おぢばにおかえり
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十七話 三年生なのでその十九
「いいですよね」
「何がいいのよ」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ」
ちょっと怒ってしまいました、八重歯を出して。
「いつもいつもそんなこと言って。いい?」
「いいっていいますと」
「そんないい加減なのでおみちを勉強させてもらっても駄目よ」
「真面目にですか」
「そう、真面目によ」
阿波野君にはこう言います。
「もっとね、大体君はいつも不真面目だから」
「力抜いて気楽に」
「阿波野君はいい加減っていうの」
「いい加減ですか、僕」
「そうよ、おみちのことどう思ってるのよ」
「いい教えだと思ってますよ」
明るい笑顔での言葉でした。
「僕にしても」
「そう思うならしっかりとね
「いい加減にじゃなくてですか」
「そうよ、真面目によ」
「ううん、もっとておどりをやって教典も読んで」
「教祖伝もね、けれどそうした問題じゃないの」
阿波野君の場合はです、この子の場合は根本が違っていて根っからのどうしようもないいい加減さと脳的さです。
「真面目によ」
「おみちに向かうのにですか」
「そう、真剣にしないと」
この子には毎日言ってる気がしますが今日も言いました。
「駄目よ」
「人生いつも真剣ですか」
「ええ、おみちもね」
「先輩は真面目ですね」
「真面目も何もよ」
それこそです、私はお家の教会を継がないといけないからです。いいか悪いかは別にして将来は決まっています。
「教会のことを考えたら」
「そう言われたらそうですね、ですが」
「ですがって何よ」
「柔らかいことも必要ですから」
だからと言ってきた阿波野君でした。
「柔軟性をです」
「阿波野君は大事だって思ってるの?」
「はい、お気楽に」
「だからそれが駄目なの、全く阿波野君は」
本当にやれやれと思いつつ本人にまた言います。気付いたら阿波野君の手には天理時報があります。天理教の新聞で週一回発行されます。
ページ上へ戻る