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オズのビリーナ

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第十一幕その十二

 そのモグラさんは出て来ていきなりです、こんなことを言いました。
「お腹空いたなあ」
「何よ、あんた」
 エリカがその大きなモグラさんに声をかけました。
「いきなり出て来て」
「あれっ、君は猫だよね」
「見ればわかるでしょ」
 これがエリカの返事でした。
「私は猫よ」
「そうだよね」
「お腹空いたって私を食べるつもり?」
「まさか、猫は食べないよ」
「そうよね、モグラは普通は」
「ましてやそっちの猫はね」
 ガラスの猫も見て言います。
「ガラスだから」
「食べないわね」
「うん、じっと見たらね」
「そういえばあんたモグラだから」
「目は悪いよ」
 見えてはいてもです。
「近くじゃないとよく見えないよ」
「そうよね」
「けれど君がガラスだってことはわかるから」
「それでなのね」
「食べられないってわかるよ」
「それは何よりね」
「というか僕が見たところ誰もね」
 トロットやナターシャ達も見て言うのでした。
「僕が食べられるものじゃないね」
「鶏も人間も食べないのね」
「僕は基本菜食主義なんだ」
 ビリーナにもお話します。
「人参やお芋が好きなんだ」
「お野菜がなのね」
「好きなんだ」
「それで今はお腹が空いてるのね」
「何かないかな」
 また言ったモグラさんでした。
「それじゃあ」
「それじゃあね」
 トロットはモグラさんのお話を聞いて言いました。
「私がテーブル掛けでお芋とか出してくれるわ」
「そうしてくれるの?」
「ええ、それで何が食べたいの?」
「お野菜なら何でもいいよ」
 モグラさんはトロットにすぐに答えました。
「それならね」
「何でもいいのね」
「うん、お野菜ならね」
「虫とかはいいのね」
「虫も食べるけれど」
 それでもと言うモグラさんでした。
「あまり好きじゃないんだ」
「菜食主義者だから」
「お野菜がいいね」
「じゃあ出すわね」
「出すのならね」
 ビリーナがここでトロットに言うことはといいますと。 
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