| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  キバ ~カルテット♪キバっていくぜ!~

「準備はいいか?」

「大丈夫だ」

「点呼とりま~~す。渡」

「はい」

「太牙」

「居るぞ」

「名護さん」

「ここに」

「キバット三世」

「おうよっ」

「同じく二世」

「ふむ」

「よし、では」


蒔風がパスを渡にかざす。
するとパスに仮面ライダーキバが写り込み、下には蒔風がやってきた日にちの時間が書かれていた。



「では、しゅっぱ~~つ」





------------------------------------------------------------






現代


渡の家の前に巨大な影が現れた。
その影が腕を振りかぶり、家の二階部分を吹き飛ばした。



ガラガラと壁が崩れ、屋根が無くなって、おもちゃの家みたいに中が覗けた。

その影の名は、仮面ライダーアーク。
その身長は3.2メートルと、基本的な姿のライダーとしては最大の大きさを誇る、レジェンドルガ族最強の王の鎧。



レジェンドルガ族は最強の種として存在していたが、「キバの鎧」を身につけたファンガイアの王により殲滅、封印されていた。
それを「奴」が遺跡から発掘し、邪魔なレジェンドルガを排除。
鎧のみを奪って中に「欠片」を詰めて使用している。


故に、今回のアークの巨体は5メートルほどまで巨大化しており、特殊能力は使えないまでも力は底上げされている。
その「奴」はアークの肩に立っており、家の中を覗き込んで確認する。



「いない?紅渡の仕事はバイオリン作り。工房にいないなら素材探しか?」


アークが「奴」の意志に反応して踵を返してその場から去ろうとする。


狙いはまず、「素晴らしき青空の会」の集会所になっているカフェ・マル・ダムール。
そして非常に面倒だがビルに擬態しているキャッスルドランだ。



だがその歩みは爆撃で阻まれる。
時空を裂いて走ってきたレールに乗ったデンライナーの攻撃にアークが身じろぐ。

そしてその脇を通って行って、デンライナーがアークと「奴」を掻っ攫って行った。





そして郊外の森の中にある開けた場所。

そこにアークと「奴」は放り出され、デンライナーからは蒔風たちが降り立つ。



「お前ら・・・・・あ、そっか。確かこの世界には時の扉があったなぁ・・・・まさか蒔風がここまで電王の力を借りられるなぞ思ってなかったわ」

「ああ、オレもびっくりだよ」

そういう蒔風の背後でデンライナーが消え去る。
それを確認してから、蒔風が言い放った。


「そっちの準備は万全。だが、俺たちの方は・・・・・億全だからな。今回は先手を打たせてもらったぁ!!」

「あ~~~~、くっそ!!!最初からキャッスル潰せばよかった!!!」

「もう遅い。いくぞ!!!」


「ガブッ!!」

「ガブリ!」

渡と太牙の手にキバット三世と二世がそれぞれ噛みつき、魔皇力を流し込む。


《レ・デ・ィー》


名護がイクサナックルを手のひらに押し当てて機動させる。


「「「変身!!!」」」


《フィ・ス・ト・オ・ン》


そして各人がベルトにそれらを装着し、キバ、ダークキバ、イクサに変身する。




「ふん・・・・・雑魚は任せる」






ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!



アークが咆哮をあげて一歩を踏み出して来、二歩目の瞬間にはすでにダークキバとイクサを腕にかっさらって森の中に消えて行っていた。



「兄さん、名護さん!!!」

「あっちは任せよう・・・・それよりもこっちに集中しないと・・・・・死ぬぞ」



「奴」が魔導八天を抜き放ってズルズルと引きずりながら近づいてくる。
それに対して身構える二人。


そしてその距離がある程度まで近づいて


「せやッ!!」
「ハァ!!」
「ドウッ!!!」



バゴァ!!!!



ぶつかり合う。



とんでもない衝撃と共に、二人が吹き飛び、「奴」が追撃する。
例え万全でも、この戦いは危ういのだ。





------------------------------------------------------------




ゴオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・



アークが低いうなり声をあげて森の中を破壊しながら歩いていく。
額の・・・と言うよりは頭部にある宝石からビームを放って辺りの木々をなぎ倒し、イクサとダークキバを探しているようだ。
その二人と言えば・・・・


「はぁ・・はぁ・・・」

「大丈夫か?太牙・・・・っ・・・・・・」



大きな木に隠れ、背中越しにアークが通り過ぎるのを確認してやり過ごす。
イクサの装甲にはすでにひびが入り、ダークキバのマントは穴があいて、所々千切れてもいた。


周りの木々もなぎ倒され、その範囲も徐々に広がっていっている。
このままではまずいのは明白だ。


これまでの数分間、アークとは交戦したが一歩歩くごとの衝撃ですら攻撃になっているアークはもはやどうしようもなかった。
あの巨体は本来の物よりも大きい。そんなアークを相手取るにはどうあっても二人のサイズでは撤退しながら攻撃し、隙を見つけるしかない。

だがその歩行すらも攻撃になっては、撤退しようもない。



「あの巨体を倒すには・・・・」

「狙うは・・・・頭部!!しかも一発でだ」

「名護さんは気を引いてください。あのアークは伝承によればかつてのキングがこの「闇のキバ」の力で封印した・・・今度は破壊してやる・・・・」

「よし・・・・グッ・・・」

「大丈夫か!?」

「問題はな・・・・」



グシャァッッッ!!!!!!!



イクサが膝をつき、ダークキバがそれを起こそうとしゃがむ。
その瞬間、二人の上半身がさっきまであった高さでアークの手が二人の隠れていた巨木を握りしめていた。

二人が戦慄し、その場から転がり出す。
アークはその二人を見、手にした巨木をまるでコンビニのレシートを丸めるようにクシャクシャと捻り捨て、追い始める。


「捕まったら終わりだ!!!」

「くそっ!!太牙、早く頼んだぞ!!!」


イクサがイクサカリバー・ガンモードでアークに銃撃を浴びせる。


だがいっこうに効いた様子はなく、その歩みは止まらない。



「なら・・・これだ!!!」

《イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ》


イクサベルトにナックルフエッスルを読み込ませ、電子音が発せられる。


そしてベルトからはずされたナックルをアークの足元の地面に向け、焦点されたエネルギーが発射され、地面を穿って吹き飛ばす。


その穴に足を取られ、わずかなりともアークの身体がよろめく。
ほんのわずかな隙。必殺技を叩き込む間もなくアークは体勢を整えるだろう。


だが、たったそれだけの隙で十分だった。



バツン!!!!!ガギィ!!!!



「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


ダークキバの紋章が地面に浮きあがり、それが立ち上がってアークの身体を磔にする。
紋章からは常に電流のようなエネルギーが流されており、それが脱出しようとするアークの邪魔をしている。



「いける!!!!」

「いまだ!!!」



《イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ》

「ウェイクアップ、ワン!!」



イクサがイクサカリバーを剣型のカリバーモードに変え、その剣身に灼熱の太陽のようなエネルギーをまとい発光させる。
ダークキバがベルトのキバットバット二世にウェイクアップフエッスルを一回吹かせ、その拳に黒きオーラをまとった。



「「おぉぉおア!!!!!」」



ザキッ!!!!ドゴンッ!!!!






上半身をイクサが「イクサジャッジメント」で切り裂き、さらに飛びかかってダークキバの「ダークネスヘルクラッシュ」を顔面に叩きこんでその体がのけ反り、地面に倒れる。




ドドォウ、と音を響かせ、全身からスパークを起こして空を仰ぎながらアークが仰向けに倒れた。



「やった・・・か?」

「この地形だから・・・よかった・・・・でなければ潰されていた・・・・・」




二人がお互いの肩を支え、その場から先に行こうとする。
「奴」と戦っている二人に合流しなければならない。


二人の背後には地面に倒れるアーク。


死んだように倒れているそのアークが


そのアークの目が




バグンッ!!と一気に光り起動した。




巨体が瞬時に起き上がり、よろめく二人の身体を腕が薙ぐ。

二人は吹き飛び、イクサは地面に転がってダークキバは木々をなぎ倒して止まった。



「ぬ・・・ごぁ・・・・ッ!!!!」


ゴドン!!!!


巨大な踵落としをイクサがかわす。
だがその背中に吹き飛んだ地面がぶつかり、装甲から火花が上がる。

ヨロヨロとダークキバが立ち上がってそのイクサを助けに行こうとする。
だがゆうに二十は離れている距離をアークは一瞬で詰め寄って、右腕を振りかぶってダークキバを押しつぶした。



そしてボコッ、と腕が地面から引き抜かれ、その手にはマントを掴まれて吊るされたダークキバがいた。
ダランと力が抜け、まるで死体のようである。


その体を振りかえってその動作で一気に投げ飛ばすアーク。
森の中をノーバウンドで一直線に飛んでいくダークキバの軌道上に、イクサが立つ。

その体を受け止め、しかしその衝撃を受け止めきれるはずもなく、二人が一緒に吹き飛ばされて森を抜ける。




その先にはいくつもの爆煙が上がっていた。





------------------------------------------------------------





地面が抉れ、炎が所々上がっている。

その場所がさっきデンライナーが止まっていた広場であると初見で分かる者はいないだろう。



「おいおいおいおい!!!なんてざまだい!!過去で何やってきたんだよ!!!どんだけいたんだ!?」

「二週間ぐらいだ」

「だったらもう三年はいた方がよかったんじゃないのか!?(ドゴォ!!!)」


「奴」の砲撃が蒔風に迫る。
それを蹴りあげて軌道を逸らして、その間にキバが「奴」に迫る。


「ウェイク、アップ!!!」

キバット三世にウェイクアップフエッスルを吹かせてキバの右足の鎖、カテナが解き放たれ、赤い翼が現れる。
周囲が夜のように暗くなり、キバの必殺技「ダークネスムーンブレイク」が放たれた。


ドゴォ!!!



それが確かに「奴」の胸に直撃し、そのまま引きずるように押し出していって巨木にぶつかる。
その巨木を中心にして、地面に巨大なキバの紋章が打ちこまれてその衝撃が完璧に「奴」に伝わりきる。

だが「奴」がその脚をつかみ、自分の背後にある巨木に叩きつける。
巨木は倒れ、キバがそのままフルスイングのように回されて投げ放たれて蒔風がそれをキャッチして、それでも止まらず地面に二人がめり込んで倒れ込む。




「ホント・・・・なかなかに効いたけど、そこまででもねぇなぁ・・・演出でも血反吐吐けねぇぞ?」

「・・・・わ~~ったよ・・・見せてやる」


蒔風がキバを地面に置き、立ち上がった。


「あっちの時間で二週間。完成したオレの能力をな」

「やってみろよ・・・・なんて言わないけどな」



「奴」が蒔風に魔導八天を構えて突っ込む。
その速度は風のように速く、一瞬で蒔風に到達する。


だが蒔風が言葉を発する前に、青龍たちが止めに入る。
青龍達が時間を稼ぎ、「奴」がすぐにケルベロスたちを出して応戦、蒔風に向かうが、詠唱はすでに終わっていた。




          ―異端者、法則から外れ―


         ―死を知りて人も生命も外れ―

           ―世の理との断絶者―


         ―異端なる者は世にただ一人―

   ―故に彼の者は孤独にめぐり、そこに付き添う者は無し―


   ―ヒトも世界も外れたならば、世の法則など意味はなく―


         ―結果、顕わすは法則の崩壊―
          ―彼の心に法則は在らず―


        ―心象的な世界の破壊、顕われん―










「心象的世界破壊(イマジナリティワールドエンド)!!!!」




ズキャッ!ゴォ!!



世界が完璧に塗り替えられる。
炎に満ちた空。
地面が隆起しては陥没している。

そんな中でも蒔風と「奴」の周囲はなにもなかったし何も起こっていない。
だがいつ破壊が身を襲うかわからない状況。


一切の平穏なき世界がそこにあった。



「バッ・・・・・固有結界!?習得したのか!」







「・・・世界は法則に満ちている」


蒔風が右足を上げて前に踏み出す。
だがその体は前に進まず、その代わりに「奴」の身体が衝撃に襲われて地面に減り込む。



「その法則が乱れた世界がここだ」



頭を掻きながら獄炎弾を放つ。
「奴」がそれをクレーターから飛び出して回避した。

一気に獄炎弾が膨れ上がって爆発を起こす。
十メートルまで膨れて爆発した範囲から「奴」は十分に離れて回避していた。

だが



「グバッ・・・・・・ガアアアアアアアア!!?」


その爆発範囲には一切の破壊の跡は無く、全く炎が届いていない範囲がえぐれ、焼き尽くされた。


「法則は数学や物理、科学などの学問だけのものではない。右足を出せば前に出る。獄炎弾は当たった場所を焼く。頭を掻けばそこが刺激される。これらも立派な法則だ。で・・・・・それが乱れたら」


蒔風が右腕を真横に振るった。


「こうなる」


すると地面が隆起して、左右から「奴」を押し潰す。

それを見た「奴」が岩盤を砕いて脱出し、同じように右腕を真横に振るった。



だがやって来たのは空から落ちる流星群。
何十発もの隕石が地面に迫り、「奴」も蒔風もすべてを吹き飛ばそうとした瞬間



パァン!!



固有結界が切れる。
世界が元に戻り、法則が戻ってきた。


「ったく・・・・・危ない事するなよな。本来と違くても法則が一定したらそれは乱れたことにならない。つねに乱れ続けてんだから、下手にいじらないで欲しいな」

サラリと言ってのける蒔風。


心象的世界破壊(イマジナリティワールドエンド)


それが固有結界の名だ。

死を理解した異端であり、生まれも育ちも純粋な"no Name"。さらにその世界内で異能に目覚めた彼だからこそ出来る事だ。


「奴」は結界内でのダメージに腕を抱えてヨロついたが、やがて立ち上がってから蒔風を見、そして倒れているキバを見た。
そのキバもなんとか立ち上がろうと膝を上げていっている。



その時、林の中からイクサとダークキバが吹き飛ばされてきて地面に転がった。


「名護さん、太牙!!」

「ぐあ・・・・」

「すまない・・・・やられた・・・」

「こっちはなんとか一発入れてやったよ。まだ一勝一敗だ。こっからだ!行けるか?」


その言葉に二人が目を合わせてから鼻で笑った。



「オレは歴代最高のキングだ・・・・・レジェンドルガの遺物なんぞに、過去のキングが勝ったものに、負けられるか!!」


「全く、誰に物を言っているのです。オレは名護敬介。この世の正義。名護がやらねば、誰がやる」


意地だった。
二人が立ち上がったのは意地によるもの。
一人はキングの、一人は戦士の。


だがそれは、どんなものよりも二人をしっかりと支えて立ち上がらせた。




イクサがマスクの口部を取り外し、それ――イクサライザーを携帯のように開く。
そして「1」「9」「3」を押して発信ボタンで起動させた。


《ラ・イ・ジ・ン・グ》


ガシュウ!ゴゴォウ・・・・・・バァン!!



全身から熱気を吹き出し、イクサがライジングイクサにフォームを強化する。



「タツロット!」


キバがその名を叫ぶと、キバットくらいの大きさをした金色の小型竜が飛んできて、キバの左手首に装着される。


「ビュンビュ~~ン!いっきますよ~~!テンションフォルテッシモォ~!!」


ガキンガキン!ブワァァァ・・・・


キバの身体が黄金に包まれ、最強形態エンペラーフォームに強化変身する。


こうして準備は整った。


ダークキバ、イクサ、キバ、蒔風が並び、「奴」に向かって言い放つ。

「王の判決を言い渡す。死だ!」

「その命、神に還しなさい!」

「キバっていくぜ?渡!」

「ああ!!」



「・・・・・・・アーク!!」


「奴」が名を呼び、森の中から巨大な影が上空に飛び出し、スズン、と「奴」の隣に着地した。



「ハァァァァァァァアアア!!!」


アークの中からいくつかの「欠片」が抜け出て、「奴」の身体に集まりだす。
アークの身体が本来の大きさの3.2メートルに戻り、「奴」の怪我があらかた修復された。


「さぁ、決勝戦だ。いくぞ、みんな!!」

「「「おう!!」」」



アークが先陣切って走り出し、蒔風をわしづかみにしようとつかみ掛かってくる。
だがそれは空振りに終わり、回避した蒔風が横っ腹にローリングソバットをブチ当てて巨体を弾き飛ばす。


そのまま蒔風はキバと共に「奴」に向かい、吹っ飛んだアークにダークキバとイクサが走る。





「行くぞ!!」

《パ・ワ・ー・ド・イ・ク・サ・ー》


イクサがパワードフエッスルをベルトに差し入れ、ドラゴン型巨大重機「パワードイクサー」を呼びだし、それに乗り込んで戦闘を開始した。

その大きさはアークよりも頭一つ抜き出ており、ドラゴンの首を模したアームがアークに噛みついてその装甲を砕かんとする。

だがアークとてそのような重機にただやられるものではない。
腕で強引に噛みついている顎をはずして地面に降りる。

そして真っ向からぶつかり合って、下に手を入れ、ひっくり返そうとパワードイクサーの巨体が持ちあげられていく。



「ハッ!!!」

「ウェイクアップ、ツー!!!」



だがそのパワードイクサーの背後からダークキバが飛び出し、ウェイクアップフエッスルが二回吹かれた。
その脚にエネルギーが凝縮されていき、「キングバーストエンド」が放たれて、頭部に命中、その巨体が揺れてパワードイクサーが地面に降りる。



アークの背後に跳び下りたダークキバがジャコーダーを鞭状に伸ばし、アークを貫き縛り上げた。
さらにアークの頭上にキバの紋章が現れ、それに引っ掛けることでアークをつるし上げ状態にする。


「やれ!!いまだ!!!」

「わかっている!!!」


イクサがパワードイクサーから飛びだしながら最大稼働したエネルギーを銃型に変形させたイクサライザーへと集中させ、通常の数十倍もの威力を誇る強力なエネルギー波を発射する「ファイナルライジングブラスト」を撃った。
それは砲撃となって、とんでもない熱線がアークを焼きつくす。

その反動にイクサの身体が空中で押し返されるが、そのままパワードイクサーの頭部を蹴るようにして反転。
さらにその頭部も首を振るってイクサを押し出し、さらなる勢いを持ったイクサがアークの胸の中心に飛び蹴りをぶちかます。


その威力は果てしなく、ジャコーダーに貫かれ、熱線で焼かれたアークの装甲をやすやすと貫いて、アークの背後に突き出た。



そこでダークキバがジャコーダーをなぞる。
すると弦のように鞭部分が激しく震え、その振動でアークの全身が砕けて散った。


その際、「欠片」も飛び散り、何処かへと消えて行ってしまった。















「「ハァッ!!!」」

「ぬゴッ!」



ガギィン!!!



キバエンペラーフォームがザンバットソードを、蒔風が獅子天麟を構えて「奴」に斬りかかる。
それを正面から受け止めるが、その衝撃に「奴」の身体が浮き、そこに二人のパンチが放たれてさらに後方へと吹き飛ぶ。


「ふッ・・・・ハァァァッ!!!!!」


「奴」が上空に飛び出してその手に波動弾を溜めこむ。
蒔風が「奴」に向かって絶光砲を放つが、いとも簡単に剣で防がれてしまう。


そしてそれが放たれた。
蒔風とキバを漆黒の爆発が襲い、噴煙が立ち上がって大地を揺るがした。


「奴」の口元がニヤリと歪み、それが瞬時に歯ぎしりにかわった。



爆煙の中から巨大な翼竜型の形態「エンペラーバット」となったキバと、それに乗った蒔風が飛び出してきたからだ。



「奴」がさらに上空へと飛び、二人もそれを追って上昇していく。
 

雲を突き抜け、「奴」が波動砲を放ってきたのを旋回飛行でかわすキバ。
その上に乗った蒔風も雷旺を放ち「奴」にジャブを繰り返していく。


そして数回突進し、その剣で打ち合い、火花が散ってはまた砲撃戦になる。



キバもその口から炎弾を吐き出して「奴」に攻撃を繰り返していく。



ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!!!!




キバが「奴」を狙って休むことなく炎弾を吐く。
「奴」が全力で跳び、それを回避して行ってふと気付いた。




蒔風がいない




ドギャッ!!!!!




その思考の瞬間、背後から蒔風が十五天帝で「奴」の背後から体を貫き、地面に向けて投げ放った!!!

そしてその後を追って蒔風が頭からまっすぐにに堕ちて行く。


「グッ・・・バッ・・・・・きぃ・・・さまぁ!!!!!」


「渡!!行くぞ!!!!」

『はい!!!!』



【KAMEN RIDER KIBA】-WORLD LINK- ~WEPON~!!



キバの身体に青、緑、紫の光が取りつき、装着される。
それはキバに使役される三体のアームズモンスター、ガルル、バッシャー、ドッガ。


もしこれが本来の形態であれば、彼は仮面ライダーキバドガバキエンペラーフォームとも呼べる姿になっていただろう。



そしてその翼にさらに銀白の翼が取りつき、二対の翼が生えそろった。




「構えろ!!!!」



落下していく蒔風と「奴」を追いながらキバの口内に銀白に輝く超巨大なエネルギーが溜めこまれて行く。



「ぶっ放せ!!!!」



【KAMEN RIDER KIBA】-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~!!



さらに蒔風の足に赤い悪魔のような羽が現れた。
それはキバエンペラーフォームでのファイナルウェイクアップでの必殺技で現れる物と同じであった。



ドゴォッ!!!!!!!!




キバがエネルギーを放ち、それが蒔風に命中する。
そのエネルギーの砲撃に入り込み、その勢いに乗って蒔風が右足で「奴」に突き刺さる十五天帝にキックを放つ。


空気の壁を二回、三回と次々にぶち破って、地上に向かって落ちて行く。


地上何万メートルという距離を、凄まじい勢いでゼロに近づけてゆく。





雲はとうに抜け、鳥を追い越し、気圧が変わっていく。
そしてついに地上との距離がゼロへとなり!!!!





ドッ・・・・バガァァァァァアアアッッッッ!!!!!!





着地点を中心に三キロを覆う様にキバの紋章が地上に刻みこまれ、それが渦を巻いて集まってその中心で火柱を上げた。



そしてその火柱が消える頃、キバが地上に戻り、蒔風が炎の中から出てきた。



もうすでに元の姿に戻ったキバに、翼をしまった蒔風。




戦いは終わったと、変身を解いた渡を一緒に地面に座り込んだ。






------------------------------------------------------------




「終わった・・・・・のか?」

「ああ・・・・・そうだぁ・・・・・」

「蒔風は大丈夫か?」

「体力をメッチャ消耗した~~~~」

「ははは・・・それは御苦労さま・・・・・」



そして時間が来る。


蒔風がこの世界に現れてから実を言うと時計の上ではまだ十二時間も経っていない。


故に結構早めに出なければならないのだ。




「行ってらっしゃい」

「そうなるな。もう会うこともないだろ」

「でも・・・今度はゆっくりしたいな」

「それは・・・そうだな。じゃあ、また、だ」



[Gate Open---KAMEN RIDER KIBA]



蒔風がゲートをくぐる。
そして今日も渡は日常を過ごす。

目指すは父を越えるバイオリンを作ることだ。






------------------------------------------------------------




風の廻る街。
街の至る所に風車があり、気持ちのいい風が吹いている。


街の名は風都。
この町にはヒーローがいる。


二人で一人の探偵で
二人で一人の仮面ライダーが。


「行くぜ。相棒」

「いつでもいいよ」


「「変身!!」」




今日も街には風が吹く。

悩みも笑顔も一緒に運んで。






to be continued
 
 

 
後書き

【仮面ライダーキバ】

構成:"フォルス"60%
   "ライクル"30%
   "LOND"10%

最主要人物:紅渡

-WORLD LINK- ~WEPON~:三体のアームズモンスターと蒔風の力をキバに付加

-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~:力を得たキバ飛翔体からのエネルギーを纏って蒔風が放つキック



アリス
「過去のキャラどころかシーンまでスッ飛ばしましたね」

だって蒔風は固有結界の練り込み。
渡と太牙は模擬戦、名護さんはイクササイズだぜ?


そんなもん延々と書いて何が楽しいか。
過去のシーンは番外編で


アリス
「そういえば蒔風の新しい力!!あれ、なんですか?」

では説明しましょう



固有結界「心象的世界破壊(イマジナリティワールドエンド)」


あらゆる法則のなくなった世界を構築。
数式などだけの公式ではなく、本編中で言っていたような当たり前の事象ですら捻じ曲げる。

この固有結界、蒔風の意志で事象を捻じ曲げているのではなく、その事象に合わせて蒔風が動いているのだ。

「○○をやったら△△が起きる」と蒔風がやっているのではなく、「○○をやったら△△が起きる」ということを蒔風が知り、それに合わせて行動するだけです。
つまりここに置いて蒔風はどんな法則が成り立っていくのかを知っているだけで、コントロールはしてません。

そしてその法則は次々と変わっていっている。

ただえさえ世界を侵食する固有結界の上に、こんなに能力なので発動時間は三十秒のみ。
さらに飲み込む相手が多ければ時間は減っていく。


また、一度発生させたら時間が切れるまで蒔風にも解除できない。




アリス
「だから「奴」が腕振った時も別の現象が起こったんですね」

そうです。
だから「あのとき蒔風がああやってこうなったからこっちも同じことを」なんてことはできないんです。


アリス
「それチートやん」

いや?そうでもないですよ?
蒔風の考えに、「絶対なんてことは絶対にない」と言うモノがあります。

故に、「一撃で相手を倒す法則」はできません。


まあ、相手が耐えられなくて一撃で倒れることはある間も知れませんが。


アリス
「つまり耐えきればどうにかなると?」


はい
時間は三十秒。さらに動きまわれば蒔風自身も危険になりますから、結構な諸刃の剣。



アリス
「次回、アクセル、怖い」

ではまた次回








俺たち/僕たちは、二人で一人の仮面ライダーだ! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧