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兄はコミケ好き

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第三章

「後でさせてね」
「それじゃあね」
「何時どんな再会があるかわからないわね」
「ゲームでも?」
「そう、ゲームでもよ」
 人間だけでなくというのだ。
「思わぬ再会があるのよ」
「そんなものなの」
「お母さんも今わかったわ」
 娘のプレイを見つつ話す。
「ゲームにしても再会があるのよ」
「じゃあ私もお母さんの歳になったら」
「あんたが今しているゲームをまたするかも知れないわよ」
「今のお母さんみたいに」
「若しかしたらね」
 母とこんな話もした、そしてだった。
 侑花は母にミニファミコンを渡してだ、それからは昼食の後で外に出てプールに行って泳いで涼しくなった。
 そして夕食を食べたがここで言った。
「お兄ちゃんそろそろかな」
「まだでしょ」
 母は娘にすぐに答えた、夕食の冷奴とゴーヤチャンプルを食べながら。
「帰ってくるのは」
「まだなの?」
「夜遅くでしょうね」
「お父さんより後とか」
「終電間際かも知れないわよ」
「えっ、そんな時間だと」
 それこそとだ、侑花は困った顔になって母に言った。
「私もう寝てるわ」
「あんた早寝早起きだからね」
「だからね」
 それでというのだ。
「困ったわ」
「明日にしたら?」
 侑子は娘にあらためて言った。
「そうしたら?」
「算数教えてもらうのは」
「そう、そうしたら?」
「それじゃあね」
 侑花は母の言葉に仕方ないかしらといった顔で応えた。
「若しお兄ちゃんが帰るのが遅かったら」
「寝なさい」
「それでまた明日ね」
「まだ夏休みはかなりあるわよ」
 コミケの日からというのだ。
「それに残りは算数だけでしょ」
「学校の宿題も熟の宿題もね」
「だったらね」
「今日は寝るってことね」
「そうしたらいいわ」
 昭一が帰ってくるのが遅かったならというのだ。
「あの子は約束は守るから」
「遅れても」
「そう、特にあんた達との約束はね」
 侑花だけでなく妹の侑美も見て言う。
「守るから」
「そういえば遅れても」
「約束を破ったことはないでしょ」
「うん、お兄ちゃん時間にはルーズでも」
「嘘は言わない子よ」
「そうよね」
「だから約束は守るから」
 それが明日になってもというのだ。
「安心してね」
「それじゃあね」
「明日でもいいでしょ、別にね」
「うん、聞きたいのはわからないところだけだし」
 算数の問題集の、というのだ。
「だからね」
「それじゃあ十時までに帰って来なかったら寝なさい」
「そうするわね」
「明日も早く起きるでしょ」
「ええ、六時には」
「だったらね」
 侑子は侑花にさらに話した。
「無理しないで寝なさい」
「そうするわね」
「それじゃあね」
「ええ、無理はしないで」
「お兄ちゃんが帰って来るのが遅かったら寝るわ」
 侑花もゴーヤチャンプルを食べつつ母に答えた、夏バテもなくしっかりと御飯を食べている。そしてデザートのパイナップルも食べて。
 そしてだ、シャワーを浴びてテレビを観つつ兄の帰りを待っていたが。
 十時になってだ、侑花は母に言った。
「もうね」
「ええ、寝るわ」
「お父さんも帰ってきたのに」
「あの子コミケとかの時はいつもだから」 
 母としてやれやれといった顔で話した。 
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