提督はBarにいる。
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完璧に落ち度ですわコレ。
「う~ん、アジアンテイストなのも良いんだけど……メキシコ料理っぽいのも食べてみたいのよねぇ…」
チチをストローで吸いながら、陽炎から料理のリクエストが来た。メキシコ料理か。何かあったっけか……お、小麦粉のトルティーヤ(冷凍だけど)あるじゃん。これでブリトーにするか。
とりあえず冷凍のトルティーヤをフライパンに広げ、解凍しつつ焼き目を付ける。焼き目が付いたら乾燥しないようにして置いておく。お次はブリトーに使う2種類のソースを作ろう。
まずはアボカドを使ったワカモレソース。アボカド1個に香菜を2枝。アボカドは種と皮を除いて香菜はみじん切り。具材をボウルに入れたらレモン汁大さじ1、おろしにんにく小さじ1/4、塩小さじ1/3、オリーブオイル大さじ1/2を加えて、アボカドを潰しながら混ぜれば完成。お次はブリトー以外にも色々使えるサルサソースを作るぞ。これは是非試して貰いたいので、レシピを別に書いておく。
《使い道色々!サルサソース》
・カットトマト(缶詰):1缶
・玉ねぎ:1/2個
・ピーマン(小):2個
・パプリカ(黄):半分位
・おろしにんにく:小さじ1
・レモスコ:大さじ1
・ハーブミックス:大さじ2/3
・砂糖:小さじ2/3
・塩、胡椒:適量
※レモスコがなければレモン汁大さじ2にタバスコをお好み量で。
作り方は簡単、野菜類をみじん切りにして、全部の材料を混ぜるだけ。これで本格的な味が出来ちゃうから驚きだよね。
メインの具材は鶏のモモ肉(300g位)とソーセージ。鶏モモは1.5cm角くらいにカットして、オリーブオイル大さじ1、おろしにんにく小さじ1/2、チリペッパー小さじ1/3、クミンパウダー小さじ1/3、塩小さじ1/3でスパイシーに下味を付ける。フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、鶏モモを焼く。ソーセージもパリッとするくらいまで焼いておこう。
後はトルティーヤに好きなソースを好きなだけ乗せ、レタス・チーズ・きゅうりのみじん切り等お好みの材料をソーセージや鶏モモと巻いたら出来上がり。巻くのは自分の好みがあるだろうからセルフでやってもらおう。
「ん~♪アジアンなエスニックとは違うけど、これもピリ辛で美味し~い!」
意外と辛いのが好きなんだな、陽炎。酒も強めのカクテルを5、6杯は飲んでいるからまぁまぁ強いようだ。
「結構強いんだな、陽炎。意外な一面だわ。」
「そう?ウチの姉妹皆結構な飲兵衛よ?」
雪風とか飲めない子もいるけどねー、とチチを飲み干して応える陽炎。
「結構姉妹で料理とかお菓子とか持ち寄って集まって、女子会っぽい事とかしてるもの。」
「へぇ……。」
「それに、そういうプライベートな空間って意外な一面が出てきて面白いのよ。この間なんて不知火がね……あ、これ秘密だったわ。」
おいおい、ここまで引っ張っておいてお預けはないだろう。
「何だよ、気になるじゃねぇか。」
「絶対誰にも言わない?」
「おぅ(多分な)。」
「ホントにホント?」
どんだけ凄い秘密なんだよ。余計に気になってきて是が非でも知りたくなってきたわ。
「じゃあ見せてあげる。不知火ってさ、普段は飲んでても素面と変わらないんだけどね、許容量を超えちゃうと一気にスイッチ入っちゃうのよね。」
そう言いながら陽炎はケータイのムービーを起動した。
『お姉ちゃん……♪お姉ちゃんだぁ…///』
えぇと、解りやすく説明しますと(恐らく)酔っ払って頬を紅潮させた不知火が、陽炎に抱き付いて腹部に顔を押し付けてスリスリしています。
『ちょ、ちょっと不知火!?アンタ飲みすぎよ!』
『おっとっと、これはキマシタワーかな?スケッチしなきゃ(使命感)』
秋雲はそれを止める事もなく、スケブを取り出してスケッチ始めてるし、カメラを回してるのは黒潮か?雪風はあまりの事態にアワワワしてるし。
『お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん……///』
不知火、ほっぺスリスリから鼻を埋めてグリグリに移行。気恥ずかしさからか、みるみる陽炎も赤くなっていく。
『ちょ、ちょっと不知火!ホントに酔っ払いすぎだって!そろそろマジでやm……』
『酔っぴゃらってなんかいませんよぉ…?しらぬいににゃにか落ち度でもぉ……?///』
いや、ない。無いんだけど、落ち度しかねぇわコレ(錯乱)。
『……落ち度が、ありましたかぁ………?』グスッ
不知火、お目目ウルウルさせてしゃくりあげ、今にも泣き出しそうです。
『な、無いわよ別に……///』
陽炎、陥落。観念したかのように不知火の頭をナデナデしてやっている。
『んん~……♪』
対して不知火は撫でられるのが余程嬉しいのかホワホワしている。
『お姉ちゃんは暖かいなぁ…。』
『そりゃ、お酒飲んでるから体温上がってるだろうし、不知火も十分あったかいわよ?』
陽炎がそう言うと不知火はブンブンと首を横に振る。
『そ、そうじゃなくてぇ……』
そう言うと不知火はポツポツと語り始めた。
『“不知火”は宵の海に浮かぶ幻の篝火、実体の無い炎の事。』
『もしも不知火があったかく感じるなら、それはお姉ちゃんや妹達から暖かさを分けてもらってるから、だよ?』
そう不知火が言った所でムービーは終わっていた。
「どう?感想は。」
ニヤニヤしながら陽炎が尋ねて来た。何だこの可愛い生き物。……何だこの可愛い生き物。感想がそれしか出てこない。
「しかし意外でしょ?あの普段クールっていうか冷酷にも見える不知火があんな感じになるなんてw」
陽炎は尚も上機嫌に語っている。背後に立つ人の気配にも気付かずに。
「陽炎さん陽炎さん、後ろ後ろ。」
「へっ?」
そこには、顔を真っ赤にしながらプルプルと震える不知火の姿があった。
「え、えーと……いつから?」
「陽炎が姉妹で飲み会をする、という辺りからです…」
「え、え~……?居るなら声かけてくれればいいのに…」
「あまりにも楽しそうに語っているのでお邪魔かと思いまして。」
プルプルはなりを潜め、代わりに戦艦クラスの眼光が戻ってきている。アカン、これはアカン奴や。
「さて……私が言いたいのは一言だけです。」
不知火は12.7cm砲に弾を装填して、構えた。
「い、いや、待って不知火、流石に実弾は……!」
「問答無用!沈めええええぇぇぇぇぇっ‼」
そう叫びながら不知火は逃げる陽炎を追い掛けて行ってしまった。……あ、勘定貰ってねぇや。まぁ良いか、後で徴収しよう。そう考えながら鎮守府内で聞こえる砲撃音を聞きつつ、ブリトーを肴にテキーラを煽った。
翌日、陽炎は大破して入渠ドックに担ぎ込まれ、鎮守府の壁が穴だらけになって何故か俺が明石に怒られた。穴だらけにした張本人の不知火が1週間引きこもりになったのは、また別の話。
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