| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

提督はBarにいる。

作者:ごません
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

完璧に落ち度ですわコレ。

「う~ん、アジアンテイストなのも良いんだけど……メキシコ料理っぽいのも食べてみたいのよねぇ…」

 チチをストローで吸いながら、陽炎から料理のリクエストが来た。メキシコ料理か。何かあったっけか……お、小麦粉のトルティーヤ(冷凍だけど)あるじゃん。これでブリトーにするか。

 とりあえず冷凍のトルティーヤをフライパンに広げ、解凍しつつ焼き目を付ける。焼き目が付いたら乾燥しないようにして置いておく。お次はブリトーに使う2種類のソースを作ろう。

 まずはアボカドを使ったワカモレソース。アボカド1個に香菜を2枝。アボカドは種と皮を除いて香菜はみじん切り。具材をボウルに入れたらレモン汁大さじ1、おろしにんにく小さじ1/4、塩小さじ1/3、オリーブオイル大さじ1/2を加えて、アボカドを潰しながら混ぜれば完成。お次はブリトー以外にも色々使えるサルサソースを作るぞ。これは是非試して貰いたいので、レシピを別に書いておく。

《使い道色々!サルサソース》

・カットトマト(缶詰):1缶

・玉ねぎ:1/2個

・ピーマン(小):2個

・パプリカ(黄):半分位

・おろしにんにく:小さじ1

・レモスコ:大さじ1

・ハーブミックス:大さじ2/3

・砂糖:小さじ2/3

・塩、胡椒:適量

※レモスコがなければレモン汁大さじ2にタバスコをお好み量で。

 作り方は簡単、野菜類をみじん切りにして、全部の材料を混ぜるだけ。これで本格的な味が出来ちゃうから驚きだよね。

 メインの具材は鶏のモモ肉(300g位)とソーセージ。鶏モモは1.5cm角くらいにカットして、オリーブオイル大さじ1、おろしにんにく小さじ1/2、チリペッパー小さじ1/3、クミンパウダー小さじ1/3、塩小さじ1/3でスパイシーに下味を付ける。フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、鶏モモを焼く。ソーセージもパリッとするくらいまで焼いておこう。

 後はトルティーヤに好きなソースを好きなだけ乗せ、レタス・チーズ・きゅうりのみじん切り等お好みの材料をソーセージや鶏モモと巻いたら出来上がり。巻くのは自分の好みがあるだろうからセルフでやってもらおう。



「ん~♪アジアンなエスニックとは違うけど、これもピリ辛で美味し~い!」

 意外と辛いのが好きなんだな、陽炎。酒も強めのカクテルを5、6杯は飲んでいるからまぁまぁ強いようだ。

「結構強いんだな、陽炎。意外な一面だわ。」

「そう?ウチの姉妹皆結構な飲兵衛よ?」

 雪風とか飲めない子もいるけどねー、とチチを飲み干して応える陽炎。

「結構姉妹で料理とかお菓子とか持ち寄って集まって、女子会っぽい事とかしてるもの。」

「へぇ……。」

「それに、そういうプライベートな空間って意外な一面が出てきて面白いのよ。この間なんて不知火がね……あ、これ秘密だったわ。」

 おいおい、ここまで引っ張っておいてお預けはないだろう。

「何だよ、気になるじゃねぇか。」

「絶対誰にも言わない?」

「おぅ(多分な)。」

「ホントにホント?」

 どんだけ凄い秘密なんだよ。余計に気になってきて是が非でも知りたくなってきたわ。

「じゃあ見せてあげる。不知火ってさ、普段は飲んでても素面と変わらないんだけどね、許容量を超えちゃうと一気にスイッチ入っちゃうのよね。」

 そう言いながら陽炎はケータイのムービーを起動した。

『お姉ちゃん……♪お姉ちゃんだぁ…///』

 えぇと、解りやすく説明しますと(恐らく)酔っ払って頬を紅潮させた不知火が、陽炎に抱き付いて腹部に顔を押し付けてスリスリしています。

『ちょ、ちょっと不知火!?アンタ飲みすぎよ!』

『おっとっと、これはキマシタワーかな?スケッチしなきゃ(使命感)』

 秋雲はそれを止める事もなく、スケブを取り出してスケッチ始めてるし、カメラを回してるのは黒潮か?雪風はあまりの事態にアワワワしてるし。

『お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん……///』

 不知火、ほっぺスリスリから鼻を埋めてグリグリに移行。気恥ずかしさからか、みるみる陽炎も赤くなっていく。

『ちょ、ちょっと不知火!ホントに酔っ払いすぎだって!そろそろマジでやm……』

『酔っぴゃらってなんかいませんよぉ…?しらぬいににゃにか落ち度でもぉ……?///』

 いや、ない。無いんだけど、落ち度しかねぇわコレ(錯乱)。

『……落ち度が、ありましたかぁ………?』グスッ

 不知火、お目目ウルウルさせてしゃくりあげ、今にも泣き出しそうです。

『な、無いわよ別に……///』

 陽炎、陥落。観念したかのように不知火の頭をナデナデしてやっている。

『んん~……♪』

 対して不知火は撫でられるのが余程嬉しいのかホワホワしている。

『お姉ちゃんは暖かいなぁ…。』

『そりゃ、お酒飲んでるから体温上がってるだろうし、不知火も十分あったかいわよ?』                            

 陽炎がそう言うと不知火はブンブンと首を横に振る。

『そ、そうじゃなくてぇ……』

 そう言うと不知火はポツポツと語り始めた。

『“不知火”は宵の海に浮かぶ幻の篝火、実体の無い炎の事。』

『もしも不知火があったかく感じるなら、それはお姉ちゃんや妹達から暖かさを分けてもらってるから、だよ?』




 そう不知火が言った所でムービーは終わっていた。

「どう?感想は。」

 ニヤニヤしながら陽炎が尋ねて来た。何だこの可愛い生き物。……何だこの可愛い生き物。感想がそれしか出てこない。

「しかし意外でしょ?あの普段クールっていうか冷酷にも見える不知火があんな感じになるなんてw」

 陽炎は尚も上機嫌に語っている。背後に立つ人の気配にも気付かずに。

「陽炎さん陽炎さん、後ろ後ろ。」

「へっ?」

 そこには、顔を真っ赤にしながらプルプルと震える不知火の姿があった。

「え、えーと……いつから?」

「陽炎が姉妹で飲み会をする、という辺りからです…」

「え、え~……?居るなら声かけてくれればいいのに…」

「あまりにも楽しそうに語っているのでお邪魔かと思いまして。」

 プルプルはなりを潜め、代わりに戦艦クラスの眼光が戻ってきている。アカン、これはアカン奴や。

「さて……私が言いたいのは一言だけです。」

 不知火は12.7cm砲に弾を装填して、構えた。

「い、いや、待って不知火、流石に実弾は……!」

「問答無用!沈めええええぇぇぇぇぇっ‼」

 そう叫びながら不知火は逃げる陽炎を追い掛けて行ってしまった。……あ、勘定貰ってねぇや。まぁ良いか、後で徴収しよう。そう考えながら鎮守府内で聞こえる砲撃音を聞きつつ、ブリトーを肴にテキーラを煽った。

 翌日、陽炎は大破して入渠ドックに担ぎ込まれ、鎮守府の壁が穴だらけになって何故か俺が明石に怒られた。穴だらけにした張本人の不知火が1週間引きこもりになったのは、また別の話。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧