とある科学の裏側世界(リバースワールド)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
second contact
ep.032 脅迫状
前書き
文章は"名前"。
台詞は"キャラに合わせて"にすることにしました。
これが1番自然に思えるような気がしたので.....。
佳奈が誘拐されてから3日が経過した。
この日、仁たちにobjectからの脅迫状が届く。
ー野口は既に始末してある。
後は、お前らを消すだけだ。
全面戦争を申し込む。 来なければ人質を消すー
「全面戦争だと?」
飛鳥はすぐさま子規に連絡を取る。
というのも、子規はobjectのネットワークに独自のハッキングを仕掛けて情報を入手していた。
勝哉たちが学園都市崩壊計画の情報を聖持たちと合流するより前に手に入れていたのはそのためだった。
「影縫! 全面戦争だなんて、何があった!」
「さっきから接続を何度も試みてるが、完全に全ルートをシャットアウトされちまった。」
子規がobjectへ独自に繋いでいたルートは、その全てが封鎖され、objectのネットワークは完全に他者とのリンクを断った孤立状態になっていたのだ。
『この様子じゃ"バク"も動けねぇよな。』
"バク"とは、子規が作った子規の持つ最大のネットワークウイルスのことで、学園都市のネットワークから7月19日のデータがすべて抹消されていたのはバクによって学園都市のありとあらゆるデータが侵食されたからである。
バクという名前は子規曰く"指定した情報をバクバク食べて行くから"略してバクにしたらしい。
objectの狙いが掴めない今はどうあってもobjectの指示に従うしか方法はなかった。
しかし、ここで子規はあることを思い出した。
「待てよ。 佳奈ちゃんが連合を誘うための道具として使われたんだったら彼女の生存率はある程度高くなったってことだよな。」
子規のその言葉で仁の目に残っていた僅かばかりの火が瞬く間に強く燃え始めた。
そして、そのタイミングで悠持がやって来た。
無論、今の話は聞いていた。
「神薙。 objectの方は準備万端って感じだが?」
飛鳥の問い掛けに悠持はニヤッと笑う。
それは悠持のスイッチが入ったことを意味していた。
すぐさま元の表情に戻り、悠持は少しの間沈黙すると命令を出した。
「影縫。 即席で構わない。 何分で作戦を練れる?」
悠持の質問に子規は少しだけ考えて答える。
「1つで十分なら1分も必要ない。」
次に悠持は飛鳥の方に指示を出す。
「桐崎。 敵のアジトの座標は分かってるのか?」
飛鳥は先ほどの悠持を見てすぐにPCを起動し、座標を調査していた。
「今、座標を把握した。 あと2、3分あれば建物の外観と内部構造もなんとなくだが分かるかもしれない。」
「じゃあ影縫は桐崎が建物の構造を判明させ次第、作戦を改良していってくれ。」
会話の驚くべき点は、この会話が1分も掛からずに行われるいることだ。
studentの重役たちは勝哉がいない最悪の状況を把握し、その上で自身の役割を理解していたのだ。
そして各自からの情報を聞き漏らさずに、的確に他者に伝え、各自に仕事を手早く割り振っていく悠持の実力も大したものだった。
『俺は野口が居ることで戦うことだけを考えていられたが、アイツが居なくなればstudentを支えなきゃならないのは俺だ。』
悠持がここまでこだわる理由は、誰よりも先に勝哉とstudentを始めたことで重役感を感じていたのだ。
数分後ー
objectの拠点の図面を入手した飛鳥は、子規と協力して作戦を立ててきた。
「......なるほどな。 だが、お前はリスクが大きいぞ。」
悠持の心配に対して発案者の子規は笑顔で返す。
子規の思考は所々ぶっ飛んではいるが、作戦の1つ1つは緻密に組まれているためとくに大きな問題が発生することは早々ない。
その後、悠持の指示によりstudent全員と聖持、仁も準備を済ましいよいよ戦場に向かうこととなった。
『必ず俺が助け出してみせるから、だからそれまで安心して待っていてくれ佳奈。』
連合はobjectの拠点を目指して動き出した。
そしてその光景を、1人の青年が観察していた。
「フフッ.....studentか...。 情報のみで把握していた組織に過ぎなかったが、これは思っていた以上に崩すのは難しそうだな。 流石は"野口くん"と言ったところかな。」
そう言うと、青年はゲートのようなものを発生させ自分を潜らせ消えた。
その頃ー
objectの拠点では叶瀬 叶と比屋定 時雨が話していた。
どうやら時雨は少々怒っているようだ。
「ねぇ叶。 人質ちゃんをこんな使い方して、これじゃ意味がないと思うんだけど。」
「何言ってやがる。 俺達がこれからするのは"残党狩り"だ。 人質はそのためのエサだよ。」
時雨は無邪気な叶の意見を聞いて呆れる。
彼が生粋のゲーマーであることを忘れていた自分に呆れてしまったのだ。
『ホントに叶と居ると退屈しないわね。』
すると叶は時雨を振り向かせ、頬に触れると殺人鬼とは思えないくらいの暖かみのある表情をする。
「どんなことがあっても組織とお前は守ってやるよ。」
時雨はその一言にドキッとして頬を赤くする。
それを見て叶が時雨をからかう。
「ははぁ〜ん。 さては俺に惚れたか?」
時雨は何処か心の底を見透かされたような気がして、頬を赤らめたままそっぽを向いた。
「違うし.......バーカッ.....。」
ページ上へ戻る