ガンダムビルドファイターズ ~orbit~
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追憶の未来 前編
「おおおぉぉぉぉぉっ! 」
お互いバスターライフル改から発生させてビームサーベルでの攻防を繰り返すが、黒いアルケオニスガンダムは一度距離を取って砲撃してきた。
機体を旋回させて下へと回避し、斬り上げるようにバスターライフル改で攻撃するが、シールドで防がれてしまう。
『甘いね』
右足で顔を蹴られ、左足の飛び蹴りにより地面へと蹴り飛ばされる。
「このやろう! 」
吹き飛ばされながらもバスターライフル改の照準を合わせ、黒いアルケオニスガンダムに砲撃する。しかし軽々と回避され、反撃で砲撃された。
体勢を整え、背中を地面と平行し、低空飛行して砲撃を回避する。
「ぐぅぅぅっ…………! 」
『粘るなぁ』
バスターライフル改の砲撃は止まず、そのままギロチンのようにこちらを襲いかかってきた。
機体を回転させてスザクモードへと変形し、速度を上げて上空へと飛び、ギロチンからの攻撃を逃れる。
『読めてるよ』
「っ!? 」
スザクモードで飛んだ先にはシールドが投擲されており、機体に直撃する。そのまま体勢を崩し、落下するのを防ぐためMS形態に変形する。
『それも読めてる』
黒いアルケオニスガンダムはシールドを回収しつつ、バスターライフル改からビームサーベルを発生させて目の前まで接近してきていた。
「くそっ! 」
バスターライフル改のビームサーベルで黒いアルケオニスガンダムを払いのけようとするが、下にしゃがむように回避される。そのまま黒いアルケオニスガンダムのバスターライフル改で攻撃され、シールドで受けるが吹き飛ばされてしまう。
『弱い弱い』
「ちぃっ! 」
体勢を立て直し、 黒いアルケオニスガンダムを見る。すると、バスターライフル改をシールドにドッキングしており、銃口をこちらに向けていた。
「っ! 」
黒いアルケオニスが砲撃し、シールドからビームサーベルを抜刀して接近してきた。
辛うじてシールドで砲撃を受け流すが、ビームサーベルを振り下ろされバスターライフル改が切断される。
攻撃が止まらねぇ…………!
切断されたバスターライフル改を投げ捨て、すぐにシールドからビームサーベルを取り出して反撃しようとする。だが、近距離でバスターライフル改の砲撃を放たれ、反撃する隙を与えてくれない。
シールドで砲撃を防ごうとするが、何度も砲撃を受けたシールドは耐えきれず、破壊されると同時に吹き飛ばされてしまう。
「がぁっ! 」
『まだまだ』
「 !? 」
吹き飛ばされているアルケオニスガンダムと平行に、目の前には黒いアルケオニスが迫っていた。
すぐにビームサーベルを振り下ろされ、機体をずらして回避しようとするが、右肩が切断されてしまう。
「ぐっ───! 」
反撃でビームサーベルを振り上げるが、シールドで軽々と防がれ、反撃でビームサーベルを振り下ろされる。
その攻撃をビームサーベルで防ぐが、反応に遅れたせいか左翼に切れ込みが入る。
更に、追撃で回し蹴りを胴体に入れられ再び吹き飛ばされてしまう。
「このっ! 」
地面に手を付け、勢いを殺してなんとか体勢を建て直そうとする。だが、既に黒いアルケオニスガンダムのバスターライフル改の砲撃が迫っていた。
「っハイパーモード!! 」
機体色が金色に変色し、刀を抜刀する。そして背面ジェネレーターで増幅されたエネルギーを刀に込め、刀身が赤黒い色に染まっていった。
「はあああぁぁぁぁぁっ! 」
刀を振り下ろし、砲撃を斬り裂いていく。だかその時、急に頭に映像が流れて込んでくる。
その映像は、体育館か何かの床に知らない大人の男が倒れ、血溜まりを広げていた。
「っ────!? 」
なんだよ…………これ……?
急な映像に意識が向かったが、耳に入ってきたアラート音で我に帰る。
黒いアルケオニスガンダムは砲撃しながら接近してきていたが砲撃を回避し、刀とビームサーベルを持っている手を持ち替えて接近する。
今はバトルに集中しろ…………!
ビームサーベルで黒いアルケオニスガンダムを攻撃するが、シールドで防がれてしまう。反撃でビームサーベルで攻撃してきたが、刀で防ぐ。だが、防いだ瞬間、また頭に映像が流れ込んでくる。
「ぐっ…………! 」
中学生くらいの男と女の数人が、さっきの映像の男と同じで、床に倒れて血溜まりを作っていた。
「う、あああぁぁぁぁぁっ!! 」
刀身にエネルギーを込めると赤黒く染まり、そのまま黒いアルケオニスガンダムを突き放すように刀を振るう。
だが、黒いアルケオニスガンダムはすぐに距離を詰め、ビームサーベルを収納して刀を抜刀し、そのまま振り下ろしてきた。
刀で攻撃を防ぎ、何度か剣撃を繰り返す。やはり、その度に頭に映像が流れ込んでくる。
教師らしき人物が倒れてる。誰かの夫妻が倒れてる。その十数倍の中学生くらいの男と女が倒れてる。そのどれもが、血を流していた。
「う゛…………! 」
映像に気をとられていたせいか、黒いアルケオニスガンダムの前蹴りが胴体に入り、地面に倒されてしまう。
黒いアルケオニスガンダムはバスターライフル改で砲撃してきたが、すぐに立ち上がって回避し接近する。
ビームサーベルで攻撃すが、シールドで防がれる。だが、すぐに刀で追撃してバスターライフル改を切断する。
黒いアルケオニスガンダムは大きく一歩下がり、バスターライフル改をシールドからパージする。 そして刀を構え、ハイパーモードを発動してきた。
『少しはやるね』
「っ…………当たり前だ……! 」
『ははっ。相変わらず強気だ、ね! 』
一気に距離を詰め、刀で攻撃してきた。刀で攻防を数度繰り返し、互いに相手を押しきろうとつばぜり合いになる。
「つぅ…………!」
次から次へと頭に流れる映像により、頭痛が起き始める。その痛みか、もしくは流れる映像に、顔を歪ませる。
【非常に申し上げにくいことですが…………突発性拡張型心筋症と診断されました】
【………はっ? 】
【嘘、ですよね?そんな………? 】
【………………】
《医師は何も言わなかった。『ひとまず絶対安静です。薬は渡しておきますが……それでも一時的の処置にしかなりません』と言われた。
俺達は薬を受け取りそのまま家に帰って自室へと戻った。》
【………なんでだよ………なんでこんな…………】
《そのまま枕に顔を埋め、声にならない声で叫んだ。》
この映像…………俺の病気について診断された時のことか…………!
【レイもいつも休んでないでさ、せめてこれだけは参加した方がいいぜ】
《一人のクラスメートが黒板を指差して言った。黒板を見ると『親子活動!クラス対抗競技大会! 』と書かれていた。》
【いや俺は………】
《なんか言い訳して逃れようと考えてると、競技の中には『カルタ』や『じゃんけん』など、本当に競技なのかと疑いたくなる物が混じっていた。》
【俺は?なんだよ? 】
【俺はじゃんけんをやる! 】
【うっわ!なんでそんな一番不人気のところ行くかなお前は。お前運動とか勉強とか出来るんだから無難に体を動かす系にしとけよ】
【いいや!ならなおさら俺が出て、見事に勝利を掴んでこようじゃねえか! 】
【ちっ!せっかくの戦力がじゃんけんに行くとはな………】
《余程不服なのか、舌打ちしながら他のグループのところへと行った。》
【…………本当は───────がやりたいんだけどな………】
本当は…………なんだよ?俺は、いったい何をやりたかったんだ?
『力が入ってない、よ! 』
「がっ! 」
刀を押しきられ、転がるように地面に倒れる。
「はあ…………はあ…………っ」
『さっきから様子が変だね。あっ、もしかして前に言ってた映像が流れてるのかな? 』
「っ…………」
『図星か。苦しそうだし、よっぽど嫌なものでも見てるのかな? 』
ユキヤの言葉に俺は答えることが出来なかった。ユキヤが話している間に、また別の映像が流れてきたからだ。
男の上に乗り、顔を右拳で殴り続けている映像。男は顔が分からないほど腫れており、止めてくれと懇願しているが、それでも殴り続ける。次第に相手の意識は無くなっていったが、なお殴り続けていた。
だが、横から来た誰かに突き飛ばされ、男の上から吹き飛ばされる。その突き飛ばしてきた人物は、俺もよく知っている人物…………レイナだった。
「っ────!? 」
なんで、レイナが…………!?どういう状況になれば、レイナが出てくんだよ…………!?レイナと過ごして、こんな事になった記憶なんて────
「まさか、あの時の…………! 」
入学式の日、レイナが拉致されて助けに行った時、俺は途中で意識が無くなった。けど、目が覚めた時は全てが解決していた。だが、どうやって?
おそらく、コイツの人格が出てきて、男を痛め付けていたんだ。
「やり過ぎだろ…………」
『やり過ぎ?なにが? 』
「…………入学式の日に、レイナが拉致られた時のことだよ」
『ああ、あれね。結構楽しかったよ。けど、あの女が邪魔してきて、中途半端に終わっちゃったよ。もう少しやりたかったんだけどね』
「くそ野郎め…………! 」
刀を支えにして、立ち上がるながらそう吐き捨てる。
『ははっ。けど、成る程ね。レイの見ている映像は、忘れていた記憶か。どう?楽しい? 』
「楽しいわけねぇだろ…………」
『ああそれと、女が邪魔して腹が立ったから、少し痛めたね』
「っ────テメェェェェ!!! 」
刀とビームサーベルを構え、距離を詰めて攻撃する。だが、刀身が赤黒いエネルギーを纏い、軽々と受け止められてしまった。
「あああああああっ!! 」
刀から離し、二刀で攻撃し続けるも、刀とシールドで防がれていく。
『凄い単純さ。けど、そんなに打ち合って大丈夫かな? 』
ユキヤの言う通り、打ち合うたんびに頭に映像が流れてくる。今度は中学生くらいの男と女が、そしてその家族が、次々と倒れていった。
だが、それよりも怒りの方が上回り、さっきよりも気にすることなく攻撃し続けられた。しかし、次の映像により、攻撃の勢いが落ちていった。
母さんが、俺を覆うように床に倒れ、口に手を当てて喋れなくしてきた。背中からは血を大量に流し、何かを言っていたようだが、肝心の内容が聞き取れない。
【─────────】
《その言葉を最後に、手に籠められていた力が抜けていった。》
「う…………、ああああああああっ!!! 」
ーーー――
「カグラ君…………」
「レイ…………」
「大丈夫か……カグラの奴」
ここからでは一体何を話しているのかは分からないけど、明らかに動揺しているのは分かる。あの男が、カグラ君の別人格なのね。
「カグラでも、あそこまで押されんのかよ」
「あの人は、容赦ないバトルスタイルだからね。苦戦はするだろうね」
「私だったら倒せるがな」
「相変わらずだねサクラは………」
その会話を他所に、バトルを見る。怒りか、焦りか、とにかく動揺しているせいで、攻撃が大振りで単調になっている。
「ウスイさん。ここから通信を飛ばすことって出来るんですか? 」
「無理ですね。彼に何かを伝えたいって気持ちは分かりますけど、今は耐えてください」
「そうですか…………いえ、ありがとうございます」
「レイ…………ダイジョウブかな? 」
セシリアさんは心配のあまりか、私の裾を掴んで言った。
「きっと大丈夫よ。立ち直ったばっかで折れるなんて、そこまでやわじゃないわ。だから、心配しなくても大丈夫よ」
セシリアさんを安心させるためにそう言ったが、隣にいたヒメラギ君は、私にだけ聞こえる程度の声で言ってきた。
「オメーもスゲー心配してるように見えるぜ?正直、不安なんだろ? 」
「…………大丈夫よ。そう言うアンタこそ、不安そうな顔をしてんじゃない」
「まっ、それはここにいる全員がそーだけどな。今の俺らに出来んのは、アイツを信じてやることだけだ」
「そうね…………」
それだけ答え、カグラ君の方を見る。
無茶するんじゃないわよ、カグラ君…………。
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