聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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99部分:第十一話 異空間その八
第十一話 異空間その八
「手前は俺が倒すんだからな。黄金聖闘士、いやこのデスマスク様に倒されることを光栄に思うんだな」
「まずは五人の仇か」
デスマスクの挑発の言葉を受けてもその冷徹な態度は変わらない。ここが今までの五人とは違っていると言えた。八大公故の余裕であろうか。
「面白い。まずは貴様からだな」
「御指名ってわけか。じゃあサガよ」
「うむ」
「こいつの相手は俺がするぜ。いいな」
「わかった。しかしだ」
ここでサガはデスマスクに対して言うのであった。
「気をつけるのだ。このベルゼブブのカナンという男は」
「手強いってか?」
「そうだ。尋常な小宇宙ではない」
それはサガもはっきりと感じているのであった。
「この小宇宙。デスマスク、御前も感じている筈だ」
「まあな」
笑いながらだが答えるのだった。
「こんな小宇宙。それこそ俺達でもなければな」
「出せはしない」
「けれどよ」
しかしそれでも彼は言うのであった。
「サガ、あんた助っ人だったな」
「むっ!?」
「だったらもういいぜ」
こう言うのである。
「休んでおいてよ。まあソーセージでも食っておきな」
「御前一人で倒すつもりか」
「聖闘士ってのは本来そうだろ?」
またサガに言葉を返して告げる。
「一対一が基本だよな」
「だからこそか」
「そういうわけさ。何、あれだよ」
その余裕綽々の態度は相変わらずであった。
「俺は負けねえからよ。安心しな」
「むう」
「あんたはジャミアンだのディオだのと一緒に下がって俺の勝利の凱旋を待っておいてくれ」
「また随分と余裕だな」
「俺一人で充分ってわけだよ」
こうも言うデスマスクであった。
「だからよ。いいな」
「決意は変わらないな」
サガはデスマスクの言葉の裏を取って問い返す。
「それで」
「決意決意ってよ。そんなのねえさ」
軽く笑ってサガに述べる。
「全くな。わかったらよ」
「そうか。ならいい」
ここまで聞いてサガも遂に納得した。もう言葉はなかった。
「デスマスク、ここは貴様に任せる」
「任せるとかそんなのじゃねえだろ?」
ここでも余裕の笑みのデスマスクであった。
「俺がこいつに楽勝で勝つだけなんだからな」
「なら退こう」
サガは前を見据えたまま一歩退いた。
「これでな。待っている」
「おうよ。じゃあベルゼブブよ」
「うむ」
カナンはデスマスクを見据え続けていた。そのうえで彼に応える。
「一人で来るというのか」
「手前なんざ俺一人で充分過ぎるぜ」
カナンを見返してそのうえで言葉も返してみせる。
「手前なんざな」
「あのジェミニは」
サガのことを言うカナンであった。
「黄金聖闘士の中でもかなりの力を持っているな」
「かもな」
あえて答えはしないデスマスクであった。
「まあ俺程じゃねえな」
「いいのか?あの男を帰らせて」
カナンが彼に問うのはそこであった。
「貴様一人で私に立ち向かうなどと」
「おいおい、人の話聞いてねえのかよ」
今のカナンの言葉には声だけでおどけてみせる。
「御前なんざ俺一人で充分だって言ってるだろうがよ」
「慢心か。いや」
カナンにとってはそうとしか思えないことであった。嘲りはないが明らかにデスマスクの行動をよしとはしていないものであった。
「私の強さをわかっていないのだな」
「じゃあ御前も俺のことがわかっていねえな」
あっさりとカナンの今の言葉に返してみせる。
「それも全くな」
「では。どうするというのだ」
「俺の力を見せてやるぜ」
不敵な笑みと共に全身に小宇宙を高まらせるのだった。黄金色のその小宇宙を。
「このキャンサーのデスマスクのな」
「面白い。では私もまた」
カナンも彼のその言葉を受けて赤い小宇宙を全身に高めさせていく。
「見せよう。ベルゼブブのカナンの力を」
「見せてもらうぜ、それじゃあよ」
今二人の戦いがはじまろうとしていた。黄金聖闘士と狂闘士八大公、双方の最強の戦士同士がこの聖戦においてはじめて行われようとしていた。
第十一話 完
2008・9・6
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