聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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662部分:第九十五話 聖域の前でその三
第九十五話 聖域の前でその三
「だからだ。ライブラの武器を使わずともだ」
「勝てるというのですか」
「それは」
「そうだ、今の御前達に勝てる者達はいない」
そこまで言ってみせた。しかもそれは褒め言葉ではなかった。
「最早だ」
「では我々は」
「この拳で」
「戦うのだ」
まさにそうしろというのだ。
「わかったな」
「わかりました、教皇」
「それでは」
「頼んだぞ」
教皇としての言葉だった。
「それではだ」
「だからこそあの二人も」
「今そうして」
「闘っているのだ」
拳と拳が打ち合っている。彼等はその闘いを見守っていた。
サガの拳がぶつかった。だがポポスはそれを受けてみせたのだ。
「ふむ」
「拳で拳を受けたか」
「まさかここまでやるとはな」
ポポスはその拳で受けてみせたのである。そのこぶしと拳が打ち合うその中での言葉であった。不敵な笑みと共に出した言葉だった。
「黄金聖闘士、いやジェミニよ」
「むっ!?私のことか」
「如何にも」
楽しむ笑みと共の言葉だった。ポポスは。
「その通りだ」
「私がどうかしたというのか」
「さらに腕をあげたな」
「さらにだと?私と貴様が会ったのはだ」
「今だけではない」
ポポスの言葉と笑みが思わせぶりなものになってきていた。
「かつてもだ」
「かつて、か」
「そうだ。かつて」
話すのは過去のことだった。
「私と貴様は拳を交えたのだがな」
「どういうことだ、それは」
「何、貴様が覚えていないだけだ」
またしても楽しむ笑みを浮かべた彼だった。
「ただそれだけだ」
「それだけだというのか」
「その通りだ。貴様と私は前にも闘ったことがあるのだ」
「私が覚えていないのか」
それを聞いてもであった。サガにはわからない話だった。それはサガが人間であるからだった。人の記憶はどうしても限られてしまうものだからだ。
「しかしそれは」
「人はその一生でしかその記憶を保てないものだ」
「記憶は?」
「そうだ。我々神は永遠の記憶を持っていられる」
今度はまたしても自分達が神だということを話した。
「それもだ」
「記憶か」
「残念な話だ。人は前世の記憶を持っていることはできない」
「前世か」
ここでだった。サガはようやく話のある程度を理解したのだった。それは。
「そうか。私は前世においても貴様と闘っていたのか」
「これでわかったな」
「わかった。私はあの時からアテナの聖闘士だった」
わかったのはまさにそのことだった。
「そして貴様と闘った」
「そういうことだ。もっとも」
「まだ何かあるのか」
「貴様の前世はそれだけではない」
その時に留まらないというのだ。
「貴様、いや貴様達はだ」
サガだけではないというのだ。
「常にだ」
「私だけではないのか」
「それは言っておく」
拳と拳が打ち合ったままで話がされていた。
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