聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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735部分:第百十一話 鮮血の嵐その一
第百十一話 鮮血の嵐その一
鮮血の嵐
「ではピスケスよ」
「はい」
またミシェイルがアフロディーテに言ってきた。アフロディーテもそれに応える。
「このアスタロトのミシェイルの最大の技、今こそ見せよう」
「遂に、ですね」
「そうだ、遂にだ」
まさに今だという。そうしてだ。
赤く禍々しい小宇宙を巻き起こさせて。それからだった。
「受けよ!」
「むっ!?この技は」
「スノードラゴンストーム!」
そう叫ぶとだった。ミシェイルの背に凄まじい大きさの氷の竜が出て来た。そうしてそれが荒れ狂いアフロディーテに襲い掛かって来たのである。
「竜を召還した!?」
「違うな」
ミシェイルはそれは否定した。そして言う言葉は。
「これは私なのだ」
「貴方だというのですか」
「そうだ、私だ」
また言う彼だった。
「私自身なのだ」
「ではこの竜はまさに貴方の全てを注ぎ込んだ技だというのですね」
「その通りだ。アスタロトは竜に乗る黒づくめの天使」
それが伝えられるアスタロトの姿である。そしてその右手に蛇を持っている。八大公の一人の姿はそうしたものなのである。
「その竜はただ乗っているだけではない。私自身なのだ」
「つまり貴方の分身なのですね」
「そうだ。そういうことだ」
また言う彼だった。
「この技、出させたことを光栄に思うがいい」
「成程。貴方も命を賭けられるのならば」
アフロディーテはそこに彼の本気を見ていた。
「私もまた」
「そうだな。先程言っていたな」
「そうです、命を賭けます」
まさにそうだというのだ。
「それを見せましょう」
「この氷の竜に対してか」
竜はミシェイルの上でその巨大な禍々しい姿を見せている。そうしてそのうえで今凄まじい氷の息吹を放ってもきていた。それはこれまでの技以上であった。そしてそこには氷以外のものも含まれていた。
「氷だけではなく」
「そうだ。言った筈だ」
ミシェイル自身の言葉である。
「私には氷だけではない」
「毒もですね」
「その毒もある。ピスケスよ」
ミシェイルのその言葉が続く。
「さあ、その技を見せてみるのだ」
「いいでしょう。私の技は」
「むっ!?」
「ただ放たれるものではありません」
こう言ってであった。その全身からあるものが出て来た。それは。
血であった。アフロディーテは全身から自分自身の血を出してきたのである。
そしてだ。それは忽ちのうちにミシェイルに襲い掛かって来たのである。
「己の血を使うというのか」
「そうです」
まさにその通りだという。
「この血を使ったのはアフロディーテとしてははじめてです」
「はじめてか」
「そうです」
まさにそうだという。
「この技の名前を言っておきましょう」
「何だというのだ?それで」
「クリムゾンソーン」
それだという。その鮮血は忽ちのうちに嵐となってだ。ミイェイルの氷の竜に襲い掛かってきた。今まさに二人の攻防がはじまっていた。
紅の嵐と白い竜の戦いだった。その戦いの中でだ。
竜は氷の息を吐く。それはアフロディーテ自身も襲っていた。
しかしだ。彼はそれを受けてもまだ戦う。倒れはしない。
「この程度では」
「倒れぬか」
「私自身も私の嵐も抑えられません」
まさにそうだというのだ。
「そしてです」
「そしてか」
「この嵐を」
彼はまた言った。
「そう簡単に破れるとは思わないことです」
「そうだな。それではだ」
「まだ来られるのですね」
「まだだ」
ミシェイルは実際にこう言ってであった。竜にさらに激しい氷と毒の息を吐き出させる。白い死がさらに荒れ狂いアフロディーテを襲う。
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