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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  真・恋姫†無双 ~大結界・集結~



さて、三日目である。


この日、朝から蒔風は街の様子を視察するという朱里と雛里に着いて行っていた。


「一見ゴチャついてるように見えて、店の種類は区間で分けられてんだな」

「その方が競争率が上がって、さらに市場が活性化するんです」

「活性化すれば他のところからも商人を呼び込めますし、それらが結託すれば遠くの村に資材を送ることも出来ますし」


なるほどなぁ、と感心して、蒔風がふと気づいた事を聞いた。


「なあ、その結託した商人が国に無理言ってきたりしたらどうすんだ?」


その質問にそれなら、と雛里が口を開いた。


「商人はこの場所を国から借りて商売する代わりに、税が軽くなっているんです」

「だから不満を持つことはないと思います」

「そっか。店の種類ごとに分けられてんのもそういうことか」


「そうですね。もし毛色の違うお店があれば見つかりますし、同じ区間でお店を開いても新顔はすぐにばれますから、無断でお店を開く事も予防しているんです」



更に街を歩きながら蒔風が朱里、雛里にいろいろと教わっていく。


一箇所に店を集め過ぎても遠くの区間では大変だから、集中させる箇所を二、三箇所に分けたりだとか、蒔風にとって面白い話しになった。



そして時間もそれなりに経ち、蒔風が携帯を開いて時間を確認する。


「そろそろ11時か。朱里、雛里、城に戻ろう。時間だ」

「は、はい」

「その機械(からくり)ってすごいですよね」

「朱里は前回一旦一刀の世界に行ったろ?」

「はわわ~、それはそうなんですけど、いろいろ目移りしているうちにこっちに着てしまったので・・・・」

「朱里ちゃん、いいなぁ」

「ま、この世界はもう成っているからな。あっちに行くことはないだろ」

「残念・・・・」



そう話しながら城に向かう蒔風たち。

「奴」の計算終了時間が今日の12時と推測した蒔風はその前に全員城に集合するように言っておいたのだ。



途中、屋台でラーメン啜ってる鈴々を拾い、北郷隊の三人娘に声をかけ、猫と戯れている明命と風を捕まえて行く。



「城にちゃんと集まってるなかぁ?」

「大丈夫なのだ!みんなちゃんといるはずなのだ!」

「だから私は早く行こうと言ったのだ!」

「うう、ごめんなさいなの」

「堪忍してな、凪ぃ」

「御猫様・・・・・ついつい時間を忘れて・・・・」

「恐ろしい魔力を秘めている・・・・・・それがにゃんこなのです」

「ま、拾えたからいいさ。このままなら・・・・・」



蒔風が城への一本道を歩いて行こうとし、その瞬間それは訪れた。







ドンッ!!!!!!!








異常なほどの重音が鳴り、空間が振動する。

一瞬空がまがまがしい赤紫になり、そして青空に戻った。



「な、なんや今の!?」

「さっきの音なに?!」

「まさか・・・・」


皆がさっきの現象に驚くが蒔風が即座に答えを出した。



「そうだ、「奴」だ!!あの野郎・・・・・想像以上に早いぞ!?」

「あの、舜殿・・・・」

「舜、おかしいのだ」


悪態をつく蒔風に、異変に気付いた凪と鈴々が話しかける。
それに蒔風も頷いて応じた。


「ああ・・・・・・・街から人が消えた。否、俺達が消えたんだな、これは」

「ど、どういう?」

「説明は城に入ってからだ!走れ!!」


蒔風が皆を促して走り出そうとした。
だが瞬間、地面から黒い影が湧き出てきて、次々と人の形をとっていく。


「「奴」の「欠片」だ!!油断するな。一気に突っ切る!青龍!!」



ドンッ!ゴォオオオ!!



通りを青龍が飛び、「欠片」を蹴散らして道を拓く。
そこを走っていく蒔風達。


だが



「きゃあああああああ!!」

「うわおおおおおお!?」

「朱里!風ッ!!」


「欠片」の一体が朱里と風がさらい、屋根の上を走って城の方に逃げていく。

「人質にする気か!!青龍!彼女達を任せた!!」

『御意!!ダァッ!』



蒔風が「欠片」を吹き飛ばす青龍に皆を任せ、「欠片」がうごめく大通りを走って屋根伝いに走っていく「欠片」を追いはじめた。



キュイッ!ドンドンドンドン!!



その蒔風に「欠片」が気づき、目の位置からビームを撃ってきた。

蒔風が走る周囲が爆発し、そのせいで一気に接近できない。



蒔風が砂埃の中から突き抜けると、そこには固まった「欠片」共がいて、蒔風の進路を塞いでいた。


跳び上がって避けようとも足元にビームを撃たれてそれが阻害されてしまう。



「クソッ!!う?イィイイ!?」



蒔風が半分悲鳴、半分悪態のような声を上げる。


目の前の「欠片」共の目が光り、今まさにビームをチャージしているのだ。


「ッ!!南無三!!」

蒔風が拳を振りかぶり、打滅星で「欠片」を吹き飛ばそうとする。




ドォン!!!!





だがその拳が振るわれる前に「欠片」共が真横から吹き飛ばされる。

見ると大剣「牙狼七星」を握った春蘭が店の壁を吹き飛ばしてこっちに来ていた。



さらにその後から何十射もの矢が「欠片」を撃ち抜き、一斉掃射していく。



「春蘭!!!」

「蒔風!!これはまさか!?」


「「奴」だ!!急いで城に行け!!!朱雀!!!同行しろ!!!!」


「了解です!!!!」




その場を蒔風が止まることなく駆け抜け、なおも「欠片」を追い続ける。




そして一気に跳躍、「欠片」に飛び付き、朱里と風を奪還せんと腕を伸ばす。

だが「欠片」が蒔風の着地点を狙って足払いをし、やむなく脚を引っ込め、一回転してから蒔風が着地する。
その隙に「欠片」が腕を振りかぶり、風の身体を街の城壁と中心の城との間にある見張り用の塔に真上に向かって投げ放った。



「あぁッ!?テメッ、このぉ!!!!!」



蒔風がそれを追って跳躍する。
それには簡単に追いつき、風をキャッチする蒔風。

しかし、蒔風のさらに上空に「欠片」が飛び出し、身体ごと横回転して朱里を蒔風に向かってブン投げた。
地面に向かって直角に落ちていく朱里を受け止め、三人分の体が塔の真上から落ちた。



屋根を突き破り、床を抜け、塔を破壊して地面まで落ちる三人。
塔の窓からは上階から次々と煙を噴き出し、床をぶち向くたびに衝撃が塔から円状に発せられる。



蒔風たちが地面に衝突し、そこに向かって塔が崩れて押しつぶしていく。




「欠片」は屋根の上に着地し、それを眺めたが、次の瞬間に消滅した。





「開!!!!!!翼!!!!!!!」






ドゴォオオオウ!!!!!!!





瓦礫の中から一対の翼がバサァ!!!!と現れ、その瓦礫を吹き飛す。
その吹き飛んだ瓦礫によって「欠片」は消滅したのだ。


ガラガラと音を立てているその塔だった場所には蒔風と、その翼の下で守られている朱里と風がいた。




「あ、あわわわわわ・・・・・・・」

「さ、さすがに風もこれは・・・・・・」

「大丈夫か!?怪我ないか!?このまま一気に城に向かう!!!」



蒔風がさっき自分が駆け抜けてきた通りの方を見ると、そちらの方から朱雀が獣神体で飛び出し、更に天に向かって青龍がとぐろを巻いて上昇して同じく城に向かって行った。

それを見上げて目で追い、蒔風も朱里と風を脇に抱えて城に向かう。



「秋蘭!!!他に残された者は!?」

「いないはずだ!!!後は城に皆いる!!!!」

「よし!!!この結界はまずい・・・・・急げ!!!」




蒔風が焦り出す。
この結界は本当にやばいものだった。










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「しゅ、舜!!!!」

「愛紗!!星!!一刀はどこだ!!!」

「ここにいる!!これはなんだ!?いや、まあ聞くまでもないが・・・・」



城の中庭部分に降り立った蒔風が一刀を呼び立て状況を聞き、さらに説明する。
一刀のその腰には一振りの細身の剣がある。


「お前も帯刀するようになったのか」

「まあね、自分の身はある程度は守らないと。この剣、結構なものなんだぜ?」

「マジ!?後で見せてくれ。それはともかく、この場には全員居るか?」

「ああ、今来たので全員だ。ここはなんなんだ?なにが・・・・・」

「出し惜しみしてる暇はないな。ここは行ってしまえば鏡の世界だ。もう一つの「都」を作って、そこに俺たちを転送したんだ。ここは「都」であって「都」ではない。そしてここにいれば、身体が徐々に消滅する!!!」

「な!?」

「この城なら大丈夫だ。獅子天麟で結界を張ってるからな。だが・・・・くそっ、まさか街丸ごと飲み込むなんざ、想像もしてなかったぞ!!!!」



蒔風が憎そうな顔をする。



「あのやろう・・・・・ここに来てこんなに大規模な結界張りやがって・・・・・・!!!」

「舜!!城の中の影はひとまず片付けた!!!」

「サンキュー・・・・・・皆、話しがある、ここに集まってくれ」




蒔風の言葉に、全員が耳を傾ける。
そして、蒔風が朱里に街の地図を出してもらって、剣で指しながら説明した。




「この結界はあまりにも大規模すぎる。おそらく、支点となる場所があるはずだ」

「支点?」

「そう、そしてこの結界はおそらく、四点によって構成される結界!!!」

「ということは・・・・・その四点を潰せば!!!」

「この結界も消えるのですな?」


その言葉に蒔風がうなづく。



「だが一点でも残れば結界は継続される。四点すべてを破壊しなければならない」

「ならば・・・・隊を作るのですな?」

「その通り」


蒔風が星を指さし、正解、と言い、組み分けを始める。




「壊れた武器は修復されてるな?まず破壊のための攻める者、その場に応じて案を出せる軍師、その間に守る者、周囲を見る者の四人一組だ。それぞれに龍虎雀武をつける。まず青龍隊!!!愛紗、春蘭、朱里、霞、頼む」

「隊内での役割は?」

「それは臨機応変に頼む。朱里が指揮をとり、配役を決めろ。他もそうしてくれ!!!次は・・・・・」



蒔風が隊を発表していく。
その配分は以下の通り。


白虎隊:鈴々、明命、華琳、翠

朱雀隊:星、秋蘭、季衣、桂花




「玄武は?」

「玄武は俺一人だ。無駄に時間をかけたくない。恋はここに残って、皆を守ってくれ」

「わかった。みんな、恋が守る」

「サンキュ。オレの結界はこの場合、消滅を防ぐだけで敵を防ぐ事は出来ない。この場に集中させたからある程度は大丈夫だと思うけど、それでも一応迎撃してくれ。部隊の方は神獣がいるから大丈夫だ!!離れすぎなきゃ消滅からは守られる!!!」



そう言いながら一刀に布をかぶせ、押し込める蒔風。



「残った武将は恋を中心に戦えない者の警護を!!!さあ、てめえら久々の出番だ!!!暴れるぜ!!!!」


「「「「応!!!!!」」」」





ドドドドンッ!!!!




蒔風の背後に四体の神獣、青龍、白虎、玄武、朱雀が現れる。
その姿に一瞬見とれ、そしてその背に乗って皆が飛び出していく。



「この場は頼んだぞ!!!奔れ!!玄武!!!」



ドォウ!!!!



玄武の岩山のような甲羅の上に蒔風が乗り、身体を引っ込めた玄武が飛び去っていく。




「で、では全員この中庭から出ないでくださぁ~~い!!!」

「そうね。私は前の事は情報でしか知らないけど、かなりヤバいらしいから、死にたくなかったらここにいなさい?」


皆を取りまとめるのは雪蓮に雛里だ。
更に結界周辺に恋を筆頭に思春や流琉、焔耶が並び、さらに後方には紫苑や桔梗の弓兵が控えている。



「結界から出てもある程度の距離なら効果はあるらしいな」

「でも四カ所・・・・すぐに終わりますよね?」

「いや、そうとも限らん。」


焔耶と流琉の会話に思春が難しい顔をして割り込んでくる。


「前の時、「奴」は火を吐く蜥蜴(とかげ)・・・・蒔風は「さらまんだー」とか呼んでいたな。そう言った獣を使役している。蒔風のあれみたいにな」


思春がすでにいない龍虎雀武を指して言う。

「つまり・・・・守りがいるってわけか」

「・・・・・・・問題ない」


その心配そうな声を、恋の気合の籠もった声が飲み込む。
その声には蒔風の言う「絶対の覚悟」があった。



「恋が、ここ守る。誰にも奪わせない、恋の居場所だ」

「・・・・・・・そうだな。気を引き締めろ、あの雑兵なぞ恐るるに足りん!!!所詮は「欠片」、打ち消してくれる!!!!」




そういう皆の前にグズグズと「欠片」が現れてくる。

ただ襲うという使命の身に動く「欠片」は、確かに恐ろしいものだろう。





だが彼女らの目に一切の恐れはない。



ただ使命があるからではなく、守りたいものがあるという意志、その願いの強さが、欠片と人間の違いであるという証明が、ここにある。






戦いは、始まった。







だがしかし、そこにまだ「奴」の姿はない。














to be continued
 
 

 
後書き

アリス「始まりましたね!!」

始まっちゃった!!!!次は長くなりそう!!!!


ア「でも結局キャラ書ききれてないですよね?」

多すぎるんですよ!!!!
正直、一刀と蒔風と「奴」がいればいいんじゃないかな?


ア「身も蓋もないことを」

だって書いてると途中に「あ、あいついるんだった。会話に挟ませないと」ってなって慌てて加筆したりするし。


ア「気をつけてくださいね?」

はい

ア「次回・・・・・・登場!?サゴーゾコンボ!!!!!」


それはオーズだアアアアアアアアアアア!!!!!!!!


次回!!!各点の戦闘!!!!

ではまた次回!!!!!













儚き「ひとよ」の交叉
心 露濡れ 詠う
 
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