| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

黄金獅子の下に

作者:ネーマ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

黄金獅子の下に

 
前書き
オリ主っぽい雰囲気ですが、まあ、いつもの通りの面白みの少ない小説です。 

 
 今夜もドックの明かりは消えそうもなかった。
 新帝国歴元年───王朝が変わるというのはこのようなことだった、と深夜にもかかわらずこうこうと昼間の如く明るく照らされている廠でベッカーはしみじみと体感していた。
「おらおら、さっさと動かねえと今日のノルマが終わらねぇぞ」
「休憩くらいさせてください」
「さっきから休憩しかしてねえだろうが……ったく、俺がお前らくらいの年の頃はなあ」
 ベッカーお決まりの台詞が出てくると、座ってコーヒーを飲んでいたニューマン達は急いで立ち上がる。彼の話が始まると長いことを知っているからだ。
 その間、作業の手を休めることはできても、ベッカーの話は毎度同じか似たり寄ったりで聞き飽きており、絶妙のタイミングで相槌を打たなくてはならず、しかも最後は必ず叱られるのだから、さっさと仕事に戻るのが得策だと知っている。もちろん、それで遅れた分も、お前らがくっちゃべってばかりいるからだ、と叱られるのだから割が合わない。
「主任、駆逐艦が遅れているそうです」
「ちっ……」
 渡されたファイルに目を通したベッカーは、忌ま忌ましげに床に投げ付けた。
「あっ、駄目ですよ」
 慌てて拾い上げるのはグリムだ。埃がついているわけでもないが、パンパンと払うとベッカーに返してもまた捨てられると思い、小脇に抱える。
「ったくもう、どいつもこいつも、艦が無尽蔵に湧いてくるとでも思ってやがる」
「思っていませんってば、そんなこと」
 苦笑いで否定しつつも、グリムも似たような感覚には襲われている。
 戦艦が新造されなくなれば仕事は減る。
 帝国領内には幾つかのドックがあり、帝国軍の軍艦はそこで作られていた。すべての艦種が作られることはないが、種別にしてそれが一つのドックに固めることもしない。
 何か不具合があった時、巡航艦のすべてが使えなくなっては困る。分けてあれば、Aというドックで作られた艦に欠陥が見つかった場合、そのAで作られた艦を艦隊から外して点検と修理をすればよい。
 ドックそのものが事故で作業が止まったとしても、やはり他のドックが使える。
 ベッカーの働くここではワルキューレなどの小型戦闘機、大型母艦、輸送艦を除く軍艦を作っていた。むろん修理も行う。
 大きな会戦前後はどこの製造ラインも不眠不休で、いくら軍部が公表を控えていても「近々でかいヤツがあるらしいな」「今回はかなりヤラれたらしいぞ」とベッカーらにはわかった。もちろん現在、どんな軍艦の注文が入り、何が何隻修理中なのか、箝口令が引かれてはいるのだが、目の前に現物があるのだからどうしたって話題にのぼる。
「それにしても、まさか、こんなことで残業するとは思いませんでした」
「そいつは俺の台詞だ」
「主任も初めてなんですか?」
「当たり前だ。経験のある奴なんかいねえだろ。なんせ───っと」
 ベッカーはヘルメットの紐をきゅっと締め直し、グリムも人形のように飛び上がって背筋を伸ばした。
「納期は間に合うんだろうな」
 ドックに入ってきたのは工場長のマクシミリアンだった。
「はいっ、それは必ず、間に合わせます」
 それまでとは別人のような口調でベッカーが胸を張ったが、マクシミリアンはふんと鼻を鳴らすとグリムが抱えていたファイルを引き寄せた。
「ここと、ここの遅れはどうするんだ?」
 工場長がドックにまで来るということは、作業の遅れが報告されているからで、つまりは嫌味を言いにきたようなものだ。
「……それは…今、急ピッチでやらせていますので」
「ふうん……? 一昨日も同じような台詞を聞いたんだが?」
 マクシミリアンが血色悪く、目の下にくまを作っていなければベッカーも現場主任として言い返しただろう。だが彼は彼でさらに上から毎日のように言われているに違いない。
 その鬱憤をここまで晴らしに来るのだ。わざわざ言いにこなくても、ベッカーらにも納期はわかっているし、他のドックの作業の遅延も伝えられている。
 グリム達はベッカーの昔話からは即座に仕事に戻って逃げることができるが、ベッカー自身はマクシミリアンの小言から逃げることはできない。運が悪かったとグリムは諦め、一緒に愚痴の雨に晒された。
「奴の立場もわからんわけじゃあないが、ここでぐだぐだ言ったからって、作業速度が上がるわけでもないのによ。急げばミスが起こり易い。修正は最初からより手間がかかるって知っているくせによ」 
 マクシミリアンが立ち去るまでたっぷり三十分はかかったであろう。
 やれやれ、とベッカーは伸びをした。
「式典に艦隊を整列させるそうですから……」
 とばっちりを食らったグリムは扉が閉じるまでは深く腰を折った状態で見送り、それからゆっくりと身を起こす。
「うちだけそれに間に合わない、なんてことになったら大変です」
「そんなこと、俺にだってわかってるさ」
 帰る間際にグリムに突き返されたファイルを手に取った。パラパラと捲る。
「だったら、こんな面倒臭そうな───」
 今閉じたばかりの扉が勢いよく開いた。
「お、お待ちくださいっ」
「作業中のドックは危険ですので」
 叫んでいるのは警備員だ。その腕を取ろうとしたり、前に立ち塞がろうとするが、大柄な軍人は簡単に振りほどき、突き飛ばしてこちらへ真っすぐ突き進んでくる。
「勝手に入られては困ります!」
「せめて、ヘルメットを」
「んなもん、いちいち被ってられるかっ」
 後方から差し出されたヘルメットが弾き飛ばされ、カラカラと音を立てて転がった。
「敵の戦 斧が飛んでくるわけじゃあるまいし」
 ドックは広く、それなりに距離が開いているのだが、すぐそばで怒鳴られたほどに声が響く。
「ま、そりゃそうだな」
 ベッカーは微苦笑を漏らしたが、グリムは顔を強ばらせている。
「しゅ、主任……」
 どうして立ったままなんですか、逃げないんですか、グリムが表情で訴えかけていた。
「ん? ああ、それこそ戦斧が飛んでくるわけじゃねえだろ? 見ろ、手ぶらだ」
 なるほど、軍人はオレンジ色の髪を振り乱し、その形相がわかるほどの距離に迫ってはいるが、武器らしいものは携帯していない。
 それに明らかに自分を主任だと知って目指してくるのにどうやって逃げたらよいものか。もし走って逃げたのなら、相手も走るだけだ。
 細い廊下も抜け道も行き止まりも知っている。しかし、今鬼ごっこから逃げ果せても意味はない。
「で、でも……懐にレーザー銃とか……」
「持ってるかも知れねぇな」
 震えながらも自分だけ逃げたりしないグリムを可愛く思う。
「ここは火気厳禁だが、なあに、ゼッフル粒子をバラ撒いているわけでなし……」
 にやにや笑っているのはグリムをからかってのことだが、突進の速度が早まったのは自分が笑われたと感じたのだろう。
「おいっ」
 あっと言う間に目前に立っており、ベッカーの胸ぐらを掴んだ。
 そう体格のよい方ではないベッカーは爪先だちになる。
「あ、あの……ええと…落ち着いて、ください」
 追いついた警備員が二人の回りをうろうろしながら、けれど手を出すわけにもいかず、一人がまだ背後からヘルメットを被せようとしている。
「俺は十分に落ち着いている」
 言っている端から奥歯がギリリと鳴るのが聞こえるのだから、説得力はない。警備員が被せかけたヘルメットは、それに気づいた途端振り落とされた。
「おいっ」
「だから、なんだ」
 興奮するか、うろたえているか、その二極化の中、ベッカーの声色だけが普段と変わりない。
「用があるから来たんだろ?」
「…………」
 男同士、鼻先と額が触れんばかりの距離での睨み合いはそう楽しいものでもなく、しかも互いの温度差が開いていれば尚更だ。
 上着を引っ掴んでいた指が緩む。
 踵を床に下ろしたベッカーは、ちょいちょいと上着の裾を引っ張りととのえた。
「戦斧が飛んできたりはしないが、工具が落っこちてくることはあるから……一応、被っといた方がいいと思うがね」
 足元に転がっているヘルメットを拾い上げ、さすがに自分が被せるには身長的にも立場的にも、何よりも相手の心情的にもまずいだろうと差し出した。
 立ち入り許可も取らず、ドックの入り口から警備員の制止を聞かず、ここまで入り込んだ負い目を、ようやく感じ始めてもいるらしく、面白くなさそうな顔をしながらも受け取る。軍人にしてはやや長いオレンジの髪を強引にヘルメットに収めると、これでどうだ、
とばかりにもう一度ベッカーの胸ぐらを掴んだ。
 先ほどよりは加減しており、爪先立ちになるほどではない。
「おいっ、俺の艦隊、何色に塗りやがった」 
「…………え…?」 
 ベッカー以外が唖然とした表情になった。
「おい……」
 目線は外さないまま、グリムに持っているそれを寄越せと合図する。
「赤くでも塗られていましたかね」
 指先に目玉はついていないとばかりに、ファイルを繰る間、視線は下げられた。
「……んな、わけないだろっ」
 見るだけ無駄だと書類は取り上げられる。ベッカーも本気で確認するつもりがなかったのか、抵抗はしなかった。
「だから嫌だったんだ。こんなちっぽけなところに俺の艦隊を作らせるのは」
「あーあ、仰せの通り、小せえよ、ここはよっ」
「しゅ、主任っ!」
 ベッカー自らが背伸びして、唾がかからんばかりの勢いで言い返す。瞬間目を閉じて顔を背けたのは、実際に飛んでいたのかも知れない。
「だから、なりがでかいだけで中身が空っぽの輸送艦やら母艦はうちのドックじゃあ作ってねえよ」
「主任……それって、母艦作ってる人間が聞いたら怒りますよ」
 グリムの小声は警備員の耳にしか届いていない。
「戦闘の要になる巡航艦の仕上がりは評判がいいし、旗艦だって任されるようになったんだ」
 相手が現役軍人であることを除いても、力では適わないことはわかっている。しかし長年ここで働き、何のコネもないのに主任になったベッカーにも意地とプライドはあった。
 大きくて歴史もあるドックに負けていない自信もある。評価されているのも事実だが、巨大艦を作れるドックを持っていないことも事実だった。
「黒色槍騎 兵といえば黒に決まっているんだ」
「黒?」
 はっとして床のファイルを拾い上げたのはグリムで、ベッカーがそれを横から奪うとパラパラと捲った。
 「ああ……これか」
 目当てのページを見つけたようだ。
「外装なんざ、別に何色だってかまわないだろう? 全艦同じでいいじゃないか。塗装はきちんとやっている。何色だって見えるわけでなし、それともあれか、捕獲された後の識別が楽だからか」
 返答がないのはベッカーの言う通りだからではなく、怒りのあまり声にならないからだ。
「き、貴様……!」
「主任っ!」
 グリムが背後から腕を引っつかみ、さらに力を加えて引き寄せる。
「ビッテンフェルト上級大将ですよ」
「……はあ?」
 ベッカーはのんびりと聞き返した。
 まさか帝国軍の上級大将が前触れもなく、部下も連れず、いきなり一人でドックに来るとは思っていない。それはグリムも同じだった。
 もしもビッテンフェルトの口から「黒色槍騎兵」だから塗装は「黒」と聞かされなければ、思い浮かびもしなかった。
 これまでも何らかのトラブルや行き違いが生じたことはあったが、軍人自らが赴いてくることはなかった。連絡を受けたマクシミリアンが烈火の如くまくし立てに来るのが常だった。
 現場の者でないと意味がない、という場合でもドックまで来るのは部下だ。
 しかも装備や装甲のことではなく、外装の塗装の色のことだという。
 航行時には零下の中、戦闘時にはシールドがあっても生半可な環境ではなく、それを考慮した上で、装甲はもちろん、塗装も幾重にも行われる。
 敵から目視されるのは接舷されるか、拿捕された時くらいで、色合いよりも頑強さを重視してきた。通信衛星や偵察機を使い、艦橋のスクリーンに映し出された時、軍艦が七色であれば失笑を誘うだろうが、帝国軍の全艦隊に使われている標準色で塗装済みと報告されている。
 ラインハルトの旗艦ブリュンヒルトのように、特定の軍人が固有の艦を持つことはあるが、それは稀なことだ。
「上級大将ってのは……偉いのか?」
 「偉いに決まっているじゃないですかっ、大将に上級がつくんですよ」
「大将より上なのか?」
「当然じゃないですか」
 まるで漫才のようなやり取りだが、二人とも真剣である。
 軍服には階級章がついているが、将校だと鼻から考えていないので、見てもいなかったのだ。
「んなこと言われたって、会ったことねえんだから」
「会ったとか、そーゆー問題じゃないでしょう。常識ですよ、常識」
「どうせ俺は学がねぇよ」
「学とは関係ないです」
「さては自分が大卒だからって、俺のことを馬鹿にしているな」
「それは主任の被害妄想です」
「いつ俺が僻んだっていうんだ」
「誰も僻んだなんて言ってませんってば」
「…………おい、お前ら」
 話がどんどん自分とは関係ない方向に進むうちに、すっかり怒気が抜かれてしまったらしい。ひょいと二人の襟首を掴む。たいした力は入れてないが、引き離すには十分だった。
「とにかくだ。俺の艦隊は黒なんだ」
「……そうなのか?」
 小声でもすぐそばに立っているのだからビッテンフェルトの耳にも当然入っている。
「ええ……」
 ほら、ここに、とベッカーに指し示めされた箇所には、ビッテンフェルト上級大将下の艦隊の塗装は黒で行うこと、と明記されていた。ただし欄外の書き添えで、文字も大きくはない。
「……小せぇな……」
「常識だからだ」
 ベッカーの不満は文字の大きさに対してだが、ビッテンフェルトは大声でそれに応えた。
 このドックでビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊の艦が作られたことがないわけではない。ベッカーが担当するドックで、彼が受け持った艦がたまたまそれ以外のものが続いたのだ。
 帝国軍の軍艦の数を考えてみれば不思議なことではない。
 ベッカーは作業中の艦には興味を抱いても、仕上がってドックを出てしまえば、その艦が何色であろうと、誰が乗り込んでいようとどうでもよい。自分がかかわった艦が撃沈されることなく、修理の為に戻ってくることもなく、戦果を挙げてくれていればよいと思うだけだ。
 だが自分が作った艦に名のある軍人が乗り込んでいたり、勝利して階級があがると、自分が出世したかのように喜び自慢する者もいるがベッカーは馬鹿馬鹿しいと笑い飛ばしている。
 その艦をたった一人で作ったのなら、それを手柄にしてもよいが、一隻の軍艦には大勢の手が掛かっているのだ。自分はその中の、ほんの一部を手掛けたに過ぎない。
「とにかく数が多くて……駆逐艦や巡航艦はどの艦隊も同じですから」
 明らかにこちらのミスです、とグリムはベッカーの分まで平身低頭する。内心、だからといって上級大将自らがわざわざドックにまで来なくてもいいだろうに、と思いはするが、ここは早く納得して帰ってもらうのが得策だ。
 塗り直しの分、また残業だと思うとため息を吐きたくなる。だが、それは指令書をしっかり確認しなかった自分達の責任なので仕方ない。
「だから黒なんだろうが。誰が見てもわかるように」
「きちんと指定の色に塗装し直しますので」
 ベッカーは面白くない、とそっぽを向いている。彼一人のミスではないが、最終段階を受け持ってはいるので部下の仕事の確認をしていなかったのは事実だ。コーティングなら重要だが塗装色なんて見た目だけだろうが、と思うものの、それを言えばベッカーの仕事そのものが成り立たない。
 グリムが「早急に塗り直します。はい、きちんと黒で」と何度も頭を下げると、ベッカーの態度はともかく、目的は達成したとビッテンフェルトはその場で脱いだヘルメットを警備員に押し付け、軍靴の音も態とらしいまでに高くドックを出ていった。
「なんの為の警備なんだ? ああ?」
「それは……その…あまりの素早さに……どうも申し訳ありませんでした」
「給料分働けよ」
 ベッカーはまだぶつぶつ言っているが、グリムが手真似で早く行くように合図する。ここに警備員がいるということは、警備が手薄になっているし、ベッカーの愚痴が長引くだけだ。
「警備に戻ります。もう二度とこのようなことはないようにしますので」
「あの上級大将を止められるものならな」
 ふふんとベッカーは鼻を鳴らして警備員を見送った。
「……寿命が縮まりました」
「こんなことで一々縮めてたらなくなっちまうぞ」
 そうベッカーは笑ったが、彼自身、士官以上の階級の人間と話したことなど片手ほどもない。しかも話したといってもほんの挨拶で、ぺこぺこお辞儀をするマクシミリアンの隣で彼の真似をさせられただけだった。
「いや、主任にですよ。上級大将にあんな口を利くなんて」
「じゃあ、お前ならどんな口を利いたんだ?」
「だから……ですねぇ……」
 それでもグリムは自分一人がドックにいたとして、警備員を振り切って侵入してきた高級士官を相手にどうしただろうか、考えてみた。
 そして自分ならば逃げ出すか、胸ぐらを掴まれただけでパニックを来たし、相手が何を言っても謝るばかりだという結論に達した。
 ビッテンフェルトは大雑把な性格の持ち主ではあるが、大らかでもあるし、弱い者苛めは嫌いだ。だから勢いよく乗り込んではきたものの、作業員が戦々恐々し怯えていたら、とにかく自分の艦隊の塗装を黒に塗り替えるように伝え、警備員の制止を聞かず、ヘルメットも被らずに入ってきたことを素直に詫びただろう。 苦情ではなく、単に自分の乗る艦の仕上がりを見る為に軍人がドックを訪れることならばたまにある。
 それが新造艦だったり、初めて艦長として乗り込む艦ならば気にもなるだろう。といっても艦内が見られるわけではない。外側から、自分の艦はこんな外観なのか、と眺める程度だ。
 旗艦には違いがあっても、巡航艦や駆逐艦は規格がある。どこで作っても設計図が同じなのだから同じ型だ。
 それでも乗り込んでしまえば外側は見えないのだし、軍港から乗船の際にも一部しか見ることはできない。映像ではなく、自分で全体像をゆっくり見ようとすればドックに来るしかないのだ。
「少なくとも主任のように喧嘩腰には……」
「相手が先にそうだったんじゃねえか」
「……もう、いいです」
 はあ、と息を吐き出しながら、一週間分の疲れを感じたグリムだった。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧