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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~浜遊び編・4~

 
前書き
今回ちょっとエロティカルな描写があります、苦手な人はブラウザバック推奨です。 

 

「う……うえぇ!?ななな、何を言ってるんですか司令官!」

 ワザと後回しにした、と聞いた沖波が目に見えて狼狽える。そりゃそうだ、あんまり沖波本人との交流が無かったからな。

 ウチの鎮守府は着任したら俺への顔見せと歓迎会、その翌日から艦隊機動や戦闘などの各種訓練を経て、それぞれの適性を判断して配属を割り振っていく。沖波はまだ第一次改装にも至っていないので錬度を上げる目的も兼ねて遠征の毎日だ。当然大所帯のウチは遠征に割く艦娘の割合も多く、俺が全てを管理するには手が足りない。そこで秘書艦等に遠征の管理はほぼ丸投げ状態であるため、自ずと遠征部隊所属の連中とは疎遠になりがちだ。

『飲みに来る奴等とは馴染みが深くなるが、沖波はそんなに来ないからな……』

 早霜の話を聞く限り下戸ではないようだが、それほど飲める娘でもないらしい。だから自然と触れ合いのチャンスは少なくなっていた。だからこそ、こういう機会は貴重だ。

「まぁまぁ、大して深い意味はねぇよ。……そういえば沖波はどんなフルーツが好きなんだ?」

「わ、私ですか?えぇと、ブドウに梨、おミカンなんかも好きですけど……1番は桃でしょうか」

 桃か。ならその大好物の桃を使って、いっちょトロピカルドリンクを作りますかね。

《爽やか甘過ぎない!桃のトロピカルドリンク》

・桃(缶詰じゃないの):中くらいの1個

・ヨーグルト:100cc

・パインジュース:50cc

・リンゴジュース:50cc

・ハチミツ:小さじ1

・氷:適量


 桃はミキサーで回しやすいように、一口大にカット。後は材料を全てミキサーに投入し、氷をしっかりと砕きながら攪拌するだけ。氷の量で濃淡は調整してくれ。少なく入れればトロトロのシェイクのようになるし、多めに入れればサラサラの口当たりになるぞ。今回は冷蔵庫備え付けの製氷器で4つ分くらい……トロトロ過ぎずサラサラし過ぎない位の分量にしておいた。

「はいお待ち、『桃のトロピカルドリンク』だよ」

「あ、ありがとうございます……ん!とっても美味しいです!」

 頬を赤らめながらもストローでチューチュー吸っている姿は、なんとも微笑ましいものだ。




「……ん?沖波、頭にゴミが付いてるぞ」

 よく見るとダークブラウンの髪の毛の間に、海草らしき物が挟まっている。

「あ~、皆で競争した時に絡み付いたんだな、きっと」

 一杯目を飲み干して、お代わりを啜っていた長波がそう呟いた。どうやら夕雲型の面々で泳ぎの競争をしたらしい。

「えぇ!?どどど、どこですか……」

 必死になって髪を指ですいている沖波だが、絡んだ海草は取れる気配がない。

「どれ動くな、取ってやるから……」

 動かないように左手で沖波の腕を抑えつつ、顔を寄せて右手で海草を摘まみにかかる。

「ししし、司令官!?ふあぁ…近いぃ……近いですってばぁ司令官!」

 沖波は何か気恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながらイヤイヤと悶えている。大きく動くせいで摘まみにくい。仕方ない、あんまりやりたくはなかったが…

「沖波」

「ふゃいっ!?」

 瞬間、動く顔の顎を左手で掴み、クイッと持ち上げて固定した。いわゆる『顎クイ』状態であるため、周りのおませな連中からキャーキャー悲鳴が上がる。

「ちょっとの辛抱だ、動くなよ?」

「ふ、ふぁい……」

 うっすらと涙を浮かべて顔を真っ赤にしながらプルプルと小刻みに震える沖波。……あれ、何かこれ俺が悪いことしてるように見えるんだが?まぁ、細けぇ事は気にせずに髪に絡まった海草を摘まんだ瞬間、

「させませんっ!」

「うぐぉっ!?」

 誰かの腕が俺の首に巻き付いて来た。そして背中に当たるポヨポヨとした感触、間違いなくオッパイだ。というか首に巻き付いた腕が絶妙に極って締まって来ている。正直、苦しい。沖波の髪に絡まった海草を摘まんだまま、後ろによろけてそのまま意識を手放した。




「あたたたた……ここは?」

「あ、気が付いた。全く、何やってんですか提督」

 気付くと俺は、海の家ではなく鎮守府内の医務室にいた。傍らには白衣を羽織った明石と、

「うあぁ~ん、提督生きてたぁ!よかったあぁぁ~!」

 と、涙やら色んな体液で顔がグチャグチャになりながら俺に抱き付いている榛名の姿があった。

「えぇと、状況説明してもらっていいか?」

「仕方ないですねぇ」

 はぁ、と溜め息を吐いた明石によると、長波が明石を呼びに来て海の家に向かった時には、白目を剥いた俺と泣きじゃくる榛名、唖然とする夕雲姉妹と扶桑が居たらしい。詳しく聞くと、

『提督が沖波ちゃんにキスしようとしてたのに嫉妬して、止めようとしてチョークスリーパーかけてしまった』

 と榛名が語ったらしい。あの後ろから抱き付いて(?)来たのは榛名だったのか。……というか、俺は沖波にキスしようとなんてしてないんですがそれは。それに俺を止めるならチョーク以外にもやり方はあっただろうに。

「あ~、それなんですが。榛名さん酔っ払ってたみたいでして」

 なんでも、夕雲達の相手をしている間手持ち無沙汰だった榛名は棚からお酒を少しずつ飲んでいて、知らず知らずの内に泥酔していたらしい。それで正常な判断も、力加減も利かなかったらしい。

「もう少し構ってあげて下さいよ?榛名さんだって嫁艦なんですから」

「……すまんとしか言い様がねぇ」

 んじゃごゆっくり、と言いながら明石が医務室を出ていった。その際、カチャリと鍵をかける音がした……全く、余計な気遣いしやがって。

「榛名、そろそろ泣き止め」

「む、無理ですぅ……」

 ひっく、えっくとしゃくり上げる榛名の顔を持ち上げ、唇を重ねる。驚きの表情が目に見えるが、お構い無しにキスを続行。たっぷり30秒はくっついた後で、榛名の唇を解放してやる。

「落ち着いたか?」

 顔を真っ赤にしながらコクコクと頷く榛名。そのサラサラの髪を撫でてやりながら、謝罪の言葉を紡ぐ。

「悪かったな、榛名。お前が奥手なのを良いことに、あんまり構ってやってなかったからな……寂しかったんだよな、ごめんな?」

「いえ……榛名が他の皆さんのように積極的になれないのがいけないので…」

 それは勘弁してくれ、と心の中で切に願う。大体、ウチの嫁艦連中はアピールが積極的に過ぎるのだ。正妻の胡散臭い英語を使う奴とか、肉食から肉食系にクラスチェンジした赤いのとか、クールビューティ装ってる青いのとか、ケッコン前から迫ってきてた銀髪の空母とか。榛名の爪の垢でも煎じて飲ませたら恥じらいを持ってくれるだろうか?なんてアホな事を考えつつ。

「そんな事はねぇさ。その辺も上手く調整してやるのが俺の仕事だってのに、これじゃあ職務怠慢だな」

 そう言いながら榛名の羽織っていた白いパーカーのジッパーを下ろす。中から露になったのは、ダズル迷彩を意識したのか、白黒の縞模様のビキニだった。

「どう、でしょうか……?」

「とても綺麗だよ、榛名。白い肌に縞模様がよく映えてる」

 榛名の肌から感じる体温が上がって来ているのを感じる。榛名も『その気』らしい。据え膳食わねば男の恥、とはよく言った物だ。明石が気を遣ってお膳立てしてくれたのだ、今はこの状況を楽しませてもらおう。

「俺も火が点いちまった、後戻りは出来んぞ?」

「はい、榛名は大丈夫です……♪」

 後はまぁ、解るよな?燃え上がっちまったワケよ、一晩中。どっかのパパラッチやら同人作家が決定的瞬間を逃した!と大騒ぎしてたのは、また別の話。 
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