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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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82部分:第九話 知っていた罠その八


第九話 知っていた罠その八

「残り六十九人か。軽いな」
「何っ!?計算もできぬというのか」
「我等狂闘士は八大公の方々を抜けば七十二人」
 それだけ八大公が別格ということであった。
「何を間違っている」
「それだけ焦っているということか」
「生憎俺は焦っちゃいなくてな」
 その言葉と共に。またあの青い燐が出て来た。
「またか」
「これは」
「いかん・・・・・・」
 カナンはその青い燐を見て顔を顰めさせる。
「だが。手遅れか」
「さて、終わりのはじまりだぜ」
 青い燐は忽ちのうちに周りを覆っていく。自然と三人の狂闘士達の周りも。
「御前等のな」
「さっきも見たがこの青い燐は一体」
「何だ?」
「最後に教えておいてやる」
 デスマスクはやはり一歩も動かない。その代わりと言わんばかりに悠然と述べる。
「俺の守護星座である蟹座にある積尸気はな。死を司るんだよ」
「死をだと」
「そうさ。だから俺の技も死を司る」
「では先程のあの言葉は」
「まさか」
「そう、あのまさかだ」
 その言葉が続けられていくと共に。青い燐は三人を完全に包み込んだのだった。
「受けな、このデスマスクの技の一つ」
「おのれ・・・・・・」
「まさかここで」
 青い燐が次第に集まり炎となっていく。それが三人を包み込み。
「積尸気蒼鬼焔!」
 その技の名前を叫んだ。
「身体どころか魂まで燃やし尽くす冥界の焔さ。くたばれ!」
「お、おのれ!」
「まさか。冥界から出て来た我等が!」
「だから言っただろ。格が違うんだよ」
 その蒼い焔に包まれ燃やされていく三人を見つつデスマスクは相変わらずの悠然さをもって告げる。
「御前等と俺じゃな。さて、後は」
 デスマスクは最早勝負がついた三人を見てはいなかった。三人はもう焔に包まれその中に消えようとしていた。彼が見るのは別の相手だった。
「御前等だな」
「はい、その通りです」
「キャンサーのデスマスク」
 リィナとユノだった。二人は毅然とした顔でデスマスクを見据えている。
「三人の仇は」
「貴方の命で償ってもらいます」
「いいねえ、第二ラウンドってやつか」
 二人の敵意と憎悪を前にしても。デスマスクの余裕は変わらない。
「いいぜ。ただし一つ言っておくぜ」
「何をですか?」
「俺は女でも容赦はしねえ」
 余裕の中に鋭さを宿らせてきた。
「そこんところはわかっておくんだな」
「こちらこそ戦場にいれば」
「男も女もありません」
 二人もまたその毅然とした態度のままで。デスマスクに対して言葉を返したのだった。
「覚悟するのです、キャンサー」
「今こそ貴方を」
「まあ仇討ちってやつは嫌いじゃないさ」
 燃え尽き消えてしまった三人に代わって前に出て来た二人を見て呟く。
「ただしな」
 そのうえで一言付け加えるのだった。
「格実にそれができればの話だがな」
「ならば果たしてみせましょう」
「今ここで貴方を討ち」
 二人は流石に挑発には乗らない。慎重に前に出て来ただけである。
「三人の仇を」
「無念を晴らしましょう」
「無念をかよ」
「また一つ言っておくことがあります」
 リィナはここでまたデスマスクに対して言うのであった。
「我等狂闘士の掟を」
「掟!?」
「我等はアーレス様に絶対の忠誠を誓う者」
「それこそが狂闘士」
 ユノも言葉を発してきた。
「そしてそれにより」
「随分とごちゃごちゃ言うな。狂闘士ってのはかなり血の気が多いっていうか血に餓えた奴等ばかりだって思っていたんだがな」
 これはデスマスクの挑発であった。彼はここでもまた相手を怒らせる言葉をあえて発することによって向こうの冷静さを殺ごうとしていたのであった。しかし二人はそれに乗らない。その辺りは流石であると言うべきか。
「違うようだな」
「話を聞かれることです」
 やはりリィナの言葉の調子は変わらなかった。
「そして」
「そして?」
「そこにある絆もまた絶対のもの」
 言いながらデスマスクを見据えていた。表情こそは変わらないがそこにある目の光ははっきりとわかるものがあった。それは怒りという感情であった。
 
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