギルドで支給されている新人冒険者用の武器の耐久力ではベル君の戦闘に耐えられなくなった為、ボクはベル君に新しい武器をプレゼントしようと思った訳さ。

正直、アトゥイ君の副武装であった一級特殊武装(スペリオルズ)の『水魔の短剣』が譲渡されていたから必要ないかもしれないけど、それでも僕個人がベル君に何かしてあげたいと思ったんだ。

で、鍛冶の神友に武器製作を頼むべく、元々参加する予定ではなかったガネーシャ主催の神の宴に参加することになった訳なんだけど、そのことをテレシア君に感付かれてしまってね。

その時にテレシア君からベル君専用武器を渡すなら斬魄刀シリーズの一振りをベル君専用に改造してみないかという提案されてしまったんだ。

ちなみに斬魄刀シリーズはテレシア君が造った武器シリーズで、鍛冶系派閥(ファミリア)の鍛冶師だけでなく鍛冶神であるヘファイストスやゴブニュ、アメノマヒトツなども興味を持っている超級特殊武装(スペリオルズ)である。

というか、オラリオで唯一超級特殊武装(スペリオルズ)を鍛てる鍛冶師として、テレシア君自身も鍛冶系派閥(ファミリア)の主神に興味を持たれている。

特に東洋系鍛冶神であるアメノマヒトツ――アメは斬魄刀の封印形態が刀ということもあって、テレシア君への興味が神一倍強く、顔を合わせる度に引き抜きの話をしてくる始末。

テレシア君に改宗(コンバーション)する気が無いんだから、アメもいい加減諦めろって思うよ。……っと、少し話が逸れたね。

兎に角、鍛冶神の協力を得られれば短期間で斬魄刀の一振りをベル君専用に改造――というか鍛ち直せるとのことで、当初の予定とは変わったものの鍛冶神と接触する為、ボクはガネーシャ主催の宴に参加したという訳だ。

そして、都合よく鍛冶神三神衆と鉢合わせたボクが話を持ち掛けると、3柱(さんにん)とも面白いほど食い付いてきたんだ。まぁ、鍛冶神としては世界初の超級特殊武装(スペリオルズ)の改造にどうしても関与したかったんだろう。

最初は斬魄刀の封印形態を理由に、アメが斬魄刀改造の権利を主張し、使用者――ベル君の主武装が短剣であることを知ったヘファイストスとゴブニュも負けずに権利を主張。

他にもアメが3柱(さんにん)の中でテレシア君と一番親交があると主張したり、ヘファイストスがボクと昔馴染みだから一番権利があると主張したり、ゴブニュも特級特殊武装(スペリオルズ)の開発でテレシア君と意見交換を行ったと主張していた。

最終的には斬魄刀改造の権利をジャンケンで決めることになったんだけど、最初に負けたアメが凄かった。3日前のことだけどインパクトがあり過ぎて未だに記憶に残っている。

だってアメの奴、血涙流した鬼相で――――


「貴様らは……、貴様らはそんなにも鍛ち直したいのか!?そうまでして彼女の鍛った武器に手を加えたいのか!?貴様らはッ、鍛冶神としてその行いに何一つ恥じることは無いのか!?」


って叫び始めたからなぁ。そんなアメに対してヘファイストスとゴブニュは―――


「……いや、あんたも彼女の鍛った武器を一緒に鍛ち直したいからジャンケンしたんじゃないの?」
「ヘファイストスの言う通りだ。大人しく負けを認めろ」


こんな感じで呆れつつも、冷静に対応してた。そんな2柱(ふたり)の反応が予想外だったのか、アメは―――


「くそッ!赦さん……、断じて貴様らを赦さんぞッ!刀のかの字も知らん貴様らが、彼女の鍛った武器に手を加えるなどッ!!己が欲望に憑かれ、鍛冶神の誇りを貶めた亡者共!!斬魄刀に呪いあれ!その能力(ちから)に災い―――」


宴の会場で他の神から注目されることも気にせず再び叫び始めたんだけど、ヘファイストスとゴブニュは―――


「それじゃあ、ゴブニュ。決着を着けましょうか?」
「ああ」
「…………」


アメの存在を完全に無視して勝負の続きを始め、2柱(ふたり)の態度にアメは完全に絶句してしまっていた。僕自身、2柱(ふたり)の態度に―――


「ちょっ、2柱(ふたり)共!?アメのことは無視なのかい!!?」


とツッコミを入れてしまったくらいだ。ちなみにヘファイストスとゴブニュに無視されたアメは、その悲しみからなのかスモークチーズを齧りながらにょろーんとなっていた。その後、ゴブニュもヘファイストスに負けて現在に至る、って感じかな?

あっ!あと、テレシア君が斬魄刀鍛ち直しの協力費の担保としてヘファイストスに一振りの斬魄刀を渡してたね。その斬魄刀の名は『鞘伏』っていうんだ。

テレシア君曰く、『鞘伏』は基本形態が始解で固定された常時開放型斬魄刀、だそうだ。ヘファイストスの協力費は私が支払うことになってるから、支払い終わるまで担保として『鞘伏』をヘファイストス個神に預けるとテレシア君は申し出たんだ。

ヘファイストスは斬魄刀の鍛ち直しだけでなく、担保の件でも喜んでいたなぁ。あんなニヤケ顔のヘファイストス、天界でも見たことが無かった。

正直、反応を見る限り斬魄刀の鍛ち直しなら無償で協力してくれたと思うけど、自分から担保を差し出す辺り、テレシア君は真面目な子なんだと思う。

いや、むしろ真面目な性格だからこそ斬魄刀の鍛ち直しができるのかもしれない。何故ならテレシア君はヘファイストスと共に休むことなく、現時点で2日2晩も斬魄刀だった素材を大槌で鍛ち続けているんだから。

最初は鍔も柄もない大刀と石包丁みたいな形状の小刀だった二刀が今では完全に混ざり合って1つの素材となり、一刀の大刀として鍛ち直されている。そして――――


「……ヘスティア様、仕上げです」
「漸くボクの出番だね」


ベル君の為に鍛ち直された斬魄刀を完成させる最後の工程に入った。解放状態だけでなく封印状態でも所持者――ベル君と共に成長する斬魄刀へと仕上げる工程に。


「これを使いなさい」
「ありがとう、ヘファイストス」


ボクはヘファイストスから手渡されたナイフで指先を少しだけ切り、出てきた神血(イコル)を完成直前の斬魄刀へと一滴垂らす。

すると鍛ち直された斬魄刀が光を放ち、発光が治まると柄も鍔もハバキもない東洋の出刃包丁と呼ばれている調理用ナイフの様な大刀が完成していた。

その刀身は白銀の刃と漆黒の峰の2色に別れ、神血(イコル)を加えた証拠である神聖文字(ヒエログリフ)が刻まれている。


「これが―――」
「はい。ベル君の為に鍛ち直したベル君だけの斬魄刀です」
「銘は決まっているの?」
「はい。この斬魄刀の銘は『――』です、ヘファイストス様」
「『――』……、いい名前ね」
「えぇー!どうせならもっといい銘にしないかい?『羅武(ラブ)辺素照衣亜(ヘスティア)』とか」
「何よ、その駄作臭極まりない銘。『――』の方が断然いいわ」
「というか、ヘスティア様の考えた銘を『――』が全力で拒否してますね。ヘスティア様がその銘を口にした瞬間から『――』の刀身が曇り始めました」
「………そういえば、貴女の鍛つ特殊武装(スペリオルズ)は斬魄刀も含めて高位精霊みたいに意思を持つものが多いんだったわね。名刀を鈍らにしたくなかったら変な銘を付けようとするのは止めなさい、ヘスティア。」
「うぅ~、分かったよ。『――』君の銘を変えたりしないから、機嫌を直しておくれ」


ボクが『――』君にそう言うと、曇っていた『――』君の刀身が輝き出した。どうやら『――』君は機嫌を直してくれた様だ。というか斬魄刀には本当に意思が宿っているんだね。


「それでは私はこれから『――』の封印処置を施しますね。斬魄刀の能力解放はどの団員も自分の力で行ってきたことですから。あと、『――』をベル君に渡す時、銘を教えたりしたら駄目ですからね。ヘスティア様」
「分かっているよ。『――』君の名前を自力で聞き出すこともベル君が強くなるのに必要なことだからね」


ボクがそう言うと、テレシア君は『――』君に封印処置を施し、1本のナイフへと姿を変えた。そして、封印状態の『――』君に合った鞘を作ると『――』君の刀身を鞘に納め、僕に手渡してきた。


「では、ヘスティア様。『――』を持って先にベル君の所に行ってて下さい」
「え?テレシア君はどうするんだい?」
「私はヘファイストス様と『鞘伏』のことについて少し話して行きますので」
「私も鍛冶神として聞きたいことがあるから」
「そうか。そういうことなら先にベル君の所に行かせて貰うよ」


ボクはテレシア君とヘファイストスにそう告げると、『――』君を手にベル君の所へと向かうことにした。


 
 

 
後書き
さて、ついに完成したベル君専用斬魄刀。

その銘は一体なんなのか?ベル君は果たして斬魄刀の名を呼べるのか?

という訳で次話は怪物祭の話になるんですが、ベル君ルートの話とテレシアルートの話のどっちを先に書くかで迷ってます。

ちなみにベル君ルートは原作と同じくベル君vsシルバーバックですが、ステータスが原作より高くなっている上、斬魄刀を手にするので大分違うと思います。

テレシアルートはオラトリアのロキ・ファミリアvs食人花にテレシア&ルルティエの氷結コンビが介入する話にします。
(もしかしたら、アトゥイも介入するかも(笑))

さて、どちらを先に書いたらいいか?感想にでも意見を書いて頂けたら幸いです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧