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Three Roses

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第二十八話 再会した薔薇達その十二

「しかし次の王はどうか」
「そのことですね」
「まずはお子をなし」
「そしてそのうえで、ですね」
「どう動くかですね」
「子はどちらでもいい」
 太子の目がまた光った、そのうえでの言葉だ。
「男でも女でもな」
「そうですね、将来王がお子をなせば」
「その時はですね」
「王のお子に太子のお子を嫁がせる」
「男の方でも女の方でも」
「どちらでもですね」
「しかも多くだ」
 マイラとの間にもうける子はというのだ。
「男も女も両方な」
「それぞれもうけられ」
「来たるべき時に備えますか」
「そしてやがては」
「そうなりますね」
「王が子をなさなかった場合は我々の子が次の王になるようにする」
 その場合のこともだ、太子は考えていた。
「手を打っていきな」
「そして信仰の論戦で敗れた場合も」
「最悪そこから巻き返すことが出来ますね」
「では」
「ここは」
「無論勝たねばならない」
 旧教と新教の論戦はというのだ、太子も側近達も同じ考えだ。そこから一気に周辺の三国の旧教も復権させるつもりなのだ。
「しかし敗れてもだ」
「お子をもうけられば」
「最悪でもですね」
「それで、ですね」
「巻き返すことが出来ますね」
「そう出来るのだ、だが両方なってこそだ」
 論争の勝利と子をもうけることの両方がというのだ。
「この国は容易に我が家のものとなる」
「だからですね」
「ここは絶対にですね」
「両方を為す」
「そうしますね」
「どちらかだけでは危うくなる」
 子をもうけてもというのだ。
「あくまでそれは最悪の場合だ」
「論戦に敗れてですね」
「その場合の最後の切り札ですね」
「留まる」
「この国に」
「その為のことですね」
「絶対であり最後の手になるのだ」
 子をもうけることはというのだ。
「だから今もだ」
「お願いします」
「この度のことも」
「何とかしてです」
「この国を手に入れる為に」
「是非共」
「今夜もだ」
 まさにとだ、太子は答えた。
「務めを果たす、そうすればな」
「何時かはですね」
「必ず授かりますね」
「そうなりますね」
「そうだ、我が家は多産の家だ」 
 このことも代々だ、男女共に多産であるのがロートリンゲン家の者なのだ。それが為に婚姻政策が順調でしかも領地を手に入れてこられたのだ。 
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