Blue Rose
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第三十六話 永遠にその十
「好きでな」
「つまり昔の生きものは、なのね」
「結構何でも好きなんだよ」
「そうだったの」
「ああ、知らなかったか」
「恐竜が好きなのは知ってたけれど」
それでもというのだ。
「カンブリア紀の生きものとか哺乳類までは」
「そうだったのか」
「ええ、私もまだ」
ここでこうも思った優花だった。
「龍馬のことよく知らないわね」
「それ言ったら俺もだよ」
「龍馬もなの」
「ああ、どうしてもな」
「私のことをなのね」
「全部知らないさ」
ここでは優花を見て言っていた。
「何もかもってな」
「こうした好みのことも」
「どの芸術家の作品が好きとかな」
「マグリットやボッティチェリが好きで」
ここでこの画家達の名前もだ、優花は挙げた。
「ヒロ=ヤマガタも。それに最近ゴッホも」
「ゴッホ好きとかな」
龍馬はこの画家に反応を見せた。
「俺知らなかったぜ、今まで」
「そうだったの」
「ああ、どうしてもな」
「全部知っているかっていうと」
「そうもいかないだろ」
「誰でも」
「その人のことを全部知らないさ」
誰かのことを一番よく知っているという者程知らないということもある、中には何もかもを知らずに言っている者もいる。
「俺も御前もな」
「そういうものなのね」
「そうだよ、どうしてもな」
このことはというのだ、そして。
さらにだった、龍馬は。
恐竜達を見ることを再開した、それは優花も同じでだ。二人で恐竜達を見ていった。特に龍馬が熱心に見ていた。
その後でだ、他の場所も回っていった。観覧車にも入った。
観覧車から下を見ながらだ、優花は自分の前の席にいる龍馬に言った。
「こうして見ていると」
「外の景色をな」
「やっぱりいいわね」
「観覧車っていいんだよな」
顔を微笑まさせての言葉だった、龍馬も。
「ゆっくりと下の景色を見られてな」
「そうよね、徐々に上がって」
「それで徐々に戻って」
「それがいいのよね」
「御前昔から観覧車好きだったな」
「よく姉さんとこうして乗ってたわ」
「今は俺とな」
笑ってだ、龍馬はさらに言った。
「一緒に乗ってな、ただな」
「ただ?」
「こうして一緒に乗ってるとな」
「今の私と、っていうのね」
「やっぱりあれだよな」
「カップルにしか見えないわよね」
「どう見てもな」
笑ってこう言ったのだった。
「そうだよな」
「そうよね、傍から見たら」
「御前が女の子になったからな」
「手はつないでなくても」
「それはないな」
やはり笑ったままだ、龍馬は言った。
「何かそんな気にはなれないさ」
「私もよ」
「友達で手をつなぐってないな」
「まずね、日本では」
国によってはその場合もあることをだ、優花は八条学園で知った。
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