Fate/Godhood Trickster~神格の道化師~
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プロローグ~神格の道化師~
前書き
この小説は、以下の注意点があります。
・作者がFateも小説も素人
・オリジナルが満載、原作と違う点が多いかもしれない
・キャラ崩壊(があるかもしれないので)注意
最後に、アドバイス等があれば是非コメントをお願いします~
……ある城の地下にある広間。
そこは灯りが壁に備え付けられた松明が数本のみで薄暗く、床には不気味な魔方陣が描かれており、その中心には石化した剣が突き刺さっている。
「――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
……そこには一人の老人。城の当主【ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン】が。
彼は現在、【サーヴァント】という使い魔を召喚する為に召喚詠唱を行っている……【第五次聖杯戦争】に勝利するために。
「誓いを此所に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手操る者――」
……詠唱を進めていく内、魔方陣が輝き始めた。
あともう少し。光輝く魔方陣を眼に捉えると、老人はニヤリとして次の言葉を発した。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」
……詠唱の最後の言葉を終えた瞬間、魔方陣の光がさらに強くなり広がっていった。
広がっていく光はやがて老人を包み込み、その眩き光は老人の眼を閉ざした。
「……出でよ、狂戦士!」
……老人がそう叫んだ瞬間、先程までの眩き光が消え失せた。
成功したか。光が消えた事を感じると、老人はゆっくりと眼を開き、魔方陣の中心に召喚されたサーヴァントを視認した。
……そのサーヴァントの外見は、赤いローブに赤い鳥帽子を被った二十代の黒髪の青年。右手には赤い刃の剣、背中には矢筒を着けており、そこには数本の矢と弓が入っている。
「……あ~ちょっと訪ねるけど、君が僕の【マスター】かい?」
……何だこのふざけた奴は。
主である自分に軽口で訪ねてきた青年サーヴァントに対して老人は思った。そして同時に、こいつは狂戦士なのかと疑問を持った。
「その問いに答える前に問う、貴様は【狂戦士】か?」
「……ばーさーかー?何それ美味しいの?」
「……真面目に答えよ。貴様は【サーヴァント】だろう?」
「あ~はいはい。僕は【狂戦士】じゃなくて【道化師】だよ~」
……そんな馬鹿な。何故【狂戦士】ではなく【道化師】が召喚された……?
狂戦士の召喚をするための詠唱を行った老人は困惑し、同時に自分の手順を再確認し当てはめていった。
(……確かに私は【狂戦士】を呼び出す為の言葉を呟いた。しかし、実際に私の前に召喚されたのは【道化師】と答えた【サーヴァント】……)
「・・・・・・・・・・」(ニヤニヤ)
(……不愉快だが、奴は知性がある。しかも狂戦士の特性でもある【狂化】が感じられない……だとすれば、こいつのクラスはやはり道化師なのか?)
「……ええ、僕は正真正銘の道化師ですよ。マスター」
「……しかし、解せんな。狂戦士を召喚する為の詠唱を行ったというのに違った者が……それも希少とされる道化師が召喚されるなどと……」
「運が良いのでしょうね。きっと明日は頭上に金貨でも大量に降ってくるのでは?」
ニヤニヤと悪趣味な笑顔を老人に向けながら道化師は軽口で呟いた。
老人は不機嫌になったが、その気はすぐに失せた。不機嫌になった瞬間、道化師の悪趣味な笑顔がさらに増したからだ。……そう、道化師は老人をからかい面白がっているのだ。
「悪趣味なサーヴァントよ、貴様の"真名"は何だ?」
「……【ロキ】、半神半人に御座います」
「成る程、あのロキか。今までの対応と、貴様が道化師の理由が今ハッキリと分かった。」
……こいつ、生前と同じく悪戯好きの様だな。
北欧神話の半神半人【ロキ】は悪戯好きで有名である。先程までの戯れ言も悪戯なのだと老人は納得した。
「ひっどいなぁ、ただのお茶目じゃないですか~」
「私は貴様の様な奴は好かん、今からでも八つ裂きにしてやりたい位だ」
「誉め言葉としてお受けいたしますが、呼び出してしまった以上、僕は貴方の【サーヴァント】。何をしようと僕からは離れることは出来な~い。別に令呪使ってもいいけど、従う気は無いし、止めるつもりはないよ?聖杯戦争が終わるまではね~♪」
「……なら、貴様をそばに置いておくのは厄介だな……入りなさい」
老人がそう言うと、後ろにある大きな扉がギギギと音を立てながら開き始めた。
そして、ロキは扉を開けている二人の人物と、その真ん中に立つ一人の少女を視認した。
「マスター、あれ誰!?あれ誰!?あのちっこいの何!?」
「お前が指を差した順から紹介する。メイドの【セラ】と【リーゼリット】。そして【イリヤ】だ」
ロキの戯言を無視しながら老人は三人を紹介した。
扉を開けた二人はその場で佇んでいるが、真ん中に立つ少女は紹介されると老人の元まで駆け寄り、スカートを丁寧に広げてロキに挨拶をした。
「へ~そうなんだ!」
「イリヤ、こいつはロキ。道化師のサーヴァントだ」
「あれ?おじいちゃん狂戦士を召喚するんじゃなかったの?……まあいいや、改めて自己紹介するね、私は【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン】、長いから【イリヤ】って呼んでね!」
「そっか~よろしくね~イリヤちゃん」
ロキは上機嫌に手を振りながらそう言った。
それに釣られる様にイリヤも上機嫌に手を振った。娘のイリヤが上機嫌なのか、老人は珍しくロキの目の前で笑顔を見せた。
「ねぇおじいちゃん、このサーヴァントはおじいちゃんがマスターなの?」
「いいや。当初の予定通り、今日私が召喚したサーヴァントのマスターはお前だ」
「やったぁ~!じゃあ、道化師ロキ、今日から貴方は私のサーヴァントになってね♪」
「……はぁ?」
突然の出来事に対して、ロキは驚きの余り口が半開きになった。
ロキの表情を見た新マスター……イリヤが大笑いしているが、今の彼はそんなものに構っている余裕は無い。何故なら、彼がサーヴァントになってから史上初の出来事が目の前で起きたからだ。
「もう、『はぁ』じゃなくて『はい』でしょ?ちゃんと返事してよ!」
「あっ、はいやいやいやいやいや!?どういう事だよジジ……元マスター!」
ロキは珍しく真剣に元マスターに尋ねた。
途中暴言になりかけたがそんな事はない、これが彼なりの真面目な質問の仕方である。もし暴言になっていたのなら、きっと突然の事に気が動転していたのだろう。
「言った通りだ。イリヤは今日から私の代わり、つまり代理マスターだ。」
「……聞いてないんですけども」
「今言ったからな、それじゃあ私は自室に戻るとする。何かあったら呼んでくれイリヤ」
「は~い!」
イリヤの返事を聞いた老人は【セラ】の元へと近づくと、突然小声で会話を始めた。
その会話はロキが耳打ちをする一分前に終わると、老人は部屋から退出し、何処かへと移動していった。
「……あのジジイ、何をひそひそしてやがったんだ……」(小声)
「ジジイじゃなくて、おじいちゃんだよ~」
「ああ……そうだね……」
……もう、どうでもいいや。
新マスター登場という予想外の出来事に対し、ロキが思考を止めた瞬間である。……しかし、その思考はすぐに動き始めた。何故なら、突然イリヤが腕に抱きついてきたからだ。
「……突然どうした?」
「ロキって暖かいね~ますます気に入っちゃったよ♪」
「ああ、うん、そうかい」
「さてと、じゃあ改めて……道化師ロキ、今日から私のサーヴァントになってね」
え~返事しなきゃ駄目~?
ロキは涙目(嘘)でそう訴えながら泣き寝入りを狙った。しかし、イリヤはその光景を眺めながらうんともすんとも言わない。ただただ頬を風船の様に膨らませながら彼の返事を待っているだけで、嘘泣き寝入り作戦(命名)は失敗に終わった。
「早く返事してよ~は~や~く~!」
「はいはい、分かりましたよ。……この道化師ロキ、どんな手を使ってでもマスターに聖杯を届けてあげるよ」
……まぁ、イリヤと一緒なら面白そうだしいいか。
『面白そう』というたった一つの理由だけで、ロキはイリヤに誓いに似た返事を返した。漸く返事が返ってきた事に喜んでいるのか、自分をマスターとして認めたからか、それ以外の理由があったのか、イリヤはロキの言葉に笑顔で返したのだった。
後書き
ロキの能力一部を公開
パラメーター
マスター:イリヤ
筋力:B
耐久:B
敏捷:A+
魔力:A++
幸運:B
宝具:A++
保有スキル
・???……オリジナルスキル。
・偽装:A++
オリジナルスキル。騙したい相手をたぶらかす為に習得した技術。サーヴァントとしての気配を消すことができ、姿形や声を完璧に変えることができる。ただし、あまりの完璧さ故に一部のステータスが変動する恐れがある。(例、八歳の少年に偽装→筋力、耐久:C)
・神性:A
・単独行動:A
・魔術:A
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