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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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提督はBarにいる×プレリュード編・その3

 さて、海老天に続いては季節の野菜、夏野菜の定番茄子の天ぷらを。

《旨味のジュース溢れる!茄子の天ぷら》

・茄子:2本

・天ぷら衣:150g

 茄子はヘタを取り、縦半分に割って熊手のような形になるように切り込みを入れる。後は衣をしっかりと纏わせて、油の中へ。両面しっかりと揚がったら完成。

「お次は『茄子の天ぷら』だよ。なんと言っても天つゆが最高だね」

 茄子と油の相性は最高だ。揚げ茄子しかり、揚げ浸ししかり、麻婆茄子しかり……天ぷらが合わない筈がない。薄く衣を纏ったとろとろの茄子をおろし天つゆに浸けてその旨味を吸わせる。衣のサクサク感を程よく残した状態でかぶりつけば、途端に旨味のジュースが口の中で洪水になる。

「ん~美味い。やっぱり茄子は揚げるか漬け物だよなぁ」

「悔しいけど、それには同意せざるを得ないわね」

 美味そうに食うなぁ、この2人。…おっと、見とれてないで準備準備、と。お次は海鮮、旬の鱧……は高いから穴子の天ぷらで。

《フワフワジューシー!穴子の天ぷら》

・穴子:2匹

・天ぷら衣:適量

・小麦粉:少々

 豪勢に1人1匹ずつ召し上がって貰おう。頭やヒレは残しつつ、穴子を開いて骨を取り除く。捌き方は以前の鰻の捌き方を参考にしてくれ。身に軽く塩を振り、衣のつなぎの為に小麦粉をまぶす。衣がやぼったくならないように、軽くな。後は衣を付けて、揚げる。海老天同様、穴子も真っ直ぐな方が美味そうに見えるが、穴子はデカい分真っ直ぐに揚げるのは難しい。ならば美味そうに見える盛り付けをすれば良いだけさ。

「さぁ揚がったぞ、『穴子の天ぷら』だ。天つゆでも塩でも、好きな方で食ってくれ」

 天つゆにドボンと付けてもいいし、軽くすだちなんか搾ってから塩でも美味い。サクサクとフワフワの競演は素晴らしいハーモニーだ。お次も海鮮、今度は鱚の天ぷらだ。

《粋で鯔背な江戸前の味!鱚と大葉の天ぷら》

・鱚(天ぷら用に開いた物):6匹

・大葉:鱚と同数

・天ぷら衣1カップ

 大葉の裏側に衣をスプーン等で薄く塗り、鱚の皮目にくっ付ける。軽く押さえ、くっついたのを確認したら衣に潜らせて油にダイブ。こまめに返しながらサクッと揚がったら完成。

「ホイさ、『鱚と大葉の天ぷら』だ。個人的には塩がオススメかな」

 サクサクの衣にいい塩梅の鱚。そこに大葉の香りがプラスされて、これまた酒が進む。

「あ~、酒も肴も美味いからついつい飲んじまうわ。あ、『八海山』お代わり」

「ちょっと!相手は大将なんだから敬語は……」

「あー、構わんよ。こういう時でもないと司令官なんて仕事は気を抜けないからな」

 司令官て仕事は休んでいるように見える時間でも、四六時中気を張って過ごしているモンだ。こういう機会でもなけりゃあ気の休まる所がない。……まぁ、ウチの場合はプライベートの方が休まらないが(主に嫁艦共のせいで)。俺の私生活の話は置いといて、海鮮が続いたからお次は野菜。それも、あまりメインの食材にならないパセリの天ぷらにしよう。

《飾りじゃないぞ!パセリの天ぷら》

・パセリ:適量

・天ぷら衣:少々

 パセリの天ぷらは普通の天ぷらと違い少し特殊だ。水洗いして食べやすく小房に分けたパセリの葉の部分にだけ衣を付け、そのまま油の中へ。葉の部分に付けた衣が揚がったら、裏返して茎の部分をサッと揚げる。元々生で食べられる食材だから、揚げ時間は短くて良いぞ。仄かなパセリの苦味と青臭さが揚げる事でまろやかになり、パリパリという食感が楽しい口直しにはもってこいの天ぷらになる。

「さぁ、ちょっと珍しいかもしれないが『パセリの天ぷら』だよ」

「これは何を付けたら美味しいかしら?」

 叢雲は初めて見たのか、物珍しそうに眺めている。

「塩かもしれんが……個人的にはそのまま何も付けずにガブリ!が一番美味いかな」

 俺にそう言われて叢雲は、恐る恐るながらも何も付けずにパセリにかぶりついた。パリッとした食感に、揚げたパセリ独特の酸味がやって来る。食べ慣れないと少し食べづらいが、慣れてくるとコイツが段々とクセになってくる。その酸味がいい口直しにもなる。

「初めて食べたけど……まぁまぁね」

 結構大きめの房で揚げたつもりだったんだが、ペロリと平らげておいてまぁまぁは無いだろう。まぁ叢雲が素直でないのはウチも変わらんから、別に構わんのだが。





 さて、お次はどうするか。

「あの~、大将?」

「ん?どうした帆波大佐」

 何やら言いづらそうに切り出した帆波大佐。

「何かこう……物珍しい天ぷらって無いっすか?定番ばかりだとつまんないんで」

 珍しい天ぷら、ねぇ……。あ、密かな人気メニューの『アレ』があったな。それを思い出した俺は冷凍庫からある物を取り出した。

「それは……」

「卵パック?」

 そう、スーパーなんかに売ってる10コ入りの卵パックだ。当然中の生卵はカチンコチンに凍っている。

「今からこいつで『半熟卵の天ぷら』を作ろうと思ってな」

 最近流行りの半熟卵の天ぷら。半熟の茹で卵でやるのが一般的なやり方だが、揚げすぎると黄身に火が入りすぎて固まってしまう。なので俺は凍らせた生卵を使う事を思い付いたのだ。

《凍結卵で!?半熟卵の天ぷら》

・卵:4個

・天ぷら衣:60gくらい

 卵は予め凍らせておく。大体半日も凍らせればカチカチになるぞ。形を崩さないように殻を剥いて、衣を満遍なく付ける。ポイントとしては殻を剥いてからは手早くやること。凍っているとはいえ生卵だ、溶けやすいからな。

 衣を付けたら中温の油にお玉などで静かに入れよう。ここからの揚げ具合は好みだが、俺のオススメは中温で5分位。白身はしっかりと固まりつつ、黄身はトロリととろけるような状態になる。


「ハイよ、珍しいかは解らんが『半熟卵の天ぷら』だ。天つゆや醤油も美味いが、何と言ってもカレー塩が最高だな」

 カレー塩は市販のカレー粉と食卓塩を1:1の割合で混ぜた物だが、意外と天ぷらとの相性はいい。それと半熟卵の天ぷらの組み合わせは是非試してみてほしい。

 サクッという軽い歯触りの衣の中から、ぷるんとした卵の白身。その中からトロリと濃厚な黄身が溢れだしてくる。

「おっ……ととと」

 帆波大佐は箸よりも手掴みが良いと判断したのか、手で掴んでカレー塩を先に付け、ガブリ。垂れてきた黄身をズルズルと啜り、咀嚼する。卵とカレーの相性は、皆さんご存知の所だろう。また、卵と酒の相性も然りだ。隣の叢雲は無言で黙々と食べている。余程気に入ったか。それなら立て続けに珍しい天ぷら、『芋の天ぷら4種盛り』を出すか。4種類、といってもさつま芋の味付けを変えるのではなく、芋の種類自体を変えるのだ。使うのは、さつま芋、ジャガイモ、山芋、里芋の4種類だ。

《定番!さつま芋の天ぷら》

・さつま芋:1本

・天ぷら衣:1カップ

 さつま芋は水洗いして良く土を落とし、斑に皮を剥くか剥かずに輪切り。しっかりと衣を付けたら油へ。火の通りのチェックが難しい食材ではあるが、竹串などを刺してチェックしよう。ホクホクと甘いさつま芋の天ぷらは、塩でも天つゆでも絶品だ。



《フライドポテトとは別物!ジャガイモの天ぷら》

・ジャガイモ(好みの種類を!):適量

・天ぷら衣:ジャガイモの重量の2/3くらい

 ジャガイモはラップでくるんでレンジでチン。軽く竹串が刺さる位には火を通しておく。※完全に火は通さない事!皮は……剥いても剥かなくてもOKだ。切り方も輪切りか櫛切り、細切りにしてかき揚げ風ってのも中々美味い。オススメは輪切りかな。後は衣を付けて、油で揚げる。ある程度チンして火が通っているので揚げ時間は短くて済む筈だ。天つゆよりも塩がオススメ。



《ネバネバではなくシャキホクに!山芋の天ぷら》

・山芋:1/2本

・天ぷら衣:山芋と同量くらい

 山芋の天ぷらは他の3種類に比べると淡白な分、アレンジの幅が広い。切り方を変えてみたり、衣に青のり混ぜて磯辺揚げ風にしてみたり、輪切りにしてチーズや梅肉を挟んでみたり……。アイディア次第ではさつま芋以上の天ぷらのレギュラーになり得るポテンシャルを秘めている。

 皮を剥いて、お好きな形にカットして、衣を付けて、揚げる。生でも食べられる食材の為、衣がサクッと揚がればOK。とろろや千切りで感じるネバネバよりも、シャキシャキとホクホクが混在する新たな食感を味わえる。



《余り物でもOK!里芋の天ぷら》

・里芋:10コ位

・天ぷら衣:適量

 里芋は灰汁があるので、皮を剥いて下茹でしておく。衣は薄めに付け、油の中に。揚げ具合は他の芋同様、竹串などを刺して火の通りをチェックしよう。

 里芋は煮るとネッチリとした粘り気が特徴だが、揚げるとジャガイモ以上のホクホク感が味わえる。更に、里芋の煮っ転がしが余った時に揚げても美味い。味が染み込んでいるので、これまた違う味わいに仕上がるぞ。

「さぁ、『芋の天ぷら4種盛り』だ。食感や味の違いを楽しんでくれ」

 芋と一括りにされてはいるが、それぞれ違う食感と味が楽しめる、ユニークな天ぷらに仕上がっている筈だ。
 
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