聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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793部分:第百二十二話 二つの顔その五
第百二十二話 二つの顔その五
「しかしだ」
「しかしか」
「己を絶対の存在と思っている」
「自分自身をか」
「それは天界にいる神々全てがそうだ」
「そして貴様等はか」
「あの神々に常に蔑まれ侮られてきた」
そうだったというのである。
「我等はまだいい。しかし」
「アーレスだな」
「アーレス様を愚弄することは誰であろうと絶対に許さん」
言葉にさらに怒りを見せる。
「決してだ」
「アーレスもまた蔑まれてきていたのだったな」
「誰もアーレス様を認めようとせずそのうえで愚弄し続けてきた」
「そしてあの神々と戦いか」
「我等は天界を追われた。しかし天界を追われたとしてもだ」
それもだというのだった。ここでポポスは言うのだった。
「やがてはだ。攻め上がってみせる」
「そして自分達が握るか」
「そうだ、握る」
こう言ってみせたのだった。
「全てをだ」
「オリンポスの神々を倒すか」
「一つ言っておく」
ここでポポスの言葉に忠告めいたものが宿った。
「いいか、ジェミニよ」
「何だというのだ?」
「貴様達の仕えるアテナもまただ」
「どうだというのだ、一体」
「オリンポスの神々には好まれていない」
そうだというのである。
「それは言っておく」
「アテナもまた、か」
「そうだ。あの神々は自分達だけだ」
「では人を見るアテナはか」
「海界の神々、そして冥界の神々ともまた違うのだからな」
つまりアテナだけが異質の存在であるというのである。彼は今は理性的な口調でサガに対してこのことを話すのであった。
「人のことを考え気にしているアテナはだ」
「疎ましいというのか」
「そうだ」
まさにそうだというのだった。
「そう思っているのだ」
「それは初耳だがな」
「初耳か」
「確かにこれまで多くの聖戦があった」
今戦っているそれだけではないというのだ。
「前にもアーレスとも戦いポセイドン、ハーデスとも戦ってきた」
「そうだったな、貴様達はな」
「ギガンテス達とも魔物達とも戦ってきた」
「しかしか」
「そうだ、オリンポスの神々とは戦っていない」
彼が言うのはこのことだった。
「これまでだ。そして」
「意識したこともなかったか」
「あの神々は何処か異質だ」
サガが彼等に対して感じていることでもあった。
「上から見ているだけだ。そう思える」
「だが、だ。アテナについてはだ」
「快く思っていないか」
「アテナの兄であるアポロン、姉であるアルテミスもだ」
「そうした神々もか」
「そうだ、言ったな。自分達しかない神々だと」
このことを強く告げるポポスだった。
「確かに言ったな」
「受けている」
言葉をというのだった。
「既にな」
「ならわかるな。そういうことだ」
「では何時かはか」
「貴様達が今戦うかどうかはわからない」
「そこまではわかりはしないか」
「しかしだ」
また言葉を強くさせるポポスだった。
「いいか」
「戦うこともか」
「有り得る、いや必ずある」
言葉を途中で断言に代えてみせてもきた。
「やがてはな」
「戦うというのか。天界の神々とも」
「しかも。見せはしないがだ」
「野心もあるか」
「ない筈がない」
咎める言葉だった。それは自分に対してのものでもサガに対してのものでもない。彼が今その目に見ている、その相手に向けているものだった。
「必ずな」
「だからこそ来るのか」
「我等は隠すことはしない」
自分達についての話に移った。
「それはない」
「誇り故にか」
「戦う者に誇りなくして何なのか」
「そうだな。だからこそ戦える」
「そういうことだ。ではだ」
ここまで話してであった。
今彼等も激突するのだった。その技が互いに炸裂する。
第百二十二話 完
2010・5・13
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