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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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63部分:第七話 恐怖の集結その五


第七話 恐怖の集結その五

「まずはここまで来てもらい御苦労だった」
「有り難き御言葉」
「だが。あそこでキャンサーと闘おうとしたのは頂けぬな」
「申し訳ありません」
「他の聖闘士ならばともかくあの男は別だ」
「別ですか」
「そうだ」
 ユニだけではなく他の四人に対しても厳しい声で述べる。
「あの者と互角に闘うにはまだ戦力が不充分だ」
「といいますと」
「あと四人」
 カナンは言った。
「彼等が来るまで待たなければならない」
「同志達の到着をですか」
「そうだ」
 カナンの言葉は続く。冷徹な響きだがはっきりとしたものだった。
「あと四人。そしてそれは」
「それは」
「間も無くだ」
 五人を前にして言い切ってみせてきた。
「そしてインプ達も来る」
「インプ達も」
「まさか。あれだけの数のインプ達が瞬く間に倒されるとは」
 アトロムが忌々しげに呻いて述べてきた。
「思いも寄りませんでした」
「思わなかったというのか」
「はい」
 その忌々しげな呻きはさらに続く。
「あれだけいればライプチヒなぞものの数ではありません。それが」
「聖闘士を侮るなということだ」
 カナンのアトロムに対する言葉はこうであった。
「侮るな、ですか」
「これは私にも言えることだ」
 カナンはあえて自分自身に対してもだと述べた。
「私もまたインプはあれだけでいいと思っていた」
「左様ですか」
「キャンサー。やはり尋常ではない」
「そういえばデスマスク様」
 今度はリィナがカナンに問うてきた。
「どうした」
「キャンサーといえば気になることがあります」
「気になることだと」
「はい、あの男が身の回りに漂わせていたあの青い炎」
「うむ」
 リィナが言うのはそれだった。
「あれは一体」
「それは私にもわからない」
 カナンもそれについては答えられなかった。
「しかし」
「しかし?」
「あの男の不敵な笑み。何かあるのは間違いないだろう」
「そうですか。やはり」
「まだ攻撃には出ない」 
 カナンはあらためて言う。
「聖闘士の要である黄金聖闘士」
「はい」
 ここではデスマスクのことであるのは言うまでもない。やはり彼だった。
「あの男を倒せる確かな戦力が揃うまではな。動かぬ」
「ではカナン様」
 今度言ってきたのはサムソンだった。
「同志達が来たその時こそ」
「我々が動く時だ」
「わかりました。それでは」
「ではカナン様」
 ロファールも言う。
「私がこれより」
「同志達を呼びに行くというのか」
「はい、それで如何でしょうか」
「待て」
 だがここでカナンはロファールのその言葉を制止した。
「何か」
「御前一人で行くつもりだな」
「はい、その通りです」
 ロファールは何でもないといった様子でカナンに答えた。
「それが何か」
「一つ考えがある」
 ここでカナンの目が光った。鋭く、かつ剣呑な光だった。
「考えですか」
「そうだ。まず御前はそのまま行くのだ」
 あらためてロファールに言う。
「私はそのままですか」
「呼びに行きそのまま同志達と合流する」
「そして」
「問題はその後だ」
 話の重点はそこにあった。カナンの言葉がここでさらに強いものとなる。
「我々は身を隠し御前の後を追う」
「カナン様達も」
「御前が動けば聖闘士達もおそらく気付く」
「確かに」
 その言葉に最初に気付き頷いたのはリィナだった。
「彼等も愚かではありません。それならば」
「必ず御前に気付き動いてくる」
「追撃を仕掛けて来ると」
「そして御前が同志達と合流したその時に彼等は出て来るだろう。そこを」
「攻めると」
「そうだ」
 また彼等に対して答える。
 
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