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ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜

作者:黒 蓮
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プロローグ

 
前書き
小説を書くのは初めてなので不甲斐ないところが多いかと思いますが微笑みながら読んでください^^* 

 
常夏の街━━

その場所は絃神島と呼ばれていた。太平洋上に浮かぶ小さな島。カーボンファイバーと樹脂と金属と、魔術によって造られた人工島だ。

その街にはある噂があった。
この街のどこかに 不死にして不滅。一切の血族同胞を持たず、支配を望まず、ただ災厄の化身たる十二の眷獣を従え、人の血を啜り、殺戮し、破壊する。世界の理から外れた冷酷非情な吸血鬼━第四真祖━が身を潜めていると──
絃神島は魔族特区。この街では吸血鬼の類いは珍しくもなんともない。それゆえ住民の大半はこの噂は誰かが考えたただの都市伝説だと心の底では思っていた。そう、つい2、3日ほど前までは──


━━2、3日ほど前━━

この日も常夏の島はいつもと変わらない穏やかな1日を過ごすはずだった。しかし、そうはならなかった。聖殲の叡智を手に入れたディミトリエ・ヴァトラーがグレンダを利用し咎神カインの遺産を召喚したことにより、禁呪 聖殲の祭壇である絃神島は聖域条約機構により破壊を決定され、後に真祖大戦と呼ばれる戦いが行われようとしたのであった。
しかし、その戦いは第四真祖である暁 古城や北欧アルディギア王国等の尽力により事なきを得たと思われたが、さすがの魔族特区の住民といえど1日にそれだけのことが起こるとストレスも貯まるし不安も募る。案の定住民はパニックを起こし人工島管理公社がなんとか押さえつけている状態だった──

ヴァトラーとの戦いを終え、ラフォリアや紗矢華と別れて戻ってきた古城達が見たものは悲惨なものだった。人工島管理公社関連の建物に押し寄せる者、魔族というだけで弾圧しようとする者、絃神島は自分たちがどうなるのかという不安に覆われていた。

呆然としていた古城達の中で最初に口を開いたのは雪菜だった。
「先輩…これは…大変なことになっていますね…」
「あぁ、あれだけのことがあったんだ無理もないさ…」
「古城?」歯がゆそうに街を見つめる古城に浅葱が心配そうに声をかける。
「ねぇ、古城ってば!アンタ大丈夫?」
「悪い、浅葱ちょっとぼうっとしてた」
「それはいいけど、アンタこれなんとかしなさいよ」
「そんなこと言ったって、オレになんとか出来るわけないだろ!?浅葱の方がこういうのはなんとかできるだろ、なんか偽のニュースを流したりとかさ」
「それくらいで収まることならいくらでもするけどそれじゃ無理でしょ!」
こんな時でもいつものように言い争いを始める2人に雪菜が呆れ始めた時
浅葱の携帯に着信が入った。
「浅葱か?傍に古城はいるか!?」
「何よ、基樹こんな大変な時に。古城なら今横にいるけど…」
「そうか、そりゃよかった。古城の携帯に何回かけても繋がらないから探したぜ。なら、話は早い。今すぐ古城をキーストーンゲートに連れてきてくれ、迎えは那月ちゃんに頼んである。じゃあ、後でな!」
「なによ、あいついきなりかけてきて」一方的に喋られた浅葱は少しイライラしている。
「で、なんだったんだ?」
「とりあえず、那月ちゃんがくるから古城はキーストーンゲートに行けって」不機嫌ながらも伝えるべきことは伝えてくれる浅葱
「なんで、オレがキーストーンゲートに…ってうわっ!那月ちゃん!?」
3人の間に突如担任の南宮 那月が現れた。
「教師をちゃん付けで呼ぶな、それと人を見ていきなりうわっはないだろこの馬鹿者がなにか見られてはいけないことでもしていたのか?」冷ややかに笑いながら那月は古城の頭をいつものように扇子で叩く。
「南宮先生、どうして先輩をキーストーンゲートに?」
「なにやら人工島管理公社には第四真祖を使ってやりたいことがあるそうだ。とりあえずついて来い。…転校生お前もだ。」
そう言い終わらないうちに、那月は古城と雪菜の2人を連れて消えてしまった。
「私だけ仲間はずれ?なんなの、もう!」1人置いてけぼりをくらった浅葱の悲痛な叫びが谺響する。

空間転移の独特な感覚が終わると目の前には矢瀬 基樹と数人の人工島管理公社と思われる者と数台のカメラがあった。
「よう、古城。さっきはお疲れ様なかなか派手にやったな」基樹が労いの意を込めて肩を叩いてくる。
「それはいいんだが、なんでこんなとこに?」
「古城も察しが悪いなー、この島の住人の様子はさっき見てきたはずだろ?うちがなんとか抑えてるが、それもあと何時間保つかって感じだな」
「それでオレを呼んだ理由は?」
「先輩が第四真祖であるということを、住民の皆さんに公開するんではないでしょうか」鈍い古城に代わって雪菜が答える。
「さっすが、姫柊ちゃん。古城と違って察しがいいね」
「そんなことして何になるんだよ、余計パニックになるだけなんじゃないのか?」不愉快な気持ちをグッと堪えて古城が異を唱える。
「馬鹿者、聖域条約機構によって絃神島は第四真祖が統治する第四の夜の帝国になったのを忘れたのか?」またしても那月の扇子が古城の頭に炸裂する。
「そうですよ。先輩が第四真祖であり、絃神島がその第四真祖が収める夜の帝国になることを知れば皆さんとりあえずは安心できるんじゃないでしょうか」
「そうは言ってもなんて言えばいいんだよ…」
「そんなのテキトーでいいんだよ、島の端からでも見えるように派手に眷獣出してなんかちょろっと言えばいいんだって、あとはこっちでなんとかするからさ」いつもの軽い調子で基樹が言う。
「そういう…もんなのか?」
「信用しろよ、古城。そういうもんだ」
「だといいんだけどな…」古城は明らかに不服そうだ。
「それで皆さんの不安がなくなるならいいじゃないですか、先輩」
「まあ、そうだな…。今のままほっとけはしないしな」
「そうと決まれば早速撮るぞ、それじゃカッコイイの頼むぜ古城」
「おい、待てよ!!もうちょっと心の準備とかってもんがあるだろ!?」狼狽する古城を無視して準備を始めていく基樹と人工島管理公社の者達。

数分して準備が出来たのか基樹が手を振っている。
「はぁ…マジでやるのかこれ…」
「先輩、頑張ってくださいね?くれぐれも眷獣を暴走させたりしないでくださいね」雪菜の笑顔に後押しされ覚悟が決まる古城。
「じゃあ、始めてくれ」


1人取り残されたことで不貞腐れながらスマートフォンをいじっている浅葱の周りから見慣れた声が聞こえてきた。
「もう、これ喋っていいのか?」聞き間違えるはずがない古城の声だ。
街中のテレビや携帯電話の画面に白いパーカーを着た気だるげな少年が立っている。
騒いでいた住民や魔族たちも自然とそれぞれの画面に注目した。
「初めまして、オレは暁 古城っていう。大変な時だとは思うけど少し話を聞いてくれ。オレは第四真祖だ。」画面の白いパーカーの男は何気ない風に言った。
しかし、昂っていた住民たちにはただの悪ふざけに聞こえたのだろうか。
口々に文句を言いブーイングの嵐となった。
「あいつ、いきなりなにやってんのよ…」知り合いの不手際に頭を抱える浅葱。
怒った住民たちの意識が画面の少年から離れていきかけたときだった。
「はぁ…やっぱり普通にしてもダメか…」画面から大きなため息が聞こえてきた。

「焔光の夜伯血脈を継ぎし者、暁 古城が汝の枷を解き放つ―――!疾く在れ、五番目の眷獣"獅子の黄金"」パーカーの少年の叫び声とともに腕から真紅の血霧が吹き出しキーストーンゲートの屋上に電気を纏った巨大な獅子が姿を現した。
島の中心部から爆風が駆け抜け、騒いでいた住民達は皆、画面に釘付けとなった。
パーカーの少年 暁 古城に島中の者の注目が集まったが、少年が気だるげに発した言葉はあまりにも短かった。
「今日から、絃神島はこのオレ第四真祖が支配して守ってやる。」

ただそれだけの数秒の台詞を残して画面は暗くなってしまった。
しかし、島の住民達にはそれだけでよかったのだ。
第四真祖という圧倒的な力が自分たちを守ってくれる。その事実が人々から不安を消し去った。

こうして、魔族特区・絃神島は第4の夜の帝国としての1歩を踏み出したのだった。 
 

 
後書き
最後まで読んでいただきありがとうこざいます^^*
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