世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはStrikerS ~出張!機動六課!!~
蒔風がフェイトと追いかけっこしてから数日後
「出張任務?」
「らしいぜ?なんでもロストロギアが確認されたらしいから」
朝食の場で蒔風が伝言をフォワードたちに伝える。
今日は珍しくまともに早朝訓練に出られたので一緒に訓練を見て、自分も飛行の訓練をしていたのだ。
「なのフェイはやてにシグナム、ヴィータ、それからオレ、シャマルにリィンとお前らでな。相手がロストロギアだけあって万全に行きたいらしい」
蒔風が少なめの朝食をとって説明する。
その目の前では超山盛りのご飯をよそっているスバルとエリオがモリモリと食べていた。
「それで、どこなんですか?出張先は」
ティアナが質問し、それに後ろからの声が答えた。
「第97管理外世界、現地名称、地球」
「今回の任務はそこの島国の町だよ」
「なのはさん」
「フェイトさん」
そこには朝食を持った二人がおり、席に座って朝食をとる。
「ま、言っちまえば俺達のホームグラウンドだ」
「確かなのはさんたちの故郷ですよね?」
「オレやフェイトがなのはとであった場所さ。懐かしいねー」
「最初に会ったのって確か・・・・」
「オレとなのはは小学校で会ってたけどな。意味のある出会いは森ん中でだな」
「あの時の舜がさ」
「貧乳?」
「何を言ってるのかな?舜は」
「いやあ、話したいもん」
「ダメ」
「やめて」
二人が蒔風を止める。
一体何があったのか、フォワード陳がわからない顔をする。
「と、とにかく、みんな、食べ終わって書類整理が終わったら準備してヘリポートに集合ね?」
「「「「はい!」」」」
そうしてなのはフェイトが蒔風を引きずってその場から去る。
直後、恥ずかしさが込められた悲鳴と、その話を始めた男の痛々しい悲鳴が聞こえた。
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そうして準備が整い、全員がヘリポートに集合する。
はやてやヴォルケンズは別に向かうそうで、後から合流するそうだ。
「じゃあはやてちゃん、先に行ってるね?」
「うん。うちもすぐに追いつくから、また後でな?」
ひとしきりの行動予定を伝え合い、じゃあ転送ポートに行こうか、となのはが言おうとし、言葉が止まる。
「じゃ、皆行くぞーーー?全員いるなーーー?」
「先生!男子がトイレにいったまま帰ってきません!」
「先生!女子が竜を探しに行ってしまいました!」
「うるさい!並べ!団体行動を乱すな!男子女子男子女子で交互に並べ!」
「男子はエリオしかいません!しかもトイレです!」
「チクショウ・・・・・・男女やりたかった・・・・・」
蒔風がガックリとうなだれて気落ちするが、フォワード陳が励ます。
「ほら!まだいけますよ!舜さんの使い魔出せば!」
「スバルお前天才か!?」
「ただの馬鹿ですよ。はぁ・・・」
スバルのノリに頭を抱えるティアナ。
まぁこういったテンションが自分に降りかからないだけまだマシだが。
「と~~~~かなんとか思ってんじゃないだろうな!?スバル!膝カックン!」
「アイサー!アダッ!」
「何してんのよ!」
蒔風の指示でティアナに膝カックンを行おうとしたスバル。
しかしティアナがデコピンでスバルのおでこを撃ち、迎撃した。
「やるな。だが私のテンションは終わらない!やるぞお前ら!せーの!男女男男「いつまで遊んでないで早う行かんかい!!」はい」
はやての一喝に皆の視線がはやてに向き、蒔風の方を見直すとさっきのはっちゃけが嘘みたいに大人しく正座した蒔風&七獣がいた。
「あはは・・・・・じゃあ、転送ポートに行こうか」
そうしてフェイトが改めて行こうとするのを、蒔風が止める。
「え?こっちで行こうぜ?」
そう言って蒔風が手を振るう。
[Gate Open---Mid-Childa]
そしてその目の前に、蒔風が世界を越えるときのゲートが開いた。
それに唖然としてポカンと口を開けるなのはとはやて。
「うん。開いた開いた。やっぱ世界内の世界移動ならできるみたいだな。って、おまいらどうした?」
「個人で世界移動できるって・・・・・」
「ま、まあ舜君なら何やってももう驚かへんからなァ・・・・・」
そんなこんなで蒔風たちがゲートをくぐり、管理外世界97が地球の日本、海鳴市へと向かった。
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「地球か。何もかもみな、懐かしい・・・・」
そうして到着、海鳴市。
なのはに指定してもらったポイントにゲートを開くと、そこは湖畔のコテージだった。
自然と自然と自然しかない。
空気はうまい!!水も綺麗!!
「・・・・・・・泳ぐか?」
「バカなこと言ってないで、ほら、今回の任務忘れてない?」
そうである。
今回の任務は紛失したロストロギアの探索。
本来六課はレリック専任なのだが、管理局は人手不足。故にこうして六課も駆り出されているというわけだ。
「でもよー。こっちの協力者ってのが来るまで足止めだろ?サーチャーの設置だって多分お前らで足りるし」
確かにそうなのだ。
本来転送ポートから行く予定が、蒔風によって簡単に来てしまったので、現地協力者との待ち合わせ時間までまだ余裕がある。
そしてこれだけの人数がいればロストロギア探索のサーチャーの設置もそんなにかかるものではない。
「だからさ、こっからオレ少しだけ単独行動するわ」
「舜君・・・・今や舜君だって機動六課の一員なんだから、団体行動を・・・・・」
なのはが教導官らしく蒔風に言うが、そのなのはの言葉を軽く流して蒔風がどこから出したのか、花束を肩に担いで行ってしまった。
そんな蒔風を呼びとめ、しっかりするように言おうとしたなのはだが、フェイトが蒔風の担ぐ花束を見て、それを止めた。
「連絡入れたら、すぐに戻ってきてね?」
「・・・・・・・わかったよ」
そう言って蒔風がその場から去る。
「フェイトちゃん?」
「なのは、大丈夫だよ。行かせてあげよう。どこに行くかは、大体わかってるから」
そんなことを話す二人。
なのははどうしてわかるんだろう、と疑問に思うが、それにフェイトがすぐに答えてくれた。
「舜の持ってた花束ね?サンダーソニア、っていう花なんだけど、その花言葉が・・・・・・・」
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優しく風の吹く丘で
蒔風が一人、目的地に着く。
その場所を見つめながら、ひとり語りかけるようにつぶやいた。
「よお・・・・・遅くなったな。十年も経っちまったみたいで、なのはもフェイトも、はやてだって元気だ」
そう言いながら蒔風が地面に花束を置く。
そしてそのまましゃがみ込みながら話し続ける。
「まあこんなこと、「この世界」にいたお前なら知ってんだろうな。そもそも、お前の後を継いだデバイスはちゃんといるんだし」
「俺は・・・・なんていえばいいのかわかんねえや。今更「すまない」でもないし「ありがとう」もおかしいな。オレはお前を結果的に消しちまったんだし。でも、まあ、これは俺なりのけじめだからねぇ」
そこで少し強めの風が蒔風の背中を押した。
その若干の力強さに、蒔風がふふ、と笑って目を閉じ、そしてそこから広がる景色を見た。
「俺に祝福あらんことをってか?優しいな。お前は・・・・・・・・」
「じゃあな。世界最幸のユニゾンデバイス」
そう言って蒔風が去る。
その場所は彼が前回最後にいた場所。
海鳴の街を見渡せる丘の上の展望台。
そこに「祝福」の花言葉を冠する花束が、風に揺られて残っていた。
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『こっちの用事は終わったよー。なのは、いまどこん?』
蒔風が街中を歩きながらなのはに連絡を取る。
聞けばやっぱりサーチャーの設置なんぞにそんな時間が掛かるわけもなく、今は・・・・・・
『おっけ。じゃあ向かうから、待っててちょ』
そうして念話を切り、蒔風はなのはのいる喫茶翠屋に向かった。
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喫茶翠屋
なのはの両親が経営しているその店に、スターズ分隊のなのは、ティアナ、スバル、そして補助のリィンがいた。
久しぶりの両親との会話になのはも楽しそうだ。
そしてその光景を見てフォワードの二人は
『ティア・・・なのはさんが普通の女の子だ・・・・』
『え、ええ・・・そうね・・・・・』
いつものなのはとは違う一面を見て、そんなことを思う二人。
と、そこに割り込む声が
「なるほど、お前らそんなこと思ってたのね?なのはは思いっきり年頃の女の子だよ。ただもうちょっとそれを前面に押し出してくれたらいいんだけどね」
「あ、舜さん!!!」
スバルの背後に蒔風が現れ、高町家の面々に挨拶をする。
「ご無沙汰してます、士朗さん」
頭を下げて丁寧なあいさつをする蒔風に、ティアナが正直驚いていた。
「舜さんが頭を下げるって・・・・」
「にゃはは。舜君、昔うちに居候してたから、お父さんには頭が上がらないんだよ」
「い、居候!?」
「一緒に住んでたんですか!?」
「うんそうだよ。何かおかしいかな?」
「い、いえ」
「別にそうでもないですけど・・・・・・」
『ティア!!完璧だ!!完璧な女の子がいる!!』
『お、落ち着きなさいスバル!』
そんなスバルとティアナにあいさつを終えた蒔風が絡む。
その顔は半分呆れた感じだ。
「お前らなァ・・・・なのはだって普通の女の子なんだって。ま、こいつは昔っからこんな感じにポワポワした足りない頭で必死になって考えて、それでいて周りには遠慮するようなガキだったからな。そう見られてもしょうがないか」
「む、舜くんひどい!!私ってそんなにポワポワしてる?」
「してるってかさ、お前はもっと誰かを頼れってのよ。フェイトもはやても簡単に協力してくれるぜ?」
「だからだよ~~~~。なんでも聞いてくれちゃうから遠慮しちゃうの!!」
「そこで遠慮したらダメだって!!昔っから言いたかったんだがな、大体お前は・・・・・・」
「それを言うなら舜君だって十年前いきなりいなくなっちゃって、無茶な戦いかたしてばっかりだったんだから・・・・・・・」
だんだん二人の会話がヒートアップして軽い口論になってしまう。
お互いに意固地な部分があるので、全然収まりそうにもない。
と、そこにフェイトから連絡が入る。
どうやらあっちもサーチャーの取り付けが終わったらしく、こっちを迎えにくるそうだ。
「しょうがないな・・・・・・じゃあ今度模擬戦で決着付けっか」
「そうだね。負けないよ!!!」
「ふ、こっちだって」
そんなことを話し合って拳をぶつける二人。
はたから見ればいい感じの二人に見えるのだが、ティアナとスバルからしたら
訓練場がなくなっちゃう!?
と言った感じだ。
リィンを見ると今からすでに修繕費を計算していた。
これが経験のなせる技か。
そうしているうちにフェイトが到着し、おみやげのケーキを買って最初に着いたコテージに向かう。
そこで、今晩のご飯が用意されて待っている。
to be continued
後書き
アリス
「次回、後編!!飯、風呂、バトル!!」
ではまた次回。
戦法など、届く距離まで近づいて斬れ!ぐらいしか言えん
全くです。
作者も同感です。姐さん
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