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ガンダムビルドファイターズ ~orbit~

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夏休み編
  夏休み 前編

 
前書き
どうも。心はいつも自由(フリーダム)です。いや~。去年の忙しさが収まったかと思いきや、結構忙しくなりました。今回は、時期が全然違う夏休み編です。
では、前置きは置いといて、本編をどうぞ 

 
「なあサオトメ…………」

疲れた様子で、隣にいるサオトメへと視線を向ける。

「なんだ? 」

「これ…………意味あんのか? 」

なぜか俺は今、竹刀を握って延々と素振りをしていた。

「多分、あるんじゃないか? 」

「多分かよっ! 」

「いいからやれ。あと六十八回な」

「くそっ…………! 」

引き続き素振りをし、ただひたすら竹刀を振っていく。
刃筋がブレている場合は回数に入らず、かと言って真っ直ぐならばいいという訳でもない。正直、サオトメの判断基準が分からない。

ハルカゼの野郎…………こんなことしてて、本当に強くなれんのかよ?

内心愚痴りながら、今に至る出来事を振り返る。





ーーー--





「う~むむ…………」

腕組みをして考え事をしていると、アキザワとサクラが部室の扉を開けて入ってきた。

「む?どうしたのだカグラ レイ。馬鹿なりに難しい顔をして唸っても、何も解決しないと思うが? 」

「誰が馬鹿だ、このロリコン」

「ふん。誉め言葉だな」

「お前だんだん開き直ってきたな…………」

呆れながらため息を吐き、再び考え事をする。

「それで、カグラは何を考えていたの? 」

「あー、ユキヤの時に出来たあの擬似アシムレイトは、どうやったら出来んのか考えてたんだ」

「あん時はマジで凄かったからなー」

「うん…………すごかった」

「もう二ヶ月も経ったんだし、考えても無駄だと思うけど?それよりも自分の腕を磨くことに集中したら? 」

「そうだけど、使いこなせれば大会でも役に立つと思ったんだけどな。
まあでも、お前の言う通り、考えても無駄か。ハルカゼも、あの時限定の力って言ってたしな」

最初の方は色々と試してみたが、その兆候すら確認出来なかった。やっぱり、あの条件下じゃねぇと駄目らしいな。

「そういや、そろそろ夏休みにはいっけど、俺達はどうすんだ? 」

「今回も敗退したし、去年一昨年にやった小さな大会に参加かもしれないね」

「なるほどな」

「けど、今年は一味二味三味違うよ!」

と、部室の扉を開けながら、ハルカゼが現れた。

「どんだけ味を変えんだよ。で、どういうことなんだ? 」

「今年の夏休みは、それぞれに対し課題を持ってきたんだ。ムウさんやヒロヤ君、シノさんにユウキ君と話し合って、皆の欠点や改善点を考えたから、それをクリアしてもらうよ」

どこから取り出したのか、資料を取り出しながら説明してきた。そしてそれを俺達に配り、次の説明を開始した。

「見て分かると思うけど、そこに書いてあるのは行き先のみ。つまり、そこに各自の課題を預けているから、あとは行けば分かるようになってるよ」

「「「「「「行(い)けば分かるようになってる? 」」」」」」

どういう意味だ?課題が置かれてるって訳か?もしくは誰かいるとかか?いや、多分誰かいんだろうな。

「行き先は基本皆バラバラだから、迷子にならないように気をつけてね」

その言葉に、全員がセシリアを見た。本人は気づいてないようで、不思議そうに顔を傾げる。…………セシリア。自覚ねぇんだな。

「アハハハハ。とりあえず、各自頑張ってきてね~」





ーーー--





「ぜぇ……ぜぇ……」

残りの回数をこなし、床に大の字になって倒れる。

「よし。じゃあ十分後に再開するか」

「………………! 」

かれこれ二時間半、素振りをし続けてまだやんのかよ!もう腕がキツイんだよ!

「カグラ。次は俺と打ち合うぞ」

十分後、サオトメは竹刀を軽く振りながらそう言ってきた。

「はあっ!? 」

「腕も体力も限界のようだし、片手で相手してやるよ」

「っ舐めんな!すぐに両手を使わせてやるよ! 」

竹刀を構え、サオトメに向かっていく。

「やってみろよ? 」

右手に竹刀を構え、左手はポケットに入れてサオトメは迎え打つ準備をする。

「おおおおぉぉぉぉぉぉっ!! 」

竹刀を次々と振っていくも、そのどれもが軽々と防がれていく。

「どうした?防具を着けてないからって遠慮しなくていいんだぞ? 」

「ぐっ…………!そう言うお前も、反撃してきたらどうだ!? 」

「防具着けてない奴に反撃したら、怪我するだろうが…………」

「うるせえ!当たんねぇから来いよ! 」

「じゃあ、お言葉に甘えるぞ? 」

すると、右肩から左腰に向かって竹刀が入り、後方へと軽く飛ばされる。

「ほれ見ろ。お前はまだまだ大振り過ぎだ。だから攻撃する時に隙が出来る」

「────くそっ! 」

痛みに耐えてすぐに立ち上がり、またサオトメへと向かっていく。

「今度は反撃しないでやろうか? 」

「なんだ?防具を着けてねぇからって遠慮しなくていいんだぞ? 」

「言うようになったな。じゃあお望み通りに打ってやるよ」





ーーー--





「いいか!まずは何事にも耐えうる忍耐力、精神力が必要だ!つまり………………滝で修行しにいくぜぇ! 」

「馬鹿かオノ。なぜその発想にいくのだ? 」

「おお!?じゃあちっこいのは何か案があるのか!? 」

「ちっこい言うな!! 」

オノと言われた大男は、中学生くらいの女の子に蹴り飛ばされている。それを困惑した様子で見ていると、メガネをかけた男の人が隣に来た。

「あはは…………ごめんねヒメラギ。オノとミサカはいつもあの調子だから」

「だ、大丈夫ッス…………」

「けどオノの言う通り、君は忍耐力を身に付ける必要がある。試合のログを見せてもらったけど、ヒメラギは防御、サポート重視に立ち回っていた。
それを更に活かすために、君自身にも忍耐力をつけてもらいたい」

「それと忍耐力が何で関係あんスか? 」

「それは自分で考えさせてと、ハルカゼから言われてるからね。残念だけど教えられないよ」

「そうスか…………」

「ぎゃああああ! 」

叫び声が聞こえた方へと視線を向けると、オノさんの顔に目掛けてミサカさんの蹴りが入っていた。

「…………ハルカゼコーチ。人選ミスってるんじゃねーのか? 」





ーーー--





「…………えっと。ここ、よね? 」

資料にある行き先へと辿り着くと、目の前にはガンプラとは無縁の、しかも明らかに関係の無さそうな場所に来ていた。

「なんで保育園…………? 」

資料へと目を落とし、住所と保育園を交互に見る。間違ってはないのよね…………。

「あなたが今日から修行する人……? 」

保育園の入り口からは、可愛らしい女の人が声をかけてきた。

「えっと…………多分、そうですけど…………ここで合ってるんですか? 」

「うん………合ってる……」

なんか口数の少ないの人ね…………。

「アマネ マヒルさんで合ってる……? 」

「あ、はい。アマネ マヒルです。あなたは? 」

「ハルカゼ ミサキ…………今日からあなたを指導するから、よろしく……」

「はい。よろしくお願いしま……………ってちょっと待ってください。ハルカゼ………?もしかしてあなたって………」

「うん………結婚してる……」

左手の薬指にある指輪を見せながら言われ、思わずええっ!?と叫んでしまった。こ、この人が、コーチの奥さん!?

「な、なんでコーチと………? 」

「……………かっこよかったから……」

頬を少し赤く染め、笑いながら答えた。
かっこよかったから?コーチが?いったい何があったらそんな場面に出くわすのかしら?私みたいに誘拐されたとか?カグラ君みたいに助けようとしたとか?

ってちょっと待って。その理屈だと、私がカグラ君に惚れてるということになる。うん、間違ってもそれはないわね。絶対ないわね。

「………………とりあえず、中に入って……」

思考の海から引き戻すように、ミサキさんは声をかけてきた。よ、よかった…………これ以上は頭がこんからがるところだった………。





ーーー--





「筋はいいな。けど、まだまだ甘ぇ! 」

「ちっ! 」

次々に迫る攻撃をMA形態に変形して回避、建物の物陰に隠れる。

「ハルカゼから聞いた話じゃ虎と聞いてっが、ただの猫か?クズリュウよぉ? 」

「!その名で呼ぶな!コムカイ ユウト!! 」

モードビャッコを発動し、建物の影から飛び出してコムカイ ユウトの機体、ユニコーンガンダムプランBへと突撃していく。

「一直線過ぎんだよ! 」

アームドアーマーBSとアームドアーマーDE、そしてビームガトリングの攻撃が放たれ、厚い弾幕の前に屋根の上へと避難する。

「くっ…………! 」

それでもユニコーンガンダムプランBの追撃は終わらず、建物から建物へと飛び移って隙を探す。

「甘ぇって言ったろ!? 」

しかし、ユニコーンガンダムプランBはティグリスガンダムの動きを先読みし、アームドアーマーBSで攻撃する。

「なっ…………! 」

速度を上げていたため回避行動が間に合わず、そのまま直撃してしまった。

『BATTLE ENDED』

「コムカイ君、少し大人げないんじゃないですか? 」

「うっせー。これでも手加減してんだよ、アマミヤ」

「本当ですか~? 」

「本当だっつーの!で、お前はまだやれんのか? 」

「無論だ…………次は落とす………! 」

「こえーこえー。じゃ、早速始めるぜ! 」

『BATTLE START』





ーーー--





「ほれほれどうした!?ワシが相手をしてやってるんじゃ!もう少し踏ん張れ! 」

「むー…………! 」

ブラウドライツガンダム…………ではなく、てんちょうからかりたガンダムF91で、はくぎんのマスターガンダムとバトルをしていた。

「当たらんぬぞセシリアちゃん!ダークネスショット!! 」

「っ───! 」

ダークネスショットをライフルとヴェスバーで撃ち落としていくが、左のヴェスバーに被弾し、パージして誘爆を避ける。左手にビームサーベルを構え、マスターガンダムへ接近する。

「甘い! 」

マスターガンダムはマスタークロスを鞭のように振るい、ガンダムF91へと凪ぎ払う。ガンダムF91は下に潜り込むように回避するが、すぐに縦に一閃してきた。

横に旋回してギリギリかわすが、左手からも振るわれたマスタークロスに気づかず、ガンダムF91は真っ二つに切断された。

『BATTLE ENDED』

「むー…………! 」

「ふむ…………セシリアちゃんの実力は分かった。さて、次はお主じゃぞ?アキザワ君よ」

「えっ! 」

バトルを終えたイチヨウさんは、もう一人の訪問者、アキザワ セイヤこと俺を見た。

「けど、セシリアちゃんが勝てないんじゃ俺も…………」

「ああ、安心せい。お主はこれじゃ」

そう言うと、イチヨウさんは将棋を取り出してきた。

「お主は頭が回ると聞いておったし、戦術士でもあるそうじゃないか。その実力、これで測らせてもらうぞ? 」

「え?将棋で? 」

「なんじゃ?ルールを知らんのか? 」

「いや知ってますけど…………一応得意ですし」

「ならいいじゃろ。さっさと始めるぞ」

「わ、分かりました」

「セーヤ……頑張って」

「頑張る! 」

「…………単純じゃのう」





ーーー--





「……………………」

道場の床の上で、ボロボロの状態で大の字になって倒れる。くそっ!一発も入れられなかった!

「とりあえず、午前はこんなもんにするか。飯食ったら午後のメニューに行くぞ」

スマホを操作し終わり、ポケットに入れて俺に声をかけてきた。

「なんで片手でそんなに強ぇんだよ? 」

「大人だからだろ」

「そういうんじゃねぇよ」

「まあ鍛えてるからな。あと、お前が大振りのおかげで対処しやすいし。まっ、最後の方は少し良くなってきたけどな」

「そうかよ…………」

上体を起こし、天井を見上げる。他の皆は、まともに特訓してんのか?ハルカゼの人選だし、まともな奴なんていねぇと思うけど。

「て、そういえばなんで剣道なんだよ?ガンプラバトルはどこいったんだよ? 」

「ん?なんだ不満か? 」

「あたりめぇだろ。最初から竹刀を渡されては有無を言わさずに素振りさせやがって…………」

愚痴るように言うと、鼻で笑われた。

「まあ最初はそんなもんだ。俺も昔やらされたしな」

「そうなのか? 」

「ああ。俺の場合、剣道で全国三連覇を果たしたのが相手だったけどな」

なんだそのチートは?よくやろうと思ったな。

「実際何時間もかけてようやく一本取れた程度だ。俺もお前みたいに疑問を持ちながらやってたし、別に責めはしない。
けど、意味を探れ。考えるんだ。トウイからも言われてるんだろ?自分で考えろって」

「………………はあ。分かったよ。で、昼飯はサオトメの奢りなのか? 」

「そうだ。何か食いたい物とかあるか? 」

「闇鍋以外だったらなんでもいい」

「なんで闇鍋が出てくるんだよ…………じゃあ、ファミレスに行くか」





ーーー--





昼飯を食べ終え、再び道場に戻る…………と思いきや、天之川学園へと着いた。

「午後はお前の望み通り、ガンプラバトルだ。アルケオニスは預かってるだろ? 」

「あ、ああ。けど急だな。相手はサオトメがすんのか? 」

「いや、俺じゃない。対戦相手は別には呼んであるから、そいつらと戦ってもらう」

「別に? 」

サオトメのあとを追って部室の中に入ると、中には見知った人物がいた。

「ミト…………それにイチノセにムウもいんのか」

「お久しぶりカグラ。元気そうでなによりだ」

ミトが右手を差し出してきたので、握手を交わす。

「なんで三人がここにいんだよ? 」

「俺が呼んだからだよ。イチノセにも条件付きで快諾してくれたし、ムウさんは仮にも顧問だ。こんな機会滅多にないぞ? 」

「おいヒロヤ。仮にもじゃなくて、ちゃんと顧問だからな? 」

そんなムウの声はスルーされ、俺はサオトメに質問する。

「じゃあ、俺とミトがバトルはすんのか? 」

「いや。どうやら俺達は、チームとして戦うそうだ」

「俺とミトが?じゃあ相手は誰がすんだよ? 」

「ムウさんとイチノセだ。準備ができ次第始めるぞ」

「そういうことだミト。久々に可愛がってやるよ」

「まっ、俺もだなレイ。前回はトウヤと組んでも勝てなかったが、腕はあがってんだろ?ここいらで見せてみろ」

顧問二人からの言葉に俺とミトは眉を動かし、やる気満々になる。

「イチノセ先生。今回は俺が勝ちますよ? 」

「ろくに仕事もしてねぇやつに負けっかよ」

「いやしてるからな? 」

ムウの言葉をよそに、俺達はバトルシステムへと一足先に移動する。

 
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