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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~縁日デートは危険な香り編・3~

~ちょっと一休みしよう~

「はぁ、疲れた」

 縁日の会場である神社の参道の中程に広場があり、そこにテーブルやイスが置かれて休憩スペースが設けられていた。そこにドカッと腰を下ろす。

「迷惑な人だったね~」

「ぬいぐるみ欲しかったっぽい~……」

「失礼しちゃうよね」

「まぁまぁ、昔からああいう手合いのはいたからな。それも含めて楽しむのが縁日だからな」

口々に文句を言う白露達を宥める。

「……その割には、ちょ~っと大人げ無かったんじゃない?」

村雨からの鋭いつっこみ。ここは黙りこんでスルーしておこう。

「さてと、ここいらで一休みしてさっき買ったグリーンカレーでも食おう」

「はいはーい!他にもジュースとか焼きそばとか欲しいんですけど!」

 そう言って主張したのは白露だ。確かに、縁日での戦利品がグリーンカレーとフルーツ飴、それにチョコバナナじゃあちと心許ない。

「んじゃあ……ホレ、これで好きなモン買ってきな。俺は飲み物買ってくるからよ」

「「「私、ラムネがいい!」」」

 声が揃ったのは白露、時雨、夕立の3人だ。

「私はあったらフローズンドリンクがいいな」

「フローズンドリンクに、ラムネが3本な。フローズンドリンクは何味でも良いのか?」

「うん、提督にお任せ~」

「わかった、んじゃあちょいと行ってくるわ」

 俺は勿論ビールの確保だ。





~家でも作れるフローズンドリンク~

「ハイらっしゃい!何にしましょ?」

目的の屋台はすぐに見つかった。ドリンク全般を販売している屋台だ。

「え~……っと、ラムネが3本とビールを6本、それとフローズンドリンクを1つ」

「ラムネが3、ビールが6、フローズンが1つね。味は何にします?」

 味?フローズンドリンクのか。そんなに種類があるのか。メニューを見るとイチゴにメロン、レモン、ブルーハワイなどかき氷のシロップのようだ。

「これかき氷のメニューじゃねぇのか?」

「あぁ、かき氷のシロップとかジュースとか、後はジャムなんかでも作れますよ」

 中々親切な店員さんだ。威勢の良さも相俟って好印象だ。

「じゃあ、このカシオレ味を1つ」

「カシオレ味ね、ちょっと待ってくださいね~」

 そう言って店員さん、計量カップにカシスシロップとオレンジジュースを1:1で計量してミキサーに入れている。そこにロックアイスを砕いた物を入れて、更に水もミキサーにIN。

「氷と水は同じ量か……」

「そうですねぇ、水の分量が多くても少なくても味が変わっちゃうんで」

 店員さん曰く、水よりも牛乳やココナッツミルクのような脂肪分か油分が含まれているとより滑らかになるらしいが、炎天下で食中毒起こすと大変なんで、との事だ。水でも十分美味しいらしいが、ウチでやる時には牛乳でやってみる事にしよう。

ミキサーに材料を入れたら、氷が砕けてシャーベット状になるまでミキサーを動かすだけらしい。手軽でいいねぇ、こりゃ。

「はいお待たせしました、フローズンのカシオレと、ラムネにビールで2500円です」

「ハイよ、ありがとさん」

 店員さんに金を払い、屋台を後にする。それにしてもフローズンドリンクか……鎮守府に帰ったら早速試作してみるか。




~一般人から見ても、やはり艦娘は可愛いようです~

 さっきの飲食スペースに戻る道すがら、醤油の焦げる匂いに負けて焼鳥とイカ焼きを追加購入した。冷める前に戻って熱々の焼鳥にかぶりついてビールでキューっとやりたい。ホクホク顔で飲食スペースに戻ると、

「ヤダ、やめてよ!」

「いいじゃんかさぁ、どうせ男連れってのも嘘なんでしょ~?」

 いかにもなチャラ男が荷物番をしていた村雨に絡んでいた。日に焼けた肌に下品な金髪、それにピアスなどのアクセサリーがジャラジャラ。いかにも遊んでますって風体の男が4~5人、取り囲むように立ち塞がってニヤついている。村雨に声をかけている男は顔を至近距離に寄せ、肩を抱き寄せるようにしながら左手が胸を触ろうとしている。完全にアウトだ。……艦娘が美人だってのは理解してたが、ここまで強引ナンパはいかんでしょ。恋愛は自由だが、嫌がってるなら止めさせないとな。




~昔を思い出して悪ノリしました~

 村雨に声をかけている仲間であろう、取り囲む男の一人の肩に手をかけて声をかける。

「おい」

「あん?なんだテメ…ェ……」

 みるみる内に俺を見て青冷める男。男の異変に気付いたのか、他の男たちも気付いてこちらを向き、ギョッとしている。そんなに怖いかね?俺の見た目。

「ウチの者に何か用か?ニィちゃん達」

 ここで男共に一睨み。

「い、いや……ちょっと一人で寂しそうにしてたな~と思いまして」

 どもりながら目をそらし、ボソボソとそう語る男達。

「ふ~ん……そうなのか?村雨」

「ぜんっぜん違うよ!いきなりこの人がくっついてきて、別のトコに遊びに行こうよ~って絡んできたの」

 更に青くなる男達。要するにどこかに連れ込んでコマそうとしてたな、こいつら。

「す、すんません……勘弁して下さい」

 涙目で命乞いをする男達。別に取って食う訳じゃなし、何をそんなにビビってんだか。

「許してもいいが……それなりの誠意ってモンを見せてもらわねぇとなぁ?」

「え、誠意って……」

「有り金全部置いてけ。それと村雨に土下座な」

 そう言われて焦る男達。

「か、金なんて無いっすよ!」

「そうか……金がねぇなら身体に付けてる物で代用してもいいんだぞ~?」

 そう言って男の一人が耳に付けているピアスを力づくで引っ張る。ミリミリと引きちぎれるような音がして、若干だが血も滲んで来ている。

「イダダダダダダダ!」

「さぁどうすんだ~?アクセサリーと身体の一部失うか、財布の中身を失うか……とっとと選びやがれ!」

 男たちは震える手で財布を取り出してこちらに手渡す。中身を全て抜いて、耳を引っ張っていた男を解放する。

「さぁ、村雨に土下座してもらおうか」

「「「「「すんませんでしたぁ!」」」」」

「う、うん……別にいいよ、もう…」

「もう行っていいぞ、お前ら」

 俺がそう言うと、蜘蛛の子を散らすように逃げていく男達。そんなヘタレ共を鼻で嘲笑う。根性無しめ、おととい来やがれってんだ。

「騒がせたな。さっさと食おうぜ」

 唖然とする村雨にフローズンドリンクを手渡しながら、俺もビールのプルタブを起こす。

「提督って、本当に何者なのよ……」

 昔取った杵柄というか、若気の至りというか……いやはや、昔のノリでやってみたが、ヤンチャしてた頃ってのは今思い出すと恥ずかしいモンだ。
 
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