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オズのビリーナ

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第十一幕その二

「少なくとも今はね」
「そう言うのが無欲だけれどね」
「そうなの」
「ええ、私はそう思うわ」
 自分の後ろにいるナターシャにお顔を向けて言いました。
「あんたはそうよ」
「無欲なのね、私は」
「私が見たところはね、ただね」
「ただ?」
「あんただけじゃなくて五人共そうね」 
 ナターシャ達全員がというのです。
「欲がないね」
「僕お金好きだよ」
「僕もだよ」
「僕もやっぱり」
 ジョージに神宝、カルロスが答えます。
「お金があったら何でも買えるから」
「それだけで困らないし」
「あんないいものないよ」
「金や銀、宝石があったら」
 恵梨香も言います。
「奇麗だし」
「そうだよね、ただオズの国にいたら」
「必要ないしね」
「なくても普通に生きていけるから」
 男の子三人は恵梨香に言います。
「欲しいって思わないよね」
「金や銀もこうして地下だと幾らでもあるし」
「都はエメラルドで一杯だしね」
「いつも見ていて傍にもあるから」
 また言った恵梨香でした。
「特に欲しいとは思わないの」
「そうなのね、けれど欲が深いと幾ら持っていても欲しくなるものよ」
 ビリーナはまた言いました。
「昔のラゲドー王といいね」
「あっ、そういえば」
「あの人は金も銀も一杯持っていたでしょ」
「宝石もね」
「それでもまだ欲しいって言ってたわね」
「それにオズの国の支配者にもなろうとして」
「既にノームの王様だったのにね」
 何でも持っていたというのです。
「さらに欲しがっていたわね」
「何度も攻めようとして」
「そうした人もいるのよ」 
 ラゲドー王の様に欲深な人がというのです。
「だからあんた達はね」
「傍に一杯あれば満足っていうから」
「無欲よ、ただね」
「ただ?」
「時として欲が深いことも必要よ」
「無欲は美徳じゃないの?」
「美徳だけれど欲が深かったら何でもしたいって思うでしょ」
 ビリーナはこうしたことも言うのでした。
「それで努力するから」
「いいの」
「私は欲が深いわよ」
 自分のことも言ったビリーナでした。
「何でも欲しいから」
「それで冒険もして」
「頭も動かすからね」
 そうして努力もするからというのです。
「欲が深いことも悪いことじゃないの」
「何か難しいお話ね」
「要するにあれだよ」
 キャプテンも皆にお話します。
「欲が深くても自分で努力して手に入れればよくてね」
「盗んだり奪ったりしたら駄目なの」
 トロットもこうお話します。
「生み出したり冒険をしたり発掘したりしてね」
「手に入れることはいいんですね」
「そういうことなの」
「つまりラゲドー王みたいにしたら駄目なんですね」
「そうよ」
「ビリーナみたいな欲の適え方がいいんですね」
「要するに欲を向ける対象と欲を適える方法よ」
 この二つだというのです。 
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