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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D 器用で不器用な赤龍帝

 
前書き
テンプレ転生でイッセーの物を書いたことがなかったので書いてみたら寝ぼけて他のネタと合体事故を起こしました。
今後トモヨロシク 

 




う~む、テンプレな転生をやってしまったな。よりにもよってドラゴンボール並みにインフレの激しいハイスクールD×Dとは。しかも主人公の一誠か。モブで引きこもってたかった。とりあえず、引きこもった際のメリット・デメリットを書き出してみよう。


メリット
・平凡な人生を送れる?(デメリットによって送れない可能性大)

デメリット
・アーシア死亡(蘇生はされるのかな?)
・リアスがライザーと結婚(確定。デメリット?)
・コカビエル戦で全滅の恐れあり(むしろ、駒王が吹き飛ぶんじゃあ?)
・ギャスパーが処理される可能性中(むしろ神器を抜き出して他の人に移植したほうが…)
・白音が黒歌に拉致られる(確定)
・朱乃が仲違いのまま(確定)
・フェンリルで全滅の恐れあり(ヴァーリ達が味方になりそうにない)
・京都が吹き飛びそう(ほぼ確定)
・冥界が豪獣鬼・超獣鬼によって被害甚大(確定)


オレの知識が途中までしかないからこれだけだが、デメリットしか存在してないじゃねえかよ!!駒王に住んでる限り、死の危険が伴いすぎだろ!!大半の主要メンバーが不幸になってるしな。逆に出来る限り原作に近い状況に持っていけた場合のメリット・デメリットを書き出してみよう。


メリット
・寿命が長くなります(詳しいのは分からないけど精神的に老いなければ万年単位で生きれそう)
・美女、美少女に囲まれます(個人的には一人を深く真摯に愛したいのですが)
・子供達の人気者です(だけどおっぱいドラゴンは勘弁してください)
・お金持ちになれます(お金持ちにはお金持ちの苦労があるんです。中流階級の上の方ぐらいが一番気楽そう)
・将来安泰(ただし闘争に塗れてそう)

デメリット
・人間辞めます(まあ仕方ないよね。悪魔に転生しなくても竜にはなっちゃいそうだし)
・死にます(最悪2回。頑張れば0回に出来るはず)
・自由がちょっとばかし減ります(これは許容範囲)
・政治に関わる必要がありそうです(人外の政治家って政治ってものを理解してなさそうで苦労しそう。老害も多いみたいだからディスガイアの議会システムを導入したい)
・命がけの戦闘が多い(勘弁してよ~)


うわっ、引きこもってる方より苦労が多い上にメリットが薄い。前世での二次小説で喜んでいた奴らの気が知れない。努力はするけど、努力はするけど辛いよ。確か一誠の才能って低いんだよな。どうするか。鍵は赤龍帝の籠手か。倍加の力の使い方次第で全てが決まるな。とりあえずは使えるようにならないと話しにならないんだよな。さて、現実逃避は止めるか。母さん、オレのマイサンを見て微笑まないで。まだ赤ん坊なだけなんだから、成長したらビッグな男になるんだから。










オレ、勘違いしていたみたいだ。倍加の力って全体強化しかなかったのかよ。部分強化って譲渡の力なのかよ。あれ?むしろ弱くなってねえか?そう思ったオレは悪くないはずだ。

あっ、ちなみに現在3歳です。イリナちゃんからの新聞紙ブレードを防御するために神器が出ました。赤龍帝の籠手も体に合わせて小さいですが、宝玉内に赤龍帝の紋章も浮かんでます。

原作の一誠の弱さが際立ちます。お前、3歳児が怪我を防ぐための防衛本能で起動してるんだぞ。どんだけ気合が入ってなかったんだ。

赤龍帝の籠手が出せるようになってからイリナちゃんの打ち込みが強くなりました。左手だけじゃ捌ききれなくなってきたので右手も寄越せと強く念じると右手にも籠手が出ました。ふはははは、これでイリナちゃんの二刀流に対抗できるぜ。喰らえ、四の字固め!!君が、泣いても、謝るまで、許さない!!あっ、ちょっ、ひっくり返らなあだだだだ!?イリナちゃんの方が体格が良いから返せないいてててててて!!タップ、タップ!!

関節技はやっぱり痛いです。







とりあえず神器が出たんだからこれを使いこなさないと話にならない。イリナちゃんとの体力が完全に切れるまで全力バトルで身体を作りながらおやつと昼寝で回復する。イリナちゃん、抱きつくまではともかく上に乗るのは勘弁して。その所為でこの前ファーストキスを奪われちゃったんだから。顔がヨダレまみれにもなったし、母さんが写真に残しちゃってるし、散々だったんだから。

さて、原作ではとにかく体を鍛えるとあったが、力を使いこなすためには使いまくるのが一番のはずだ。意識を籠手に向ければカウントを感じ『boost』の音声に合わせて力を発動。そのまま効果が切れるまでの時間を数えながら、再びカウントを始める。これを寝たふりをしながら続ける。これを続けてタイミングを完璧にって、いたたたたた!?イリナちゃん、寝ぼけて噛みつかないで!!母さん、ヘルプヘルプ!!






イリナちゃんのお父さんがなんだか暗い顔で引っ越すことになることを告げてきた。ああ、もうそんな時期なのかと思っていると泣いているイリナちゃんに押し倒されて後頭部を床に叩きつける。イリナちゃんと一緒にいると生傷が絶えなかったから痛みには随分と強くなった。イリナちゃんのお父さんが複雑そうな顔をしている。確かヴァチカンに行くんだっけ?ってことはイタリアでの生活のはず。手紙ぐらいは送ってあげよう。第2外語でイタリア語をとっててよかった。簡単な手紙ならかける。美人を見たら口説かないと失礼だから口説くためのセリフ集とかいうテストだったせいでそっち系のボキャブラリーは豊富だ。それを分解すれば多少の日常会話の手紙を書くことは可能のはずだ。

イリナちゃんと別れてからは体を鍛える効率が下がった。同年代が相手にならない身体能力を身に着けているため組手もどきの相手がいなくなってしまった。諦めて普通の筋トレをしながら小学2年生で待望の譲渡を扱えるようになった。

色々試してみて確信した。譲渡こそがオレの修行の相棒であると。譲渡の力は倍加の力を他人や一部に集中して渡すことが出来る力だ。継続時間は倍加の力と同じで倍率は下がる。これが基本だ。そして、一番重要なのは見えない物にも譲渡することが出来るということだ。別に重力とかそういうものという意味ではない。言葉の上でしか存在しない物と言ったほうが良いか。最も簡単な説明をするなら、ゲームで例えるのが良いだろう。

経験値取得率(・・・・・・)熟練度取得率(・・・・・・)を倍加出来た。

今のオレは普通の倍加で16倍、持続時間は30秒。譲渡に寄って倍率は10倍。つまりは最初の溜めに40秒使った後は、30秒間経験値10倍、10秒の休憩後にまた30秒間経験値10倍を繰り返せる。疲れれば自然治癒力を10倍にして休憩してそれを繰り返す。ネトゲの課金アイテムなんかも目じゃない高密度・高効率の修行が可能だ!!ヒャッハー、もう我慢できねえ!!



栄養失調で倒れました。自然治癒力を高めるってことは新陳代謝も10倍にするってことが頭から抜けてました。自然治癒力を高めるのはお蔵入りになりました。危ないな、勉学系にも使おうと思っていたけど、ブドウ糖を直摂取で10倍の量を摂取しないといけないとか罰ゲームに近い。勉強は真面目にしよう。







中学2年生になりました。オレは今、オリンピック100m走決勝会場に立っています。

どうしてこうなった。もう一度言おう。どうしてこうなった。

そもそも陸上部にも入っていないオレがなんでこの場に立ってるんだよ。思い返すは1年の頃、陸上部の短距離のエースで表は優等生だけど裏では不良たちのトップで女の子を泣かせている3年の先輩の鼻の面をへし折ってことが始まりだっけ?

正々堂々あの手この手で妨害してきて、靴を隠されたから裸足で走って、トラックに仕掛けられていた爆竹もガン無視してぶっちぎってやったらタイムがおかしいとか言われて、今度はちゃんと靴を履いて走って更にタイムが縮んで、なんか大会に出場させられた記憶はある。

あれ?公式記録を残してるじゃん!?何やってんのオレ!?

『今頃気づいたのか相棒』

(今頃気づいた。鍛えることと優等生であることしか考えてなかったから。教えてくれても良かったじゃんドライグ。うわぁ、真面目に陸上やっている人ごめんなさい。終わったら完全引退宣言するんで今回だけはすみません。負けるのは嫌いなんで)

100m、200m、400m、800m、走り幅跳び、走り高跳び、砲丸投げ、ハンマー投げで世界記録更新、4×100mリレーで銀、4×400mリレーで銅を取りました。その後、さらに追加でドーピング検査や色々な検査を受けることに。途中、なんか悪魔にも魔法で調べられたけど特に以上は見受けられずに不正はなかったと証明された。魔力を使った肉体強化なんてすぐにバレるような物を使う訳ないでしょうが。その後、会見が開かれたのでオレだけの追加検査を利用して引退宣言をしました。

「高々14歳の子供に対して薬物やその他諸々の不正を疑う恥知らずな大人達の行為に失望した。未だに何か不正があるはずだという声も聞こえてくる。オレは主催者の指示通りに素直に検査を受けた。それも2週間もだ。その結果、白だと判明もしている。それでもまだ不正があるというのなら、オリンピックの公平性というものは存在しないのだろう。オレは一切の記録を放棄して完全に引退する。がっかりだよ、この世には夢も希望もないようだ」

ここまで派手にしてやれば陸上に関わらなくても問題ないだろう。いやあ、残りの3年でしっかりと鍛えないとな。そろそろ武術の練習でもするか。柔剣道に空手、ボクシング、中国拳法、ムエタイ、色々あるからな。何から手を付けようか。






無事に駒王学園に入学できた。これで原作に近い状況には持っていきやすいはず。最悪、オレが生き残れれば良いだけだから多少のズレは気にしない方向で。というか、既にオレがおっぱいおっぱい言ってない時点でずれてるしな。

それにしても設備が充実してるよな。さすが元お嬢様学校。さすがに筋トレ器具はなかったが、大抵のスポーツは可能だな。まあ、大会には一切出るつもりはない。あのオリンピックの時から無理矢理公式大会に出されても記録は全て破棄を宣言している。国はあの手この手でオレを陸上選手に復帰させようとするが、それから逃げ続けている。

格闘技の方は基本は大体修めた。あとは実戦経験を積むしかない。オレの実戦経験って精神世界内での対ドライグ戦と対先輩方戦しかないからな。実際のところ、オレがどれだけ戦えるのか分からないんだよな。







町外れの廃工場で初めての実践を行っている。相手は英雄派の幹部たちだけど

『はっはー、温いぞ、英雄共』

「修行が全然足りてないぞ~。右右左右右右足で行くから受け切れよ」

適当に拾った鉄パイプを強化してジークフリートの6本の魔剣と切り結ぶ。ヘラクレスは既に沈んでいるし、ジャンヌは逃げ出したから放っておいている。

「ただの鉄パイプに魔剣が砕かれる!?」

「はい、次~」

鉄パイプで股間にゴルフショット!!大丈夫大丈夫、玉が潰れてもフェニックスの涙なら治せるって。鉄パイプを投げ捨てて、足元に転がっている空き缶を蹴り飛ばす。さっきから隠れてチョロチョロ動いているゲオルグの顔面に粉々になった空き缶が突き刺さる。やっといてなんだけどアレは痛い。ゲオルグが集中できなくなったのか絶霧の結界が解ける。

「おいおい、この程度の力で世界を壊すなんてよく言えるよな。英雄の力でって言うけど、人外であるヤハウェの力の神器と神滅具に頼ってるし、何がしたいんだ?あと、オレは英雄でもなんでもないぞ。ただ、超高効率で鍛えてるだけの一般人だぜ。まあ、今はドライグの力も借りてるけどな」

両手の籠手を打ち鳴らしてから再び構えを取る。この程度なら禁手化する必要もないな。

「貴様、何故オレたちの思いが分からん!!」

「いやいや、人外が居るからって何か不都合でもあるか?普通に生きていれば関わることなんて滅多にないし、普通に出会うぐらいなら普通の他人と変わらないだろう?」

「はぐれに殺されたり、食い物にされている者もいるんだぞ」

「人間同士でも殺したり食い物にするだろうが。お前さあ、ただ持ってる力で好き放題したいだけなんだろう?建前は良いから本音で言えよ。オレの心には全く響かないな」

オリンピックの時からそういう人の心を読むのに慣れた所為で曹操の心が手に取るように分かる。ようするに中二病なんだよ、こいつ。自分は選ばれた人間なんだ。だから普通の暮らしなんて嫌だ。皆に崇められたい、持て囃されたい。そんな気持ちでいっぱいなんだよ。その分、ヘラクレスの方が良いな。あいつは自分に正直だ。暴れたいから暴れる。実にシンプルで分かりやすい。まあ、暴れたい気持ちはさっぱりだから絶対に混じり合うこともないけどな。

「とりあえず、力不足だ。出直してこい」

黄昏の聖槍を殴り砕き、曹操をパワーボムで沈める。黄昏の聖槍を砕いた時に何か光のようなものが赤龍帝の籠手に触れた気がするが気のせいだろう。

「ジャンヌだっけ?隠れてるのは分かってる。とっとと全員連れて帰れ。それから伝言を預かってろ。お前らは一流の使い手に出会ったことがないから神器なんて物に頼りっきりになるんだよ。もっと人間の力を信じろよってな」






「あの、兵藤一誠さんっすよね?ファンです、サイン下さい」

「久しぶりにストレートに言われたな。いいよ」

いきなり原作から外れたけどこの程度なら大丈夫のはずと自分に言い聞かせながら差し出された手帳にサインを書く。あと、本当に純粋なファンなんだろうな、ミッテルト。涙が出そうだぜ。

「ちょっ、どうしたんっすか!?いきなり泣き出して」

「……ごめん、久しぶりにまともな会話ができて嬉し泣きに近い」

「……あの、時間があるならちょっと話でもどうすか?」

「ありがとう」

学園でも家でも腫れ物扱いに近いからぼっちなんだ。ぼっちでも平気な人たちを尊敬するわ。結構キツイよ、ぼっち。そんな愚痴に付き合ってくれるミッテちゃん、マジ天使。あっ、堕天使だったか。どっちでもいいや。

「有名人ってのも大変なんですね」

「まあ、オリンピック委員会と世界陸上連盟を真正面から批難して世論を味方につけたからな。今度のオリンピックから陸上競技が外れるみたいだし、かなりの人数のスポーツ選手が引退しちゃったしな。スポーツ業界から恨まれまくってる。この前も潰れたスポーツ用具専門店の社長に襲われたしな。返り討ちにしたけど」

「そう言えば捕まってましたね」

「はあ、何処で人生間違えたんだろうな。オリンピックになんて出るつもりはなかったのに」

「そうなんっすか?」

「おうよ。真面目に陸上をやっている人たちには悪いけど、オレはただ体を鍛えてただけで、陸上のための努力なんてしたことがない。それなのに世界記録なんて出して、金メダルの総ざらい。手を抜けばよかったんだろうけど、オレは勝負事で負けたくなかった。そうしたらオレだけ追加の検査で2週間も拘束されたってのに、まだ不正を疑う大人に愛想が尽きた。だからあんな発言をしたんだ。今の生活のことを考えると後悔してるけど反省する必要性は感じられないな」

そんな話をミッテちゃんに愚痴って心がスッキリした。ドライグは適当に聞き流して相槌すら打ってくれないから、あまり心の整理にはつながらないんだよね。

「今日はありがとうね、ミッテちゃん。また会えると嬉しいんだけど」

「しばらくはここらへんにいるっすよ」

「そっか。それじゃあ、今度会った時はお礼させてよ」




それからミッテちゃんと何回か会ってデートもどきを繰り返して、友達以上恋人未満程度にはなれたと思う。だから、この現状に後悔はないさ。

「貴方は、兵藤君?」

「どうも、グレモリー先輩方。助けに来たぜ、ミッテちゃん」

グレモリー先輩にとどめを刺されそうになっていたミッテちゃんをお姫様抱っこで拉致って助けた現状をオレは受け入れよう。前提条件が違うんだ。原作だなんだってことは目安にすらならない。それがどうした。今、オレが抱いているのは確かな現実だ。誰でもないオレが決めた道だ。

「ば、バカっすか!?何しに来たんっすか!!折角レイナーレさん達にも報告誤魔化して殺さないで済むようにしてたのに」

「ミッテちゃんが殺されちゃうとまたぼっちだからね。それだけで助ける理由には十分だよ」

「いくら人間の中じゃあ最高峰の身体能力を持ってるからって悪魔を相手にするなんて無理っすよ!!」

「無理だったらその時は一緒に死んでやるさ。まあ、そんな未来は訪れないさ」

ミッテちゃんを降ろして盾になるように前に出て、両手に赤龍帝の籠手を装備する。

「改めまして私、生まれも育ちも駒王で、性は兵藤、名は一誠。皆様共々人には言えぬ秘密があります。不思議な縁もちましてたった一人の女のために粉骨砕身、闘争に励もうと思います。天界へ行きましても、冥界へ行きましても、とかく土地土地のお兄さんお姉さんに御厄介かけがちなる若造でござんす。以後、見苦しき面体お見知りおかれまして今日後万端引き立って宜しく御頼ん申します」

口上で稼いだ時間分の倍加の力を開放して木場の顔面を殴り飛ばす。唖然としている姫島先輩を殺さない程度に鳩尾に蹴りを叩き込み、塔城さんの頭を掴んで埋める勢いで地面に叩きつける。この間2秒と掛ってない。

「えっ?」

「早く手当してやらないと大変ですよ。ミッテちゃん、終わったぜ。オレの平凡な人生もね」

「それ、赤龍帝の籠手じゃあ」

「そうだよ。オレが今代の赤龍帝。歴代の中で最も才能がない赤龍帝さ」

『ふん、その代わりに歴代の中で最もオレの力を使いこなしている歴代最強の赤龍帝だ、相棒』

ミッテちゃんを再び抱き上げて廃教会を後にしようとしたところで高まる魔力を感じて横に飛ぶ。滅びの魔力が通過するのを見てため息をつく。

「後悔、してもらいますよ」

出しっぱなしの赤龍帝の籠手の倍加を更に使って首を狙って回し蹴りを放つ。障壁を貼ろうがお構いなしに強引に蹴り抜いてグレモリー先輩の首から嫌な音が聞こえたけど死んではいないからセーフ。グレモリー先輩の服を漁って携帯を回収して、電話帳に会長の名前があることを確認してから廃教会を後にする。

自宅に戻って着替えと通帳を回収して書き置きを残して出る。中学までは色々と楽しかったんだけどな。親不孝なオレを許さなくていいから元気に生きて欲しい。そういう願いを込めて家に向かって頭を下げる。

歩きやすいようにミッテちゃんをおんぶしてグリゴリの拠点の一つに向かって歩きだす。駒王から離れたところで会長の携帯に連絡を入れてグレモリー先輩たちの回収をお願いする。

「本当にいいんっすか?今からでもグレモリーを皆殺しにすれば元の生活に帰れるんっすよ」

「それだとミッテちゃんが大変でしょ?詳しいことは分からないけど、ドライグから大体の話は聞いてるから。戻っても処刑か飼い殺しでしょ」

「まあ、そうなるっすかね。ウチみたいなちんちくりんだと飼い殺しはまず無いっすね」

「そうなって欲しくないから一緒に付いていくよ。赤龍帝ならそれぐらいの価値があるはずさ」

「けど、どうやって上に報告するっすかね?」

「ミッテちゃんの魅力にメロメロになったとでも報告すればいいよ」

「……いやいや、それはないっしょ」

「オレ、廃教会での口上、結構本気だよ」

「……いやいや、嘘っしょ」

「う~ん、ストレートに言った方が良い?」

「……本気なんすか」

「本気だね。一人の男としてミッテちゃん、ミッテルトと一緒にこれからを歩んでいきたい」

「ウチ、こんなちんちくりんっすよ」

「可愛らしくていいじゃない」

「話し方も変だと思わないんすか」

「それでミッテルトの魅力が減るどころか増すね」

「本当にウチでいいんっすか?」

「ああ、ミッテルトが良い。オレが相手じゃ駄目か?」

「そんなことないっす!!だけど、ウチとイッセーじゃ釣り合わないっすよ」

「言いたい奴には言わせておけ。釣り合わないと思うのなら釣り合うように引き上げてやるよ。それがオレには出来る。二天龍クラスまでとは言わないけど、周りにあれこれ言われないよう位にしてやる。それも短期間でな」

「でも」

「ミッテルト、余計なことは全部オレがねじ伏せてやる。だから、お前の素直な気持ちを聞かせて欲しい」

やばい、超緊張する。オリンピックなんかより全然緊張する。背中で何度も何かを言おうとして口を噤んでしまう気配を感じながら無言で歩き続ける。どれだけ時間が経ったのか分からなくなった頃、本当に小さな声でミッテルトが気持ちを伝えてくれた。

「……ウチも、一緒にいたいっす」


 
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