世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはStrikerS ~迫りくるそのとき~
模擬戦が終わって皆で食堂に到着し、各々が自分の朝食を手に取って座っていく。
「いただきます!!!」
「いただきまーーす!」
テーブルの割り振りとしては
フォワード&ギンガ
なのは・フェイト・ヴィヴィオ
そしてなぜか一人でテーブルに座った蒔風だ。
「なんで舜君そっちいるの?」
「なんだろうか・・・・嫌な予感しかしないのでねぇ・・・・・」
そんなことを言いながら蒔風がふと、フォワード陣のテーブルを見る。
そこには山もりの食糧があった。
え?もうご飯とかそんな言い方じゃおかしいので「食糧」ですが?
それにガッついていくスバル、ギンガ、エリオ。
そう、ギンガもまた、スバルのようにたくさん食べる子だったのだ。
しかし真に恐ろしいのはギンガ一人しか増えてないのに置かれている食糧はいつもの五倍に増えていたことであろう。
「あれ・・・・食い切れんのかな?」
「スバルとエリオもたくさん食べる子だけど、ギンガはもっと食べる子だったんだね・・・・・」
別のテーブルのため、背中合わせで会話をするなのはと蒔風。
と、話しているところにドドドドドドドドドッッ!!!と走ってくる音がしてきた。
どうしますか?
・振り返って確認する
・めんどくさそうになるのでスルー
・「たぬきーーー」
「たぬきーーーーーー」
「誰がタヌキじゃボケエエエエエエエエエエ!!!!」
「ナイスミドルッッ!?」
選択肢が頭に浮かんだ気がして、蒔風は好奇心に勝てなかった。
その言葉を口にした瞬間、音の元であった八神はやての素晴らしいケンカキックが座っている蒔風の横っ腹に命中し、その体が吹っ飛んでゆく。
何故選んだし。
「グオオオオオオオオオオオッ!?ヒール!ヒールがッ!?ハンマーのようだッ!?」
バタバタと床を悶える蒔風、見下ろすはやて。
そんな床には蒔風の朝食が散らばって・・・・・いなかった。
「・・・・健康ゼリー・・・・いただきます・・・・」
「味噌汁は貰ったぁ!!!」
「やったぁ!!アジの開きぃ!!」
「白米、シンプル最高!!」
「納豆は健康にいいんですよね」
いつの間にか出てきた強奪集団(青龍たち)が宙に舞う朝食をキャッチ、そして食ってから消えていった。
嫌な予感ってこれか。
それを見届けて、はやてにキャロがおずおずと聞いてきた。
「や、八神部隊長・・・・どうしたんですか?」
その言葉にはっ、と我に返ってはやてがここに来た理由を思い出した。
「そ、そうや!!!皆聞いて!!実は六課の食料代が・・・・・」
「ゲほっ・・・・それなら今朝来たギンガがメキメキとエンゲル係数を上げてますが」
「いやああああああああああああああ!!!!!(ドスッ!!)」
「目が!!私の目がアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
再び地面を転がる蒔風、取り乱すはやて。
その割には眼への攻撃が的確だった気がするが気のせいだ。
⊂二二二( ^ω^)二⊃ <二、三分後!!
「ふう・・・すまんな、舜君」
「いやなに、身体貫かれるよかマシ」
落ち着いたはやてが回復した蒔風に謝ってからやっとのことで本題に入る。
「六課(ウチ)の食費が大変なことになってます」
「いまさらか」
「やっとですね」
「むしろ良く持ち堪えましたね」
「はやてちゃんはよくやったよ」
蒔風の言葉に、ついに来たかとティアナ、感心するキャロ、ねぎらうなのは。
その言葉にはやてがなのはに縋りついてさめざめと泣いていた。
「うう・・・・あ、ありがとうなぁ・・・・(T△T)
いやね?エリオの食べっぷりはフェイトちゃんから聞いた事あったし、スバルの事も初日で知った。だから食費分の予算を先に割り当てて余裕はあったんやけども・・・・・・」
「なるほど。毎日の訓練で日に日に食べてく量が増えていったと」
「そうなんよ・・・そこでギンガまで来たら大変なことに!!!」
「「「す、すみません・・・・・」」」
そんな話に当のスバル、ギンガ、エリオが委縮してしまう。
それを見て蒔風が肩を叩いて気にすんな、と笑って見せた。
「はぁ・・・・おにーさんに任せなさい。金の問題ならどーにでもなるから」
「ぎ、銀行強盗!?」
「詐欺はいけませんよ!?」
「いや?でもここで私が事前に犯罪を食い止めれば執務官試験に有利かも・・・・・」
「ティア!?私ティアが何を言ってるのか分からないんだけど!!??」
フォワード四人が次々とおっ立てる推測に肩と頭を下げ、頭をフルフルと振って蒔風が墜ち込んでいた。
「しゅ、舜君・・・・」
「ほ、ほら!!つまりなんでもできるって頼られてるんだよ!!!」
「そんなことより金や。持っとるんだったらはよ出しぃ」
励ます三人?の声に少し元気の出た蒔風が説明を入れる。
「言葉の事はお前らも知ってんな?それと同じで、世界ごとにお金も違ってくるだろ?だから俺には各世界に行った際それなりの金が支給されてんの」
「それってどれくらいなん?」
そのはやての質問に蒔風が首をかしげて「さぁ?」と言いながら財布を取り出す。
すると出てくる出てくる。
ひっくり返して財布を振ると、お札がヒラヒラと。
その量は明らかに財布の許容量を超えており、異次元にでも通じているのかというほどだ。
ゴクリ・・・・・・
「誰かの唾を呑む声が聞こえた。そして振り返るとそこには凄い目をしたはやてがいた」
「なんでナレーション風!?」
「ま、とにかくこれだけあれば食費はどうにかなんだろ。ってか、みんなで食いに行くのもいいかもな」
「私焼き肉!!!」
「私は旗の刺さったランチ食べたいです!!」
「前に部隊長が言ってた「オスシ」って食べてみたいですね」
「ラーメンとかカレーもいいです!!!」
「お前らもう食う気満々かコラ!?」
なんだかフォワード陣も蒔風に容赦なくなってきてる気がする。
と、そこで蒔風がふと思い至ってはやてに訊いた。
「なあ、今はこれでいいとしてさ、実際どうするつもりだったの?」
確かにそうだ。
蒔風が持っていたからよかったものの、持ってなかったらどうするのか。
「そこは・・・・六課がちゃんとした実績さえ上げれば予算なんかウハウハや!!」
「でも確か一年間の実験部隊だったよね?」
「うぐ・・・・」
「ヴィヴィオ、よく見ておけ。これが「取らぬ狸の皮算用」って言うんだ」
「たぬきー?」
「タヌキだ」
「そこ、いらんこと言わんといて」
「そういえばこないだ査察もあったんだよな?」
「そうやね。地上本部のレジアスのおっちゃんはどーにもこの部隊を潰したいらしいんや」
そう言いながら自分も朝食をとるはやて。
うーむと蒔風が腕を組んで考え込む。
「あーあ。あのとき来た女の人って、目つき怖かったもんなァ」
「オーリス・ゲイズ三佐やね。きっとうちのあら捜しでもしとったんやろ」
「あのときか。お前らに部屋に押し込められて大変だったときか」
「だって舜くんいたらなにしだすかわかんないし」
「そもそも舜君の入隊はイレギュラーやから、いらん事されたら困るからなー」
「どんだけ信頼ないんだよ・・・・・」
「じゃあ会っていたらどうしたんですか?」
「フッ、幻術を見せて堕とします」
蒔風が手をワキワキ、顔をニヤニヤさせながら言い放った。
「ほう・・・どうやってや?」
「ありとあらゆる辱めを受けさせてから完全な○○○にして、△△で■■を・・・・・・」
「ダメーーーーー!!!!!」
蒔風のその発言になのはが大声をあげて止めさせる。
後ろの方では困った顔をしてフェイトがエリオとキャロの、はやてがヴィヴィオの耳を塞いでいた。
聞いていたスバルとティアナは顔を赤くしてうつむいている。
何をする気なんだ、ナニを。
「耳キーーンだ・・・・・じゃあそうだな。もっと温和にして、適当に引き付けるか?他の世界のやつの力でも使えば簡単に・・・・・」
「お?色落とし?舜君も多彩やなぁ・・・・」
「それもダメーーーー!!!!」
更に提案する蒔風に、再び声をあげてやめさせるなのは。
フェイトはもう呆れていた。
「しゅ、舜君!!そんな不埒な事はダ、ダメだよ!!!!」
「おぉう・・・そうかー。確かにそれはいかんな。責任取れなんて言われても困っちゃうもんなー」
その発言にホッ、とするなのは。
胸をなでおろして、蒔風に言う。
「ダメだよ?人の想いを軽んじちゃ・・・」
「おっと、そいつは迂闊すぎた。すまんな。にしても、お前やけに必死だったな?どうした?」
「え?あれ、なんでだろ?」
なのはのきょとんとする顔。
それを見て蒔風が笑いながら頭をグシャグシャと撫でた。
「なんだよー、自分でもわからんのかい」
「うあうあうあ、やーめーてー!!」
完全に子ども扱いされるなのは。
それを見てニヤつくはやてとフェイト。
「はやて、これは・・・・」
「うふふ。面白そうな事になりそうやね・・・・」
そんなことをつぶやく二人。
と、そこで蒔風が思い出したように指を立ててはやてに訊いた。
「そういえばはやて」
「なんや?」
「戦闘機人ってなんだ?結局聞いてなかったんだが」
先日の聖王教会での話に出てきたその単語。
蒔風には馴染みのない言葉だ。
なんやかんやで今まで聞きそびれていたのだが、今回の敵とあっては知らない、というわけにもいかないだろう。
蒔風は特に何も気にせずはやてに訊いた。
だが、その返答ははやてではなく、思わぬところから来た。
「戦闘機人って言うのは、人工的に生み出された人間に機械とかを埋め込んで、その体を強化した人たちのことです」
スバルだった。
それを聞いて、蒔風に衝撃が走った。
「スバルどうした・・・お前が効果音なしに説明するなんて・・・」
「ちょ」
そんな二人を流し、更はギンガがその続きを話してくれた。
「普通の人間にいきなりそんなもの埋め込んでも身体が耐えられなくなって、いずれは使えなくなってしまいます。だから、最初からそういう改造に耐えられる人間を作って、改造する」
「それが戦闘機人です。魔法とは違うエネルギーを使って、ISという先天的固有技能をみんな持っている。まさに・・・・戦うため、兵器として作られた・・・・人間」
その説明を聞いて蒔風が少し訝しげな顔をする。
スバルの隣ではティアナが少し心配そうな顔をしていたが、蒔風はそれに気付かない。
「なるほど、改造人間か・・・・・どーりで攻撃に魔力を感じなかったわけだ。そうなるとAMF内では脅威になるな」
蒔風が腕を組んで納得の行ったように頷く。
「だがまぁ、改造人間なんてもんは珍しくもねぇ。お前らフォワードと最初にやった模擬戦の時。あんとき出したあの三人だって改造人間だしな」
「え?」
「そういう意味では俺は別に何とも思っちゃいねーよ。敵か味方か、それだけだ。ってかお前ら、妙に詳しいな?」
「私たちのお母さんの最期の事件が・・・・戦闘機人がらみだったので・・・・・」
「あ・・・・そりゃ悪いこと聞いてしまったな・・・・・・・」
蒔風がバツの悪い顔をして謝るが、スバルもギンガも気にしないでくださいと手を振る。
「しゅ、舜さんが気にする事じゃないですって!!」
「そうですよ!!あ、あはは!!つまんない話しちゃいましたね!!」
まるで取り繕うかのようにその場を濁す二人に、蒔風の気も少しは晴れたのか、あははとつられて笑う。
「そうか?まあそうならそれでいいけどな・・・・にしても作られた命か・・・・・やっぱ違法じゃないのか?それ」
「そうやね・・・・・だからある意味じゃ、あの子たちも被害者なのかもしれん」
「うむ・・・・・ま、関係ないね。オレにとって重要なのは敵か味方かだ。もっと言うなら、「作られた」なんてことに意味はない」
「え?」
「作られただろうがなんだろうが「命」がそこにあるんだろ?だったらそれでいい。生まれた理由なんか毛ほども価値はねえよ。大事なのは、生きる理由だ」
「生きる・・・・理由・・・・」
「どう生まれてくるかなんてそいつは選べねえ。でも、そこからの道はそいつ自身で決められるものだ。誰かの助言があるかもしれない、誰かが道を指し示すかもしれない。だが、その取捨選択権はそいつ自身に委ねられる。それがないなんてことはまず許さん」
そう言ってガタンと立ち上がる蒔風。
食器をかたずけ、部屋へと向かう。
「スカリエッティがもし、あいつらに「生みの親だから」なんて言って言う事聞かせてるなら、目を覚まさせてやるよ」
蒔風がにやりと笑いながらその場を後にする。
「そういえば舜君!!」
「はいはい?」
「数日後にな?地上本部で公開意見陳述会があるんよ。だから・・・・」
「ああ、わかった。行ってやる。ああ、間違いなく行ってやるともさ。ってか、そいつぁビッグイベントになりそうだな」
どこかの青春白書モノマネの芸人っぽくそう言って、蒔風が自室に戻っていた。
どうやら今日はのんびりと過ごすつもりのようだ。
「さぁて・・・・そんなコマ使ってどうするつもりだ?スカさんよ」
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諸君、準備はどうだい?
・・・・・・・・そうかそうか!!なら結構。
君たちのその身体は君たちの姉や、私が作り出した最高の兵器!!
その君たちに支障があっては我々の目的が完遂できないからね・・・・・・
さて・・・・・その日が近づきつつある。
それまでに現状で十二体の戦闘機人の準備が完了する!!
今まで任務に当たっていた者、これから任務に当たる者。
そのどちらも、私の目的のために頑張ってくれたまえ!!!
私は・・・・歴史を!!!
そしてこの先の世界を作る!!!!
・・・・・・君にも頼みたい事があるからね
よろしく頼むよ?
「ああ、そろそろ手を出すぜ」
to be continued
後書き
アリス
「次回、陳述会編だ!!!」
ではまた次回
あたしは知りたいだけだ。
あたしたちの王さまがどんな奴か。
そいつは本当に、あたしたちの上に立つのにふさわしいがどうか。
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