| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

提督はBarにいる。

作者:ごません
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

艦娘とスイーツと提督と・2

 4月も終わりかけのとある日、2人目のチケット当選者がリクエストを持ってきた。メニューはハニートーストと『とある飲み物』をリクエストされた。

ー午後3時頃・執務室ー

「ねぇ~提督さん、ホントに出来たの~?」

 ソファにブーツを脱ぎ去ってゴロゴロしながら、リクエストを出してきた艦娘・瑞鶴が疑るような声を上げている。俺の料理の腕も侮られたモンだ。

「ちょっと待ってな、今盛り付けてるから……っと、出来たぞ~。」

「ホント!?やった、早く早く!」

「ハイよ~、瑞鶴リクエストの『パ〇ラの完熟チョコバナナハニトー(フルーツ・アイス・チョコソースマシマシ)』と……」

 ここで一旦息を吸い込み直す。

「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノだっ……!」

 はぁ、名前言うだけで息切れするとか何なんだ。

「お~凄~い!こんなアホみたいに長い名前一息で言っちゃうなんて!」

「アホみたいだと解ってるならこんな注文すんなやっ!」

 あはは……と苦笑いしながらも瑞鶴はグラスを受け取り、ストローで一口。

「う~ん、けどやっぱり注文内容長くして色々積みすぎると、味もとっ散らかっちゃって微妙かなー。」

「お前は作らせといてそれかいっ!」





「あははは、ウソウソ。バッチリ美味しいよ提督さん!でも一回くらい頼んで見たかったんだよねー、こういう注文。」

 まだ湯気の立っているハニートーストに、溶けかけのアイスを絡めてフルーツと一緒に口に放り込んだ瑞鶴がそんな事を言う。

「だったら店で頼めよ。パセ〇とス〇バとか、味の再現の為に調べるの大変だったんだぞ?」

「だってぇ、この辺にどっちも無かったから。この間初めて行った横須賀でどっちも初めて行ったんだもん。」

 そうか、この辺にはどっちも無かったっけか。……ん?今聞き捨てならない発言が聞こえたんだけど。

「オイちょっと待て、お前ら横須賀で何してた?」

 俺がそう尋ねると、瑞鶴はドリンクを啜りながら

「え~っとねぇ、ドレスとアクセサリー買って、スタ〇でコーヒー飲んで、みなとみらい観光して、〇セラで2時間位唄って……あ、海軍カレーも食べたよ!美味しかったなぁ。」

「観光旅行じゃねぇか!満喫し過ぎだろ!」

 ショッピングして、お茶して、観光してカラオケ、そしてとどめにグルメって……完全に観光旅行に来た学生気分じゃねぇか。初の内地とはいえ満喫し過ぎだろ。





「でもよぉ、本物の〇タバ行ったんなら、そこで頼めば良かったじゃねぇか。」

「だってさぁ、ネットでああいう注文出来るってのは知ってたけどね、実際お店でやって店員さんが反応してくれれば良いけど、もしも(゚д゚)ハァ?って顔されちゃったらどう?提督さん。」

「……確かに、想像しただけでいたたまれねぇな。」

「でしょー?それに、あんな長い注文出来る自信無かったし。いやホント凄いよ提督さん。」

「いや、全く嬉しくねぇわその誉め言葉。」

「そ・れ・にぃ~……提督さん、あーん♪」

 瑞鶴がハニトーの一切れをフォークに刺して、こちらに伸ばしてきた。

「あ、あーん……」

 しぶしぶ口を開けると、瑞鶴がハニトーを放り込んできた。

「あそこに提督さん居なかったから、こんな事出来なかったから……ね?」

 参った、降参。こいつぁ可愛過ぎる。その後は食パン1斤を使った巨大なハニートーストを食べさせあったりしてゆったりとした時間を過ごした。甘めに作った筈のハニートーストの味があんまりしなかったのは、幻覚では無かったはずだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧