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おぢばにおかえり

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第三十八話 夏になってその十一

「それでね」
「吹田の方にもあるんですね」
「大阪と広島に多いの」
 奥華の系列の教会は、です。
「大きく分けてこの二つの地域よ」
「野球で言うと阪神と広島ですね」
「ファンも分かれてるわよ」
 もっと言うとお好み焼きもです。
「そちらも」
「あっ、やっぱり」
「その娘は大阪だから阪神ファンだけれど」
「先輩と一緒ですね」
「ええ、けれど奥華は広島ファンの人も多いから」
 本当に二分されています、大きく分けて。とはいっても愛媛や愛知にも大きな教会があってこの辺りは一概に言えないところもあります。
「気をつけてね」
「まあ僕パリーグですけれど」
「そういえばソフトバンクファンって言ってたわね」
「セリーグはあまり興味がないんです」
 こう答えてきました。
「実は」
「そうなの」
「はい、そうなんです」
「まあそこはね」
「人それぞれですね」
「そうよ、じゃあまたね」
「はい、また」
 これで阿波野君をお別れしてでした、二類の校舎に向かいました。
 二類の校舎には滅多に入らないです、そのせいか入ると他の学校にいる気持ちになります。どうも不思議な感じです。
 それで周りの二類の子達もです。
 制服の胸のところに付いている私のクラス章を見てあれっ、とか何でここにとかいう顔になって見てきます。その視線を浴びながら。
 その娘のクラスのところに来てです、丁度通りがかった子に声をかけました。
「あの、山口さんいる?」
「あっ、はい」
 この子も私のクラス章を見てからおや、というお顔になって応えました。
「今丁度クラスに」
「悪いけれど読んでくれる?」
「わかりました」 
 こう私に応えてくれてです。
 その娘を呼んでくれました、そしてその山口さんが来たので私は山口さんにお話することをお話してでした。
 そのうえで渡すものも渡してから自分のクラスに戻りましたけれど。
 クラスで、です。私はこう言いました。 
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