提督はBarにいる。
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艦娘とスイーツと提督と・2
4月も終わりかけのとある日、2人目のチケット当選者がリクエストを持ってきた。メニューはハニートーストと『とある飲み物』をリクエストされた。
ー午後3時頃・執務室ー
「ねぇ~提督さん、ホントに出来たの~?」
ソファにブーツを脱ぎ去ってゴロゴロしながら、リクエストを出してきた艦娘・瑞鶴が疑るような声を上げている。俺の料理の腕も侮られたモンだ。
「ちょっと待ってな、今盛り付けてるから……っと、出来たぞ~。」
「ホント!?やった、早く早く!」
「ハイよ~、瑞鶴リクエストの『パ〇ラの完熟チョコバナナハニトー(フルーツ・アイス・チョコソースマシマシ)』と……」
ここで一旦息を吸い込み直す。
「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノだっ……!」
はぁ、名前言うだけで息切れするとか何なんだ。
「お~凄~い!こんなアホみたいに長い名前一息で言っちゃうなんて!」
「アホみたいだと解ってるならこんな注文すんなやっ!」
あはは……と苦笑いしながらも瑞鶴はグラスを受け取り、ストローで一口。
「う~ん、けどやっぱり注文内容長くして色々積みすぎると、味もとっ散らかっちゃって微妙かなー。」
「お前は作らせといてそれかいっ!」
「あははは、ウソウソ。バッチリ美味しいよ提督さん!でも一回くらい頼んで見たかったんだよねー、こういう注文。」
まだ湯気の立っているハニートーストに、溶けかけのアイスを絡めてフルーツと一緒に口に放り込んだ瑞鶴がそんな事を言う。
「だったら店で頼めよ。パセ〇とス〇バとか、味の再現の為に調べるの大変だったんだぞ?」
「だってぇ、この辺にどっちも無かったから。この間初めて行った横須賀でどっちも初めて行ったんだもん。」
そうか、この辺にはどっちも無かったっけか。……ん?今聞き捨てならない発言が聞こえたんだけど。
「オイちょっと待て、お前ら横須賀で何してた?」
俺がそう尋ねると、瑞鶴はドリンクを啜りながら
「え~っとねぇ、ドレスとアクセサリー買って、スタ〇でコーヒー飲んで、みなとみらい観光して、〇セラで2時間位唄って……あ、海軍カレーも食べたよ!美味しかったなぁ。」
「観光旅行じゃねぇか!満喫し過ぎだろ!」
ショッピングして、お茶して、観光してカラオケ、そしてとどめにグルメって……完全に観光旅行に来た学生気分じゃねぇか。初の内地とはいえ満喫し過ぎだろ。
「でもよぉ、本物の〇タバ行ったんなら、そこで頼めば良かったじゃねぇか。」
「だってさぁ、ネットでああいう注文出来るってのは知ってたけどね、実際お店でやって店員さんが反応してくれれば良いけど、もしも(゚д゚)ハァ?って顔されちゃったらどう?提督さん。」
「……確かに、想像しただけでいたたまれねぇな。」
「でしょー?それに、あんな長い注文出来る自信無かったし。いやホント凄いよ提督さん。」
「いや、全く嬉しくねぇわその誉め言葉。」
「そ・れ・にぃ~……提督さん、あーん♪」
瑞鶴がハニトーの一切れをフォークに刺して、こちらに伸ばしてきた。
「あ、あーん……」
しぶしぶ口を開けると、瑞鶴がハニトーを放り込んできた。
「あそこに提督さん居なかったから、こんな事出来なかったから……ね?」
参った、降参。こいつぁ可愛過ぎる。その後は食パン1斤を使った巨大なハニートーストを食べさせあったりしてゆったりとした時間を過ごした。甘めに作った筈のハニートーストの味があんまりしなかったのは、幻覚では無かったはずだ。
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