聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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761部分:第百十六話 老いていぬ者その四
第百十六話 老いていぬ者その四
「今ここでこれを身にまとおうぞ」
「いいだろう、着る時間は与える」
キュドイモスもその間は動こうとはしないのだった。
「身に着けるのだな」
「礼を言うべきかのう」
「礼はいい」
すぐにこう返してみせたのだった。
「それには及ばん」
「左様か」
「私は私に相応しい相手と闘う。それにだ」
「それにか」
「私もまた戦衣を身に着けている」
それはその通りだった。彼もまた戦衣を着ていた。四闘神もまたそれぞれの戦衣を持ちそれを身に着けて戦うのである。彼等もなのだ。
「ならばだ」
「それで互角だというのじゃな」
「そういうことだ。条件はだ」
強さとは言わなかった。神と人の違いは彼もまた強く意識しているからだ。
「同じ条件で闘う流儀だ」
「そして倒すか」
「その通りだ。わかったな」
「うむ、ではだ」
今ライブラの聖衣が分かれた。そうしてそれぞれのパーツになり。
童虎の身体を覆った。彼は両手を大きく横に広げた姿で聖衣を受けてだった。完全に武装したのである。
「これでよいな」
「よし、それでいい」
武装した彼への言葉だ。
「それではだ。はじめるとするか」
「うむ、そうじゃな」
「ライブラの聖衣、久し振りに見たが」
今度はその聖衣に対する言葉だった。
「見事なものだ」
「見事だというのか」
「黄金聖闘士最強の男が身に着けるに相応しい」
「最強か」
「貴様が最強だろうな」
その童虎への言葉でもあった。それを言ってみせたのである。
「黄金聖闘士達の中でもだ」
「そうかも知れぬ。だが」
「だが?」
「黄金聖闘士は同じ。互いに闘えば間違いなく双方が倒れることになる」
その黄金聖闘士の言葉である。
「千日戦争のうえでだ。互いが本気を出せばじゃ」
「出せばか」
「どの者も強い。しかも命を賭けて戦う者達じゃ」
仲間達をよくわかっている。そうした言葉だった。
「そういうことじゃ」
「そうだというのか」
「御主達もそういう意味では同じであろう」
「そうかも知れない」
キュドイモスもそれは否定しなかった。命を賭けるということはだ。
「それはだ」
「では。どちらが倒れるか」
「今からそれをはっきりとさせる」
また互いに言うのだった。
「いいな、ライブラよ」
「うむ、キュドイモスよ」
「行くぞ」
こうして戦いがはじまった。その中でだ。
お互いに拳を繰り出し合う。光の拳を。
その中でだ。またキュドイモスが言ってきた。
「ふむ」
「どうしたのじゃ?」
「腕をあげたな」
童虎の拳を受けながらの言葉だった。無論彼も拳を繰り出している。
「また一段とな」
「そう見ているのか」
「拳は嘘をつくことはない」
こうも言うのだった。
「決してだ」
「そういえば御主もじゃ」
「私か」
「そうじゃ、御主じゃ」
キュドイモスに対しての言葉だった。
「御主の拳もまたじゃ」
「腕をあげているというのか」
「今のこの生のこの聖戦においてもじゃ」
この戦いにおいてもだというのである。
「さらに腕をあげたのう」
「怠ることはない」
キュドイモスの返答はこれであった。
「日々の鍛錬はな」
「神であってもじゃな」
「神であろうと人であろうともアーレス様にお仕えしている」
厳然たる事実であった。彼等にとってはだ。
「ならば己を鍛えていくことは決して欠かしてはならないことじゃ」
「奢ることなかれかのう」
「違うな。スパルタを知っているな」
古代ギリシアの都市である。その都市の名前を出してみせたのだ。
「スパルタは。知っているな」
「あの軍事国家じゃな」
当然ながら童虎もスパルタのことは知っている。国民皆兵制を執り鍛え上げられた精兵達により勝ち進んできた国家である。また厳格な教育でも有名だ。
「あそこか」
「そうだ、スパルタと同じだ」
またこの都市の名前を出すのだった。
「我等は戦いの中に生きている」
「前に聞いたか話したか」
童虎はこの辺りはあえて曖昧にしてみせた。
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