| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Three Roses

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十四話 やつれていく身体その九

「王にする」
「はい、それでは」
「何としてもです」
「王子を王に」
「あの方を」
「何とかしたい、だが」 
 王は言いつつだ、そして。
 目を鋭くさせたままであったが。
 しかしだった、王は咳をした。それは何度も続き。
 そのうえでだ、側近達に言った。
「薬はあるか」
「今よりお持ちします」
「少しお待ち下さい」
「頼む、どうも近頃前にも増してだ」
 さらにというのだった。
「身体が優れぬ、よい薬を飲まねば」
「お身体にはお気をつけを」
「休むこともされて下さい」
「よく」
「そちらも」
「そうせねばな、何とかしてだ」
 そしてというのだった。
「次の王を決めよう」
「マリー様、そしてその後は」
「王子ですね」
「この国と北のお王国を統合し」
「新教徒を主としてですね」
「国をまとめたい」
 こう言うのだった。
「ではいいな」
「はい、それでは」
「そうしましょう」
「マリー様に女王になって頂き」
「王子に」
「マリー王女は玉座を望んでいない様だが」
 王はこのことも言った。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの方ですね」
「あの方に女王になって頂く」
「そうなって頂きますね」
「この国の為にな、若しくは」
 王はマリーが女王に就くのをどうしても拒んだ場合のことも考えていた、それは一体何かというと。
「王子に直接だ」
「王の後に」
「王位を継いでもらう」
「そうして頂くのですね」
「そうするか」
 ここで薬が来てだ、そのうえで。
 王は湯の中に入れられたその薬を口にした、そのうえでまた言った。
「あの王は新教徒だからこそな」
「そうですね」
「それではですね」
「王位のことも」
「決めておきますか」
「そうしよう、太子の動きが気になる」
 どうしてもというのだ。
「既にな」
「では」
「第一はマリー様ですか」
「あの方にされますか」
「いや、最初はそのつもりだったが」
 考える顔でだ、王は側近達に述べた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧