| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十七話 三年生なのでその二十三

「それで」
「そういうことで」
「だからそういうことって何よ」
 本当に訳のわからない子です、ですが。
 今日のお昼は結局この子と一緒でした、そしてです。
 この日は午後の授業の後で部活にも出て寮に戻りました、ここまでは何もなかったのですが寮の廊下を歩いていると一年の娘達にこんなことを言われました。
「中村先輩って阿波野君と付き合ってるんですか?」
「えっ、またその話!?」
 思わずこう言ってしまいました。
「付き合ってないわよ」
「けれど今日も一緒にいたって」
「いただけよ、あの子同じ大教会の所属だから」
「奥華ですよね」
「それだけよ」 
 本当にそれだけです。
「何でいつもそう言うの?」
「皆がですか」
「そんなことないから」
 このことは強く言いました、この一年の娘にも。一年生なのに私の方が小さくて見上げてしまっています。
「絶対に」
「そうですか」
「そう、たまたま毎日一緒になるの」
「今日図書館に一緒に入っていったって聞きまして」
「それは事実だけれど」
「じゃあ」
「だから違うわよ」
 後輩の娘には怒らない様にしてますけれどこの時はむっとして返しました。
「あの子とは何もないの」
「バチカン本当ですか?」
「嘘は言わないわよ、ただの同じ大教会の後輩よ」
「そうですか、実はですね」
「実は?」
「阿波野君って結構人気あるんですよ」 
 私にこんなことを言ってきました。
「背が高くて顔もよくて何よりも明るくて気遣いが出来て」
「最後は違うでしょ」
 能天気でいい加減としか思えないです。
「最初の三つはいいとして」
「スタイルいいですし」
「それはね」
 確かにそうですが。
「けれど気遣いが出来るの」
「親切で気配りがよくて」
「そうなの」
「それで一年の娘達の間でも人気があるんですよ」
「そうだったの」
「けれどいつも好きな人がいるからって」
 何かこの言葉が凄く気になりました、どうしてでしょうか。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧